二〇〇五年度国民経済・社会発展計画の執行状況と二〇〇六年度国民経済・社会発展計画案についての報告

代表のみなさん

ここに国務院の委託を受けて、二〇〇五年度国民経済・社会発展計画の執行状況と二〇〇六年度国民経済・社会発展計画案を第十期全国人民代表大会第四回会議に報告し、審議を求めるとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

 

一、二〇〇五度の国民経済・社会発展計画の執行状況

二〇〇五年、全国各民族人民は中国共産党の指導の下に、科学的発展観を確立・貫徹し、マクロ規制を強化、改善し、団結まい進、鋭意進取的にとり組み、国民経済には、成長テンポが比較的速い、効率が比較的良好で、物価が比較的安定しているといった好ましい局面が現れ、第十期全国人民代表大会第三回会議で承認された国民経済・社会発展計画は達成された。

(一)経済は引き続き安定した比較的速い成長を保っている。経済運営の安定性はいくらか高められた。通年の国内総生産(GDP)は一八兆二三二一億元を達成し、前年度に比べて九・九%伸び、各四半期はぞれぞれ九・九%、一〇・一%、九・八%、九・九%増となった。一定規模以上の工業の付加価値は年間一六・四%伸び、各四半期はそれぞれ一六・二%、一六・五%、一六・二%、一六・四%増となった。

経済成長の協調性はいくらか改善された。比較的高い経済成長率を保ちながら安定した物価を維持する枠組みが現れ、通年で消費者物価総水準の上昇率は一・八%であった。経済効率は経済の成長率と同一の歩調で上昇し、財政歳入は一九・八%伸び、五二三一億五〇〇〇万元増収し、一定規模以上の工業企業は二二・六%の利益増を達成した。経済の成長を支える諸要素が過度に逼迫した状況はやや緩和されてきている。石炭生産高は九・九%増の二一億九〇〇〇万トンであり、発電量は 一二・三%増の二兆四七〇〇億キロワット時で、夏の電力消費ピーク期における国家電力網システムの電力供給制限頻度・回線数および電力損失量は、前年同期比それぞれ六一%、六六%減少した。重点物資の輸送はうまく確保されている。

(二)産業構造の調整は新たな進展をとげた。農業はいっそう強化されており、「三農」(農業、農村、農民)問題の解決に振り向けられた中央財政の支出は二九七五億元で、前年度より三四九億元増えた。食糧作付面積は、前年度より二六七万ヘクタール増加し、食糧総生産高は、一四五四万トン増の四億八四〇〇万トンとなった。農業の良質化、区域化、産業化、標準化の度合いが引き続き高められており、全国の小麦栽培総面積に占める特別用途優良小麦の栽培面積の割合は四八%に上り、優良早稲の栽培面積の割合は六四%に達し、それぞれ四ポイント、三ポイント上がった。牧畜・水産業は、勢いよく発展している。

 

工業構造のグレードアップは加速している。ハイテク産業は急速に発展し、一定規模以上の工業のうち、ハイテク産業の付加価値は一九・八%伸びた。特定分野における若干の重要な科学技術プロジェクトや産業化プロジェクトは順調に進捗している。重要かつカギとなる技術と装置の国産化は新たな進展をみせた。特大型ガスタービン、都市の軌道系交通輸送施設、大型水力発電設備および揚水発電設備の導入、消化、吸収事業はスムーズに推し進められた。百万トン級エチレン生産装置の国産化の拠り所となる関連プロジェクトがスタートし、七五〇キロボルト交流送変電のモデル・プロジェクトは完工した。企業の吸収合併・再編のテンポは加速し、エネルギー消耗度が高く、汚染度が大きく、安全作業の条件を具備していないと判断された若干のたち遅れた生産能力は淘汰され、拡張が過度に行われた一部業種では、引き続き投資の伸び幅が下がっている。

 インフラ建設は引き続き強化されている。西部から東部への送電、「南水北調」(南部から北部への導水)など重点プロジェクトの建設は、順調に進められている。青海=チベット鉄道は、一年繰り上げて全線の敷設を完遂した。県間自動車道路の改造プロジェクトは基本的に完成した。新規建設した自動車道路距離は一三万キロ、そのうち、高速道路は六四五七キロである。鉄道新規敷設線路の運行距離は一二〇三キロで、新規増加した電化鉄道と複線鉄道はそれぞれ八六三キロ、四八六キロである。

サービス業は引き続き安定した発展を保っている。政府や企業における情報化の応用水準はいっそう高められた。郵便・電信・電話、現代物流、コミュニティー・サービス、観光、展示イベントなど新興サービス業の発展は加速し、商業貿易、飲食業など在来サービス業の発展は好ましい勢いを保っている。

(三)地区発展総戦略は積極的に推し進められている。西部大開発はスムーズに進展し、新規着工の重点プロジェクトが一〇項目、投資総額は一三六〇億元になった。遂寧=重慶=懐化鉄道が完工して運営に入り、「五縦七横」(南北五本・東西七本)の国道主要幹線の西部区間はすべて着工し、重慶、西寧、満州里など一〇箇所の西部空港の新規建設、改築・拡張工事が相次いで完工され、百色、紫坪鋪などの水利センタープロジェクトは相前後して水門を閉じ蓄水し始めた。東北地区など旧工業基地の振興戦略が着実に推進されている。重大装置の国産化及び企業の自主的創造革新能力の向上を軸に、石油化学、鉄鋼、重大装置、造船、自動車、部品製造など優位産業の成長増強を支援した。資源型都市の経済パターン転換のテストが段階的な成果をあげ、バラック地区の改造が実施され始めた。中部地区の勃興を促進する諸政策・措置が検討、策定され、中部地区の農業基盤がいっそう打ち固められ、優位産業が発展し、強大になり、都市群の波及・牽引役割が増強された。東部地区は引き続きほかの地区に先駆けて発展するという良好な勢いを保ち、経済構造の調整、成長パターンの転換にも新たな成果が見られた。

(四)経済体制の改革は新たなブレークスルーを遂げた。農村における総合改革のテスト試行が積極的に推進され、牧畜業税は廃止され、すべての農業税を撤廃した省は二八省(自治区、直轄市)にまで拡大した。国有企業の改革は引き続き深化し、国有資産の監督・管理の度合いを大きくした。鉄道、民間航空、タバコなどの業種の管理体制改革は新たな一歩を踏み出し、郵政体制の改革がスタートした。非公有制経済の発展を奨励、サポートし、さらに誘導する政策措置を策定、実施した。人民元の為替レート形成メカニズムの改革は順調に行なわれた。上場企業の非流通株改革(非流通株主と流通株主間の権益のアンバランスの是正)が着実に推し進められている。国有商業銀行の株式制改革は重要な一歩を踏み出した。農村信用協同組合(信用社)の改革テストは全面的に繰り広げられた。輸出における租税の還付メカニズムを調整し、充実させた。東北地区旧工業基地における増値税(付加価値税)の転換改革テストはスムーズに進められている。投資体制の改革は引き続き推進され、企業投資プロジェクトの審査・確認制及び登録制が全面的に実施されている。天然ガスの出荷価格についての改革案は順調に作成され、石炭・電気、石炭・供熱の価格連動メカニズムは初歩的に確立され、用水の価格改革も穏当に実施されている。

(五)対外開放は新たな一歩を踏み出した。対外貿易輸出入総額が一兆四二二一億ドルとなり、二三・二%増であった。そのうち、輸出は七六二〇億ドルで、二八・四%伸び、輸入は六六〇一億ドルで、一七・六%増となった。機電製品とハイテク製品の輸出はそれぞれ三二%と三一・八%伸びた。サービス業の対外開放はいっそう拡大した。エネルギー消耗度が高く、汚染度が大きい製品及び資源的性格の製品の輸出規制には成果が見られた。外資利用は引き続き割合大きな規模を維持しており、そのレベルは一段と引き上げられ、通年で実質利用した外商の直接投資は六〇三億ドルであった。年末時点の外貨準備高は八一八九億ドルになった。企業の「海外進出」には積極的な進展が見られ、通年の対外直接投資額(非金融部分)は六九億ドルに達した。

