政府活動報告
――国務院総理 朱鎔基
 

(3月5日)

代表のみなさん

 ここに国務院を代表して、大会に政府活動報告を行い、審議を求めるとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。

 まず二〇〇一年度の活動を報告する。

 新しい世紀の最初の年に、全国各民族人民は中国共産党の指導の下、複雑で変化に富む国際情勢に臨み、困難を克服し、大きな足取りで前進し、改革開放と社会主義現代化を目ざす建設において新たな重要な成果をおさめた。

国民経済は良好な発展の勢いを保っている。世界経済の成長が目に見えて減速している状況の下、われわれは内需拡大の方針を堅持し、積極的な財政政策と穏健な通貨政策を断固として実施し、経済は比較的速い成長を達成した。二〇〇一年の国内総生産(GDP)は九兆五九三三億元で、前年度より七・三%伸びた。経済構造の調整には積極的な進展が見られた。農業の配置もいくらか最適化され、優良品質の専用農産物が増えた。情報、バイオなどのハイテク産業は急速な発展をとげた。在来工業の改造と立ち遅れた生産能力の淘汰には比較的大きな進展が見られた。インフラ整備は明らかな成果を収め、自動車道路や鉄道、河川の基幹堤防、水利センター、農村送配電網の改良など一群の重点プロジェクトを完成した。西部大開発は順調にスタートし、青海=チベット鉄道、西部から東部への送電などの重要プロジェクトが相次いで着工された。経済成長の質と効率はいっそう向上した。年間における一定規模以上の工業分野の企業が達成した利潤額は四六五七億元に達し、八・一%伸びた。租税収入は大幅に伸び、歳入は一兆六三七一億元に達し、不変価格で計算すると二四〇〇億元伸びた。金融の運営は平穏であった。消費者物価総水準は〇・七%上昇した。対外貿易輸出入総額は五〇〇〇億ドルを超え、そのうち輸出は二六六二億ドルで、六・八%の伸びであった。外商の直接投資は四六八億ドルで、一四・九%伸びた。国際収支の状況は良好で、年末時点における国の外貨準備高は二一二二億ドルに達し、昨年末より四六六億ドル増えた。人民元の為替レートは安定している。国民経済は持続的で、スピードの速い、健全な発展の軌道に沿って前進をとげている。

 経済体制の改革がさらに深化した。国有企業の改革が引き続き推し進められ、現代企業制度の整備も速められた。国によって重点企業に送り込まれた監事会の役割が強化された。企業の再編、改組の仕事は積極的に推し進められた。資源が枯渇した一部の鉱山や資産が甚だしく劣化し債務の償還ができず、黒字への転換の望みのない企業を閉鎖し、破産させることによって市場から退出させた。食糧、綿花の流通体制の改革は成果をおさめた。都市部における社会保障システムの整備と農村の租税・費用徴収制度改革のテストケースが首尾よく進められた。都市部における職員・労働者の基本医療保険制度や医療・衛生体制および医薬品の生産流通体制という三つの改革が穏当に推進された。行政審査・許認可手続きを整理し、減らした。市場経済秩序の整頓、規範化は階段的成果をあげ、ニセモノ・粗悪製品の製造・販売の違法行為を立件し、取り締ったものだけでも一二〇万余件に達して、経済分野の違法犯罪分子に手痛い打撃を与えた。

 科学技術、教育と社会事業は全面的に発展をとげた。新たな「八六三計画」や科学技術難関突破計画、重点基礎研究計画の実施が始まった。国の創造・革新システムの整備が引き続き推進された。多くの国家ハイテク産業化重要プロジェクトが本格的にスタートした。科学技術体制の改革が引き続き深化している。基礎教育と職業教育がいっそう強化され、資質教育が全面的に推し進められた。全国の一般大学の学生募集数は二六八万人で、前年度より四八万人増えた。大学の管理体制と庶務サービス社会化の改革がスムーズに行われた。資源の保護や環境対策、生態系整備が目に見えて強化された。耕地の樹林への復元と天然林保護プロジェクト整備は成果をおさめた。重点流域と区域汚染対策が強化され、一部都市の環境の質がいくらか改善された。社会主義精神文明の建設と民主制度・法制の整備が推進されている。社会科学や文化・芸術、報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、医療・衛生、計画出産、スポーツなど諸般の事業は新たな成果を収めた。都市のコミュニティと農村の末端における政権の建設が強化された。農村における「三つの代表」を内容とする学習・教育活動が深く行われた。民族と宗教の仕事はいっそう強められた。廉潔政治の建設と腐敗反対闘争にいっそう力を入れ、その成果は明らかであった。「刑事犯罪活動を厳しく取り締まる」という整頓・対処のための闘争と社会治安総合対策は初歩的成果をおさめ、法律に依拠して多くのマフィア的性格を持つ犯罪グループを取り除き、多くの重大な刑事犯を処罰した。国防と軍隊の現代化建設は新たな一歩を踏み出した。

 都市・農村住民の生活が引き続き改善された。都市部住民の一人あたりの可処分所得は実質的に八・五%伸びた。中央財政と地方財政は社会保障のための支出を大幅に増やした。国有企業の一時帰休者の基本生活費と定年で引退あるいは退職した職員・労働者の基本養老年金は基本的に遅滞なく全額給付されている。都市部住民最低生活保障で確保されている人数は年初の四〇〇余万人から一一二〇余万人に拡大された。国は政府機関・事業体職員の給与と定年引退・退職者の養老年金水準を引き上げ、定年引退・退職者の基本養老年金を増額した。上述の数項目で、当年の中央財政だけでは支出を六二一億元増やした。農民の一人あたりの純収入は実質的に四・二%伸びた。農村送配電網の改良と電気料金の整頓を通して、農村の電気料金を引き下げ、農民の負担を軽減した。都市・農村市場は活気に満ち溢れ、住民の住宅、交通の条件はいっそう改善された。

 昨年、われわれは中国共産党成立八十周年を盛大に祝い、江沢民総書記が「七・一」大会で重要な演説を発表し、「三つの代表」という思想の科学的な内容とその重要な意義を述べた。党の十五期六中全会は党の作風を強化し、改善するという重要な決定を採択した。北京は二〇〇八年オリンピック大会の主催権を勝ち取った。わが国は成功裏にアジア太平洋経済協力会議(APEC)第九回非公式首脳会合などの重要な国際会議を主催した。長期にわたって努力を続け、わが国は世界貿易機関(WTO)に正式に加盟した。これらはいずれもわが党と国の事業の発展に重要かつ深遠な影響を及ぼし、全国各民族人民の愛国心を最大限に沸き立たせ、民族の誇りと結束力を増強した。

 二〇〇一年に経済と社会の発展で顕著な成果をおさめたことはたしかに容易なものではなかった。これは江沢民同志を中核とする党中央が全局を統轄し、時代の情況をわきまえ、時機を逸することなく正しい政策決定や布石をおこなった結果であり、全国各民族人民が鋭意進取し、団結して奮闘したたまものである。ここに、私は国務院を代表して、全国の諸分野で勤勉に仕事に励んでいる広範な労働者、農民、知識人、公務員、人民解放軍および武装警察部隊の将兵、公安幹部・警察官ならびに各界の人々に対して、崇高な敬意を表すものである。祖国の建設と統一に関心と支持を寄せる香港特別行政区、澳門特別行政区の同胞ならびに台湾の同胞と海外の華僑同胞に対して、心から感謝の意を表すものである。

