楊昌明さんは台所でメタンガスを使って15分間で二品の料理を調理しておき、それより前から電気炊飯器でご飯をつくっておいた。
中国西部地区の一部農村における楊昌明さんのような日常生活はクリーンエネルギーの恩恵を受けている農家の実態である。メタンガスと小型水力発電所を主体とした新エネルギーは西部の農民の千百年にわたる薪を使う炊事のライフスタイルを変えることになった。
「以前は薪でご飯を炊き、台所は煙でいっぱいで、いつもけむたくて窒息しそうであった。今からはメタンガスと電気の使用が可能となり、炊飯も便利になり、衛生的になりました」と楊昌明さんは語っている。
生態環境を保護し、農民の生産と生活条件の改善を目指す小規模水力発電をエネルギー源とすることに切換えるプロジェクトが2003年末から実施されて以来、貧困地区の30万人の農民に恵みをもたらした。これと同時にメタンガス、風力発電、太陽光エネルギーを主とする多種類のエネルギープロジェクトが西部地区で広範囲で実施されている。
農民が薪を伐採することは森林の植生を破壊し、土地の砂漠化、水土流失をもたらす主因となり、ひいては西部地区の生態系と生存環境の悪化、人々の貧困と立ち遅れの原因ともなっている。
楊昌明さんの故郷である貴州省凱里市鴨塘鎮の山間地帯は農民の柴刈りによって不毛の地となっていた。現在、メタンガスと電気で家庭生活の必要を満たすことができるようになったので、薪として使うため木を伐採する人も姿を消し、周辺の山やまには木々がまた生い茂るようになっている。
「メタンガスと電気の使用で収入も増えました。これまで我が家にはもっぱら柴刈りの役目を担う人もいて、周辺の木々が無くなったので、遠いところへ行かねばならなくなり、それもますます遠くなるのでした。今度は柴刈りに費やした時間を他の仕事に使うことができ、お金を稼ぐことも可能になりました」と楊昌明さんは語っている。
水利部の索麗生副部長は、一年余りの実践が立証しているように、小型水力発電所の建設は一石二鳥どころか一石多鳥で、それを実施している地域では良好な経済と社会的な効果を目にすることができる。現在こうした小型水力発電所プロジェクトは30万の農民が生活している地域をカバーしており、毎年一人当たり約100元の燃料支出の節約となっている。これは、これら地域の農民が年間約3000万元の燃料支出を節約したことを意味するものである、と語った。
現在、小型水力発電所プロジェクトは四川省、雲南省、貴州省などの一部地域で実施されており、農村部におけるこうした燃料に替わる生態保護プロジェクトが2020年にほぼ完成する予定である。2404万キロワットの発電ユニットの新規増加を通じて、西部地区の1億人の農民の長期的な生活用燃料とエネルギー使用の問題を解決することが可能となる。
「チャイナネット」2005/08/12