(六)資源節減と環境保護は新たな成果をあげた。省エネや節水、資材節約、用地節約、資源の総合利用及び循環型経済の発展にいっそう力を入れた。重点業種や重点分野、産業パーク及び一部の地区で国の第一期循環型経済のモデル事業をスタートさせた。電力消費の高い一部の業種に対し電気料金を差別化する政策を実施し、水使用量の大きい一部業種に対し取水定量に関する国家基準を制定し、一部の製品について強制的エネルギー効率基準を公表した。GDP一万元当たりの水使用量は八・七%下がった。省エネ建築の普及、壁材料の革新及び木材節約・代替の事業には新たな進展が見られた。全社会の資源に対する憂患意識と節約意識はいっそう強まった。

「三つの河」(淮河、海河、遼河)、「三つの湖」(太湖、巣湖、滇池)、三峡ダム地区、「南水北調」プロジェクト沿線など、重点流域・区域での水質汚染対策のテンポが加速し、都市汚水、工業廃水、危険廃棄物、火力発電所の二酸化硫黄汚染対策はいっそう強化された。都市の汚水処理率と工業固形廃棄物の総合利用率は引き続き向上している。大気汚染のゆゆしい一部都市の大気の質はいくらか改善された。耕地の林地への復元は一一一万一〇〇〇ヘクタールに達し、禿山・荒地の造林及び伐採・放牧禁止地区の造林面積は二六六万七〇〇〇ヘクタール、放牧停止による草原復元面積は六六六万七〇〇〇ヘクタールであった。天然林資源の保護、北京・天津風砂発生源地区の整備など重点生態系整備プロジェクトがスムーズに進められている。「三化」(退化、砂漠化、アルカリ土壌化)草地の整備面積、水土流失の整備面積及び鉱山地域の生態復元面積はそれぞれ八三八万ヘクタール、四二〇万ヘクタール、七万二〇〇〇ヘクタールであった。野生動植物資源の保護が強化されている。

(七)科学技術、教育、文化、医療衛生などの社会諸事業は全面的な発展を遂げている。『国家中長期科学・技術発展計画要綱(二〇〇六~二〇二〇年)』を制定、公布し、実施した。国家創造革新システム、基礎研究と科学技術基盤施設の整備は一段と強化された。「神舟六号」の有人宇宙飛行は円満な成功を収めた。「竜芯二号」高性能・汎用コンピュータチップ、鳥インフルエンザの遺伝子工学による家禽用不活化ワクチンの研究開発に成功した。害虫耐性綿の普及面積は三〇〇万ヘクタールに達した。年間の技術

契約の締結件数は二六万五〇〇〇件に上り、その成約額は一五一〇億元で、前年度より一三・二%伸びた。

全国義務教育の人口カバー率は九五%以上である。西部地区では「二つの基本」(九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者をほぼ一掃させること)のブレークスルー・プランに新たな進展が見られた。新築または改築・拡張した農村の寄宿制学校は二四〇〇余校にのぼり、一六万箇所の農村の小中学校と教学拠点のために遠隔教育施設を整備した。中央と地方財政は、特定項目資金七〇億元余りを計上し、五九二の重点貧困県で一七〇〇万人の貧困家庭の学生に対して、学費、雑費を免除したほか教科書を無料で提供し、また寄宿生に生活補助費を支給し、さらに中西部地区で貧困家庭の学生一七〇〇余万人に教科書を無料で提供した。中等職業学校と県クラスの職業教育センターの校舎や実践訓練施設の整備のテンポが加速された。高等教育「二一一プロジェクト」、「九八五プロジェクト」(一九九八年から実施され、若干の世界一流大学や世界で名の通った一群の研究型大学の創設を目指して、高等教育のメカニズムの創造革新、人材づくり、プラットホームとその拠点づくり、バックアップの提供、国際交流・提携など主として五つの内容を推進していく高等教育整備のプロジェクト)が着実に推進されている。

公共文化体系の整備はいっそう強化された。重点文化プロジェクトの整備と自然文化遺産の保護にいっそう力を入れ、すべての県に文化館や図書館を設置するという目標を基本的に実現した。「村々に通じる」ラジオ・テレビプロジェクトに新たな進展が見られ、新規にカバーした人口は二七〇〇万人になった。『全国赤色観光発展計画要綱』が実施され始めた。全国民の健康増強キャンペーンが突っ込んで繰り広げられ、オリンピック・スタジオなど関連施設の建設は首尾よく行なわれている。

 疾病予防・抑制システムはほぼ完成した。応急医療システムの整備は順調に進められている。農村医療衛生サービス体系の整備は引き続き推し進められ、中西部地区の郷鎮衛生院を重点とする農村医療衛生基盤施設の整備は強化されている。新しいタイプの農村合作医療制度のテスト範囲は六七一県に拡大され、一億七七〇〇万人の農民が合作医療に加入した。都市部のコミュニティー医療衛生サービスの発展は加速している。高病原性鳥インフルエンザ疫病の予防・抑制は初歩的な成果を収めている。農村の計画出産サービス体系の構築はスタートし、全国の人口の自然増加率は五・八九‰以内に抑えられている。

(八)人民の生活は一段と改善された。都市部住民の一人当たりの可処分所得と農村住民一人

当たりの純収入の実質伸び率はそれぞれ九・六%、六・二%であった。社会の消費財小売総額は一二・九%増となった。都市部の新規増加した就業者数は九七〇万人で、都市部登録失業率は四・二%であった。社会保障のカバーエリアを引き続き拡大し、「二つの確保」はよりいっそう定着し、都市・農村の困窮者の基本生活は確保された。全国の大多数の地方では、国有企業の一時帰休者を対象とする基本生活保障を失業保険に移行する作業はほぼ完了し、東北三省における都市部社会保障システム整備の試行テストはスムーズに実施された。

経済・社会発展は成果が挙げられたが、一方では、少からぬ困難やチャレンジにも直面している。わが国の経済の健全な発展を制約する長期的かつ根深い問題が今なお存在している。それはすなわち、自主的創造革新能力が弱く、経済構造が合理的ではないこと、経済成長パターンが粗放的で、資源、環境による制約が一層深刻になっていること、都市農村経済の二元構造の矛盾が際立っており、経済・社会発展にバラツキがあること、体制やメカニズムが完備しておらず、法秩序が健全化されていないことなどであるが、当面の比較的目立った問題には次のようなものがある。(1)食糧の増産と農民の収入増がさらに難しくなっていること。農業基盤が弱いという状況には根本的な変化はみられず、作付面積の拡大によって食糧生産量の増加を図る余裕はそれほどない。農業の全体的な効率が低く、食糧価格押し下げのプレッシャーがかなり大きく、エネルギー資源、原材料の値上がりが農業資材生産のコストアップを招き、農民の労務収入の増加を制約する要素がかなり多い。(2)固定資産投資の伸び率が依然として高すぎること。二〇〇五年度、全社会の固定資産投資は二五・七%増で、その伸び率は前年度に比べてやや反落したものの、依然として高いレベルを維持している。建設中のプロジェクト規模が肥大し、新規着工のプロジェクトも夥しい数にのぼる。一部の業種では、投資の伸びが加速し、投資構造が合理的でなく、投資の再過熱によるプレッシャーもかなり大きい。(3)生産能力が過剰となっている一部の業種では、悪影響が表面化し始めていること。関連の製品価格が下落する一方で、在庫が上昇し、企業の利潤率の伸びは低迷し、赤字が増大して、金融面の潜在的なリスクが大きくなっている。(4)大衆の身近な利益に関わる多くの問題は今なおうまく解決されていないこと。就業、再就業に伴うプレッシャーが大きくなり、社会保障システムが健全でなく、一部の社会構成員間の収入格差がさらに開いていく傾向がみられる。教育における不当な費用徴収及び大衆の医療難や医療費高騰といった問題には顕著な改善が見られていない。環境保護、企業の体制改革、土地収用、家屋の取り壊しと移転、三峡ダム地区の住民移転などの面においては、大衆が強い不満を抱く問題がかなり多く存在している。高病原性鳥インフルエンザ及び重大な動植物疫病の予防・抑制の任務も比較的重い。(5)安全生産の情勢がかなり深刻であること。炭鉱や交通輸送などの面では重大または特別重大事故が頻繁に発生し、人民大衆の生命や財産にゆゆしい損失をもたらした。これらの問題を高度に重視し、積極的な措置をとって、真剣に解決していかなければならない。

