長期にわたるたゆまぬ努力を経て、中国の一部地区の生態環境は改善を見せ始めた。
――造林・緑化。中国政府は生態建設を主とする林業発展の指導方針を確立し、大規模な造林を展開し、森林資源管理を強化し、森林生態効益補償制度を始動させ、造林面積は2002年以来4年連続して667万ヘクタールを超えた。ここ数年来、森林面積と森林蓄積量は急速に増加し、森林の樹齢構造、配置構造も合理化し、森林の質が向上して、持続的低下からちくじ上昇への歴史的転換を実現した。現在、全国の森林面積は1億7500万ヘクタールに達し、森林被覆率は18.21%、森林蓄積量は124億5600万立方メートルに達している。国は林業生態工事建設を重視し、1998年から天然林資源保護プロジェクト、耕地を林地に戻すプロジェクト、「三北」(東北、華北、西北)および長江流域などの防護林体系建設プロジェクト、北京・天津風砂発生地整備プロジェクト、野生動植物保護と自然保護区建設プロジェクトおよび重点地区の速生豊作用材林基地建設プロジェクトなどを展開している。第10次五カ年計画期に、天然林資源保護プロジェクトが営造した生態公益林の面積は800万ヘクタールに達し、9333万ヘクタールの森林資源は休養生息を得た。耕地を林地に戻すプロジェクトの造林面積は2133万ヘクタールで、そのうち、生態を考慮して耕作をやめた土地は538万ヘクタール、荒山、荒地での造林は1200万ヘクタール、伐採を禁止して造林を育成する面積は133万ヘクタールである。北京・天津風砂発生地整備プロジェクトは各種の整備任務を667万ヘクタール完成し、「三北」(東北、華北、西北)および長江流域などの重点防護林プロジェクトは341万ヘクタール造林し、新たに伐採を禁止して造林を育成する面積は346万ヘクタールである。
――草原保護。草原の生態建設と企画管理を強化するため、草原活動の戦略的重点は経済目標を主とすることから「生態、経済、社会の目標を同等に重視し、生態を優先させる」に向かっての転換を実現し、草原の植生を効果的に回復させ、草原の生態環境をちくじ好転させることである。国の草原保護建設への投資は持続的に増加し、2000年から2005年にかけて、中央財政は90余億元の資金を投入して、天然草原の植生の復活と建設、草原囲い柵、牧草種子基地、放牧地の草原への還元、北京・天津風砂発生地整備、草原生態建設などのプロジェクトを実行し、良好な生態・経済・社会効果をあげた。2005年末現在、全国の草栽培保留面積は累計1300万ヘクタール、草原改良面積は1400万ヘクタール、草原を囲った面積は3300万ヘクタールに達し、20%の利用可能な草原では、放牧禁止、放牧停止といくつかの区に分けて順番に放牧することを実施した。
――土地の保護、開発、整備。中国政府は耕地保護を基本的国策とし、厳格な耕地保護政策を実行している。国は基本農地保護区を画定して、食糧安全の確保に重要な基礎を提供している。同時に土地用途管制制度を確立し、建設用地総量と構造を厳しくコントロールし、むやみに耕地を占用する現象を抑制している。2004年の各種の建設が占用した耕地は前年と比べて37%減少し、総体的に占用量と補給量の均衡を実現した。国はまた土地の開発・整理にいちだんと力を入れ、土地開発整理プロジェクト管理制度を確立し、国の投資による土地開発整理プロジェクトを実施し、耕地総量の動態的均衡を維持し、生態環境を改善している。第10次五カ年計画期に、農村と都市部の土地、災害によって破壊された土地、工業・鉱山地区の廃棄した土地などに対し、科学的な土地開発、整理・再開墾を行い、再開墾された土地は7万6000ヘクタールに達し、配置が整い、生態環境が良好な新農村が多く建設され、一部の資源枯渇型都市と重点鉱山地区の生態環境がいちだんと整備され、回復した。
