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日月潭

台湾省最大の湖で、中部の南投県にある。周囲を山々に囲まれ緑豊かで、水域面積は約793ヘクタール、湖面周囲の長さは30キロ余り。拉魯島を境にして北半分の形状が日輪、南半分が月に似ていることから、日月潭と名づけられた。秀麗な景色に穏やかな気候、宿泊施設も整備され、内外に名を馳せる観光地となった。

日月潭は、湖中の絵画のような秀麗な光景もさることながら、湖畔は緑に覆われ、名所旧跡も数多い。湖北側の山の中腹に文武廟がある。大成殿に孔子、武聖殿に関公が祭られているので文武廟と命名されたが、麓から山門まで365の石段を登ることから、俗に「登天路」(天への路を登る)と呼ばれるようになった。廟宇は宮殿式。頂は金色の琉璃瓦で彩られ、折り重なるように建物が並んでいる。

湖の南側、光華島からほど近い岸辺に立つ青竜山。その麓の玄光寺に、唐代の高僧、玄奘法師の金箔の塑像が祭られている。抗日戦争時代、日本人は南京市の天禧寺から法師の遺骨の一部を略奪した。だが1955年に交渉の末、魂骨と舎利は返還されて玄光寺に安置。そして1965年、青竜山に玄奘寺が建立されると同寺に移され、風光明媚な地に新たな名所が加わった。

70年代、青竜山に9層の高塔が建てられた。慈恩塔という。遼代や宋代の古塔の様式を模したもので、八角の宝塔。各層の庇に小さな鐘が吊り下がっており、風を受けると「ティーン」と鳴り響く。塔に登って遠くを眺めると、湖一帯の全風景が視野に入ってくる。慈恩塔はちょうど海抜が1000メートル、日月潭の“地理的標識”でもある。

 
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