 

二、二〇〇六年度の経済・社会発展の全般的要請と主要目標

今年は「第十一次五ヵ年計画」を実施する最初の年であり、われわれが新しい歴史の出発点に立って引き続き前進する年でもある。今年の諸般の活動を立派にやり遂げることは、経済の安定した比較的速い成長の好ましい勢いを確固たるものにし、発展させ、「第十一次五ヵ年計画」を順調に実施していくうえでこのうえなく重要な意義をもっている。二〇〇六年度の経済・社会発展の活動は、次のような要請に基づいて進めていかなければならない。すなわち、鄧小平理論と「三つの代表」という重要な思想を指針とし、中国共産党第十六回全国代表大会と十六期五中全会の精神を真剣に貫徹し、あくまでも科学的発展観をもって経済・社会発展の全局を統轄し、マクロ経済政策の継続性と安定性を保ちながら、改革開放の加速や自主的創造革新能力の増強、経済構造の調整および成長パターンの転換の推進、さらに経済成長の質と効率の向上に力を注ぎ、あくまでも人民大衆の身近な利益に関わる問題の解決を際立った位置に据え置いて、改革、発展、安定の関係を正しく処理し、社会主義の経済建設、政治建設、文化建設及び調和のとれた社会の建設を全面的に強化し、「第十一次五ヵ年計画」の達成に向けて幸先のよいスタートを切る、ということである。

上述の要請に則って、今年の経済・社会発展の諸活動をりっぱに行うには、「政策を安定させながら、適度な微調整を行い、大局を把握しながら、重点課題の解決にしっかり取り組み、各方面に総合的配慮を加えながら、民生を重要視し、現時点に立脚しながら、将来に目を向ける」という原則を堅持しなければならない。経済・社会発展の必要性、可能性と前年度の実質執行状況を総合的に考慮し、さらに「第十一次五ヵ年計画要綱」(草案)と結びつけて考えた結果、二〇〇六年度経済と社会発展の主要目標を次のように定める。

――国内総生産(GDP)の伸び率を八%前後とする。これについて主に次のような内容を考慮に入れた。わが国には資源と環境による圧力が増大し、経済運営は全般的になお余裕を欠いており、経済の発展には不安定かつ不確実な要素が今なおいくつか存在しているため、経済の成長率をあまり高く設定すべきではない。だが、総合国力の増強、雇用の創出及びさまざまな社会矛盾の緩和に寄与できるよう求められていること、またここ数年比較的高い成長率が維持されている実状などを踏まえると、経済の成長率をあまり低く設定すべきでもない。そこで八%前後を全国の経済成長の所期目標とし、各地方は実際から出発して、その地方の経済成長率を合理的かつ適切に設定し、成長率を盲目的に求めたり、競い合ったりすることを防ぎ、主要な精力を経済成長の質と効率の向上へと確実に傾けていくべきである。

――都市部の新規増加の就業者数を九〇〇万人とし、都市部の登録失業率を四・六%に抑える。今年は就業の圧力が依然としてかなり大きく、企業の改革と構造調整の推進は短期間、就業機会の増大に影響を及ぼすことになろう。経済成長と就業機会創出の関係に基づいて推計した結果、積極的な就業政策を充実させ、実施することにより、この目標の達成は実現可能であるが、多大な努力を払わねばならない。

――住民消費者物価総水準の上昇率を三%とする。この指標は前年度の実質水準に比べてやや高くなっているが、それには主に次のような要素を考えている。すなわち、世界原油価格が高値を維持し、国内の関連製品の価格にある程度マイナスの影響を与えるおそれがあること、資源的性格の生産物の価格関係の調整、価格面の矛盾の緩和、一部のサービス類の価格の調整も、物価の総体的水準をいくらか押し上げる可能性があるということである。

――対外貿易の輸出入総額の伸び率を一五%とする。引き続き対外貿易の輸出入の安定した増大を維持する。現在輸出規模はかなり膨大なものとなっており、その上数多くの輸出製品の付加価値が比較的低いという現状に鑑み、対外貿易の成長目標をあまり高く設定しすぎてはならない。これは、各方面が対外貿易の成長パターンの転換に力を注ぎ、輸出入商品の構成の調整を速めるよう導くことになり、国際収支の基本的なバランスの維持にもつながる。

――単位GDP当たりのエネルギー消費量を四%前後削減する。わが国は依然として資源の大量消費時期にあり、省エネと消耗低減のための強化策が実施されたものの、その効果が現れるまでには一定の過程が必要であるため、この目標の達成はかなり厳しい。しかし、わが国のエネルギー効率がこのまま低下すれば、経済の継続成長を支えきれなくなるため、上記指標は必ずや達成させなければならないが、一方では省エネと消耗低減の潜在力は非常に大きく、従って経済構造調整の度合いを大きくし、粗放型の成長パターンの転換を速めさえすれば、その指標の達成も可能となる。

――都市・農村住民の収入を安定的に増やす。都市部住民の一人当りの可処分所得及び農村住民一人当りの純収入の実質伸び率はそれぞれ六%と五%とする。それについて主に次のようなことを考慮に入れた。経済が比較的速い成長を保ち、企業の経済的効率が引き続き向上し、農民の収入増の促進、社会保障と貧困扶助事業の強化など国の諸般措置が逐次実行されるにともない、都市・農村住民の収入は持続的に増えていくことであろう。だが、住民わけても農民の収入を引き上げるうえでも多くの困難や制約要素にぶつかることが予想される。都市・農村住民の収入の安定した増加をふまえ、消費需要の安定した、比較的速い伸びを維持し、全社会の消費財小売総額の所期伸び率を一二%とする。

――科学技術、教育など社会諸事業の発展を速める。国内総生産(GDP)に占める研究と試験開発経費支出の割合が一・四五%に達するよう努力する。高等学校段階の粗入学率は五七%を目指し、高等教育機関の計画募集人数は大学生五三〇万人、大学院生四〇万人とする。公共文化サービス体系の整備を一段と強化する。新しいタイプの農村合作医療テストの範囲は全国の四〇%ぐらいの県(市、地区)まで拡大する。人口の自然増加率は七・五‰以内に抑える。

――生態環境の状況を引き続き改善する。主要汚染物の排出総量を二%減らす。工業固形廃棄物の総合利用率を五六・二%まで向上させる。都市汚水処理率は五〇%に達成させる。

 