――水土保持。国は北京・天津の風砂発生地整備、首都の水資源の持続可能な利用のための水土保持、黄土高原地区の水土保持のための土手作り、東北地区の黒土地帯と珠江上流の南盤江と北盤江の石灰岩地区の水土流失の総合的防除など多くの特別プロジェクトを実施し、水土流失の重点的防除範囲は長江と黄河の上中流から東北地区の黒土地帯、珠江上流と北京・天津周辺地区などの地区に拡大された。国が展開しているモデル区とモデルプロジェクト建設のうち、完成面積が200平方キロ以上の水土保持プロジェクトは300余件、水土保持生態建設のモデル県は190県、モデル小流域は1398カ所ある。第一陣として面積が300平方キロを下回らない62のモデル区と50余りの水土保持科学技術モデルゾーンの建設が始まった。全国の188の県で水土保持生態修復試行工事を展開しており、国の水土保持重点工事区で封育保護(荒地を金網で囲い、人や家畜の進入を禁止して植生を回復させる)を全面的に実施し、その面積は12万6000平方キロに達し、さらに「三江源区」(長江、黄河、瀾滄江の水源地)で水土保持の予防・保護プロジェクトを実行している。現在、25の省(自治区、直轄市)の980の県は全域または一部の地区で山での放牧を禁止し、禁止の範囲は60余万平方キロに及び、禁止区内の植生がわりに早く回復した。第10次五カ年計画期に、全国で水土流失を総合的に防除した面積は24万200平方キロに達し、小流域を1万1500カ所以上総合的に整備し、基本的農地を406万ヘクタール建設し、水土保持林、経済・果樹林、水源涵養林を1533万ヘクタール営造し、砂止め土手、傾斜地水系などの小型水土保持プロジェクトを350余万カ所、土手を7000カ所建設した。
――防砂と砂漠改造。中国政府は土地の荒漠化、砂漠化の防止を生態環境の改善、生存と発展の空間の開拓、経済社会の協調と持続可能な発展を促進する戦略的措置とし、「防砂治砂法」を公布、実施し、「全国防砂治砂企画(2005~2010年)」を認可し、「防砂治砂活動のいちだん強化に関する決定」を公布し、一部の防砂治砂の重点プロジェクトを実施し、荒漠化と砂漠化の面積を同時に減少するようにしている。2004年末現在、全国の荒漠化土地は263万6200平方キロ、砂漠化土地は173万9700平方キロで、1999年と比べて、5年間で全国の荒漠化土地面積は3万7924平方キロ、砂漠化土地面積は6416平方キロ減少した。土地の荒漠化と砂漠化がやや軽くなり、重度、極重度の荒漠化面積は24万5900平方キロ減少した。荒漠化と砂漠化が全面的に拡大するすう勢は初歩的に抑制された。
――海洋の環境保全。中国はすでに海洋環境保全の法体系や行政部門の法律執行体系を基本的に形成し、海洋環境モニタリングネットワークを作り、海洋機能区画、近海海域環境機能区画を制定、実施し、海洋資源を合理的に開発、保護し、海洋汚染と生態破壊を防止し、海洋経済の持続可能な発展を促進している。中国政府は海に流入する主要河川の汚染防除計画と重点海域の環境保全計画を積極的に実施し、渤海に次いで2005年に長江河口と隣接海域、珠江河口と隣接海域の汚染除去活動を始動させ、長江河口、珠江河口とその隣接海域で、川と海を統一的に計画し、陸地と海上を同時に考慮する陸域と海域が同時に行う環境モニタリングと調査活動を展開した。中国政府は海洋プロジェクトと海上廃棄物排出の審査認可制度を厳格に実行し、排出活動に対し法律執行監視を強化し、海洋環境モニタリングを強化した。国は「赤潮災害応急対策」と「海洋石油探査開発の石油流出のための応急計画」を認可して、国家災害緊急管理体系に組み入れ、海洋災害応急メカニズムを初歩的に構築した。船舶の汚染防除と危険品輸送管理を強化し、海上船舶石油流出応急体系の建設を積極的に推し進めている。2004年末現在、中国はすでに各クラスの海洋自然保全区を120カ所設立し、多くの海洋の希有種を保護し、さんご礁、マングローブ、海草床など重要な生態環境を保護している。漁業の漁獲強度を抑制し、漁船の数を減らし、休漁制度を整備し、漁業資源保全区を設立し、海洋漁獲量の「ゼロ増加」を実施するなどの措置をとって、海洋の漁業資源を保護、回復している。