 だが、われわれは当面の経済生活、社会生活においてなお少なからぬ早急に解決が待たれる問題が存在していることも冷静に見て取っている。それは主として次のようなものである。農民の収入の伸びが鈍化して、一部の主要食糧生産地区と重度罹災地域における農民の収入が減少し、一部の地方では賃金の遅配が深刻で、一部の企業の生産と職員・労働者の生活がなお困難な状態にあり、就業のプレッシャーが増大していること。産業構造の不合理さと経済体制の深層にある問題がいまだに解決されておらず、生態環境の問題は依然としてかなり際立ったものがある。地方保護主義は何度禁止されても止むことなく、市場経済秩序は引き続き整頓が待たれている。一部の地方、部門及び指導幹部の中に見られる形式主義、官僚主義が大流行し、虚偽や欺瞞、派手好みが甚だしく、一部の腐敗現象がなおかなり目立っていること。一部の組織が法規に背いて財政資金と特別項目資金を流用していること。法律があるにもかかわらずそれに依拠せず、法律の執行は厳格でないといった問題がかなり普遍的に見られていること。重大な事故が時おり発生していること。一部の地方では社会治安状況がよくないこと。これらの問題は長年にわたって積み重ねられてきたものもあれば、仕事の中の欠点および過ちと関わりのあるものもある。われわれは必ず高度に重視し、これらの問題の解決のために強力な措置を取らなければならない。

代表の皆さん!二〇〇二年はわが党と国の発展史上において非常に重要な年である。今年の諸般の活動を立派に進めることは、非常に重要な意義を持つことになろう。当面の国際情勢は複雑に錯綜しており、世界の経済と貿易の伸びは依然として鈍化しつつあり、国際市場の競争はいっそう激しくなり、貿易保護主義に拍車がかかっている。わが国の世界貿易機関(WTO)加盟は、全体的に見ると改革開放と経済の発展にプラスとなるものであるが、今後短期間において競争力の弱い一部業種、企業はかなり大きな打撃をこうむることになろう。われわれは新たな困難と厳しいチャレンジに直面している。それと同時に、今年度の活動を立派におしすすめる上では多くの有利な条件が存在していることをも見取らなければならない。わが国の総合的国力は著しく増強され、かなり充実した物的基盤をもち、食糧の備蓄、外貨準備高など重要な備えが十分にあり、国内市場の潜在力も極めて大きく、経済の発展にとってかなり大きなゆとりがあること。わが国の社会、政治が安定していること。とりわけ江沢民同志を中核とする党中央は、種々の複雑な局面に対処する豊富な経験を積み上げていること。われわれは確信を強め、精神を奮い立たせ、すべての有利な条件を充分に生かし、各方面の意欲を引き出し、諸般の活動を立派におしすすめることに努めなければならない。

党中央の配置によれば、今年度の活動の全般的な要請は次のようなものである。ケ小平理論と党の第十五回大会の精神を指針として、江沢民同志の重要な「七・一」講話と党の十五期五、六中全会の精神を一歩すすめて着実に貫徹し、「三つの代表」の要請にしたがい、複雑で変化に富む国際政治・経済情勢を正しく把握し、前進途上のさまざまなリスクを防ぎ止め、困難を乗り越え、それによって経済と社会の安定を保つこと。内需拡大方針の実施を堅持し、引き続き改革を深化させ、開放を拡大し、構造調整を速め、市場経済秩序を整頓し、規範化させ、経済成長の質と効率を高め、国民経済の持続的でスピードの速い、健全な発展と社会の全面的な進歩を促すこと。精神文明の建設、民主制度・法制の整備と党の組織建設を着実に強化し、政府の職能を転換させ、団結して奮闘し、勤倹をむねとして国づくりに励み、改革開放と現代化をめざす建設の新たな成果をもって党の第十六回大会を迎えることである。

この全般的要請に基づき、今年度の重点として以下の八つの方面の活動をうまく進めなければならない。

一、内需を拡大し、育て上げて、経済の比較的速い成長を促すこと。

国民経済の比較的速い成長を保つことは、就業機会の増加、人びとの生活の改善と社会の安定の維持のための基礎であり、構造の調整と改革の深化を推し進めるための重要な条件でもある。当面の厳しい国際経済情勢のもと、経済の比較的速い成長を達成する根本的対策は、内需を拡大し、消費と投資という二重の牽引力をいっそう引き出すことである。引き続き積極的な財政政策と穏健な通貨政策を実施する上で、さらに必要な取り組みを保ちつづけると同時に、その他の関連のあるマクロ経済政策をとらなければならない。

内需の拡大には、何よりもまず都市・農村部の住民、とりわけ低所得層の収入を増加させ、その購買力を培い、向上させることが必要とされる。つまり、一つは、よりいっそう有力な措置を講じて、あらゆる手段により農民の収入を増やし、農民の負担を確実に軽減すること。二つは、都市部の社会保障システムをいっそう整備すること。当面の急務は依然として「二つの確保」を貫徹することである。即ち、国有企業の一時帰休者の基本生活費と定年引退・退職者の基本養老年金が期日通り全額給付されることを確保し、いかなる所においても給付の新たな遅滞があってはならない。失業保険制度を充実させる。それと同時に、都市部住民の最低生活保障制度の整備を強化し、基準に適うすべての都市部貧困層の住民が最低限の生活を保障できるようにして、保障すべきものはすべて保障するようにしなければならない。中央財政は予算編成にあたって「最低生活保障」のための資金をかなり大幅に増やしており、地方財政も必要な資金を増やさなければならない。特に困難な業種と企業の職員・労働者に対しては、効果のある措置を講じることにより彼らの困難の解決にも手を貸さなければならない。引き続き都市部職員・労働者の基本医療保険制度、医療・衛生体制と医薬品生産・流通体制の改革を推し進める。遼寧省全域およびその他の省、自治区の一部都市における社会保障システム整備のテスト作業をいっそう立派に行う。全国の社会保障基金の調達と効率的管理、運用に努める。三つは、引き続き政府機関・事業体職員の基本給を適当に引き上げ、さらにそれに見合うよう政府機関・事業体の定年引退・退職者の退職年金を増やすこと。各種所有制の企業も収益の向上をふまえ、その職員・労働者の給与を適当に増やすべきである。一部の地方の幹部、公安・検察・司法機関の幹部・警察、教師の給与遅配の問題に対して、関係のある地方政府は有力な措置を講じてそれを早期解決しなければならない。地方財政は何よりも先に給与の支給を保障し、これまでに遅配していた分も早期補填しなければならない。新規建設プロジェクトの着手や至急に必要とはしない事業をとりやめたり、少なくしてでも、給与の期日どおりの支給を確保すべきである。職場の定員、編制の確定を厳しくしたうえでなお給与の支給に確かな困難が生じる省、自治区、直轄市に対しては、中央財政は移転支出によって補助を与える。市、県クラスの財政に困難がある場合、省クラスの財政も移転支出によって補助を与えるべきである。四つは、就業機会の増加と再就職に積極的に取り組むこと。これは住民の所得を増やす重要な手段である。就職のルートを広げ、就職のための職場を増すことに努める。就業受け入れ能力の大きい労働集約型産業、サービス業、中小企業を大いに発展させる。コミュニティ・サービス分野における就職の道を広げる。弾力性、柔軟性に富む多様な就職の形態をとる。労働市場を発展させ、就職サービス・システムを充実する。自助努力による就職の奨励と就職促進のための優遇政策措置を真剣に徹底化する。社会の弱者層に特殊な就職支援を与える。五つは、消費の分野をさらに開拓し、消費環境を改善すること。改革の深化を通じて、政策を調整し、消費を制約するさまざまな障害を取り除く。住民が住宅、観光、自家用車、電信・電話、文化、スポーツおよびその他のサービスの消費を増大することを奨励し、新たな消費ホットスポットを育成する。