三、二〇〇六年度経済・社会発展の主要任務と措置

今年度の国民経済と社会発展の目標を達成するには、統一的に計画し、重点を際立たせ、次のようないくつかの点の確保に努めなければならない。すなわち、経済の安定した、テンポの比較的速い発展の良好な勢いを保つこと。社会主義新農村の建設において幸先の良いスタートを切ること。自主的創造革新能力の増強、構造調整の推進において著しい進展をとげること。省エネと消耗低減、成長パターンの転換において顕著な効果をあげること。重点分野及びカギとなる段階の改革において新たな突破を獲得すること。社会主義の調和のとれた社会の構築に向け新しい一歩を踏み出すこと、である。そのために、次の十項目に力を入れて取り組まなければならない。

(一)マクロ経済政策を安定させ、経済の安定した、テンポの比較的速い発展を維持する。引き続き穏健な財政政策と通貨政策を実施する。(1)中央財政赤字を適切に減少し、引き続き財政の支出構造を調整していく。二〇〇六年度、全国財政予算の歳入は三兆五四二三億元、歳出は三兆八三七三億元で、中央財政赤字を二九五〇億元計上することとし、前年度予算より五〇億元減少させ、財政赤字の国内総生産(GDP)に占めるウェートをさらに引き下げる。収入増加・支出節約を大いに推し進め、法による租税の徴収・管理を強化し、一般的支出の増大を厳格に抑制し、重点支出の需要を保証する。(2)長期建設国債の発行額を縮小し、国債資金の投入方向を合理的に確定する。二〇〇六年度長期建設国債を六〇〇億元発行し、前年度より二〇〇億元減らすとともに、中央予算における経常的建設資金は五五四億元とし、一〇〇億元増やすこととする。重点を際立たせ、一般支出を圧縮するという原則に基づき、国債資金と予算における資金の投資構造をさらに調整して、重点継続プロジェクトを優先的に配置し、「第十一次五ヵ年計画」発展の全局に関わる重点プロジェクトの着工に適宜に取り掛かる。中央政府の投下する資金は主として次のような分野に振り向けられる。すなわち、農村の生産や生活条件を改善し、社会主義新農村の建設を推し進めること、基礎教育、公共衛生などの社会事業の発展を促すこと、西部大開発などの地域間のバランスのとれた発展を助成すること、環境保全と生態系整備、水利、交通、エネルギーなど大型インフラの整備、さらに人民大衆の生命・財産や身近な利益に関わる建設プロジェクトを強化すること、などである。検査・監督・管理を強化し、投資効果の向上をはかる。(3)マネーサプライと貸出総量の適度な伸びを保ち、信用貸付構造の最適化に力を入れる。二〇〇六年度、広義のマネーサプライ(M2)と狭義のマネーサプライ(M1)の所期伸び率はそれぞれ一六%、一四%とし、新規増加の人民元建て融資は二兆五〇〇〇億元とする。中長期融資の規模を合理的に規制する。収益力が高く、販路が広い企業に対しては、金融機関がその流動資金面の融資を増やすよう積極的に導き、農家、中小企業などの融資難問題の解決に力を入れ、経済・社会発展の脆弱部分の改善、西部大開発の推進や、東北地区など旧工業基地の調整・改造、中部地区の勃興に向け、融資面での助成を強める。直接融資を発展させ、企業債券の発行規模を拡大する。引き続き金利の市場化改革を推し進め、通貨政策の伝達メカニズムを健全化する。管理変動為替相場制(管理フロート制)を充実させ、人民元為替レートが合理的で均衡な水準において基本的な安定を保つようにする。外貨への管理をいっそう改善し、外貨準備構造の最適化を図り、国際間の資本移動に対する監督やコントロールを強化する。(4)価格総水準の基本的な安定を保つ。引き続き価格総水準及び食糧、綿花、石油、石炭、鋼材、商品化住宅などの重要な商品やサービスの価格動向へのモニターリングや分析を強化する。市場価格に対する巡回検査活動をりっぱに行う。

固定資産投資に対する調節・規制を強化する。二〇〇六年度、全社会の固定資産投資総額は一八%伸びる見込みである。引き続き土地収用における審査・許認可と信用貸出の供与という二つの関所をしっかり固め、プロジェクトの新規着工を厳しくコントロールし、固定資産投資の急激な伸びを抑制し、投資の再過熱を防止する。(1)最も厳しい土地管理制度をあくまでも実行し、農業用地、特に耕地の建設用地化を厳しく規制する。二〇〇六年、農業用地の建設用地化の面積は二六万六七〇〇ヘクタールに抑える。(2)区別して取り扱い、保護もすれば抑制もするという原則に基づき、過度に拡大した業種への土地や資金の供与を厳格に規制する一方で、国の重点建設プロジェクト、産業構造調整に役立つ重大プロジェクトの建設用地や資金需要を確保する。(3)都市計画を強化し、家屋立退きの規模を合理的にコントロールし、都市整備プロジェクトに関わるパッケージ融資を規範化する。開発区の整理・整頓の成果を打ち固め、関連政策をさらに充実させる。(4)住宅供給構造の調整に力を入れ、一般の商品化住宅とエコノミー住宅(低所得者向け安価分譲住宅)の供給量を増やし、商品化住宅とエコノミー住宅や安価賃貸住宅とを結びつける都市部住宅供給システムを健全化し、高級な不動産の開発を規制する。建設分野における工事建設費の遅配の整理任務を基本的に完遂して、建築業と不動産市場の健全な発展を誘導していく。

消費需要の拡大に力を入れる。(1)都市・農村住民、とりわけ中・低所得層の収入増に努め、企業の引退・定年退職者基本養老年金の基準、傷痍軍人などをはじめとする優遇・慰撫対象者の扶助手当基準および都市部住民の最低生活保障補助金基準を適宜引き上げる。企業の最低賃金基準を合理的に調整し、それを厳格に守り、さらに最低時給賃金基準を制定し、それを推し進める。『中華人民共和国公務員法』に基づいて、公務員の賃金制度を改革する。事業体における収入分配制度の改革を推し進めていく。(2)消費者心理期待の改善をはかり、社会保障システムの完備化と教育、医療、住宅などの分野における際立った問題の解決を急ぎ、これにより住民の支出への期待を安定させ、スポット消費を拡大させる。(3)農村市場を積極的に開拓し、農村において商業流通体系の確立を急ぎ、チェーン店経営、農業材の物流配送などの事業に対する助成を拡大し、引き続き「万村千郷」(二〇〇五年から実施された農村流通網整備に関するプロジェクトで、財政資金など様々の出資形態を通じて、三年間で全国五〇%の行政村、七〇%の郷鎮をカバーする標準化「農家店」約二五万店舗を設立するという目標が掲げられている)という市場プロジェクトを展開する。都市におけるコミュニティー商業やサービス業を発展させる。(4)新たな消費ホットスポットを育成し、文化、健康増強、観光旅行などのサービス消費を拡大し、住宅、自動車売買市場を規範化し、それを発展させる。(5)消費環境を改善し、現行の消費税を合理的に調整し、個人の信用情報収集システムの構築を急ぎ、消費者金融関連の政策を充実させる。電子商取引を積極的に発展させる。引き続き教育関連費用、医薬品価格に対する特別検査を行い、商業詐欺行為を厳しく取り調べ、処分し、消費者の合法的な権益を確実に守るする。

石炭、電力、石油、運輸の需給を有効にかみ合わせる。安全を確保することを前提に、石炭の生産と供給を安定させ、大型石炭基地の建設を推し進める。水力発電、原子力発電、再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーの建設を急ぎ、火力発電の発展を優先させ、電力網の構造を完備させる。石油や天然ガスの供給増加に努め、石炭液化のモデル事業と炭層メタンガスの開発利用プロジェクトを推し進め、石油備蓄システムを早急に打ち立てる。石炭輸送用ルート、積出港及びその他の重要交通インフラ施設の整備を引き続き強化する。電力需要側管理(DSM)の長期的に効果のあるメカニズムを確立する。石炭、電力、石油、運輸の総合的バランスをはかり、大衆の生活と密接にかかわる用水、ガス、電気、暖房、燃料油などの供給問題の解決に力を入れる。

