最近、よく耳にするようになった「生活習慣病」というのは、いったいどのような病気なのか。従来の「成人病」とどう違うのか。
成人病との違い
まず成人病とは何か。成人病というのは成年に達した時に出てくる病気のこと。脳卒中、がん、心臓病の「三大成人病」のほか、その元になる糖尿病や高血圧性疾患なども含めて、成人病と呼んでいる。経済状態がよくなるにつれて成人病疾患が増え、それらを一括して対策をたてる必要が生じた。
この数10年間、研究者の調査や諸外国との比較研究により、それらの病気が単なる加齢現象というよりも、長年にわたる本人の生活習慣のゆがみが積み重なって起こる疾患、という意味合いが強いことが明らかになってきた。食生活や運動習慣、睡眠、喫煙、飲酒などの生活習慣が不適切であるために引き起こされることが多いわけで、遺伝も関係するが、本人が自律的、道徳的な気持をもって正しい生活習慣を守ることで、これらの病気をある程度制御できる。
その例としては、食習慣(インスリン非依存糖尿病、大腸がん、肥満、高脂血症、循環器疾患、歯周病など)、運動習慣(糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症など)、喫煙(肺扁扁平上皮がん、先天性のもの以外の循環器疾患、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病、虚血性心疾患など)、飲酒(アルコール性肝疾患)などが挙げられる。
それに対して難聴、老眼など、主な原因が加齢のみによって起こり、人為的に予防不可能であるものは生活習慣病と呼ぶべきではない。従って、加齢だけが原因のように響く成人病という呼び方ではなく、原因そのものを象徴する生活習慣病としたほうが、病気の原因が認識されやすく、予防にも結びつくという考え方になってきた。
「CRI」より 2005年12月7日