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「新主流」青年
楊游

 20代の若者は気ままで流行に敏感、他人にどう見られるかに束縛されず、自分の考え方に沿って暮らしていく。以前の若者と比べ、彼らは伝統的理念に対抗するものを多く身につけているようだ。「私たちは時代の潮流をリードしており、私たちこそこの時代の主流青年だ」と彼らは語る。

60点万歳

 「60点とったらもう十分、僕にとっては70点なんて贅沢」と涼しい顔で言う武漢大学の謝学軍くんは、次のように語る。

 試験なんて、書物に対する知識をどの程度把握しているかを検証する手段に過ぎず、一人の人間の能力を判断するものさしではない。学生にとって最も重要なのは、実用的能力、コミュニケーション能力、創造力など総合的な資質を養うことだ。書物の知識は実力の蓄積にはなるが、決して実力に取って代わることはできない。だから、書物に対する知識のテストでは60点で結構。僕が重視するのは、実践の中で自分自身の能力を培うことだ。

 謝くんは、受験教育においてはラッキーボーイであるにもかかわらず、彼の話は受験教育に対する不満と懸念に満ちている。

 同じく「60点万歳」でも、また異なった解釈がある。北京の一部の名門大学では、研究態度の厳しい教授のクラスでも、最高点が80点前後しかないときがある。「及第万歳というのは、私たちが自己満足して自分を慰める方法で、今の学業によるプレッシャーはそれほど大きく、くよくよせずにいなければ、これから社会の競争に立ち向かうことができなくなってしまう。私は、一生懸命勉強してもこれぐらいの点数しか採れなかったが、適当に勉強してもこの程度の点数を採れたことがあるのに気がついた。全精力を傾けた結果と一部の精力を傾けた結果が同じものになる以上、この時間を利用して自分の好きなことをやり、自分にとっていろいろな発展空間をつくったほうがいいのではないか」と、ある学生はやや仕方なさそうに言う。

 「60点万歳」というスローガンを早くも80年代に口にした人がいる。今ではソフトウェア会社に勤務するある男性は、「実は、あの時代の若者はやはり高い点数を取るために骨身を惜しまず勉強したが、高い点数が採れなかったときに、自分を慰めてあんな風に言うしかなかった」と率直に打ち明ける。また、現在教職に就いているある教師は次のように言う。「80年代の頃は、大学生は国の計画によって配属され、卒業時の成績の良し悪しはさして重要ではなかった。いずれにせよ国が勤め先を割り振ってくれるし、職場側も必ずその割り振りを受け入れなければならなかったため、当時は点数を重視せず、及第しさえすれば卒業証書を手に入れ、仕事に就くことができて、こんなに一生懸命点数を争う必要はなかった」。

 首都師範大学教育科学院教育学部の王建平主任は、次のように語る。

 これは点数の本当の価値をどのように評価するかの問題だ。社会的評価と人材選択の基準に変化が生じており、成績で英雄を論ずる時代はすでに過ぎ去った。例えば、現在の雇用側は、募集の際に往々にして実際の業務経験を重視する。こうした状況の下で、大学生は、実際の能力が一体どのような基礎を踏まえて高められるのかを考え、猛勉強するよりも社会的実践に少しでも参加するのに越したことはないと思うようになった。彼らは、大学4年間の蓄積が将来の発展にとっての深い学問的素養であることを意識せずに、当面の利益にしか考えが及んでいない。

ビジネスライクな交際

 急速に変化し、発展する時代を前にして、若者の交際の中身は絶えず広がり、豊かになっており、従来の交際の仕方は次第に影が薄れ、これに取って代わったのは、時代の特徴を色濃く具え、より個性をアピールする最新式の交際方法である。

 市場経済の環境が昨今の青年男女の経済的意識を育んでおり、彼らの交際活動も経済的利益をめぐって展開されている。多くの若者は、よく知っている友だちであれ、知り合いになったばかりの友人であれ、交際する際はいずれも「ビジネスチャンス」を探り、互いの経済協力の可能性を追い求めている。彼らは、現代人の交際は実務的で経済的意識を持つべきであり、双方に収益をもたらす経済生活の道を探求すべきだと考えている。

 王勇くんは、経済的意識がきわめて強い一人の若者だが、彼の交際の原則は至って明快で、経済生活を中心とするものである。この原則のもとに、周りの新旧の友人との付き合いは、ほとんどが経済的利益にかかわっている。「僕の友だちのほとんどはビジネスを通じて知り合った人で、僕は余暇を利用して不動産情報の提供、広告ビジネスの仲介、営業販売などをやったことがあるが、それらはみな友人たちとの協力の成果だ。人間関係にある種の経済的利益を取り入れるのは少しも悪いことではない。なぜなら、いまの環境のもとでは、どうしてもいくらか利益とつながることをする必要があるからだ。たとえ友だちとの付き合いの中でこうしたことをしなくても、僕らはいつも経済に関係した話題を話している。人柄、性格については、僕はまったく考慮しない。僕が重視するのは、彼の職業と身分が僕にもたらす経済的利益だ。

