外交部の李肇星部長は7日午後3時、人民大会堂で記者会見を開き、国際情勢と中国の外交政策を紹介し、記者からの質問に答えた。
李部長は、靖国神社参拝問題について、次のように述べた。
中国と日本は隣国同士だ。中国の国民は、日本の国民と代々の友好を続けていきたい。中日両国の政治関係が現在困難に直面していることの問題点は、日本の一部のトップが、侵略戦争を発動し、指揮したA級戦犯を今もなお参拝し続けていることだ。日本のトップは、中国の国民や、侵略戦争の他の被害国国民の感情を傷つけることを二度と行うべきではない。
これは、非常に厳粛な問題だ。日本の現在のトップが現在もA級戦犯を崇拝していることは、中国の国民だけでなく、他の多くの国の人々にとっても受け入れられないことだ。あるドイツ政府関係者は私に、「このようなこと、このような愚かなこと、非道徳的なことを、日本のトップはなぜできるのかドイツ人も理解できない」と言った。これはドイツ人が言ったことだ。
彼らの話によると、ドイツの第2次大戦後のトップの中に、ヒトラーやナチスを崇拝する人は1人もいないという。彼らは、「どのようしたところで、ナチスに殺された人を生き返らせることはできない。しかし少なくとも、死者の子孫の感情を傷つけることはすべきではない」と話す。
中国は関係改善に積極努力
中日関係について、李部長は「日本との善隣友好協力を発展させるという中国の基本方針に変わりはない。われわれは引き続き、胡錦濤主席が昨年4月23日にジャカルタで示した『5つの主張』に基づき、中日関係の改善と発展に積極的に努力していく」と表明。「5つの主張」の内容を繰り返した。
5つの主張(概要)
一、「中日共同声明」、「中日平和友好条約」、「中日共同宣言」の3つの政治文書を厳密に順守し、実際の行動により21世紀の中日友好協力関係に力を入れる。
二、「歴史を鑑(かがみ)とし、未来に向かう」ことを的確に堅持する。日本は厳粛かつ慎重な態度で歴史問題を処理してほしい。
三、台湾問題を正しく処理する。日本政府が、台湾問題に関する約束を実際の行動で示すよう望む。
四、対話と対等な協議を通じ、中日間の対立点を適切に処理する。
五、双方の幅広い分野での交流と協力を強化し、民間の友好的往来を強化する。
李部長はさらに「歴史問題においては、中国の人民は被害者だ。現在のカギは、日本の一部指導者に、自らの誤った行動を正すに足る勇気と誠意を見せてもらうことだ」と強調した。
「実務的かつ建設的」 東中国海協議
中国・日本の東中国海問題について、李部長は「東中国海問題についてだが、中国の開発活動は中日双方による論争のない中国近海で行われている。中日両国に東中国海問題をめぐる対立があるのは客観的事実だが、双方はいずれも、交渉を通じて対立を解消し、協力を模索したいと表明している」と述べた。
また、外交部亜洲司の胡正躍司長と日本外務省アジア太平州局の佐々江賢一郎局長による、東中国海問題を話し合う第4回中日協議が7日終了したことに触れ、「今回の協議は実務的で建設的だった。双方は次の協議をできるだけ早く開くことで合意した」と話した。
中国側、朝鮮半島核問題の平和的な解決にたゆまず力を入れている
李肇星外交部長は、朝鮮半島の核問題についての質問に対し、次のように語った。
昨年開かれた6カ国協議では、共同声明が発表され、朝鮮半島の非核化という全般的な目標も明確にされ、その実行についても初歩的な討論が行われた。この段階的な成果にたどりつくのは容易ではなく、大切にすべきものであり、各方が十分な誠意と柔軟な姿勢を示し、北東アジアの安定という大局から出発すれば、会談は一歩一歩と積極的な進展を遂げられるということを示している。
中国は、朝鮮半島の核問題の平和的な解決にずっと力を入れており、関連各方は対話と話し合いの態度をもってこの問題に臨むよう願っており、これは朝鮮半島の平和の維持や北東アジアの平和と安定にとって重要な意義をもつものであり、各方の共通の利益にも合致している。
アメリカ側が「台湾独立」勢力の危険性を充分に認識するよう願う
外交部の李肇星部長は、記者会見で台湾問題についての質問に対し、台湾問題は中米関係に影響を及ぼす最も重要な要因であり、われわれはアメリカ側が1つの中国の政策を堅持し、中米間の3つの共同コミュニケを順守し、「台湾独立」勢力およびその活動の危険性について充分に認識し、確実に「台湾独立」に反対し、「台湾独立」勢力にいかなる誤ったシグナルも送ることなく、ともに台湾海峡の平和と安定および中米関係の大局を守るよう願っている、と述べた。
李肇星部長は、中国、アメリカという2つの大国がいくつかの問題について一致しているが、いくつかの問題について一致していない点もあり、時には一致しているが、時には一致しない点もあるとした上で、「私はあなたが普遍的な道理を語っていると思う。恐らくどの二つの大国間の関係について、こう言ってもあまり間違いはないであろう。仮に2つの国、特に2つの大国の間で、どんなこともすべて同じであるなら、この世界は単調でありすぎて、私は多くの記者が失業するのではないかと思う、と語った。
李肇星部長は、われわれはアメリカ側とともに努力し、理解を深め、共通認識を拡大し、相互間の信頼を深め、協力関係を推進し、食い違いを適切に処理し、中米関係の健全な発展を推し進めたいと思っている。また、胡錦涛主席は近くアメリカ側の招請で訪米することになっている。これは、胡錦涛主席が国家主席としての初めてのアメリカ訪問で、極めて大きな意義がある。双方はこの訪問の成功を確保するため、着々と準備を進めていると語った。
中国の国防政策は透明なものであり、防御的なもの
李肇星部長は、中国の国防支出についての質問に対し、「増加した中国の国防予算にしてもアメリカには遥かに及ばない。中国の一人当たりの国防支出は、アメリカのそれの77分の1に過ぎない。最も重要なことは、中国の国防政策は透明なもので、防御的なものである」と語った。
李部長は、記者に対し、「物事を判断するには、数字のみに注目するのはなく、最も基本的な事実を見極めるべきである。たとえば、比率を示す数字ばかりを気にし、一昨年や昨年のこの比率を忘れてはならない。もしそれを知らなければ、今日の「北京日報」に発表された中国人民解放軍の寥錫竜将軍に対する取材に目を通されることをおすすめしたい。そして、もう一つ例を挙げたい。1964年10月16日、つまり、最初の核実験に成功した当日、中国は世界に向けて、いかなる時、いかなる情況の下でも、先に核兵器を使用しないことを明らかにし、その後さらに、核兵器を保有していない国や核兵器のない地域に対して、核兵器の使用や核兵器を脅威の手段とするようなことはしないということを無条件で承諾した。この記者の方は、中国の国防支出に注意し、細かい研究もしたようだが、核兵器を保有するその他の国が中国のように、世界に向けてこのような透明で真摯な承諾をしたことがあるかどうかという問題について検討したことがあるのか、私は知らないが」と語った。
「チャイナネット」/「人民網日本語版」 2006年3月7日
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