一部マスメディアの要望に応えて、国務院新聞弁公室の王国慶副主任は4月19日、中日関係について内外記者の質問に次のように答えた。
1、中日関係および中日友好関係を発展させることについてどう見るか。
答:中日両国は海を隔てて向かいあう近隣であっている、2000余年にわたる友好往来の中で、両国人民は互いに学び合い、ともに進歩し、数多くの感動的な歴史上のエピソードが残っている。近代に入って以来、 日本軍国主義が侵略戦争を起こし、中国人民に大きな災禍をもたらし、日本国民にも大きな損害をもたらした。この痛ましい歴史的教訓は永遠に心に銘記しなければならない。
新中国成立後、両国の先輩の指導者と政治家および各界の有識者のたゆまぬ努力の下で、中日双方は幾重もの困難を乗り越して、1972年に国交正常化を実現し、中日関係史上の新しい一ページを切り開いた。30数年来、中日善隣友好協力関係は全面的に発展し、各分野の協力もたえず拡大し、かつて見ない成果をあげてきた。事実が立証しているように、中国と日本は、和すればともに有利であり、闘えばともに損する。中日の善隣友好協力関係を発展させることは両国人民の根本的利益に合致し、アジアと世界の平和、安定、発展にも重要な貢献となるものである。
中日善隣友好協力関係の発展はいくつかのマイナス要素の影響と妨害をも受けている。近年、中日関係に困難な局面が現れ、両国人民はそれを懸念し、国際社会はそれに関心を寄せている。これはわれわれが目にしたくないことである。中日関係が困難に直面しているにもかかわらず、われわれは依然として中日友好という基本的方針を堅持している。重要なのは日本側が歴史問題の上でとっている誤った姿勢とやり方を放棄しなければならないことである。これは中日関係が正常な発展の軌道に立ち戻るための必要条件である。
当面、中日関係の発展は新しいチャレンジにも直面していれば、新しいチャンスにも直面している。中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日関係は当面の世界の重要な二国間関係の一つであると考えるとともに、両国関係を改善し、発展させるためにたゆまぬ努力を払ってきた。新しい世紀と新しい情勢の下で、中日両国はアジアと世界で影響力をもつ国として、ともに世界平和を擁護し、ともに発展することを促進するという重要な責任を担っている。
2、中日両国関係が困難に直面している問題点は何か。
答:当面、中日関係は困難な局面に直面している。率直に言って、責任は中国側にはなく、日本国民にもなく、問題点は日本の個別的な指導者があくまでA級戦犯を合祀している靖国神社を参拝して、中国人民を含む被害国の人民の感情を傷つけ、中日関係の政治的基盤を損なっていることにある。
中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日関係は当面の世界の重要な二国間関係の一つであると考えるとともに、両国関係を改善し、発展させるためにたゆまぬ努力を払っている。胡錦濤主席は、歴史、人民、将来に対し高度に責任を負う態度で中日関係の中に現れた問題に適切に処理しなければならないと何回も強調した。先月、胡錦濤主席は日中友好7団体のトップと会見した際、次のように述べた。歴史に対し責任を負うということは、歴史の事実を尊重し、歴史の教訓を汲み取り、歴史の悲劇の再演を防ぐことであり、人民に対し責任を負うということは、終始両国人民の友情を促進し、両国人民のために確実に利益をはかることを中日関係発展の出発点、立脚点とすることであり、未来に対し責任を負うということは、平和共存、世々代々友好を堅持し、ともに両国の善隣友好と互恵協力のすばらしい未来を切り開くことである。胡錦濤主席はかつて、日本の指導者がA級戦犯を合祀している靖国神社をこれ以上参拝しないことを明確に決断しさえすれば、中国の指導者は中日関係の改善と発展について日本の指導者と会見し対話するつもりがあると表明したことがある。
3、中国政府の中日関係発展の基本的政策と主張は何か。
答:中国政府の対日関係に対する立場は明確で、一貫したもので、確固として揺るぎないものである。2005年4月、胡錦濤主席がジャカルタで小泉首相と会談した際に提出した五つの重要な主張は、中日友好関係を発展させる政策と主張を全面的に述べたものである。一、「中日共同声明」、「中日平和友好条約」、「中日共同宣言」の三つの政治文書を厳格に遵守し、実際の行動をもって21世紀に向けての中日友好協力関係の発展に力を入れなければならない。二、歴史を鑑とし、未来に目を向けることを確実に堅持しなければならない。日本軍国主義の起こした侵略戦争は、中国人民に大きな災禍をもたらし、日本国民にも大きな損害を与えた。歴史を正しく認識し、それに対処することは、あの侵略戦争に対し表明した反省を行動に変え、中国とアジアの関連諸国人民の感情を傷つけることを絶対に繰り返さないことである。日本側が厳粛かつ慎重な姿勢で歴史問題をきちんと処理することを願っている。三、台湾問題を正しく処理しなければならない。台湾問題は中国の核心的利益であり、13億の中国人民の民族感情にかかわる問題である。日本政府は一つの中国の政策を堅持し、「台湾独立」を支持しないと何度も表明している。日本がこうした約束を実際の行動で体現するよう願っている。四、あくまで対話を通じて平等に話し合い、中日間の食い違いを適切に処理し、食い違いを解決する方法を積極的に模索し、中日友好の大局が新たな妨害と衝撃を受けないようにしなければならない。五、幅広い分野での双方の交流と協力をいちだんと強化し、民間友好往来をいちだんと強化して、相互理解を増進し、共通の利益を拡大し、中日関係を健全かつ安定的に前向きに発展させなければならない。