 こうした関係でも友だちと言うことができるのだろうか。王建平氏は、「新主流」青年の友だち選びの基準に異議あり、と次のように言う。

 若者のこのような考え方は、功利的色彩を色濃く持っている。友だちとは、誠意を基礎に築かれる互いに助け合い、理解し合い、互いに寛容である信義関係のことで、単なるむき出しの経済的利益の関係ではあり得ず、こうした友情が長く続くはずはなく、このような友だち選びの基準も社会からは認められないものだ。

就職に「ノー」

 政府と関係部門が大卒者の就職難をきわめて憂慮しているとき、少なからぬ若者がさっさと「不就業申請書」を提出し、自分のために別の道を選んだ。就職に対して「ノー」を唱えるこれらの卒業生は、その年の卒業生数の約2%を占めるという。

 卒業したとき、郭亮くんは就職せず、戸籍管理規定に基づき、戸籍を大学から居住区に戻す手続きをした。民事警察は彼の修士学位証書を手に、その戸籍資料に「就職待機」と書くに忍びず、ぐずぐずしていた。警察の残念そうな表情とは裏腹に、郭くんは内心の喜びを隠しきれない様子であった。郭くんの今の肩書は、フリーの個人投資家である。多くの部外者から見れば、彼の歩んだ道はまともな道ではないが、郭くんの論理は次のようなものである。

 僕がコンピューターを学んだのは、それが好きだから。僕はほかにも好きなことがあるし、ほかの能力もあるので、別の事をやりたい。どうして個人投資家になったかについては、これも僕の興味の一つで、僕にとって、株の売買は比較的公平な数学ゲームで、ゲームの中でお金は賞品、競うのは知力で、それは僕が苦手な人間関係とはかかわりないからだ。まともな道については、それは前途洋々たる道だが、全世界と比べると、一本の道というのはなんとも狭すぎるうえ、その中で争ってひしめき合う人が多すぎて、そんなのは少しも好きになれない。

 王建平教授はこれについて次のように語る。

 勉強はいい仕事を探すためで、さもなければどうして勉強するのか。本当に株の売買が好きならば、余暇を利用しても株の売買はできるでしょう。どうしてこれを職業とするのか。今の大学生は職業選択のうえで、個性化、理想化がいっそう強まり、ロマンを求めるようになって、思い思いに自分の人生設計をしているが、この選択の過程で、自分の権利を余りに考えすぎて、自分は社会のために何ができるかを考えていない。伝統文化に対する責任感の放棄が彼らのこうした選択を生む深層の原因だ。

専門家から見た「新主流」青年

 中国青少年研究センターのチ傑英主任は、「新主流」青年に深い理解と寛容の気持ちを示しており、新たな「60点万歳」現象の原因について、次のように語る。

 知識型経済の時代において、知識は5年に一回程度の割合で更新されるが、われわれの教材を更新するスピードが遅すぎて、学生が教科書から学ぶ知識が実際とかけ離れているため、彼らはこうした時代遅れの知識の勉強に時間を費やしたがらず、大部分の時間を社会と接し、社会の発展に歩調を合わせるのに費やそうとしている。このような選択は賢明で、合理的である。しかし同時に、若者は個人的な興味と社会的需要の連結点を見つけ出し、もっと有効に社会に報いるよう努めるべきでもある。

 これらの若者は改革・開放の市場経済体制の下で成長しているため、彼らの世界観、人生観、価値観には時代の烙印が押されており、実務的、現実的であるのが彼らの特徴で、この特徴はまさに社会の進歩には欠くことのできないものである。彼らの思考方法、表現方法、選択方法は、時として個人主義的色彩が強すぎるかもしれないが、時代は変わっており、われわれはむろん古い基準で彼らを判断、評価する必要もないし、彼らを非難するのはさらによくない。われわれがなすべきことは、彼らを十分に理解し、包み込んで導くことである。彼らに特有の責任感の欠如、自己中心的、成熟度や理性の欠如といったことは、時間が経つにつれて、個人の経験の蓄積、体験を経て、自ら修正し、自ら改善することができるのである。

 「新主流」青年は、鋭敏で独立しており、偽りがなく、創造精神と現実主義的精神に富んでいる。これは時代が彼らに賦与したものであり、また時代が求めているものでもある。彼らはわれわれの時代に信頼されるべきであり、またより多くの人々に受け入れられるべきでもある。

 「北京週報」 2001年12月3日

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