(二)社会主義新農村の建設を推し進め、農業の発展と農民の増収を促す。「多めに与え、少なめに取立て、農村経済の活性化をはかる」という方針を堅持し、工業の発展によって農業の発展を促し、都市の発展によって農村の発展を牽引する長期的に効果のあるメカニズムを早急に確立する。(1)食糧生産の安定した発展をはかる。引き続き農業の総合的生産能力の整備強化に取り組み、食糧総生産高が前年度並みのレベルを保つよう努力する。土地管理と基本農地の保護にしっかり取り組み、穀物作付面積を安定させる。大型商品化食糧基地の建設を強化し、引き続き品質優良食糧産業プロジェクト、種子プロジェクト及び植被保護プロジェクトを実施する。食糧主産県と財政難を抱える県に対する移転支出を増やす。不足がちの重点食糧品種に対しては主産区で最低買付価格政策を実施し、食糧市場の価格を安定させる。中央と省クラスの食糧備蓄調節制度とコントロールメカニズムを健全化し、地方の備蓄を一段と充実させる。(2)現代農業の発展をはかる。「高収量、高品質、高効率、エコ化、安全化」という要請に則り、優位のある農産物については、配置の区域化、生産の専門化、運営の産業化を鋭意推し進める。農業科学技術の進歩を加速させ、先進的で実用的な農業技術を大いに普及させる。新疆で良質綿花生産基地、長江流域でダブルロー油菜(CANOLA)の産業ベルト地帯を建設する。引き続き家畜・家禽・水産物優良品種プロジェクトを実施し、条件が備わった地域で水産物養殖団地の設置をサポートする。動物疫病予防・検疫システムの整備計画を早急に実施し、家禽飼育業の発展を助成するための諸措置を徹底させる。(3)農村の生産、生活条件の改善に力を注ぐ。インフラ施設の整備に対する国の投入の重点を農村に置き、引き続き小型水利建設を重点とした農地の基本建設を強化し、大型灌漑地区の節水改造と中部地区の排水ポンプ所の改造をサポートし、「飲用水、ガス、道路、電気」など農村のインフラ施設と居住環境の建設を最優先に行う。二〇〇六年度、農村飲用水安全プロジェクトに対する中央財政の投資を前年度より倍増させ、高弗素、高砒素、塩分の高い水、汚染水及び季節的な水資源不足に見舞われる地区で、さらに二〇〇〇万人の農村人口の飲用水安全問題を解決する。農村のメタンガス整備に用いる中央財政の投資を前年度より一・五倍増やし、そのユーザー数を二五〇万世帯新規増加することとし、これにより農家の家畜小屋やトイレ及び炊事場の改造を促進する。「第十一次五ヵ年計画」期における農村道路の改造工事をスタートし、東部、中部地区では村間のアスファルト(セメント)道路、西部地区では郷間のアスファルト(セメント)道路の舗装整備を強化する。送配電施設が整っていない村の電力建設を加速し、一部の省で農村電力網完備プロジェクトを実施する。(4)農村の公共事業の発展を速める。今年は西部地区で農村義務教育段階にある生徒の学費・雑費を全部免除することになっている。引き続き農村の義務教育段階にある困窮家庭の生徒に無料で教科書を配布し、寄宿生に生活補助金を支給する。農村の義務教育段階にある小中学校の公用経費の保障レベルを引き上げ、農村の小中学校の校舎改築投入メカニズム、教員給与経費保障メカニズムを確立し、充実させる。農村寄宿制学校の改築任務と農村の小中学校現代遠隔教育プロジェクトを基本的に完成させる。『農村医療衛生サービス体系の整備及び発展計画』を実行に移し、中、西部地区を重点として農村の医療衛生インフラ施設の整備を引き続き推し進め、さらに四二〇〇箇所の郷鎮衛生院を改築するかまたは新築し、計画目標の六八%を達成する。新しいタイプの農村医療衛生合作医療制度のテスト範囲を広げ、農村医療救助制度を推し進める。給電戸数が二〇世帯を超える自然村に対して、村々に通じるラジオ・テレビプロジェクトをスタートさせ、引き続き農村の映画放映プロジェクトを実施し、郷鎮文化ステーションの整備を推し進める。(5)農民の収入を多ルートを通じて増加させる。農業の産業化経営を着実に推進し、貿易・工業・農業の一体化、農業・副業生産物加工に携わる先導企業及び各種の専門農業協力経済組織を鋭意発展させ、収入増を目的とした農業の内在的潜在力を掘りおこす。農民に対する食糧作付直接補助金、良質種子補助金、農機具購入補助金を増やし、食糧作付農家に対し化学肥料、重油など農業資材に関わる投資直接補助制度を逐次実行する。化学肥料の価格と農業にかかわる費用徴収の監督管理を強化し、農業生産財価格の高騰を抑制し、農民の負担を確実に軽減させる。農民就労者に対する就業トレーニングを強化し、彼らに対する差別的な政策を引き続き整理し、農民就労者の賃金給付措置を確かなものにし、農村労働力が都市部や非農業産業へと移転するように促していく。県域経済を大いに発展させる。

(三)自主的創造革新能力をよりいっそう高め、革新型の国づくりをしっかり推し進めていく。『国家中長期科学・技術発展計画要綱(二〇〇六~二〇二〇年)』を真剣に実施し、オリジナルな創造、統合的な創造、導入した先進技術を消化、吸収した上での再革新を大いに推進する。(1)重要科学技術での難関突破を強める。条件が十分に整った上で、重要な新薬の開発や新しい遺伝子組換え生物品種の育成など、特定分野における若干の重要な科学技術プロジェクトを始動させ、それを実施する。蛋白質やナノテクノロジーなどに関わる重要科学研究計画を実施する。エネルギー、資源、情報、装置などの分野で力を集中して一群の重大産業中核技術への難関突破に取り組む。生態環境、人口及び健康、公共安全などの分野で公益的な技術研究を強める。引き続き哲学・社会科学の繁栄と発展に取り組む。(2)国家創造革新システムの整備を急ぐ。自主的創造革新における企業の主体的地位を強め、業種別中堅企業技術センターを三〇〇〇社前後育成する。炭鉱のガス対策、新型ワクチン、船舶製造など一群の国家プロジェクトセンターを創設する。次世代インターネットの応用、生物冶金など若干の国家工程実験室の建設をスタートさせる。海洋科学総合考察船、次世代大型天文望遠鏡など九つの科学技術インフラ施設の整備を鋭意推し進める。中国科学院で知識イノベーション第三期プロジェクトの建設に取り組む。国家科学技術計画体系を調整し、充実させ、科学技術資源の配置を最適化し、科学技術の成果の転化を促進する。技術開発型研究院・研究所の企業化への体制転換及び社会公益型科学研究機構の改革を引き続き推し進める。科学技術評議審査・評価及び成果評価奨励制度の完備をはかる。科学技術に関わる仲介サービス機構を大いに育成し、発展させる。科学普及の仕事を強化し、全民科学資質行動計画を実施する。(3)自主的創造革新をバックアップする財政・税制、金融、政府調達などの政策・措置を一段と細分化し、企業が研究・開発への投入を拡大するよう励ます。重大な技術の導入に当たってユーザー、メーカー及び設計部門の合同入札をサポートする。科学技術に対する財政的投入の安定成長メカニズムを構築する。企業ベンチャー投資導入基金を設ける。国内で最初の国産設備・装置を利用するものに対し政策面でバックアップする。重大な技術や装置の導入段階の管理を強め、盲目的な重複した導入を防ぎとめる。中小企業の自主的創造革新能力の向上をバックアップし、外資系企業の研究開発活動の現地化を奨励する。知的財産権の保護に大きな力を入れる。(4)科学技術面の人材づくりを強化する。人材評価メカニズムを確立し、それを健全なものにする。国家重点プロジェクト、重点学科及び重点科学研究基地に依拠して、科学技術を統率する人材や学科のリーダー及び戦略的科学者を多く育成する。

