中国の環境保全(1996~2005)


九、環境保全の科学技術、産業および公衆の参与



中国は環境保全に対する科学技術の支持能力を重視し、たえず高め、環境保全の産業化プロセスを積極的に推し進めるとともに、各種の措置をとって、公衆の環境保全への参与を促進している。

――環境保全の科学的研究。第10次五カ年計画期に、国の重要な科学技術特定プロジェクト「水汚染抑制技術と処理プロジェクト」を実施し、湖沼汚染除去と生態修復、都市の水環境の質の改善、飲用水の安全保障、新型の廃水処理など水汚染抑制技術の研究・開発を行い、手本を示し、中国の水汚染防除に確実で実行可能な技術案と関連技術体系を提供している。環境モニタリング技術と設備を開発し、多種の技術と設備の業務化応用を実現した。また自動車の排気浄化、石炭燃焼ボイラーの煙と水蒸気の硫黄脱却、固体廃棄物処理、重点的業種のクリーン生産などのキーポイントの技術開発を展開し、プロジェクトのモデルを示し、自主的知的所有権をもつニューハイテクおよび設備を多く開発した。国の科学技術難関攻略計画の中に「重大な環境問題の対策とキーポイントの支持技術の研究」項目を設け、環境保全戦略と技術政策、循環経済理論と生態工業技術、化学品抑制技術、汚染場所修復技術などの面で研究を行い、中国グリーンGDP計算体系の枠組みを初歩的に形成した。西部生態系統の総合的評価、生態機能区画、脆弱な生態区の回復と再建などの研究を行い、多種の西部生態脆弱区整備の技術パターンを形成し、規模化の手本を推し広めた。全国の外来侵入種の調査を完成し、中国生物多様性データベースを設立した。「国家環境と健康行動計画」を制定し、一部の重点地区で環境健康調査を展開した。グローバルな環境変化の研究を積極的に展開し、「気候変化国家評価レポート」を編纂し、国がグロバールな環境変化に対応する政策を制定し、関係国際条約交渉への参加に科学的根拠を提供した。

――環境保全産業。長年の実践を経て、中国はすでに産業部門が基本的にそろって、ある程度の経済規模をもつ環境保全産業体系を形成した。環境保全製品の生産分野とサービス業はわりに大きな進展をみせ、資源の総合的利用とクリーン技術製品の分野は急速に発展している。2004年末現在、環境保全産業の販売(経営)年収が200万元以上の企業は1万1623社あり、従業員は159万5000人、全業種の年収は4572億1000万元、利潤は393億9000万元に達した。

――公衆の参与。中国政府は努めて条件を作り出し、公衆の環境保全活動への参与を奨励している。環境アセスメントは公衆の参与について制度的規定を行い、悪い影響を及ぼす可能性のある企画または建設プロジェクトに対し、論証会、公聴会またはその他の形式を通じて、関係部門、専門家、公衆の環境アセスメントレポートに対する意見を求めるべきであると要求している。2006年2月、国の環境保全部門は「環境アセスメントへの公衆参与暫定規則」を公布し、公衆が環境アセスメントに参与する範囲、プロセス、組織形式などの内容を詳しく規定した。民間組織と環境保全ボランティアは環境保全への公衆参与の重要な力であり、現在、中国に政府以外の環境保全団体は1000以上ある。

――宣伝教育。環境保全の宣伝教育を強化するため、国は「全国環境宣伝教育行動要綱(1996~2010年)」と「2001~2005年全国環境宣伝教育活動要綱」を制定した。2001年から実施を始めた第4次五カ年法律普及企画は、環境保全法律法規の宣伝教育を全国民法制宣伝教育の重要な内容とするとともに、環境保全法律法規を年度法制教育計画に組み入れた。年に一度の6月5日の世界環境デーに全国的な環境宣伝教育活動を展開している。グリーンコミュニティ、グリーン学校、グリーン家庭の創建活動を展開し、現在、全国で2348のコミュニティがグリーンコミュニティの創建活動に参加し、2万5000余校の小学校、中学校、中等職業学校、幼稚園がグリーン学校の創建活動に参加し、100のグリーン家庭が表彰された。「母なる川保護」「グリーン承諾」「毎日の環境保全」「生態モニタリング」などの実践活動を通じて、広範な青少年に対し生態環境道徳教育を行い、彼らの環境保全意識を増強し、グリーン中国フォーラム、中国環境文化祭などの活動を展開して、環境知識の普及を行い、公衆が環境問題の討論に参与するように導き、社会の「誰もが参与し、ともにグリーンホームを作る」雰囲気を醸し出している。

――環境情報を公開する。2005年末現在、全国のすべての地区クラス以上の都市は都市の空気の質の自動モニタリングを実現するとともに、毎日空気の質を発表している。重点流域の水質モニタリングを展開し、毎月の十大流域水質報告と毎週の水質自動モニタリング報告を発表し、「南水北調」東線の水質モニタリングを定期的に行っている。113の環境保全重点都市は飲用水水源地に対し水質モニタリングを集中的に行い、月例報告を発表している。環境の質の四半期分析制度を確立し、環境の質についての情報をすかさず公布するようにしている。各クラスの政府と環境保全部門は定期的にまたは不定期に記者会見を行って、環境状況、重要な政策と措置、突発的な環境事件、法律法規違反事件などをすかさず通報し、社会各界の環境保全を知る権利を保障し、公衆の環境保全への参与を促進している。

――公衆の環境権益を守る。2005年末現在、全国の4つの直轄市、312の地区クラス市、374の県クラス市、677の県で69.4%の県クラス以上の行政区をカバーする環境保全通報・陳情ホットラインが開通した。2003年以来、全国の各クラスの環境保全部門は環境保全ホットラインを通じて環境汚染の陳情を114万8000件受け付け、処理率は97%前後で、主要都市の環境陳情満足率は80%前後であった。公衆の環境意識と環境の質に対する要求がたえず高まるにつれて、環境権益侵害を反映する投書や来訪の数が年ごとに増えている。2001年から2005年にかけて、各クラス政府の環境保全部門が大衆の投書253万余通、来訪43万余回、延べ59万7000余人、全国人民代表大会代表の提案673件、全国政治協商会議委員の提案521件を受け付けた。