チベット自治区の面積は120平方㌔余、平均海抜は4000㍍以上である。ここは南アジアと東南アジアを流れる河川の源や生態系の源であり、中国や東半球の気候の「スターター」と「調節地域」でもある。
チベット自治区の人口は1950年代の100万人から現在の270万人に増え、他の発展途上地域と同じように環境保護の問題に直面している。
「雪に覆われている高原を私たちの世代で壊滅させてはならない」と自治区政府は未曾有の切迫感と責任感を胸に人々に呼びかけ、専門家や学者を組織して自治区の生態環境の現状の調査や生態機能区画定の準備などの作業を促している。そして、科学的で詳細な『チベット生態機能区画レポート』が完成した。その後、これを基礎とした『ヤルンズァンポ江水源地国家クラス生態機能保護区の総体計画』と『ヤルンズァンポ江水源地国家クラス生態機能区整備プロジェクトのフィージビリティスタディーレポート』も相次いで完成した。
自治区環境保護局の張永沢局長によると、2004年末現在、チベット自治区にはさまざまな自然保護区が38カ所も設置され、自然保護区の面積は40.77万平方㌔となり、自治区総面積の三分の一を上回ることになった。
我が国及び近隣諸国の人々に恵みをもたらしている水資源を保護するため、国は「一江二川(ヤルンズァンポ江、ラサ川、ニャンチュ川)」の中部流域の生態環境の改善を重点とする農業総合開発プロジェクトに投資すると同時に、長江上流域における天然林保護プロジェクトを実施し、2004年に2253㌶の生態林をつくり、1492㌶の山間地帯を立ち入り禁止にして造林に努めていた。
積雪高原の生態系が良好であることを示す目印として、チベットでここ50年来絶滅した種はまったくなく、それどころか、生物種が引き続き豊富になっている。関係部門の観測によると、ヤルンズァンポ江中流域の渓谷にオグロヅル自然保護区が設置されて以来、越冬のために飛来するオグロヅルの数量が年を追って増加し、その数は全世界の80%を占めている、という。
「チャイナネット」2005/09/01