人口が多いのに水が足りない。その上、地域と季節によって水資源の分布がアンバランスで、経済、社会の発展と配置に不つりあいは現在の中国の水資源の現状である。さらには長期にわたる粗放型の経済成長方式も水資源不足を深刻化させ、この問題解決の難しさを増している。当面の水利事業発展の課題は大変なもので、直面する情勢も深刻である。中国水利部の汪恕誠部長はこのほど記者のインタビューに答えた際、干害、冠水、水資源、土壌流失といった問題は依然として突出するとともに、水資源開発における四つの矛盾を指摘した。
一、 水資源の不足と経済社会の発展の水資源に対する需要の増加との間における矛盾。
我が国の一人当たり水資源保有量は世界平均の1/4で、平年でも全国の水資源の不足分は400億立方㍍に達する。一部地域の水資源に対する開発利用はすでに水資源と水環境の受け入れられる限界に近づくかあるいはそれを上回るものとなっている。経済の発展と人々の生活水準の向上につれて、水資源に対する需要が増える一方、水資源の開発と河川の治水事業の難度もますます大きなものとなり、水資源不足の問題は引き続き深刻化している。
二、 軟弱な水害総合予防システムと人びとの生命財産の安全保障との間における矛盾。
大河川のほとんどの支流と中小河川流域はちゃんと整備されておらず、洪水防止のための貯水施設の建設も立ち遅れており、鉄砲水、土石流などの災害に対する観測と予防力はまだかなり低い。毎年水害による死傷者の発生と財産の損失は依然として我われにとっての重大な災害である。
三、 深刻な水質汚濁や土壌流失と持続可能な発展との間の矛盾。全国の汚水排出総量は年を追って増え、湖沼の水質汚濁がひどくなり、水環境の全般的状況において根本的な好転が見られない。土壌流失、生態系悪化などの趨勢は根本的に抑制されておらず、地下水の過度の採取により、一部の地域では河川の一時的な水枯れ、湖沼の枯渇、湿地面積の縮小、オアシスの消失をもたらし、経済、社会の持続可能な発展に深刻な影響を及ぼしている。
四、 農村における水利施設の立ち遅れと新農村建設との間の矛盾。
農村の水利施設の基盤が軟弱で、全国の灌漑農地の1/3が中低生産高の農地である。広域灌漑農地の基幹施設が損傷、大型灌漑施設、排水ポンプステーションの老朽化、損傷率も高い。農業生産は依然として「お天道さま頼み」という状態から脱出していない。農村の高フッ素の水、高ヒ素の水、アルカリ含有量の多い水などは農民の健康に脅威を及ぼしており、数億の農民がまだきれいな水を飲むことができない状況にある。
根本から言えば、干害、冠水、水質汚濁、土壌流失などの問題は経済、社会の持続可能な発展の必要に追いつかない水利事業の現状を示しているばかりでなく、長期にわたる粗放型の経済成長方式が水資源と水環境に適合していないことをも反映している。この二つの方面の不適合は当面の水資源問題に対する基本的判断でもある。
「チャイナネット」2006/03/02