国債投資を必要な規模で維持し、固定資産への投資の比較的速い伸びを促す。必要性と可能性に合わせて、今年度は長期建設国債を一五〇〇億元発行する予定である。それは主として、目下着工中の国債による建設プロジェクト、西部開発プロジェクト、重点企業の技術改良および南部から北部への導水、北京・天津における水資源保護プロジェクト、農村のインフラ、公安・検察・司法機関と、大学の学生募集拡大に必要な施設などの方面の建設に用いる。一九九八年以来起工した大部分の国債によるプロジェクトは、今年度内に一応完工させなければならない。目下、住民の預貯金がかなり増大し、銀行には資金の余裕がかなりあり、金利水準は比較的低く、市場価格は安定しており、国債残高の国内総生産(GDP)に占めるウェートが依然として安全ライン以下にあるため、長期建設国債の発行にはなお一定の余地があり、大きなリスクはないと見ている。国債投資により重要なプロジェクトと社会の至急に必要とするプロジェクトの整備を行うことは、経済成長の促進と財源の拡充に寄与するばかりでなく、力を集中して大規模な事業を起こし、各方面の資金の運用効率を充分に発揮することにも役立つ。国債投資を増大させると同時に、さらに措置を講じて他の国内資金も活用し、立派に運用し、社会的投資を誘導し、奨励しなければならない。資金を合理的に節約して運用することを高度に重要視し、不利益な投資と重複した建設を断固として防ぎ止める。インフラ建設に対しても、合理的に計画し、財力相応にやるべきであり、実際の効果を求め、過度に先取りしすぎてはならない。引き続き国債資金の運用、プロジェクト整備と工事の質に対する監督・管理を強化し、国債資金のさまざまな横領、他の用途への流用といった行為を厳しく取り調べ、処理する。

財政・税務の仕事を立派に推し進めるように努め、税制の安定を保ち、租税徴収の管理を強化する。法によって租税徴収を厳格におこない、徴収すべきものはすべて徴収し、様々な租税徴収の抜け穴を塞ぐようにする。「一つには生計を立てること、二つには建設に取り組むこと」という方針を真剣に貫き、財政支出構造を合理的に調整し、緩急軽重を区別し、確保すべきものは必ず確保し、圧縮すべきものは断固圧縮する。中央と地方政府間の配分関係をよりいっそう規範化し、合理的な配分メカニズムを確立し、西部の開発をサポートするために、今年から所得税収入に対し、中央と地方の比率による割当方法を実施することになる。中央は所得税増額分のうち、増加享有分のすべてを、地方わけても中・西部地区への一般的移転支出に振り向ける。

 ひきつづき穏健な通貨政策を実施し、金融機関に対する監督・管理を強化する。金融機関は金融リスクを確実に防ぎ、それを解消すると同時に、経済の発展に積極的な支持を与え、サービスの改善に力を入れる。銀行は貸付構造の調整をはかり、国債投資のプロジェクト、農業の構造調整、企業の技術改良、中小企業とくに科学技術型中小企業の発展を重点的にバックアップし、市場があり、収益を上げている信用のある企業に対する流動資金の貸付をできる限り満たし、個人住宅ローン、学資ローンなど消費貸付業務を展開する。現代金融制度の整備を速め、金融企業の改革を深め、内的メカニズムの健全化をはかり、経営管理を強化する。商業銀行は今年から貸付の質を五つグレードに分ける制度を全面的に実行し、情報開示を改善する。証券市場のさらなる規範化と発展をはかり、ひきつづき保険業の健全な発展を促進する。金融の法による統制と監督・管理を強化する。情報化整備を速める。国際金融市場の変化に厳密な注意をはらい、わが国の金融市場に対する国際短期資本の衝撃を厳しく防ぎ、金融の安全を確実に保証する。

二、農業と農村経済の発展を速め、農民の収入増に力を入れる

 農業の生産力を発展させ、農民の購買力を高めることは、内需を拡大し、培うための重要な側面であり、国民経済の発展と社会の安定といった全局に関わるものである。農業の強化と農民の収入増を経済活動全般に関わる際立った任務とし、農民の収入増とその負担の軽減を達成したかどうかを、農業と農村の活動を点検、評価するための重要な基準としなければならない。

 根本的に言えば、農民の収入増をはかるためには、必ず農業と農村の経済構造の調整を加速し、農業の産業化経営に大いに取り組み、積極的に在来の農業の現代的農業への転換を推し進めなければならない。優良品種と実用的な先進技術の普及に大いに力を入れ、良質、専用、無公害の農産物の開発を速める。ひきつづき農業の内的構造を調整し、積極的に牧畜業と水産養殖業を発展させる。区域的比較優位性を発揮させて、農業配置の調整と最適化を速める。沿海地区と大・中都市の郊外においては高効率の農業の発展に大いに力を入れる。中部の主要食糧生産地においては、食糧主要販売地が部分的な食糧市場を開放するチャンスを逃がすことなく、良質食糧の生産を拡大し、食糧の総合的収益と市場競争力を向上させる。西部地区においては特色のある農業、畑作農業及び生態農業を発展させる。農産物の輸出を意欲的に拡大する。「会社プラス農家」、「受注農業」などのやり方を普及させ、逐次農産物の生産、加工、販売の一体化経営を形作る。波及面が広く、牽引力のある一群のリーディング企業の育成を急ぐ。農業科学研究とその普及体制の改革を深め、生産者・科学研究機構・学校の連携を推進し、ひきつづき「火花計画」(科学技術計画)を実施し、農業科学技術成果の転化、応用普及を速める。農業の構造調整をはかるには、市場ニーズを導きとすることをあくまで貫き、実際から出発し、農民の願望を十分に尊重しなければならず、絶対に強制命令をしてはならない。各級政府は計画を立派に立て、農業に対する科学技術的投入を増やし、サービスを強化し、農産物の品質基準と認証体系、検査・測定体系、市場情報体系の確立に力を入れ、良好な市場環境を作り出さなければならない。

 農民の収入をできるだけ早く増加させるためには、下記のような仕事も上手に進めなければならない。

 一つは耕地を樹林に復元する規模を拡大する。二年間あまりのテストで立証されているように、中・西部の一部地方においては、耕地を樹林(草地、湖沼にもどすことも含む)に復元することは、生態環境を改善し、農業構造の調整を促進するための重要措置であるほか、農民の収入増に直接つながる効果的な方途でもある。当面、食糧など農産物の供給が十分であるので、耕地を樹林に復元するテンポを速める良いタイミングである。今年は耕地の樹林復元の規模をさらに拡大し、放牧を休めてもとの草地にもどし、造林に適したはげ山、荒地の造林テンポを速める。地元に即してことを運ぶことを堅持し、種類別に指導することをつよめ、耕地を樹林に復元させるための諸政策を真剣に実行し、一連の措置を充実させ、優良な種子苗木の育成と供給を速め、耕地を樹林に復元させる質を保証する。耕地の樹林への復元プロジェクトと天然林保護プロジェクトを実施するためには、いずれも後続産業の開発をりっぱにおしすすめることを重視しなければならず、それによって大衆の生活物資の長期的供給と関係地方の必要な財政収入を保障しなければならない。耕地の樹林への復元に関する法規の策定を急ぐべきである。

