計画経済体制の下では、国家公務員や企業・事業体の労働者・職員の養老、医療などの福祉はいっさいがっさい国によってまかなわれていた。国有部門に入ると、生涯保障が得られることになっていた。中国が高齢化社会に入るにつれて、定年退職者がますます多くなり、在職者の人数を上回る企業さえ現れており、医療費は企業の重荷と悩みのタネとなっている。1990年代に入って以来、中国は養老保険、失業保険、医療保険制度を推し進めることになり、国務院は『失業保険条例』、『社会保険料徴収についての暫定条例』、『都市部住民の最低生活保障条例』などの法規を公布し、社会保障制度実施のために法的保証を提供した。今では、養老、失業、医療、最低生活保障の機能をもつ社会化した保障制度が一応整備されることになった。
――養老保険。基本養老保険は国有企業、集団企業およびその他の各種所有制の企業、企業化管理を行っている事業体までもカバーする制度である。2004年末までに、全国で1億2250万人の従業員と4103万人の定年退職者が基本養老保険に加入した。
――医療保険。都市部のすべての企業・事業体、政府機関、社会団体をカバーする保険であり、加入者数が最も多い社会保険制度の一つでもある。2004年末現在、全国の加入者数は1億2404万人に達する。
――失業保険。中国は大きな人口を抱えている国であるため、就職のプレッシャーも大きいものである。中国政府はそれを緩和するため、1993年から労務市場政策を実施し始め、この数年はまた、産業構造の調整による国有企業の一時帰休者向けの再就業プロジェクトを実施することになっている。2004年だけで、再就業保障資金100余億元を支出し、一時帰休者510万人に就職口を提供した。2004年末現在、全国の失業保険加入者数は1億584万人、失業保険金受給者数は419万人となった。
――最低生活保障制度 全国のすべての都市と県では、1人当たりの所得が地元の最低基準を下回る住民に基本的な生活保障金を給付する「最低生活保障制度」が実行されている。2004年末現在、全国では都市部の最低生活保障金の受給者数は2205万人に達し、都市部の貧困者は例外なく生活保障金を給付されることになった。農村でも、最低生活保障制度が実行される地域が現れた。
「チャイナネット」2005年10月28日