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尽きせぬ話題・反腐敗
 いかなる政権党、いかなる政府であろうと、みなその政務執行過程において必然的に反腐敗問題に直面することになる。

 2001年、中国の紀律検査監察機関は17万4633件の案件の審査を終え、17万5364人を党紀政治紀律違反で処分した。これらの人々の中には、県(処)級幹部が6076人、地方(庁)級幹部が497人、省(部)級幹部が16人含まれている。そのほか、統計によると、2001年1−10月期に全国検察機関が内偵し、立件した汚職・賄賂、涜職などの職務犯罪は4万716件で、うち大きな案件が1万7344件あり、県(処)級以上の幹部2771人を内偵し、立件した。また全国の裁判所が結審した汚職、収賄、公金使い込みなどの案件は1万5416件、涜職案件は1272件にのぼった。

 昨年、審査、処分した腐敗案件では、案件数、案件にかかわった人数で近年における記録を更新した。これらの数字は、中国の腐敗現象が依然として広がり、蔓延していることを反映している一方、また16名の省(部)級高官を含む多くの汚職官吏が厳罰に処せられた事実は、中国共産党と中国政府の腐敗に反対する堅い決意を物語っている。

厳罰に処せられる腐敗高官

 前述した16名の省(部)級高級幹部のうち10人は、腐敗問題で審査を受け、処分された者である。中央紀律委員会、監察部は、すでに彼らの党籍を剥奪し、公職から追放し、刑法に触れた容疑者はすべて司法機関に身柄を移し、法に基づき刑事責任を追及した。その中には元雲南省省長の李嘉廷、元公安部副部長の李紀周、元税関総署副署長の王楽毅、元瀋陽市党委員会副書記で市長の慕綏新が含まれている。

 2001年9月、中央紀律委員会は、第15回中央委員会候補委員で元雲南省省長の李嘉廷の紀律違反問題に対して審査を進めた。審査の結果、李嘉廷が趨某をはじめとする9人から、計119万元に相当する賄賂を受け取ったことが明らかになった。李嘉廷は職権を利用して他人に便宜を図り、その息子はこれらの人々から2049万元に相当する金品を受け取った。また李嘉廷は、人妻である徐某と不倫関係にあり、職権を利用して徐某のために得た不正な利益にかかわる金額は3000余万元にのぼった。

 1994年12月から1997年上半期にかけて、李紀周は、福建省廈門遠華グループの密輸犯罪者である頼昌星から何回にもわたって巨額の賄賂を受け取り、頼の求めに応じてタンカー密輸容疑に対する公安国境警備機関の査察に干渉し、さらには職権を利用して頼の会社のために便宜を図った。1994年11月末から1995年8月にかけ、李紀周は、愛人とグルになって密輸犯罪者である梁耀華から巨額の賄賂を受け取り、梁が広州新英豪発展有限公司を設立、登記するのを援助するとともに、当該公司に対する公安機関の密輸容疑での査察に何度も干渉した。李紀周は、このほかにも別の人物から賄賂や巨額の謝礼金を受け取った。

 2001年11月12日、北京市高級人民法院は最終審の裁定を下し、李紀周は収賄罪、職責怠慢罪によって執行猶予2年の死刑、政治権利の終身剥奪の判決を受けるとともに、すべての個人資産を没収された。

 現在60歳の王楽毅は、1993年8月に税関総署の副署長に就任した。1995年末から、彼は53万元余り相当の賄賂を受け取り、63万元余りの国と他人の財産を不法に占有し、29万元余りに相当する金品を受け取った。2001年、最高人民検察院は法に基づき王を逮捕した。

 慕綏新は、1993年4月から1996年12月にかけ、相前後して遼寧省建設庁の庁長、遼寧省副省長などの職に就き、1997年1月から2000年12月にかけて、瀋陽市党委員会副書記、市長に就任した。この期間中、彼は職権を利用して、権力と金銭の交換取引を大々的に行い、64人から贈られた332万元の賄賂、182万8000元相当の謝礼金と貴重な物品を計514万8000元相当受け取った。

