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歴史否定に処罰を 「歴史の刺客」たちの末路(2)

過ぎ去ったばかりの2006年2月は、歴史の重々しさに満ちていた。2月14日、日本の安部晋三官房長官と麻生太郎外相は国会答弁の中で「日本の国内法ではA級戦犯は犯罪者ではない」と発言した。同23日、フランスではシラク大統領やドビルパン首相など多くの政府要人がユダヤ人青年アリミさんの葬儀に参列した。アリミさんはユダヤ人であるために殺害されたのだ。同25日、米オーランド市ではナチスの軍服を着たネオナチがデモを行い、抗議する人々と殴りになった。さまざまな「歴史の刺客」が歴史を抹殺する中、英国の右翼学者デビッド・アービング氏は歴史を否定したために、オーストリアで禁固3年の判決を言い渡された。この判決は「歴史の刺客」たちへの警鐘である。

ドイツ:「言論の自由」は歴史を抹殺できない

ガス室を否定した英国の歴史学者デビッド・アービング氏が逮捕された「アービング事件」の後、ドイツのメルケル首相は「ドイツも加盟する欧州連合(EU)では、アービング氏が行ったような種類の宣伝活動に対抗する道徳的義務がある。この件について、言論の自由をもって反論することはできない」と述べた。一部では、メルケル首相のこの発言は、意図があると分析された。アービング氏が判決後に収監された後、多くの英国人がオーストリア政府は「言論の自由」を抑圧したと述べたからだ。

比較するならば、この分野でドイツ人の自己規制はさらに厳格だ。1979年、ドイツ連邦裁判所は、「言論の自由」に厳格な制限を設ける初の判決を下した。この判決によると、ユダヤ人は、ドイツの公民権の規定に基づき、元ナチにユダヤ人に対する迫害を認めるよう要求する権利がある。また同裁判所は、「第三帝国」によるホロコースト(大虐殺)の歴史を否定することは、すべての被害者に対する侮辱であり、生存者に新たな損害をもたらすものだ、とした。1985年4月、ドイツ連邦議会は、ユダヤ人迫害を否定する行為は、ユダヤ人の権利侵害とみなし、法律によって処罰する、との決議を可決した。94年5月、ドイツ連邦議会はさらに「煽動罪」を設けた。新法によると、公共の場所でナチによるユダヤ人に対するホロコーストの罪を宣伝したり、認めない、または軽視する発言を行った場合、最高5年の監禁刑に処される。  

2005年4月1日からドイツは、極右勢力が歴史的な記念物の前でデモを行うことを禁ずる新たな法律を設けた。歴史的記念物とは、ベルリン、ブランデンブルク門そばのホロコースト記念碑などだ。法の執行に際しても、ドイツは一切の手心を加えない。1958年にカナダへ移住した66歳のドイツ人、エルンスト・ツンデル氏は、ヒトラーの崇拝者だった。ツンデル氏は「われわれがヒトラーを愛した理由」と題する本を出版。文中でヒトラーを「非常に気高く、平和を愛する人物」として描いた。ドイツ政府は2003年、国際逮捕令を発してツンデル氏を逮捕するとし、05年にカナダ政府を説得し、ドイツに帰国させた。

ベルギー:ホロコースト否定取締法の適用拡大を検討

いつのまにか「1940年代の歴史など自分に関係あるものか」という言葉が、ベルギーの一部の若者の間に広がっていた。これは、若者の歴史に対する認識が風化したことを反映している。これについてベルギー議会は1995年3月、「歴史修正主義者」を刑法で処罰する法案を成立させた。この法律は、ナチによるホロコーストの事実と規模、方法についての論争を対象としている。

2005年5月にベルギー議会はこの法律の改正案を審議した。改正案は法律の適用範囲を、欧州議会と欧州連合(EU)加盟国の法律が認めた全てのジェノサイド(民族など集団に対する虐殺)と人道に対する罪にまで広げた。この法に違反したすべての国民は、8日間以上1年以下の禁固刑と、26ユーロ以上5千ユーロ以下の罰金に処される。

現在、ベルギー人は「そのほかの虐殺の事実を否定した人間も、法の対象外にはしておけない」と考慮している。ベルギーはこの法律の適用範囲をさらに拡大し、大部分の「歴史の刺客」にまで適用することを望んでいる。これは、欧州理事会の希望でもある。

ベルギーの専門家は以下のように述べた。

「この法律は、歴史の否定と闘う1つの方法に過ぎない。法律以外に、特に歴史研究をさらに強化するべきであり、第2次世界大戦の記憶を薄れさせてはならない。また『ジェノサイド』『アウシュビッツ』などの言葉を記憶に刻む。教育の効果を高めるために、歴史教科書を書き換え、第2次世界大戦の歴史をより分かりやすく、詳しく、また読みやすくする。流言飛語の類には、人々は複数の手段を用いて反撃するべきだ」

フランス:極右も歴史を否定せず

第2次世界大戦中のナチスの暴行を否定、または美化する行為について、フランスは最も早い時期から「修正主義」という言葉を好んで使ってきた。1990年代後半、欧州の歴史家の研究により、フランスは「歴史否定主義」という言葉に改めた。第2次世界大戦後もフランスでは「ネオ・ファシズム」勢力が「しぶとく」生き残ってきたからだ。フランスのネオファシズムの中核的な人物は、「結局、ユダヤ人が第2次世界大戦が広がった原因だ」と繰り返し主張し、その信奉者による悪い影響が長年にわたり続いた。1990年、フランスは有名な「ゲソ(Gayssot)法」を通過させ、フランス革命記念日の前日に施行した。この法律は極右勢力を震え上がらせた。ルペン氏を頭目とする極右勢力は、法律の網目の中に自分達の居場所を捜し、第2次世界大戦の歴史は否定せず、ただフランス人の優位性を主張し「ユダヤ人は特別待遇を受けるべきではない」と述べつづけた。

フランス人の歴史観は比較的偏りが少ない。その主な現われとして、まず、植民地侵略に対する反省がある。例えば、1950、60年代、植民地の独立がアルジェリア戦争を引き起こした。フランス人が第2次世界大戦について述べる際、主要なメディアはすべて、フランス共和国史上の「汚点」と「恥辱」となった一幕、と語る。次に、全人類の歴史に対する反省もある。フランスは第2次世界大戦中、特に戦争犯罪は犯さなかったものの、フランス人の第2次世界大戦や民族、種族などに関する考察や討論の量はドイツ人と遜色が無い。むしろ一般的にみられる光景だ。「ゲソ法」は、フランス人が歴史を明確に認識し、教訓をくみ取り、人類の悲劇が繰り返すことを防ぐ心構えにおいて、非常に大きな働きをした。事実が証明する通り、法律を歴史の「用心棒」とすることで、国や民族の歴史観に大きなプラス作用を与えられる。(環球時報)

「人民網日本語版」2006年3月22日

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