 二つは農村の租税・費用徴収の改革と食糧・綿花流通体制の改革を深化する。農村において租税・費用徴収の改革をすすめることは、農民の負担を軽減する根本的な方策である。今年はそのテストの範囲をよりいっそう拡大し、主として中部地区における食糧主要生産省及び農業の占めるウェートの大きな省でおしすすめ、その他の省、自治区、直轄市については、一部の県・市でテストを続けていく。中央財政は予算の枠内で相応の資金を計上して、それを助成する。テストを実施する地方の財政も資金を適宜計上して改革をサポートしなければならない。同時に、郷・鎮機構、農村における教育及び県・郷財政体制などの関連の改革を上手に行うべきである。農村において租税・費用徴収の改革を進める場合、農民の負担を著しく軽減させる一方で、郷・村の仕事の正常な運営と発展に必要とされる経費、特に農村の義務教育経費を保障すべきである。まだ租税・費用徴収の改革を行っていない農村では、中央の関連規定を厳格に執行し、農民の負担を軽減するさまざまな仕事をひきつづきおしすすめなければならない。各地は農村における教育、電気料金、住宅建設などの面に見られるむやみやたらな費用徴収に対し、よりいっそう特別の整理を強化すべきである。食糧流通体制改革の深化をめざす措置を全面的に実施し、食糧買付・販売に関与する国有企業の改革に大きな力を入れ、食糧市場管理の改善と強化をはかり、食糧の主要販売地と主要産地が長期的に安定した買付・販売パートナーシップを構築するよう促す。綿花の買付販売の市場化改革にかかわる諸般の仕事を引き続き立派に推し進め、綿花の生産と市場の安定を保持する。

三つは農民の収入を増やすルートの拡充に努める。農産物加工業、農村サービス業を重点として農村の第二次、第三次産業の発展を加速する。郷鎮企業が構造調整、技術進歩、体制革新のテンポを速め、発展水準の向上に取り組むよう指導する。都市・農村間の経済的往来を拡大させることは農民の収入を目に見えて増加させることに役立つ。各地方においては不合理な規制やむやみやたらな費用徴収を整理し、取り消し、就労や商売のために都市へ流れ込む農民のために便宜をはかり、かれらの合法的な権益を確実に保障しなければならないが、それと同時に管理と誘導を強化すべきである。都市化を積極的かつ穏当に推し進め、農村の労働力が非農産業へ移転するのを促す。

四つは農業に対する助成をいっそう強化する。世界貿易機関(WTO)のルールに合致した措置をとって農民の利益を擁護するよう努める。農業や農村におけるインフラ建設への投資を増やし、生産・生活条件および生態環境の改善に取り組む。重点として節水灌漑、人間・家畜の飲み水、農村のメタンガスや農村における水力発電、農村の道路および牧草地の柵などの施設の整備を助成する。農業関連の科学研究や技術普及、病虫害対策、情報コンサルタント、農民の養成トレーニングなどの面で農業に対する助成を強めなければならない。農業に対する金融面のサービスを改善する。農村での貧困扶助開発をいっそう繰り広げ、多ルートを通じて貧困扶助資金の増加をはかり、公共事業受け負いによる救済の規模を拡大する。被災地区と特別貧困地区に対しては支援を拡大し、農業、牧畜業関連の租税を減免し、しかもそれが真に実行されるように確保する。農村の特別貧困世帯や優遇・扶助対象の実際的な困難の解決のために積極的に手助けする。

三、経済構造の調整と経済体制の改革を鋭意推進する

経済の発展を制約する構造的矛盾と体制上の障害を一歩進んで解決することは、経済の持続的な成長を促進し、経済の質と競争力を向上させるための根本的な措置である。経済構造の調整を大いに推進し、経済体制の改革をたゆむことなく深化させなければならない。

産業構造の最適化とグレードアップのプロセスを速める。一つはハイテクと実用的な先進技術を導入して在来産業を改造し、グレードアップさせる。重点業種や中堅企業で技術改良を推し進め、国の重点任務を引き受けている大型装置製造企業の製品開発と技術革新能力の向上をサポートする。企業の技術改良にあたっては、ゆきとどいた計画を立て、「品質、品種、効率」を重点として適切なプロジェクトを選ぶべきで、重複建設や単なる生産能力拡大などをやってはならない。紡績、冶金、石炭などの業種においては立ち遅れた生産能力の淘汰で得た成果をうち固め、それを拡大し、石油化学、建材、機械、医薬品、製糖、タバコなどの業種においては引き続き過剰で立ち遅れた生産能力の圧縮の仕事をおしすすめる。すでに淘汰された生産能力は、いかなる口実や形をとった生産の回復もそれを絶対に許してはならない。引き続きエネルギー構造を調整する。旧工業基地の調整、改造の加速を推進する。資源採掘を主とする都市や旧鉱区で後続産業または代替産業を発展させるようサポートする。二つは情報、バイオ、新素材などのハイテク産業の発展を速める。引き続き情報ネットワーク、新型電子デバイス、集積回路(IC)、ソフトウェア、新素材および漢方薬の現代化など特定分野でのハイテク産業化の重要プロジェクトの企画、実施に力を入れる。国民経済と社会の情報化を推進する。三つは第三次産業、とくに現代サービス業を鋭意発展させる。金融、会計、コンサルタント、法律サービスなどの業種の発展を速める。チェーン経営、物流配送、代理制、電子商取引などのような組織形態やサービス方式を逐次推し広める。観光業と文化産業を大いに発展させる。

西部開発を積極的に推進し、地域間のバランスのとれた発展を促す。西部地区のインフラや生態環境の整備を引き続き強化する。青海=チベット鉄道、西部の天然ガスの東部への輸送、西部の電力の東部への輸送などの重点プロジェクトの建設に力を入れる。耕地の樹林への復元、天然林の保護、「三北」(東北・華北・西北)防護林および砂漠化防止などのプロジェクトを引き続き実施する。西部大開発における諸政策・措置をまじめに実施し、かつての革命根拠地や、少数民族地区、辺境地区と貧困地区の発展を促す。西部地区は比較優位のある産業と特色のある産業の発展を重視すべきで、重複建設や盲目的な投資をしてはならない。すでに淘汰された企業と設備の西部への移転を防ぎ、生態環境を破壊しないようにする。中部地区は地域の優位と資源の優位を十分に生かし、新しい経済成長スポットを鋭意育成すべきで、その発展のテンポを速めるため、国は建設プロジェクトの配置に際してそれを助成しなければならない。東部地区は産業構造を最適化し、外向型経済を大いに発展させ、経済の質と競争力を向上させ、多種多様なやり方で中・西部地区との経済上、技術上の協力を強化すべきである。

 国有企業の改革を中心とする諸般の改革を深化させる。この数年来、国有企業の改革は非常に大きな進展をとげたが、任務は依然としてかなり困難なものであるため、これまで通りその推進に大きな力を注がなければならない。一つは現代企業制度の整備を確実に強化すること。引き続き規範化した株式会社制の改造を推し進め、コーポレート・ガバナンス構造を健全化し、経営メカニズムを真に転換させる。今年は上場会社の現代企業制度構築をチェックすることに重点をおき、その中に存在する問題を見つけ出し、それを真剣に解決する。企業内部の改革を強め、中央管理下にある少数の大型企業や海外上場会社を選んで、分配制度改革のテストを行い、企業経営者にとって有効なインセンティブや拘束メカニズムを構築する。企業の会計制度が国際会計慣行とリンケージすることを促す。企業における品質、コスト、マーケティングの管理を強化し、改善する。企業管理の現代化と情報化の整備を加速する。二つは企業の再構築と再編を鋭意推進すること。一群の国際競争力を備えた大会社や企業グループを一日も早く形成し、発展させる。引き続き多様な形態により国有中小企業の自由化を進める。企業の再構築と再編においては国有資産の流失と銀行債務の逃避を防がなければならない。三つは企業の倒産、吸収合併を引き続き段取りをおって推し進めること。わけても政策に基づいて職員・労働者を適切に再配置し、社会の安定を保つように気を配らなければならない。銀行の不良債権償却引当金を適当に増やし、主として重点的な業種や地区の企業の倒産、吸収合併に使い、とくに資源の枯渇した鉱山や軍需工場などの特別困難な企業の閉鎖、倒産に使う。引き続き社会事業運営の機能を企業から切り離すことに努める。