(四)産業構造の最適化とグレードアップの推進を加速させ、産業技術の水準と競争力全般の向上に力をいれる。(1)生産能力の過剰が見られる一部業種の構造調整を着実に推し進める。経済上、法律上さらに必要あれば行政上の手段も総合的に運用し、市場メカニズムの役割を充分に発揮させ、優勝劣敗を促す。産業政策による誘導、貸付政策による調整、財政政策による支援を強化し、引き続き業種計画を完備させ、『産業構造調整の促進に関する暫定規定』を貫徹、実施し、環境保全、安全、技術、土地及び資源の総合的利用などの面での市場参入基準を引き上げ、それを厳しく実施し、生産能力の新規増加を厳しく抑える。建設中または建設予定のプロジェクトを引き続き整理、整頓し、市場参入の条件に合致しない項目に対し、法に照らしてその建設を中止させる。資源を破壊し、環境を汚染し、安全生産の条件を具備していない企業については法によって閉鎖する。技術レベルの向上、品種の改良、環境保全、エネルギー消費の削減、安全確保などの課題を軸に、在来産業のグレードアップを進める。市場の法則に則り、鉄鋼、セメント、電解アルミニウム、石炭など諸業種の吸収合併・再編を奨励し、優位のある企業の増強と拡大をサポートし、全般的な技術レベルと業種の集中度を高める。(2)ハイテク産業の発展に拍車をかける。ハイテク企業向けの貸付サービスと融資環境の改善に取り組む。集積回路(IC)、ソフトウェア及び新型電子部品・デバイスなど中核産業への支援を重点化し、デジタル化音声映像、新世代インターネット、次世代モバイル通信、高性能コンピューター及びネットワーク設備などの情報産業群を育成する。生物産業を鋭意発展させる。放送中継衛星、新しいローカル線飛行機に関わるプロジェクトを早急に推し進める。情報化による工業化の牽引を堅持し、ハイテク及び先進的で適用性のある技術を応用して在来産業をグレードアップさせる。(3)装置製造業の振興に大きな力を入れる。重大装置の発展に対する政策やその関連措置を完備させ、サポートする。重点プロジェクトを拠り所としてガスタービン、超臨界及び超々臨界石炭燃焼発電設備、百万キロワット原子力発電設備、高速列車、大型石炭化学工業プラント設備など一六の重点分野における重大装置の国産化を引き続き推し進め、基礎製品と部品製造の発展を促進する。(4)サービス業の全般的な発展を促す。いくつかの都市でサービス業の体制改革及び創造革新テストを展開する。交通輸送、金融、情報、現代物流、各種の仲介サービス機構などの生産型サービス業およびコミュニティーサービス、観光旅行など新興消費型サービス業の発展を速める。商業貿易、飲食、郵政など在来サービス業のレベルと質の向上をはかる。

(五)資源節減と環境保護を強化し、経済成長パターンの転換を促進する。(1)積極的に省エネと消耗低減を推し進める。各業種の省エネ、節水、資材節約、用地節約基準の設定と充実化を急ぎ、各地域と重点業種向けのエネルギー消費指標評価システム及び単位GDP当たりのエネルギー消費量通報制度を確立する。省エネの十大重点プロジェクトを実施し、わけてもエネルギー大量消費企業一〇〇〇社の省エネ活動に鋭意取り組む。省エネ型製品の認証範囲を広げ、強制的エネルギー効率基準を推し広め、重点的エネルギー使用製品のエネルギー効率標識管理を強める。引き続き政府機関による省エネ型製品の統一買付と使用を推し進める。農業の節水型灌漑を発展させる。大量に水を使用する業種の節水技術改良をサポートし、再生水利用施設の整備を速め、海水の淡水化と直接利用を助成し、節水設備や器材の普及に力を入れる。重点業種の原材料消費の管理を強化する。高強度・耐蝕金属素材の開発を奨励し、木材の節約と代替使用を促す。土地利用の節約と集約化を強化し、建設用地の定額標準を確立し、さらにそれを完備し、用地節約型建築を発展させる。中実粘土レンガの期限付きの使用禁止を第二グループの都市で推進する。(2)循環型経済の発展に大いに取り組む。循環型経済の発展、資源の節約と総合的利用の促進を目指し、財政、租税、価格面の政策を充実させる。国の循環型経済のモデル事業を実施する。循環型経済のカギとなる技術と汎用技術の研究・開発及びその産業化モデル事業をサポートする。共生・随伴鉱物資源と工業廃棄物の総合的利用を進め、再生可能な資源の回収・利用にしっかり取り組む。宣伝キャンペーンを幅広く繰り広げ、健全で文明的な省資源型の消費パターンとライフスタイルを提唱する。(3)生態系整備と環境保護を立派に行う。天然林資源保全や、水土保持、北京・天津風砂発生源地区の整備、三江源(長江、黄河、瀾滄江の共同水源地)自然保護区の生態系保護・整備、三峡ダム地区周辺の緑化地帯建設などの重点生態プロジェクトを引き続き実施する。生態系補償メカニズムの構築に拍車をかける。「三つの河」(淮河、海河、遼河)、「三つの湖」(太湖、巣湖、滇池)や環渤海圏、三峡ダム地区、「南水北調」沿線など重点流域・区域の水質汚染防除対策に大きな力を入れる。都市部の飲用水源地の水質を厳格に保護する。既存の石炭燃焼発電所から排出される二酸化硫黄の対策を強化し、都市の総合大気汚染防除活動をうまく進める。クリーナープロダクションを推し進める。原子力安全と輻射環境に対する監視・管理を強める。『国連気候変動枠組条約』を真剣に履行する。環境保護産業を大いに発展させる。

(六)比較優位をフルに発揮し、地域間のバランスの取れた発展を促進する。(1)西部地区の重点地帯、重点都市や重点産業の開発の促進に力を入れ、自己発展能力の増強に努める。一群の重要インフラ整備プロジェクトの新規着工に取り組む。耕地の林地への復元、放牧停止による草地復元事業の成果を打ち固め、さらにそれを増大させる。引き続き長江、黄河の上流の水質汚染対策を強化する。鉱物資源の探査・開発の度合いを大きくし、石油や希土類、カリウム・りん酸肥料など特色のある資源加工基地づくりをサポートする。西部地区の科学技術教育や人材づくり、法秩序の整備を一段と強化する。西部開発資金の長期的で安定した調達ルートのを逐次構築するを速める。(2)東北地区における大型食糧基地の整備を強め、重点業種の構造調整と国有企業の改革・再編を促し、資源型都市の経済パターンの転換、採炭による地盤沈下区域の整備及びバラック地区の改造を立派に行い、松花江、遼河流域を重点とする生態環境整備プロジェクトを実施する。資源開発補償メカニズムと衰退産業支援メカニズムの検討、確立作業を急ぐ。東北地区で国有企業の直轄下にある集団所有制企業の改革テスト作業をうまく進めてゆく。対内、対外開放の拡大に関わる諸政策・措置の徹底化に取り組む。(3)中部地区の勃興促進に向けた指導案を策定、実施し、産業の発展や重要インフラの整備、資金の投入、改革開放の推進など諸方面で支援の度合いを大きくする。現代農業、とりわけ食糧主産区の商品化食糧基地、エネルギー・重要原材料基地、現代装置製造、ハイテク産業基地及び総合交通輸送システムの整備を重点的に強化する。現代流通業を発展させる。旧工業都市の企業再編・改造の加速と資源型都市の経済パターンの転換をサポートする。中核的都市の輻射機能を増強させる。(4)東部地区は他の地区に先駆けて自主的創造革新能力、国際競争力と持続可能な発展能力を向上させ、土地、用水、エネルギー、鉱物資源の使用にあたっては、これらの資源を節減することをこれまで以上に重視し、さらにハイテク産業と現代サービス業の発展を速める。引き続き経済特別区、上海市浦東新区の役割を発揮させ、天津市浜海新区の開発、開放を促し、海峡西岸及び台湾商人の投資が相対的に集中したその他の地域の経済発展をサポートする。海洋経済を積極的に発展させる。(5)国によるバックアップの度合いを大きくし、旧革命根拠地や少数民族地区、辺境地区、貧困地区の経済・社会発展をさらにいっそうバックアップする支援する。人口が比較的少ない民族への扶助を強化し、「辺境地区を振興し、人民を豊かにする行動」を推進する。発達地区が未発達地区の発展を援助するというメカニズムを健全なものにし、引き続き地域間の提携及び部門別支援活動を立派に進めて行く。(6)主体機能の区画について検討を進め、開発最適化、重点開発、開発規制、開発禁止という四種類の機能区域の範囲を合理的に画定し、さらに各区域の主体機能の位置づけに応じて、その発展の方向と関連政策を決める。