――自然保全区、生態機能保護区、風景名所区の建設。中国政府は自然保全区の設立を生態環境保全の重要な措置としている。2005年末現在、全国で各クラスと各種の自然保全区が2349カ所設立され、面積は150万平方キロに達し、陸地国土面積のほぼ15%を占めている。類型がわりにそろい、配置がわりに合理的な全国自然保全区ネットワークが初歩的に形成されている。全国の85%の陸地生態系統類型、85%の野生動物種類、65%の天然植物群落類型はいずれも保護されている。国は河川の水源地、重要な水源蓄積区、河川洪水調節蓄積区、防風砂漠固定区およびその他の重要な生態機能を備える区域で生態機能保護区の建設を展開し、東江源、洞庭湖、秦嶺山地など18カ所の典型的な区域で国家クラスの生態機能保護区設立の試行を始めた。内蒙古、黒竜江、江西、湖北、湖南、甘粛、青海などの省(自治区)で地方クラスの生態機能保護区建設を展開している。現在、中国政府の審査を経て命名された風景名所区は677カ所あり、その中に国家重点風景名所区は187カ所ある。泰山、黄山、峨眉山―楽山、武夷山、廬山、武陵源、九寨溝、黄竜、青城山―都江堰、三江並流などの国家重点風景名所区と一部の自然保全区は、それぞれユネスコの「世界遺産目録」または「国際人と生物圏保全区ネットワーク」、「国際重要湿地目録」に入っている。全国に各種の森林公園が1900余カ所も建設され、その中に国家森林公園は627カ所ある。全国に国家地質公園が85カ所あり、そのうち、安徽省の黄山、江西省の廬山、河南省の雲台山、雲南省の石林、広東省の丹霞山、湖南省の張家界、黒竜江省の五大連池、河南省の嵩山など8つの地質公園は最初に世界地質公園ネットワーク目録に入れられた。
――生物多様性の保護。中国は生物の種類が非常に豊富な国であり、国は「中国生物多様性保護行動計画」を制定し、「中国生物多様性国情研究レポート」を編纂し、「生物種資源保護利用企画」を編成した。現在、全国に野生動物救助繁殖基地が250カ所、野生植物種資源保育センターまたは遺伝子保存センターが400余カ所設立されており、これらの部門は200余種の絶滅に瀕している希有野生動物と千種もの野生植物の安定した人工種群を創出した。同時に、国が重点的に保護している野生植物資源の調査と緊急救助式の収集を展開し、農業野生植物原生地保全区を67カ所設立した。全国で外来侵入種の調査を行い、危害がわりに大きい主な外来侵入生物に対し「十省百県」の害毒を取り除く行動を展開し、公衆の外来侵入生物防止の意識と能力を高めた。全国野生植物資源調査の189種の野生植物のうち、安定して生存、発展する基準に達する野外種が71%を占めている。全国野生動物調査の252種の野生動物のうち、安定しながら増えている種が55.7%を占め、ヨウスコウワニ、トキなど絶滅に瀕している希有野生動物種は数倍に増加し、野生ジャイアントパンダの頭数は1596頭、人工飼育頭数は183頭に達している。一部の種の分布区はちくじ拡大され、黒嘴カモメ、クロツラヘラサギなどの種の新記録、新しい繁殖地または越冬地がたえず発見されている。100余年間にあとかた知れず、国際自然保護連盟に世界の極端に危篤な種と発表されたニオイヒバは新たに発見された。
――湿地保護。中国政府は「中国湿地保護行動計画」を公布し、「全国湿地保護プロジェクト企画(2002~2030年)」「全国湿地保護プロジェクト実施企画(2005~2010年)」を編成、実施した。現在、全国に湿地自然保全区が473カ所あり、総面積は4346万ヘクタールに達している。自然保護区に組み入れられ、効果的に保護されている自然湿地は45%近くに達し、洞庭湖、鄱陽湖、扎竜など30カ所の湿地は国際重要湿地目録に入れられ、面積は346万ヘクタールに達している。一部の重要な湿地の面積は安定して拡大され、生態機能が回復、改善され、湿地面積が急速に減少する現象は効果的に抑制されている。都市部の湿地資源保護は重視、強化され、国は都市湿地公園を10カ所認可した。