 独占業種における改革を推進する。政府・企業の分離や企業の再構築により業種の独占を打破し、適度な競争を形成する。電信・電話、電力、民間航空などの業種における管理体制の改革をできるだけ早く実施し、鉄道業種における管理体制の改革案の検討を急ぐ。生産、経営の正常な運行や人材の確保を保証するため、関係部門は改革の仕事への指導を強化しなければならない。

 公有制を主体とし、多種類の所有制経済をともに発展させるという基本的経済制度を堅持する。公有制の多様かつ有効な実現形態を積極的に模索する。引き続き混合所有制経済と集団経済を発展させ、私営や個人経営経済の健全な発展を奨励、支持し、誘導する。

 その他の諸般の改革においても、社会主義市場経済体制をより充実させるといった要求に基づいて積極的に推し進めなければならない。投・融資体制の改革案をできるだけ早く作成し、それが早期に実施できるように努力する。引き続き分配制度や、金融、財政・税制、対外貿易、住宅などの面の改革をも深化させるべきである。

四、世界貿易機関(WTO)加盟後の新しい情勢に適応し、対外開放のレベルを全面的に高める

 我が国の世界貿易機関(WTO)加盟は、対外開放が新しい段階に入ったことを示すものである。われわれは積極的な姿勢を以って、より広い範囲でさらに踏み込んで、国際経済協力と競争によりいっそう参与し、世界貿易機関(WTO)加盟後一年目の諸般の仕事をうまく行わなければならない。

 世界貿易機関(WTO)加盟の要請に応じるために、ここ数年来、とくにここ数ヵ月間に、我が国は大量の仕事を行ってきた。全国的な関連法規・規則の整理はおおむね完成し、一部の法律・法規が撤廃、改正され、また多くの法律・法規が制定された。二〇〇二年一月一日から、我が国はすでに関税の全般的水準を一五・三%から一二%まで引き下げ、それは五三〇〇の税目に及ぶものであった。今年はこれまでに実施してきた諸作業を踏まえて、国際競争力の増強を核心とし、重点的に下記の幾つかの方面に取り組む必要がある。一つは、法制の一本化、非差別的で、公開かつ透明性があるという原則にもとづいて、世界貿易機関(WTO)のルールにも合致すれば、我が国の国情にも適合した渉外的経済法律・法規体系の整備を急ぎ、法律執行の公正と効率を確保する。二つは、世界貿易機関(WTO)加盟の際の公約にもとづいて、段取りを追って対外開放の分野を拡大する。それと同時に品質、医療・衛生、疫病予防、環境保全、安全などの面での市場参入基準の制定、改正を急ぐ。三つは、世界貿易機関(WTO)のメンバーとして我が国が享有する諸権利を真剣に検討し、掌握し、それを充分に行使し、積極的に地域経済協力を促し、それに参与する。四つは、世界貿易機関(WTO)の関連知識やルールの勉強、広報を立派に組織する。時期、グループに分けて、国家公務員、とりわけ県(処)クラス以上の指導幹部と大・中型企業の管理要員に対する普遍的育成・訓練を行い、世界貿易機関(WTO)のルールと国際経済貿易に詳しいさまざまな専門人材の育成を速める。

 対外貿易の仕事に真剣に取り組む。市場多元化戦略を引き続き実施し、今年度の対外貿易の輸出が幾らか伸びるよう力を入れる。既存の市場の維持に努め、新しい市場を開拓しなければならない。輸出商品の構造を調整、最適化し、商品の品質と付加価値を高める。輸出を奨励する政策、措置を着実に実行する。輸出で外貨獲得の多い、信用のある重点企業については税金を期限通りに全額払い戻すことを優先的に保証する。輸出戻し税制度の改革と整備を急ぎ、生産企業がみずから経営するか対外貿易企業に委託し、代理してもらう輸出向けのその製品に対して、全面的に租税の「免除、相殺、還付」という方策を実行する。輸出金融と信用保険を拡大し、輸出に対するバックアップを強化する。税関は改革を深め、さらに通関効率と監督・管理のレベルを向上させなければならない。国有の対外貿易企業の改革と再編を推し進め、対外貿易の経営主体の多元化と輸出ルートの多様化を促す。引き続き「海外進出」戦略を実施し、条件の整った各種所有制の企業が外国、とくに周辺諸国で投資して工場を設立し、工事を請け負うことを奨励し、バックアップし、国内の技術、設備、材料と労働力の輸出を促進する。先進技術、カギとなる設備と欠乏している原材料の輸入の仕事をうまく行い、重要な戦略物資の輸入市場の多元化を逐次実現する。

 引き続き外資を積極的に利用し、外商の投資構造の最適化をめざす。先進技術、現代的管理ノウハウと専門人材の導入に大いに力を入れる。外商の現代農業、ハイテク産業、インフラ建設、西部開発への投資と国有企業の改造・再編への参与を奨励し、導く。外商、とくに多国籍企業が我が国の国内で、研究・開発センター、生産・製造基地と地域駐在本部を設置することを奨励する。商業貿易、観光、会計、会計監査などの面で信用のある外国の大手企業と仲介機構を誘致し、我が国のサービス業の発展を促す。積極的に条件を作り出して、海外の中小企業の投資を引き付ける。引き続き投資環境を改善し、法制を健全化し、法律に則って事を運び、サービスを改善し、効率の向上をめざす。外商誘致と資金導入の行為を規範化し、それに内国民待遇制度を逐次実行する。上海が二〇一〇年万国博覧会を招致する活動をバックアップする。

五、引き続き市場経済秩序の整頓と規範化に大いに力を入れる。

 市場経済秩序の整頓と規範化に大いに力を入れることは、内需を拡大し、経済の良好な発展を促す上で差し迫った要請であり、世界貿易機関(WTO)加盟と対外開放が新たな一歩を踏み出すための必然的な選択であるとともに、社会主義市場経済体制を充実させる重要な措置でもあり、我が国の現代化事業の成否に直接にかかわる問題である。昨年勝ち取った段階的成果を踏まえて、さらに大きな決意を持って、より強力な措置を講じて、この仕事を深く、持続的に繰り広げていく必要がある。

