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進展をとげる法律援助制度
一九九四年、司法部は中国で法律援助制度の確立と実施を模索することを正式に提出したが、現在この活動は一応法制化、規範化の軌道に乗るようになった。最近、国務院新聞弁公室の行った記者会見で、段正坤司法部副部長は内外記者に中国の法律援助制度の進展について説明した。

 改革・開放以来、中国の経済体制のちくじ転換と利益枠組みの調整につれて、公民の間に主観的と客観的条件の差異によって貧富の差がある程度生じ、一部の公民が経済困難のため弁護士を頼むことができず、自らの合法的権益を守る経済能力がないという問題が現れた。

 貧者と弱者が経済困難の制約を受けずに、普通の公民と同等の法律援助権を享有し、司法の公正と司法の人権を保障し、「法律の前で人々が平等である」という憲法の原則を実現するため、一九九四年初めに、司法部は中国で法律援助制度の確立と実施を模索することを正式に提出し、まず一部の大中都市で法律援助活動を試行した。一九九六年三月と五月に「中華人民共和国刑事訴訟法」、「弁護士法」が相継いで公布され、中国の法律体系における法律援助制度の地位が確立された。それによって、中国で法律援助制度を確立、実施する活動が全面的に始動した。一九九七年四月から二〇〇〇年四月にかけて、最高人民法院、司法部、最高人民検察院などは法律援助活動の展開について一連の通達を出した。それと同時に、各地も続々と法律援助活動の展開についての地方的法規を制定、公布した。こうして、法律援助活動は一応法制化、規範化の軌道に乗るようになった。

 国の法律援助制度を効果的に実施するため、中国は中央から地方に至るまで、現有の行政区画に基づき、法院の設置と対応して、政府法律援助機構を設置し、中央、省(自治区、直轄市)、地区(市)、県(区)という四クラスの枠組みからなる中国の法律援助機構システムを形成した。司法部法律援助センターは一九九六年十二月十六日に発足したもので、職員は二十三人。今年五月三十一日現在、全国の二十九の省、十六の副省クラスの市、二百八十五の地区(市)クラスの地方、千百五十二の県(区)クラスの地方で前後して法律援助センターが設置され、その他の地方の法律援助センターも設置準備中である。司法部法律援助センターは全国範囲内の法律援助の管理活動を担当し、各省(自治区、直轄市)の法律援助センターは管轄区域の法律援助の管理活動を担当し、各地区(市)、県(区)の法律援助センターは管轄区域の法律援助の管理活動を担当するほかに、法律援助の対象にサービスを提供する。現在、全国の法律援助者はすでに四千人を超えている。各地の法律援助機構の専従者が一定の法律援助サービスを提供するほか、弁護士、公証員、末端の法律サービス要員および一部の社会団体、法学関係の大学の法律援助ボランティアが各クラスの法律援助機構の組織と指導の下で具体的な法律援助活動に参与している。

 中国の法律援助の一般的条件は、自身の合法的権益を守るために法律援助が必要であることを証明する十分な理由があること、地元政府の規定した経済困難の基準に合っていることである。中国の法律援助制度が公民の基本的人権に対する重点的保障および貧者と弱者群に対する特殊な保障を十分に具現している。具体的に言うと次の通りである。(一)公民の生命権、自由権に対する重点的保障。刑事法律援助の中で、死刑を判決される可能性があり、弁護士を頼んでいない刑事被告人に対し、人民法院は法律援助義務を負っている弁護士に、経済困難の条件を考慮せずに、弁護するよう指定すべきである。これは公民の生命権の重点的保護を具現している。法律援助範囲に関する規定の中で、刑事案件であれば、援助条件に合致する当事者はいかなる段階でも法律援助を申請することができる。これは公民の自由権に対する十分な保護を具現している。このほか、中国で裁判を受ける外国人、無国籍者に対しては、法律援助を享有する面で保障を与える。(二)公民の生存権に対する重点的保護。民事事項では、法律援助の範囲は、扶養費、養育費、補償金、救済金の支払を請求する法律事項、責任事故以外に公傷によって賠償を請求する法律事項であると規定されている。(三)身障者、未成年者、老人などに特殊な保護を与える。刑事法律援助の中で、視覚・聴覚・言語障害者と未成年者が刑事被告人として、弁護士を頼んでいない場合、人民法院は法律援助義務のある弁護士に、経済困難の条件を考慮せずに、弁護するよう指定すべきである、民事法律援助の中で、特に視覚・聴覚・言語障害者や未成年者、老人の賠償金催促の法律事項は援助範囲に組み入れられている。法律援助の具体的形式は、諮問への解答、刑事弁護、訴訟代理、公証などが含まれている。

 おおまかな統計によると、一九九六年以来、全国の各級法律援助機構が弁護士、公証員、末端の法律サービス要員を組織して、三十二万八千余件の案件に法律援助を提供し、二百九十八万余件の諮問に回答した。二〇〇〇年一月から五月までに法律援助を提供した案件(公証法律援助事項は含まない)は六万二千三百十件で、そのうち刑事案件は三万二千七百八十九件、民事案件は二万六千二百三十八件、行政案件は五百九十三件、非訴訟代理は二千六百九十件、諮問は延べ六十八万余人であった。ここで触れておくのに値することは、各級の法律援助機構が大量の刑事法律援助案件を組織的に処理し、法院の刑事弁護指定の実施を保証し、刑事被告の法定訴訟権利を保障する上で、積極的な役割を果たし、同時に、数多くの経済困難の婦人、児童、身障者、老人、一時帰休者が法律援助を得て自らの合法的権益を擁護し、その人数が数年来四十万人に達したということである。

 中国の法律援助制度の確立と実施は、外国の専門家、同業者の関心を集めている。内外の法律援助活動の有益な経験を広く知り、参考にするため、司法部法律援助センターは前後してイギリス、アメリカ、カナダ、日本、オーストラリア、EUおよび中国の香港特別行政区の学者、同業者と幅広い交流を行った。

 中国政府は法律援助制度の確立と実施を重視、支持する。中央財政は司法部法律援助センターに活動展開に必要な経費保障を提供する。省、地区、県の各級地方政府財政は所在地区の法律援助活動に必要な経費を負担する。一部の地区では法律援助機構の設置と法律援助経費の調達にまだ困難があるとはいえ、経済と社会の発展につれて、この面の困難は次第に克服することができる。一九九八年十月、中国政府は公民の権利と政治の権利に関する国際条約に署名した。中国の立法機構がこの条約を批准したら、公民の基本的法律権利としての法律援助は、政府が憲法、法律と国際法の規定に基づいて引き受けるべき国際義務にいっそう発展するであろう。中国の各級法律援助機構はたえず法律援助制度の宣伝に力を入れ、法律援助提供が社会にいっそう知られるようにし、公民が法律援助を獲得する範囲を次第に拡大して、中国の人権保障の内容を豊富にし完備させ、法律援助制度にいっそう重要な役割を果たさせるように努めることになろう。

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