 2001年11月13日、遼寧省高級人民法院は慕綏新に対する執行猶予2年の死刑判決を許可した。

反腐敗を注視する庶民

 党・政府機関内における度重なる高官腐敗現象の出現は、庶民の間にきわめて大きな憤りと関心を呼び起こした。

 先ごろ、複数のテレビ局が放映したテレビドラマ『黒洞(ブラックホール)』は、庶民の間に強い反響を呼び起こし、現在の高官腐敗問題をある程度暴き出したものとして人々は『黒洞』を見た。このドラマは、某市における暴力団的性格を帯びた犯罪集団が、市党委員会、市政府、税関、公安機関の幹部にほしいままに賄賂を使い、これらの収賄者が織りなす「保護の傘」のもと、長期にわたって行った密輸・密売、殺人・金品奪取の狂気じみた犯罪を描いたものである。公安機関がこの犯罪集団を取り締まるに当たっては、まず、方々からもたらされる「取りなし」や「妨害」と闘わなければならない。たとえ犯罪集団が最終的に叩かれても、大きな代価を払うことになるのである。

 昨年、国家統計局の中国経済景気監測センターが行ったアンケート調査では、中国の大衆が反腐敗関連の報道に非常に関心を寄せていることが明らかになった。

 北京、上海、広州の三都市における900人の定住住民を対象にしたこの無作為抽出のアンケート調査で、96%の市民が反腐敗・廉潔提唱の報道に関心を寄せ、32.5%の人が反腐敗・廉潔提唱の声が日増しに高まっていると見ており、29.8%の人が中国の反腐敗・廉潔提唱を「任重くして道遠し」と考えており、24.3%の人が腐敗に対する中国政府の懲罰を覚悟と自信のあるものだと見なし、13.4%の人が中国政府の反腐敗・廉潔提唱は成果があると考えていることが明らかになった。

 調査では、中国の現在の政治状況の清廉さについて、どちらかと言えば理想的な状況にあると考える人が31.2%、普通だと考える人が33.6%で、残る35.2%の人は理想的ではないと考えていることが明らかになった。

 人民大衆は、政府が体制・制度の上で、腐敗を根本から抑制、防止し、これを厳罰に処し、社会の健全な発展を保証するのを望んでいることが、調査ではっきりと示されたのである。

反腐敗には法律の援護が必要

 出所不明巨額蓄財罪の改正の提起

 先ごろ、出所不明巨額蓄財罪の改正を提起した署名論文が『人民日報』に掲載され、それは次のように指摘した。

 刑法第395条第一項は、「国家公務員の財産または支出が合法的収入を明らかに超え、その差額が巨大な場合は、その出所を釈明するよう命じることができる。その出所が合法的であることを本人が明らかにできない場合は、差額部分を不法な所得と見なし、5年以下の有期刑または拘留に処し、財産の差額部分を追徴することとする」と規定している。この規定がすなわち「出所不明巨額蓄財罪」である。この罪名が定められて13年間、汚職・賄賂犯罪を取り締まり、腐敗を処罰する上で、一定の成果を収めてきた。

 しかし、情勢の進展にともない、とりわけここ2年の司法の実践で、この罪名は反腐敗闘争の要求に完全にはそぐわないものとなった。たとえば、安徽省阜陽市の元市長である肖作新と胡継美の夫婦は、2000余万元相当の所得を不法に手にしたが、そのうち収賄によるのはわずか200余万元で、出所不明の財産が1800余万元に達した。規定に基づくなら、出所不明巨額蓄財罪としての検察院の立件基準に達するのは10万元のみになる。罪を認め、態度が良ければ、拘留されるだけですむかもしれないのである。たとえ出所不明の財産が数千万元にのぼっていても、最高刑でもわずか5年の有期刑なのである。これは汚職・収賄罪に比べ、余りに軽いもので、汚職罪は10万元から少なくとも10年の有期刑を科すことができ、ゆゆしい内容の場合は死を与えることもできる。しかし、出所不明巨額蓄財罪を、汚職・収賄の犯罪者らに罪の責任を逃れ、刑を軽くする手段として利用させてはならない。

 この文章は、刑法第383条第一項の規定を参照に、罪の確定に際しての基数と量刑の幅を適切に引き上げ、刑法第395条第一項の出所不明巨額蓄財罪関連の罰則を改正するよう提起している。

各方面の経験を汲み上げる

 昨年4月、関連部門が「政府の廉潔性の確保──米国の経験」と題した学術報告会を北京で催した。会の終了後、米国連邦議会の顧問を長期にわたって務めた米国議会図書館事務研究部の公法学者モートン・ローゼンバーグ氏は、中国の記者のインタビューに答えて「反腐敗はもとより一国家に限ったことではなく、われわれは長所を取り入れて短所を補う必要がある」と語り、次のような事実を紹介した。