全般的に展開し、重点を際立たせる。当面の際立った問題と緊密に関連付け、力を入れて以下の各方面のことにしっかり取り組む。第一に、一歩進んでさまざまなニセモノ・粗悪製品の製造、販売という違法犯罪行為を厳しく取り締まり、とりわけ人々の生命や健康に大きな危害を与える食品、医薬品、医療器械などの面での偽造品の生産、販売行為を厳重に取り締まる。第二に、建築市場、文化市場と財政・税務秩序を引き続き整頓し、規範化させる。手をゆるめることなく、さまざまな税金のごまかし、脱税、外貨の海外への不法持出し、外貨の詐取、ネズミ講式販売や密輸等の違法・犯罪行為を取り締まる。手形、証憑の偽造とニセの帳簿作り等の違法行為を厳しく取り締まる。会計士事務所等の仲介サービス組織を整頓し、規範化させる。観光市場の秩序を大いに整頓する。第三に、金融秩序の整頓を徹底する。銀行、証券、保険等金融機構における法律・規律違反の不正経営行為を真剣に取り調べ、処理し、非合法な金融機関と不法な金融活動を断固取り締まり、金融上の詐欺、不法な資金調達、相場操縦、インサイダー取引、銀行に対する悪意の債務逃れや債務不履行等の行為を法によって捜査、処罰する。第四に、地方保護と業種による独占を打破する。特権を利用して、関所を設け、商品流通を阻害し、公正な競争を妨害するといった行為に対し、法によってこれを是正し、取り調べ、処分する。引き続き精製油市場や各種類の自由市場を整頓する。価格と費用徴収面にしぼった整頓をさらに推し進める。第五に、生産・交通の安全管理を強化し、安全に関わる責任制を健全化する。種々の規律・規則に違反した指令や操作を確実に改め、安全にかかわる重大事故の発生を防ぐ。特に危険な化学製品、爆発・発火・引火性物質の生産経営、輸送、保管と使用過程における監督・管理を最も強化しなければならない。法に依拠して製品の品質が粗悪で、環境汚染や資源の破壊をもたらす、安全生産条件の備わっていない工場と鉱山を断固として閉鎖する。市場経済秩序を整頓し、規範化させる過程で、力を集中して重大案件や重要案件を取り調べて処理し、違法犯罪分子と腐敗分子を厳しく処罰する。

枝葉末梢と根本をともに解決し、根本に重点を置く。さまざまな市場主体の資格を厳格にチェックし、市場参入の関門を立派に守らなければならない。各級政府部門は規定に則って企業や仲介機構との関係を断固として断ち切らなければならない。さらに有力な措置を講じて、行政的負担金と罰金・没収による収入に対してそれぞれ「収支二本立て」管理といった規定を真剣に実行する。総合財政予算と部門別の予算を実行し、各部門の法による行政と法律の厳格な執行に必要な財政支出を保証する。法治を強化し、行政的処罰と刑事責任追及が結び付いた規定を充実させ、違法しても追及されず、罰金で刑に取って代わるといった現象を断固防止し、是正して、違法犯罪を大いに取り締まる。重層的な、多くの部門がからむ法執行の問題を解決し、法律執行の責任と責任追及制を厳格化させる。社会の信用制度づくりを着実に強化し、逐次全社会で誠実信義の原則を根本とし、節操を重んじる良好な気風を確立する。企業・仲介機構および個人の信用情報収集・保管制度の確立を急ぎ、不正行為の記録がある者は社会的信用を葬り去って、ひいては刑事処罰を受けるようにして、その代価を払わせる。広範囲にわたって現代的監督・管理手段を利用し、情報ネット・リソースを総合的に利用し、相互のアクセス、情報の共有を実現させる。流通体制の改革を速め、現代的流通方式を発展させ、ニセモノ・粗悪製品を市場に流れ込ませないようにする。業種協会と仲介機構の役割を十分に果たさせ、自己拘束メカニズムを改革し、充実させ、広範な大衆とマスメディアの監督の役割を重要視する。

六、科学技術・教育による国家振興の戦略、持続可能な発展の戦略を実施し、精神文明の建設を強化する。

科学技術の進歩と創造・革新を推進する。国の創造・革新システムの建設を速める。基礎研究と戦略的意義を持つハイテクの研究を強化し、自主的創造・革新能力の向上に努める。産業のグレードアップと競争力の向上を中心にして、カギとなる技術と共通性のある技術に関する研究・開発を強化し、科学技術成果の産業化と普及応用を速める。ベンチャーキャピタル投資メカニズムと科学技術の創造・革新インセンティブ・メカニズムを確立し、充実させる。科学技術体制の改革をさらに推し進め、応用型科学研究機構と社会的公益性のある科学研究機構の改革を深く進める。縦割りや横割りの分割を打破し、社会的科学研究資源を合理的に配置し、部門、地方、大学と企業がお互いに結び付いた科学技術管理体系を確立する。大・中型企業の技術開発センターの建設を強める。哲学・社会科学を繁栄、発展させ、重点として全局にかかわる、予見性、戦略性のある重要課題の研究に取り組む。知的所有権の保護と管理を強化する。

教育を優先的に発展させる方針を堅持する。資質教育の推進に力を入れ、学校における思想・政治教育の活動を強化し、学生の徳育、知育、体育、美育の全面的な発展を促す。基礎教育を強化し、農村地区における「九年制義務教育の基本的な普及と青・壮年非識字者の基本的な一掃」の成果を固め、とりわけ貧困地区と少数民族地区における九年制義務教育普及のテンポを加速する。農村義務教育における県を主体とした管理体制の改革を推進し、教師の給与が期日通り全額支給されるよう確保する。高校段階の教育を積極的に発展させる。一般高等教育を着実に発展させ、学科の構成を調整する。中等・高等職業教育の発展に大いに力を入れる。カリキュラムや教科書を改革し、教学内容を更新し、教育の質を向上させる。大学の内部管理体制の改革と庶務サービスの社会化を引き続き推進する。教師の思想と業務の資質を全面的に向上させる。教育の情報化を加速し、現代的遠隔地教育を積極的に発展させる。教育への政府の投入を増大する。社会的力による学校運営、中外協力による学校運営を支持し、規範化させる。

 人材政策を真剣に実施する。「四つの化」(革命化、若年化、知識化、専門化)の方針および徳と才能を兼ね備えるという原則を堅持し、改革開放と現代化建設の新たな情勢の需要に適応する各種人材、わけてもハイテク人材、国際金融や財務会計、貿易、法律や現代的管理に精通した専門的人材の育成、選抜を速める。幹部人事制度の改革を深め、各種人材の選抜・任用、考課、インセンティブ監督制度を充実させ、若くて優秀な科学技術人材の発掘を上手に行い、大胆に起用する。エンジニア、技術要員および熟練技術労働者の役割を十分に発揮させる。技術、管理等の生産要素が分配に参入する政策を着実に実行し、突出した貢献のある科学技術人員とハイクラスの管理者に対して奨励を行う規定を実施に移す。さらに効果的な措置を取って、海外のハイレベルの人材を誘致し、招聘し、留学人員が帰国して創業することを奨励する。

持続可能な発展の道を歩む。計画出産の基本的国策を堅持し、『人口と計画出産法』を貫徹する。特に農村部と流動人口の計画出産の仕事を強化し、低出生率を維持し、少なく生んで立派に育てることを促す。女性・児童に関わる発展綱要を真剣に実行し、女性と未成年者の合法的権益を保護する。高齢者に対する仕事を強化する。身体障害者事業に関心を寄せ、サポートする。法に照らして土地、鉱山、淡水、海洋、森林、草原および気候資源を保護し、合理的に利用し、耕地、林地に対する厳しい管理制度を実行し、節水とエネルギー節約を重視する。資源の総合利用率を向上させ、資源の有償使用制度を健全化させる。引き続き環境保護への投入をいっそう増大させ、生態環境の保全と汚染防止対策を強化する。重点建設対策プロジェクトの整備を速め、重点河川流域、地域、都市、海域の環境の質を改善し、汚染物質の排出を効果的に抑制し、低下させる。クリーン生産を繰り広げ、環境保全産業を発展させる。生態モデル区域の建設を強化する。植林と草作りを大いに行う。湿地保護を強める。環境保全と防災・減災保障システムを構築する。医療・衛生事業を発展させ、公共医療・衛生と農村医療・衛生の仕事を高度に重視し、多様な形態の農村医療保障方法を積極的に模索し、農村における診療所の医療条件を改善する。伝染病や地方病等人びとの健康を損なう重度の疾病を大いに予防し、治療する。全国民の健康維持・増進の活動を広く展開し、競技スポーツのレベルを高める。二〇〇八年北京オリンピック大会の前期準備作業に真剣に取り組み、オリンピック主催のための仕事を首都の改革開放および現代化建設の推進と結び付ける。