(七)引き続き改革を深め、科学的発展に資する体制環境を作り上げる。改革に対する全般的指導、統括調整と総合的配置を強化し、一部の重要分野と肝要な段階で引き続き新たな突破を成し遂げるよう努力していく。(1)郷鎮の行政機関、農村の義務教育及び県・郷財政管理体制の改革深化を柱とする農村の総合的改革を全面的に推し進める。農村の土地使用権譲渡政策を規範化し、土地収用制度の改革を速める。また、食糧・綿花流通体制の改革も深めていく。農村信用協同組合(信用社)体制を完全なものにし、農業銀行、農業発展銀行の改革及び政策的農業保険のテスト作業を立派に進め、農村における金融サービスを改善する。(2)企業の改革を深める。改正後の公司法を徹底させることを契機として国有大型企業の株式制改造を促し、財産権構造やコーポレート・ガバナンス構造、インセンティブ・制約メカニズムの充実化に力を入れ、独自の知的財産権、有名ブランドと国際競争力をもつ一群の大手会社、大企業グループの形成を速める。企業の政策的な閉鎖・倒産、社会事業運営の機能の分離及び本来事務と副次事務の分離などの仕事を引き続き立派に進めていく。国有企業の体制転換と国有財産権の譲渡行為を規範化し、国有資産の流失を防ぎ、職員・労働者の合法的権益を守る。国有資本の経営予算制度の構築を速め、非経営的資産、自然資源資産などへの監督・管理体制を確立し、健全化させる。電信、電力、民間航空、郵政、タバコなど諸産業の管理体制改革をさらに深める。鉄道分野の投融資体制改革を推し進め、鉄道体制改革案を検討し、提出する。また、市場メカニズムを一歩進んで導入し、市場への監督・管理を完備させ、給水やガス供給、給熱など市政公共事業の改革を深化させる。集団所有制企業の改革と発展を積極的に促し、非公有制経済の発展を奨励、支持、誘導する関連政策・措置を充実させ、中小企業の成長プロジェクトの実施を促進する。(3)金融体制改革のテンポを速める。引き続き国有商業銀行の株式制改革に取り組み、国が株の過半数を保有することを堅持し、コーポレート・ガバナンス構造と内部統制メカニズムを充実させる。資本市場の改革と発展を積極的かつ着実に推進し、上場会社の質的向上に力を入れ、証券会社の総合的整備に取り組み、引き続き非流通株改革と産業投資ファンドのテスト作業を繰り広げる。保険業の改革を深め、政策的銀行や郵便貯金機構などその他の金融機関の改革を推し進める。金融市場を規範化し、金融への監視・管理を強め、金融の安定と安全を守り、金融リスクの回避と解消を図る。(4)財政・税務体制の改革を深化させる。公共財政体系を健全なものにし、移転支出制度を充実させ、政府収支分類を実施し、予算管理制度を改革し、完備させる。付加価値税の消費型への転換改革を着実積極的に推し進め、資源税を調整し、充実させ、各種企業向けの課税制度の一本化を検討する。(5)投資体制改革を深める。投資プロジェクトに対する審査・確認制と登録制をさらに完全なものにする。中央予算内の直接投資に対する管理や、中央政府投資プロジェクトの意思決定に対する責任追及などの方法の制定を急ぐ。投資面のマクロ規制体系を健全化する。(6)資源的性格の生産物の価格改革を積極的かつ確実に推し進める。引き続きピーク時とロード時、豊水期と渇水期の時間帯別・季節別電気料金体制を実施し、電力価格への競争原理導入を着実に推し進め、再生可能なエネルギーの発展を奨励する電気料金メカニズムを実行する。石油価格形成メカニズムを完全なものにし、天然ガスの出荷価格を調整する。水資源使用料徴収の度合いを大きくし、都市の給水と水利施設の給水価格を合理的に調整し、全面的に汚水処理の料金徴収を発動し、さらに条件の整った地方では段階式用水料金制や用水指標・定量の超過分に応じた料金加算制の実施を速める。規範化した基準地価制度を確立する。価格改革の推進にあたって、各方面の利益をともに配慮し、特に低所得層の基本生活に影響が出ないように措置を講じてこの点を保証すべきである。(7)引き続き行政管理体制の改革を進める。行政許可法を突っ込んで貫徹し、政府機能をいっそう転換させ、行政許可を縮減し、それを規範化させる。経済・社会発展の全般に関わる重大事項の政策決定を目的とした協議・協調制度を健全なものにし、専門家による検討・検証、技術的コンサルティングと政策決定の評価制度及び公示、公聴会制度を充実させ、政策決定の科学化、民主化の水準を高める。事業体の改革を鋭意推進する。

(八)互恵・ウィン-ウィンの開放戦略を積極的に実施し、対外開放の質とレベルを一段と高める。(1)対外貿易の成長パターンの転換に拍車をかけ、輸出入商品構成の最適化をはかる。科学技術による貿易振興の戦略の実施に力を入れる。輸出における租税還付、融資サポート、ブランド認証などの措置を充実させ、輸出商品の質、グレード及び付加価値を向上させる。企業が独自の知的財産権やブランドを有するハイテクノロジーと機電製品の輸出を拡大するようバックアップする。加工貿易のパターン転換とグレードアップを促進し、産業のレベルアップと加工の高度化をはかる。エネルギー消耗度が高く、汚染度が大きい製品および資源的性格の生産物の輸出を規制する。とくに先進技術、カギとなる設備及び国内で欠乏している資源の輸入を増やし、貿易の不均衡状況の是正に努める。WTO加盟後の「後過渡期」における諸活動を立派に行う。地域内、二国間または多国間の経済貿易協力を強化する。大陸部と香港・マカオとの経済・貿易緊密化協定(CEPA)の諸措置をさらに徹底させる。(2)引き続き積極的に外資を利用し、その構造最適化および質的向上を図る。多国籍企業が付加価値や技術含有量の高い加工・製造工程とサービス関係の間接業務を中国へ移転し、さらに中国で研究開発部門を設置するよう誘導することを重視する。外資の投入先を産業別、地域別に誘導することを強化し、企業間の合併・買収(M&A)に関する政策を充実させ、生産レベルが低く、エネルギー消耗度が高く、汚染度が大きい外資プロジェクトの導入を厳しく制限し、産業の安全性を確保する。(3)「海外進出」戦略を積極的かつ着実に実施する。引き続き条件の整った企業の海外投資をサポート、誘導し、海外投資の関連政策、法律・法規及び促進・保障システムの整備に取り組み、調整メカニズムや監督・管理メカニズムの健全化をはかる。