 米国連邦議会はかつて1966年と1976年に、有名な「情報公開法」と「サンシャイン法(議事公開法)」を採択し、すべての公民には最大限度の知る権利を、政府の官吏には最小限度のプライバシーを守る権利を与えた。

 「情報公開法」は、アメリカ合衆国のいかなる公民も、法律で特に禁止されているものを除き、連邦政府または州政府のあらゆる公文書を見る権利を有し、なおかつ、この権利を実現するのにいかなる理由や申請も必要としない、と規定している。メディアに対しては、この権利の範囲はさらに拡大されている。政府が公衆に対してこれらの公文書の提示を拒むことがあれば、直接、司法による審査の介入を招くことになる。そして「サンシャイン法」と一連の関連法は、米国政府官吏の一つ一つの発言や行動を公衆の監督のもとに余すところなく曝け出すのである。彼らの給料、不動産、納税明細書、親族の財産状況はいずれも毎年一回、詳細に監査され、官吏たちは、いかなるものであろうと少しでも疑いを持たれるような収入に対しては釈明しなければならない。その出所を合理的に釈明できなければ、自らの職務上の地位を離れなければならないのである。

 ローゼンバーグ氏は、中国が新刑法の中にすでに「出所不明巨額蓄財罪」を設け、その中で米国で実行された「立証責任の転換」の原則を手本としていることに注目しており、このことは、中米間の反腐敗分野での協力が前途有望であることを十分に物語っている、と述べている。

今年、反腐敗に新たな動き

 1月、中国共産党中央規律検査委員会は第7回全体会議を召集した。会議は、今年は腐敗がらみの大案件・重要案件に対する査察・処分をいっそう強化し、力を集中して一連の大案件・重要案件を再度突破するよう指示した。

 ──党・政府機関、行政・法執行機関、司法機関、経済管理部門と県(処)級以上の指導幹部の紀律違反・法律違反案件を引き続き重点的に調査、処分し、当面はとりわけ金融、証券、不動産、組織人事、司法などの分野の案件を調査、処分する。

 ──政治紀律に対する重大な違反案件を断固として調査、処分する。汚職・賄賂案件、情実による法律の曲解案件、官職の売買案件、賄賂選挙案件、深刻な職務上の過失・涜職案件、指導幹部が闇の勢力のために「保護の傘」を務めている案件、社会主義市場経済秩序をゆゆしく破壊する案件に対して、一括して見つけ出し、一括して審査、処分する。

 ──社会主義市場経済の条件のもとでの指導幹部の紀律違反・法律違反の特徴と法則を研究する。通報活動を一段と強化する。腐敗問題を明るみに出す視野とルートを広げ、指導幹部による権力と金銭・色欲の交換取引が発生しがちな重点的部署や地位から着手するよう気を配り、指導幹部の配偶者や子女、身辺のスタッフに起きた問題から着手するよう目配りして、主動的に案件の糸口を見つけ出す。

 ──重大で典型的な案件の発生原因を研究し、分析して、その中から体制、制度・管理上の抜け穴や弱点部分を見つけ出し、関連部門と職場に管理を強化するよう促し、腐敗問題を根本から予防し、解決する有効な措置を講じる。

 中央紀律検査委員会第7回全体会議は、制度化、法制化の軌道に沿って権力を行使させなければならないと指摘した。具体的な内容は次の通りである。

 ──行政の審査・許認可制度の改革を加速させる。経営的な土地使用権の譲渡・入札募集・競売、建設工事プロジェクトの公開入札、政府買付、財産権取引の市場参入などの四つの制度を実行する。以上の制度があくまで実行されない場合は、直接、責任者や関係指導幹部の責任を追及する。

 ──財政制度改革を深める。部門予算を積極的に押し広める。国庫集中収支制度を一段と普及させ、政府収支行為を規範化する。「収支別建て管理」の各項規定を一段と確かなものとする。行政事業部門の銀行口座を引き続き整理、整頓し、「小金庫」や裏帳簿の設置、規則違反の銀行口座開設に対し、断固として審査・処分を与える。

 ──幹部人事制度の改革を推進する。幹部の選抜・任用に対する監督を強化し、党・政府の指導幹部の推薦・指名、考察・審査、討論・決定などの各経緯に対して全過程の監督・検査を実行し、幹部考察の予告、複数候補の考察、指導幹部の引責辞任などの制度の順調な普及を促進する。

 ──県級以上の指導幹部の経済責任監査制度を逐次普及させる。

 ──中央と各省(自治区、直轄市)の党委員会に巡視制度を逐次築き、巡視活動を一段と強化する。

 「北京週報」より

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