精神文明の建設を強化する。たゆむことなくマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論と「三つの代表」の重要な思想を用いて広範な幹部や人民を教育する。法によって国を治めることと徳によって国を治めることとの結合を堅持する。『公民道徳建設実施綱要』を貫徹し、実施し、「国を愛し法律を守り、礼儀をわきまえ、誠実信義を旨とし、団結して仲良くし、勤倹と自己の向上に努め、仕事に打ち込み、献身的に働く」という基本的な道徳規範を全社会で唱導する。とりわけ愛国主義教育に力を入れ、中華振興の民族精神を発揚する。科学知識普及の活動を強化し、愚昧や迷信を打ち破り、科学的精神と文明的かつ健康的な生活様式を唱導する。大衆的な精神文明の創造・建設の活動を深く繰り広げる。社会科学、文学・芸術、報道・出版、ラジオ・映画・テレビ等の諸事業の発展を速め、世論の正しい方向付けを堅持し、時代の風格と人民の願望を反映した、優れた作品をさらに多く生み出す。報道・出版、ラジオ・映画・テレビ産業の改革にいっそう力を入れる。インターネットの役割と管理を高度に重視する。図書館、博物館、文化館、科学技術館、文書保存館等公共文化施設、スポーツ施設の建設を強化し、文化財の保護を立派に行う。文化産業政策を充実させ、社会的力による文化事業の建設への参与を奨励する。「ポルノ一掃」や「不法出版物取締り」のキャンペーンを持続的に深く繰り広げ、海賊版や無断複製、レーザーディスクの密輸入を厳しく取締り、国際文化交流を強化する。

七、政府の職能をさらにいっそう転換させ、政府部門の作風の改善に努める。

これは改革開放の新たな情勢に適応し、廉潔で、政務に励み、実務的で、効率のよい政府を樹立するための要請である。党の第十五期六中全会の精神を全面的に貫くには、次の三つの面に力を入れなければならない。

政府の職能の転換を速める。政府機構の改革と職能の転換は、大きく進展しているにもかかわらず、まだ少なからぬ問題が存在している。思想をさらに解放し、徹底的に伝統的な計画経済の束縛を断ち切り、政府職能を経済の調節、市場の監督・管理、社会による管理と公共サービスへと着実に転換させなければならない。引き続き政府の部門別の職能と職責をはっきりさせ、一部の事務に対してお互いに押しつけ合ったり責任をとるものがいないなどの状況を防ぐ。法を以って国を治める方針・戦略を真剣に貫徹し、法に依拠した行政を堅持し、政務を厳粛に治める。行政審査・許認可をよりいっそう改革し、それを減らし、必ず審査・許認可しなければならないものに対してはその作業を規範化し、手続きを簡略化させ、公開して透明化させ、責任を明確にしなければならない。これに対し、国務院はすでに手配しているので、各地区・各部門は真剣に貫き、実施しなければならない。政府の管理における情報化の整備を速め、政務の電子化を推し進め、仕事の効率と監督・管理の効果を向上させる。政府部門の作風の改善に着実に力を入れる。反腐敗闘争をつっ込んで繰り広げ、廉潔な政治の建設を強化する。廉潔な政務に取り組み、人民のために政務を行うことは、わが党と政府の根本理念の要請であり、政府機関の公務員一人一人が守らなければならぬ基本的準則でもある。各級政府と全幹部はいずれも清廉かつ公正に公務に当たり、公に仕え、法を守らなければならない。法律に違反し規律を乱し、職権を濫用して私利をむさぼるような者に対しては、徹底的に取り調べ、処分する。党中央の今年を作風刷新の年とするという要請を真剣に実施しなければならない。国を誤り人民に害を及ぼす形式主義、官僚主義を断固克服する。会議や文書を大いに簡素化し、当面深刻となっている「夥しい文書や会議」の問題を着実に解決しなければならない。調査研究の気風を大いに興し、現実に深く入り込み、末端まで深く入り込んで、実情を把握する。大衆の声に耳を傾け、彼らの苦しみに関心を寄せ、大衆の苦情や強く不満が示されている問題の解決を急ぐ。水増し報告やホラ吹き、上級機関の目を眩まし大衆を欺き、民力を乱用し、強制的に命令する悪質なやり口を断固是正し、真実を語

贅沢や浪費に断固として反対する。当面、生産、建設、流通の分野にしろ、消費の分野にしろ深刻な派手好みの浪費現象が存在している。一部の地方は見栄えだけで、内実がともなわない「イメージづくりのためのプロジェクト」、「治績プロジェクト」を実施することに熱中し、市政建設についてはハイグレードのものや高い基準を盲目的に追求している。一部の地方は給与さえも期日通りに支給することがままならないのに建設プロジェクトをむやみやたらに立件し、規定に違反しビル・公会堂・ホテル・ゲストハウスを新築している。そして更に、おびただしい名目のフェア、祝賀行事を設け、贅沢を競いあい、派手に振舞っている。公金で飲み食いをしたり高級な消費・娯楽を楽しみ、公金で外国旅行をしたりしている。上述のいずれも巨額の資財を消費しており、このような贅沢や浪費の風潮を断固として食い止めなければならない。一つは、刻苦創業、勤倹に努めて国を建設し、勤倹節約を旨としてすべての事業を進めることを大いに唱導すること。実際にそぐわない、効果を度外視した、誤ったもろもろのやり方を断固として制止する。二つは、支出の節約に努めること。生産や建設、流通等の分野において、コストと費用を大幅に引き下げる。すべての政府機関、企業と事業体は精密に計算し、様々な不必要な支出を禁じる。今年度において、各地区、各部門、各組織は浪費を断ち切り、支出を節約する具体的な目標や措置を提出しなければならない。三つは、財政・経済面の規律を厳格にすること。国庫による集中受払制度を実施し、各クラスの財政予算、会計監査・監督、財政特別口座の管理を強化する。予算を上回った収入に対する管理を整備する。私設金庫および規定に違反する、さまざまなむやみやたらな金遣いの行為を厳しく取り調べ、処罰する。

各クラスの政府は自覚を持って同クラスの人民代表大会およびその常務委員会の監督を受け、自ら進んで人民政治協商会議との連係を強化し、民主諸党派、工商業連合会、無党派人士や人民団体の意見を真剣に聴取しなければならない。政府活動が真に人民の意思および利益を具現することをはかるため、よりいっそう民主的な政策決定制度を健全化させ、人民大衆が政府機構および公務員に対する監督を行うことを奨励し、適時に社会の状況・人民の意思を反映するルートを広げる。

代表の皆さん!

