中国最高国家権力機関である全国人民代表大会の年次会議は5日午前北京で開幕した。国務院の温家宝総理はその際中央政府を代表して政府活動報告を行った。3つの部分に分かれたこの報告は、過去一年の活動を振り返り、今年の主要な任務と『国民経済と社会発展の第十一次五ヵ年計画要綱(草案)』について説明し、中国政府の今年と向こう5年における活動の考え方と主な目標を打ち出し、特に民生問題に重点を置いている。
2万字に上るこの報告は、今年度の政府活動と5カ年計画を一つにしたが、今年の活動に重点を置いている。これは、政府が現実問題を重視することを十分表している。
今年、中国政府は農業の扶助政策の強化にさらに力を入れていく。新農村の建設のため、政府は引き続き食糧増産や農民増収などの措置を講じると共に、投資政策を大きく調整することになっている。これについて、温家宝総理は「政府は投資方針を調整し、インフラ整備の重点を農村に転換させることを決定した。これは重大な変化である」と述べた。
報告の中で民生問題重視という政府活動の特徴を表しているのは、医療難や高額の学費など、切実な利益問題について出された解決案である。医療衛生の面では今年は、都市と農村の末端医療衛生サービスシステムの整備を大いに推進し、医薬品と医療サービスにおける価格の監督管理を強化することになっている。義務教育の着実な実施を確保するため、温家宝総理は、向こう5年間に国家財政から2182億元(270億ドル相当)の追加投資をすることを承諾した上で、かつてなかった措置を提出した。
温家宝総理はまた「全国の農村で授業料と雑費免除の義務教育を普及させていく。これは、中国の教育発展の道のりにおける重大な一里塚になり、全国民の資質向上に重要な影響を及ぼすに違いない」と述べた。
また、向こう5年の発展計画は、今年の活動計画に比べると、国民の利益を大切にするという原則を踏まえると同時に、マクロ指導をさらに強化する傾向が現れている。中国政府は向こう5年間の年平均経済成長の目標を7.5%と定めているが、これはこの20年中国経済の実際成長率をはるかに下回っている。この目標の確定や実現の方式について、温家宝総理は「この目標は、産業構造の最適化や効率の向上、消耗の減少に基づいたものである。実施の中で、各地は、スピード、構造と効率の関係をうまく処理し、スピードの向上だけに目を向けるべきではない」と話した。
報告を分析すると、科学的発展観とバランスの取れた社会の構築という理念は報告全文の筋道になっており、政府の「人民を基本とし、人民のために奉仕する」という措置がさらに具体化しており、全面的で協調かつ持続可能な発展という施政理念も経済や社会の各方面に深く入っていることがわかった。
10日間にわたる会議期間中、中国各地からの各業界の代表らは、今年および向こう5年間の発展の考え方や方針政策を確定するため、それぞれ有権者たちを代表して報告に対する審議や表決を行う。
「CRI」より 2006年3月6日