中国の最高権力機関・全国人民代表大会年次総会がいま北京で開催中である。今会議の重要な議題は、「国民経済と社会発展の第11次五ヶ年計画」を審議し、可決することである。温家宝総理は5日の報告の中で「中国は今後5年に、経済成長方式の転換に力をいれ、省エネで環境にやさしい社会の構築をトップの位置にし、省エネと環境保護を同時に解決し、持続可能な発展ルートを模索していく」と述べている。これは政府の構想だけでなく、全人代の代表や社会各界からも認められている。
中国は1980年代に改革開放を進めてきており、経済は年平均9%以上の伸び率で発展している。しかし、20数年の高度成長には重い代価が払らわれている。まず、環境のひどい汚染、二つ目は資源消費の急激な増加である。
全国人民代表大会の代表で、西南交通大学のフ勇林教授は「われわれはいま資源と環境の二重の制約を受けている。2004年、わが国のGDPは世界の4.1%を占めた。その代わり、資源消費の面で見ると、セメントだけで世界の47%を使った。つまり、世界のほぼ半分のセメントを使いながら4ポイントしかGDPを占められなかった。したがって、未来の持続可能な発展は厳しい課題に直面している」と述べた。
中国は資源と環境の厳しい課題に直面していることから、政府は、経済成長方式の転換や、省エネで環境にやさしい社会の構築を訴えた。
温家宝総理はその政府活動報告の中で「今後五年間に、GDPに占める一次エネルギー消費を20%前後減らし、主な汚染物の排出を10%減らす」と述べた。さらに、温家宝総理は「これは、深刻化している資源と環境の課題、省エネと環境にやさしい社会の要求に応えたもので、現実と長期的な利益であり、明確な政策的指導性を持つ。この目標達成には困難を伴うものの、われわれはそれを完成する自信と決意を持っている」と述べた。
管理強化と刷新能力の強化は経済成長方式の転換の重要なルートとされる。これについて、全国人民代表大会の代表で、山東大学の周鴻興教授は「自主的刷新では企業が主役をなすべきだ。企業管理者は、長期的で戦略的な視点を持たなければならない。これは最も大切なものである。企業はその収益の一部を研究開発に注ぐべきだ。自ら知的所有権を持つ技術の開発の重要さを認識した大手企業がますます多くなっている。これは喜ばしいことである。今のところ、実際に行動が取られており、成果をも挙げている」と述べた。
環境にやさしい街づくりのテストが進められている貴陽市白雲区の董蘭杵区長は「長い目で見れば、われわれはハイテク、高い効率、低汚染の科学的発展の道を歩まなければならない」と述べた。
省エネで環境にやさしい社会の構築が進むにつれて中国の投資環境も改善されるものと期待されている。
「CRI」より 2006年3月6日
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