新しい情勢の下において、国家の安全を保障し、社会の安定を維持することは非常に重要な意義を持っている。国内外の敵対勢力による破壊活動を厳重に防ぎ、法に基づいて断固として打撃を与え、テロ勢力、宗教過激派勢力、民族分裂勢力による犯罪活動を厳しい打撃を与えなければならない。引き続き「法輪功」等の邪教組織に対する闘いを展開する。「刑事犯罪活動を厳しく取り締まる」整頓・対処のための闘いを深く繰り広げ、法に基づいて様々な刑事犯罪活動およびマフィア的性格を持つ、邪悪な勢力を厳しく取り締まり、社会治安の混乱している地区や場所を大いに整頓し、社会の治安状況の明らかな進歩をはかる。取締りと防止を結び付け予防を主とすることを堅持し、社会治安総合対策の諸措置を全面的に実行し、社会治安の防止・制御システムを積極的に構築する。司法・公安経費の保障メカニズムを打ち立てる。コミュニティに対する建設と管理を強め、農村の末端における政権の建設を強化する。新しい情勢の下における人民内部の矛盾を正しく処理し、社会の安定に影響を及ぼす要素を末端において解消し、芽のうちに摘み取る。

諸民族間の団結を強化し、祖国の統一を維持することは全国各民族人民の根本的利益である。民族区域自治制度を堅持し、充実させる。党の民族政策を全面的に貫徹し、平等、団結、互助という社会主義の民族関係を打ち固め、発展させる。民族地区における迅速な発展を積極的にサポートし、助成する。引き続き「辺境地区を振興し、人民を豊かにする行動」を実施する。少数民族の幹部と各種の人材の育成によりいっそう力を注ぐ。党の宗教信仰自由の政策を貫徹し、法に基づいて宗教事務に対する管理を強化し、宗教が社会主義社会に適合するよう積極的に導く。国外の宗教組織から独立し、宗教事務を自主管理するという原則を堅持し、愛国的宗教勢力の建設を強化する。華僑政策を真剣に貫徹し、華僑事務を立派に行う。

国防と軍隊の建設を強化する。これは国の安全を維持し社会主義現代化建設を順調に発展させる重要な保証である。「政治面で合格し、軍事面でしっかりし、作風が立派で、規律が厳しく、保障に有力である」という全般的要請に照らして、新しい時期における積極的防御という軍事戦略方針を柱として、科学技術による軍事力の強化、軍隊の厳格な統轄および勤倹を旨とする軍隊の建設を堅持し、質の向上を重んじ、軍隊の革命化、現代化、正規化のレベルを引き上げ、ハイテク条件下におけるわが軍の防衛戦闘能力および突発事件への対処能力を強化する。国防科学技術工業の調整、改革および発展を加速し、科学技術の研究レベルと創造・革新能力を向上させ、兵器・装備の建設を推し進める。後方勤務保障改革を深め、軍事の経済効率および総合的保障能力を引き上げる。人民武装警察部隊の建設を強化する。国防動員体制を充実させ、民兵、予備役部隊の建設を強める。国防教育を立派に行い、政府擁護・人民愛護と軍隊擁護・軍人遺・家族優遇の仕事を立派に行い、軍隊と政府、軍隊と人民の団結を打ち固める。

「一国二制度」の方針および香港特別行政区、澳門特別行政区の二つの基本法を全面的に貫徹、実行する。香港、澳門の長期の安定と繁栄、発展を維持することは、われわれの確固不動の目標である。中央政府は引き続き全力をあげて香港、澳門の二つの特別行政区政府と行政長官が基本法に基づいて行政に取り組むことをバックアップし、大陸部と香港、澳門との経済貿易、科学技術、文化、教育などの諸分野における交流と協力をさらに強化する。われわれは香港・澳門の前途に対し自信満々である。

 この新しい年に、われわれは「平和的統一、一国二制度」の基本方針と江沢民主席の提起した台湾問題解決に関する八項目の主張を堅持し、海峡両岸の関係が平和的統一に向けて推進するよう努める。世界に中国は一つしかなく、大陸部と台湾はいずれも一つの中国に属し、中国の主権と領土保全はその分割を許されない、ということをわれわれは再度言明するものである。一つの中国の原則は、海峡両岸関係を発展させ、祖国の平和的統一を促進する基礎と前提である。われわれは一つの中国の原則を堅持し、この原則を踏まえて海峡両岸の間の対話と話し合いを回復し、両岸の経済、文化の交流をいっそう拡大し、両岸関係の発展を促し、早急に海峡両岸間の直接の「三通(直接の通信、通航、通商)」を実現する。われわれはこれまでと同様に、一つの中国の原則を堅持して海峡両岸関係の発展を主張する台湾の各党派及び各界の人びととの交流、対話を強める。海外華僑、華人が「台湾の独立」に反対し、祖国の統一を促進する愛国の行動を支持する。われわれは祖国の完全なる統一という大業が早期に実現できるとかたく信じている。

八、外交活動をよりよく進める

 二〇〇一年は国際情勢が変化し、起伏した年であった。だが、平和と発展は時代のメーンテーマとして変わりはなく、世界の多極化への発展の趨勢は変わっていない。わが国の直面している国際環境は依然としてチャンスのほうがチャレンジよりも多い。全般的な平和、局地的な戦争、全般的な緩和、局地的な緊張、全般的な安定、局地的な激動は、今後一時期における国際情勢の基本的態様である。

 変転きわまりない国際情勢の下で、わが国の外交活動はよりいっそう新しい局面を切り開き、わが国の国際的地位と影響力は引き続き向上しつつある。わが国と広範な発展途上国との友好関係は引き続き強まっており、周辺諸国との善隣友好協力関係も全面的に発展している。昨年七月、わが国はロシア及び中央アジア四カ国とともに、「上海協力機構」を設置することを発表した。中国―東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議第五回会合において、今後十年以内に中国・ASEAN自由貿易区域(CAFTA)を逐次構築することでわが国とASEAN諸国の間で一致して合意に達した。わが国と朝鮮、韓国及び南アジア諸国との関係は着実に発展をとげており、アフリカ、ラテンアメリカ諸国との友好協力は新たな成果を収め、アラブ諸国及びその他のイスラム諸国との友好協力関係はさらに発展している。

 わが国とアメリカ、ロシア、ヨーロッパ諸国連盟(EU)、日本との関係には発展と改善が見られた。われわれは積極的かつ実務的な姿勢で国際政治、経済、文化、社会、軍縮などの諸分野において多国間の外交活動に参与し、わが国の主権、独立、領土保全、国家の安全と民族の尊厳を力強く守りぬいた。わが国は国際社会とともにテロリズムを糾弾し、それに反対し、国際反テロ闘争において建設的な役割を果たした。

 新しい年に、われわれは引き続き独立自主の平和外交政策を逐行する。平和共存五原則を踏まえて発展途上諸国との連帯と協力を強め、周辺諸国との善隣友好協力関係をいっそう打ち固め、さらにそれを深める。引き続き先進諸国との関係を改善し、発展させる。積極的に国連およびその他の国際事務に参与し、世界各国の人民とともに平和、発展と進歩の事業に取り組み、覇権主義と強権政治に反対し、いかなる形のテロリズムにも反対し、公正かつ合理的な国際政治・経済の新秩序の構築を促し、世界平和の擁護と共同繁栄の促進のためにより大きな貢献をしたいと考えている。

 代表のみなさん!

 今年度の政府活動の任務はかなり重い。われわれの肩にかかっている責任は大きなものであり、光栄なものである。われわれは江沢民同志を中核とする党中央の周りによりいっそう緊密に団結して、ケ小平理論の偉大な旗印を高く掲げ、「三つの代表」の要請にもとづいて、時代とともに前進し、発奮進取の精神で、自信を固め、困難を乗り越え前進し、着実に仕事に取り組み、改革開放と現代化をめざす建設が新たな勝利を収めるために奮闘努力しようではないか。

(注:この報告については、今載せたものは討議稿で、今会議で最終的に審議、採択され、発表されるものが基準となります。)

 

 
  Copyrights © 2002 China Internet Information Center All Rights Reserved