4、中国が日本首相の靖国神社参拝の問題だけで中日指導者の会談を拒否するやり方は間違っていると見ている人もいる。これについてどう考えているか。
答:周知のように、靖国神社にはA級戦犯が合祀されており、日本の指導者が靖国神社に参拝することは歴史に対する認識と姿勢の問題である。歴史問題と靖国神社参拝問題に関しては、われわれは二つの区別する方針を堅持している。つまり、日本のごく少数の軍国主義分子、A級戦犯と余儀なく戦場に駆り立てられた一般の兵士を区別し、日本の一般の人々が靖国神社へ行って亡くなった親族に追悼の気持を示すことと日本の指導者がA級戦犯を合祀している靖国神社に参拝することを区別することである。胡錦濤主席は日中友好7団体のトップと会見した際、日本の民衆の靖国神社参拝は一種の気持ちを表すためであると信じているとはっきり述べている。しかし、日本の指導者が靖国神社に参拝する行動は、日本政府のある種の政策を代表するものである。言うまでもなく、日本の指導者はそれなりの感情もあろうが、あの戦争の中で殺された何千万もの罪なき人たち、その遺族たちおよび被害国の人民の感情も尊重されるべきである。一国の指導者として、感情のみを口にするのではなく、それにもまして責任を重視しなければならない。
5、中日関係発展に対する中日両国の民間友好往来の重要性をどう見るか。
答:中日関係のすばらしい未来を切り開くには、両国人民の広範な支持と積極的参与が必要であり、両国の友好団体の長期にわたる並々ならぬ努力が必要である。中日民間の友好往来は従来からずっと中日友好事業の発展を推し進める中核の力であったし、両国民間交流の重要なかけ橋であった。
3月31日、胡錦濤主席は日中友好7団体のトップと会見した際、日中友好7団体が中日国交正常化を実現し、中日善隣友好関係を発展させるために多くの有意義な活動を行い、際立った貢献をしたことを高く評価し、当面、中日関係が困難にぶつかっている状況の下で、皆様方が団を結成して中国を訪問し、中国の関係友好団体の責任者と会見して交流を行うことは、中日両国人民が中日関係を改善し、発展させる心からの願いを具現するものであると語った。胡錦濤主席は、このような訪問は両国人民の相互理解と友情を増進し、中日関係を改善し、発展させるために積極的な役割を果たすと信じている、と述べた。
また、われわれは、両国の民間友好団体が前人の事業を受け継ぎ、未来への道を開き、豊富多彩な交流活動を通じて友好のタネを広く撒き、両国人民、とくに青少年の相互理解と友情を増進し、中日友好の社会的基盤を固め、長期にわたって安定した中日善隣友好協力関係を発展させるために新たな貢献をするものと信じており、中日友好事業の将来は明るいものであり、中日友好は阻むことのできない歴史の流れである、と語った。
6、日本では、中国の発展は日本に対する脅威であると報じているメディアもあるが、これをどう見ているか。
答:この問題について、胡錦濤主席が先月末日中友好7団体のトップと会見した際に語った言葉を引用したい。つまり、中日両国はともに重要な発展期にある。改革・開放以来、中国の経済は急速に発展しており、総合的国力はある程度増強され、人民の生活水準は著しく改善している。しかし、中国は依然として発展途上国であり、昨年の1人当たりGDPはわずか1700ドルで、日本の二十分の一にも至らず、都市と農村、地域、経済社会のバランスのとれた発展を実現し、資源節約型、環境にやさしい社会を建設し、調和のとれた社会を建設するなどの面で、いずれもきわめて困難な任務に直面している。中国が基本的に現代化を実現するには、なお数十年もの困難を乗り越えるために努力を払わなければならない。中国は確固として揺るぎなく平和的発展の道を歩み、平和な国際環境をつくり出して自国を発展させると同時に、自国の発展を通じて世界の平和を促進することになろうとわれわれはたび重ねて表明してきた。われわれは日本を含む世界各国と共に、平和が長く続き、共に繁栄し、調和のとれた世界を建設することを願っている。中国は独立自主の全方位の平和外交政策を実行しており、いかなる国を脅し、挑戦する考えはなく、世界各国と平等に相対し、友好的に付き合い、共に発展することを願っている。中国が実行しているのは防御的国防政策であり、中国の国防建設は防御能力を増強して、国家主権と領土保全を守るためであるにすぎない。中国は、過去においても、現在においても、将来においても覇権を求めることはない。中国の発展は脅威だという言い方はまったく事実無根のことであり、完全に成り立たないものである。
2006/04/20 |