(九)教育を優先的に発展させるという戦略的位置付けを堅持し、社会諸事業の全面的な進歩を促進する。(1)教育事業を優先的に発展させる。資質教育を全面的に実施する。九年制義務教育制度の普及と定着化につとめ、政府の義務教育に対する保障の責任を強化し、農村の学校運営条件を改善し、都市部の低所得世帯や農民就労者の子女の就学問題の解決にしっかり取り組む。職業教育に関連する基礎力養成プロジェクトの実施をスタートさせ、とくに県職業教育センター、中等専門学校及び高等職業教育のモデル校の整備を特別項目として立案し、その建設を支援する。高校教育をバランスよく発展させる。「二一一プロジェクト」と「九八五プロジェクト」を引き続き実施し、高等教育の質的向上を図る。社会の力による教育運営を鋭意発展させる。(2)公共衛生体系と基本医療サービス体系を充実させる。応急医療システムの整備を全面的に完成させる。都市の医療資源の配置を調整し、最適化させ、コミュニティーをベースとした新しいタイプの都市医療衛生サービス体系を構築する。引き続きエイズ、肺結核、住血吸虫病など重大疫病の予防・治療及び高病原性鳥インフルエンザの予防・抑制に取り組む。医療衛生体制と医薬品の生産・流通体制の改革を推し進める。医薬品の価格をさらに引き下げ、医療器械市場の価格秩序を整頓し、医療関係者の職業モラルや気風を是正し、医療サービスにおける診療、処方行為を規範化させ、大衆の医療難や医療費高騰の問題を早急に解決する。中国伝統医学や漢方薬事業の発展をサポートする。(3)文化、ラジオ・映画・テレビ、報道・出版、観光、スポーツなどの諸事業を大いに発展させる。文化体制の改革を深化させる。文化施設の建設を鋭意推進し、重要な自然文化遺産及び民間文化の保護に力を入れる。報道・出版事業に鋭意取り組む。全国の重点赤色観光地(中国革命の史跡)と精選コースに重きを置き、代表的な観光スポット及び周辺関連観光施設のインフラ整備を強化する。全国民の健康維持・増強活動を積極的に展開し、競技スポーツのレベルを高める。引き続き北京オリンピック大会と上海万国博に向けた準備作業を立派に進める。(4)現行の出産政策と低出生水準を定着させ、出生人口の質を高める。中、西部地区の県クラスや中心郷の計画出産サービス・ステーションの建設に重点をおき、末端層の計画出産サービスネットワークを健全なものにし、流動人口の計画出産に対する管理やサービスを充実させる。農村の計画出産家庭奨励・扶助制度のカバーエリアと、西部地区の「子供を少なく生んで早く豊になるプロジェクト」の実施範囲を拡大する。高齢者事業を大いに発展させる。

(十)人民大衆の身近な利益にかかわる問題を真剣に解決し、社会の安定を高度に重視するとともにそれを維持する。雇用創出、社会保障システムの充実、分配関係の合理化、社会の安定化に力点を置いて、調和のとれた社会の建設を着実に推し進める。(1)積極的な就業政策を引き続き実施する。体制改革を進める過程で生じた一時帰休者・失業者の再就職問題と、再編、体制転換を行った企業、また閉鎖、倒産した企業の職員・労働者の再配置問題を踏み込んで解決する。サービス業、労働集約型産業と中小企業を大いに発展させ、就業ルートを広げる。新規増加労働力、わけても大卒生、退役・除隊軍人及び就職難の人員に対する就業指導とサービスを立派に行う。職業技能の育成・訓練と就業サービス体系の整備を強化する。特別困窮層向けの就業支援制度を充実させる。自力で就職活動をし、自主的に事業を興すことを奨励し、形態の多様かつ柔軟な就業活動をサポートする。勤労者の権益の保護を強化する。(2)社会保障システムの整備を速める。各種の社会保険金の遅滞なき支給を確実に保障する。都市部における社会保険のカバー範囲を引き続き広げる。都市部で基本養老年金制度と基本医療保険制度を充実させ、統一的計画・管理のレベルを向上させる。都市部の最低生活保障活動に取り組む。条件の備わっている地方は、農村住民向けの最低生活保障制度を確立する。失業、労災、出産などに関わる保険制度の整備を強化する。農民就労者と土地が収用された農民を対象とした社会保障の問題を積極的かつ着実に解決する。都市・農村において特別困窮層向けの社会救助システムの構築を加速する。心身障害者保障、社会福祉と社会慈善事業などの発展を一段と推し進める。(3)所得の分配を合理的に調整する。住民の所得分配に対する監視・早期警報システムの構築を急ぐ。住民の所得分配秩序を規範化し、高すぎる収入を調節し、国有企業・事業体の所得分配に関する規定や監督・管理体制を完備させる。個人所得税の徴収・管理を強化し、さまざまな不法所得についての取締を実施する。(4)都市・農村の困窮層の生産・生活面における問題の解決に向け積極的に支援していく。貧困扶助開発の度合いを大きくし、労務提供による救済事業及び移住による貧困扶助のテストを着実に推進する。被災地民衆の生活面の救済と生産回復や復旧作業をうまく進める。「五つの保障を受ける世帯」(農村において労働力を喪失し、身寄りのない者に衣、食、住、医療と葬儀などを与える五つの保障)に対する扶養制度、特別困窮世帯向けの救助制度及び被災者救済制度などを充実させ、支援資金を増やすほか、救助基準を適宜に引き上げるる。(5)安全生産のための管理をいっそう強化する。安全生産責任制を厳格に実行し、法に依拠して安全作業の条件を備えていない工場や採炭企業を閉鎖、破産させ、鉱山、交通輸送、危険な化学製品、花火や爆竹など重点分野の安全生産対策に力を入れ、食品、医薬品、飲食業の衛生状況などへの監督・管理を強化する。特に「企業が責任を負い、政府がバックアップする」という原則に基づき、炭鉱の安全につながる技術改良とガス漏れ対策への投入を増やす。企業は安全生産に必要な費用を十分に確保するとともにそれをうまく使うべきであり、中央政府は引き続き資金を計上し、地方政府も投入の度合いを大きくし、換気、防塵、防火、排水、運輸などの安全生産システムを完備させ、ガスの抽出や総合利用を強化しなければならない。このようにして、重大または特別重大事故が多発しているといった現状に断固歯止めをかける。(6)社会の安定を維持し、促進する。土地収用やそれに伴う家屋の取り壊しと移転、企業の体制改革、三峡ダム地区の住民移転及び環境汚染などの面において、大衆の利益を損う問題を高度に重視し、その解決に真剣に取り組む。社会の安定をめざす早期アラーム・システムや緊急対処メカニズムの完備を速め、自然災害、事故災禍、公共衛生及び社会安全などの突発性事件に適切に対処する。社会治安の防犯・抑制システムを健全化させ、調和のとれたコミュニティーや村・鎮の建設を強化し、都市・農村の住民が安心して生活を楽しみ、仕事に打ち込めるような社会環境を作っていく。

二〇〇六年、わが国の改革、発展、安定をめぐる諸任務は並大抵のものではなく、非常に重いものである。われわれは胡錦涛同志を総書記とする党中央の指導のもとに、鄧小平理論及び「三つの代表」の重要思想という偉大な旗じるしを掲げ、科学的発展観を全面的に実行し、心を一つにして協力し合い、着実に仕事に取り組み、経済・社会発展の所期目標を達成し「第十一次五ヵ年計画」が好スタートを切るよう努力奮闘しよう。

     中華人民共和国国家発展・改革委員会


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