9月3日、中国人民抗日戦争と世界反ファシスト戦争勝利60周年を記念する大会が北京の人民大会堂で盛大に開かれた。胡錦濤国家主席(中国共産党中央委員会総書記、中央軍事委員会主席)は、大会で重要な演説を行い、その中で次のように述べた。
世界の命運を決定した60年前の偉大な勝利は、平和と正義を愛する全ての人々の心の中に永遠に刻まれている。われわれがこの偉大な勝利を厳かに記念するのは、歴史を記憶し、過去を忘れず、平和を愛し、未来を創るためであり、小康社会(いくらかゆとりのある社会)の全面的な構築、中華民族の偉大なる振興という輝かしい事業の実現をより推進するためであり、人類の平和と発展という崇高な事業をより促進するためである。
われわれが歴史を振り返るのは、歴史から智恵と教訓をくみ取ることで、今日の生活と未来の方向をより良く把握するためである。中国人民抗日戦争と世界反ファシスト戦争の勝利は、われわれに非常にたくさんの、深く重要な教訓を与えてくれた。これらの教訓は、莫大な代価と引き換えに得たものであり、人類全体の貴重な財産として、記憶にしっかり刻まなければならない。
中国と日本は共に、アジアそして世界に大きい影響力を持つ国である。2千年以上に及ぶ中日両国の交流史は、主として中日友好の歴史だ。近代日本の軍国主義が引き起こした侵略戦争は、中国の人民に深刻な被害をもたらしただけではなく、日本の民衆にも深い傷を与えた。侵略戦争を画策し実行したのは、日本の軍国主義分子のごく一部に過ぎない。
戦後、日本の各界の多くの人々が、日本の軍国主義が国外で行った侵略の歴史的事実を勇気をもって直視し、日本の侵略者が中国侵略で犯した暴虐を激しく非難した。当時、侵略戦争に従軍した軍人の中にも、戦時中の罪悪を心から懺悔(ざんげ)し、実際の行動で日中友好を推進し、多くの有益な働きをした人が少なくない。この良知と勇気は、大いに称賛されるべきだ。
中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日友好の方針を堅持し、また中日友好のためにたゆまぬ努力をしてきた。中華人民共和国の成立以降、政府と人民は、中日関係を改善し、両国人民の伝統的な友好を発展させるため、多くの仕事をした。日本の見識ある政治家と各界の人々と共に、日中国交正常化を実現した。
長い間、中日関係は絶え間なく発展し、両国の経済貿易分野での協力は不断に拡大し、人的な交流も日に日に密接となった。これらは、平和友好と共同発展を求める両国の人々の願いを反映している。両国の歴代の指導者と有識者が共に努力した結果でもある。密接な中日関係を、われわれはさらに大切にし、心をこめて維持すべきだ。
ただ、ここで指摘したいのは、日本国内の一部の勢力が長い間、日本が侵略戦争を始めたという本質や犯罪行為をかたくなに認めず、軍国主義の戦争を美化しようとあがき、さらに、歴史によって「恥辱の柱」に打ちつけられたA級戦犯の亡霊を呼び戻そうとしていることだ。このやり口は、歴史問題に関する日本政府の認識に反するのみならず、中日関係の政治的基礎に背き、中国とアジアの国の人々の感情を深く傷つけるものだ。
過去を忘れず、未来の教訓とする――。歴史を記憶に刻むことは、恨みを抱きつづけるためでは決してなく、歴史を鑑(かがみ)とし未来に向かうためであることを、われわれは強調したい。過去を忘れずに教訓をくみ取って初めて、歴史の悲劇の再演を避けられるのだ。日本の政府と指導者が、歴史や人民、未来に強く責任を持つ姿勢に基づき、中日友好維持とアジア地区の安定と発展という大局観に立って、歴史問題を適切に処理するよう、われわれは望む。侵略戦争に対して示した反省と謝罪を、行動で表すことを希望する。
中国政府が、中日の友好的な協力関係を発展させる方針に変わりがないことを、私はここで重ねて述べておきたい。われわれは今後も、「中日共同声明」(1972年)「中日平和友好条約」(1978年)「中日共同宣言」(1998年)の3つの政治文書を厳密に守り、対話と対等な協議を通じて両国間の不一致を適切に処理し、幅広い分野で両国の交流と協力をさらに深めていく。民間の友好と往来を活発化させ、相互理解を進め、共同利益を拡大する。実際の行動によって、21世紀の中日友好協力関係の発展に向けて努力し、これにより、中日関係を健全かつ安定的に発展させ、中日両国の人民の世代を越えた友好を築いていく。
「人民網日本語版」 2005年9月5日