(3月6日)
代表のみなさん
国務院の委託を受けて、ここに二〇〇一年度の中央と地方の予算執行状況及び二〇〇二年度の中央と地方の予算案について大会に報告し、審議を願うとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。
二〇〇一年度党中央、国務院の正しい指導のもと、各地区と各部門は中央の定めた諸般のマクロ規制政策及び第九期全国人民代表大会第四回会議で提起された財政・経済活動に関する諸般の要請を真剣に貫徹し、着実に実行し、内需の拡大、育成に努め、積極的に諸般の改革を推進した。それによって、世界経済の成長が明らかに鈍化している状況の下においても、わが国の経済は比較的速い成長を実現した。この基盤をふまえて、財政収入はかなりの伸びをみせ、支出構造はさらに最適化され、経済と社会諸事業の発展に対する財政の下支えが明らかに強化され、マクロ規制効果が立派に発揮された。
全国財政の収支は予算を超過達成し、中央財政の赤字は予算のワク内に押さえることができた。二〇〇一年度全国の歳入は一兆六三七一億元(債務収入は含まず。以下同じ)で、予算より一六一一億元増で、前年度より二九七六億元増え、二二・二%増である。全国の歳出は一兆八八四四億元で、予算より一四八六億元増であり、前年度より二九五七億元増え、一八・六%増となった。収支を差し引くと、歳出は歳入を二四七三億元上回った。
中央の歳入は九一七一億元で、予算より七四八億元増であり、前年度より一五八三億元増え、二〇・九%増となった。そのうち、中央レベルの収入は八五七八億元で、予算より七四八億元増えた。地方財政から中央への上納収入は五九三億元で、予算と同じである。中央の歳出は一兆一七六九億元で、予算より七四八億元増であった。そのうち、中央レベルの支出は五七五四億元で、予算より九一億元減った。地方補助支出は六〇一五億元で、予算より八三九億元増であった。収支を差し引くと、赤字額は二五九八億元で、第九期全国人民代表大会第四回会議で承認された予算赤字二五九八億元と同じである。
地方の歳入は一兆三八〇八億元で、予算より一七〇二億元増であり、前年度より二七三七億元増え、二四・七%増となった。そのうち、地方レベルの収入は七七九三億元で、予算より八六三億元増であった。中央から地方への補助金は六〇一五億元で、予算より八三九億元増。地方の歳出は一兆三六八三億元で、予算より一五七七億元増であった。そのうち、地方レベルの支出は一兆三〇九〇億元で、予算より一五七七億元増であった。中央への上納支出は五九三億元で、予算と同じである。収支を差し引くと、歳入は歳出を一二五億元上回った。
このほか、中央財政の債務収入は四六〇四億元であった。そのうち、一九九九億元を国内外債務の元金償還に充て、二五九八億元を本年度の赤字填補に充て、七億元を中央財政債務償還基金の補充に充てた。二〇〇一年度の中央政府の管轄する基金の収入は一〇五三億元で、中央政府の管轄する基金の支出は一〇五三億元であった。
上述の予算執行額は、中央と地方の決算編成後にいくらか変わることもある。
中央と地方の財政収入はかなり伸びており、一部の項目の支出がかなり変化している。二〇〇一年度、全国の歳入は前年度より二二・二%増となった。経済が着実に成長し、企業の効率が引き続き改善され、租税の徴収・管理がよりいっそう強化されたほか、増収をもたらす特別要因もかなり多かった。そのうち、車両購入付加金を車両購入税に改め、それが予算管理に組み込まれたため、収入が二六六億元増えた。国有株削減による特別収入が財政に上納され、収入が一二二億元増え、そのうち、主として国有株を国外に発行する形で譲渡した収入は一一〇億元、人民銀行が上納した前年度の収入は一八八億元であった。特別要因による収入増加を差し引き、比較可能な基準で計算すると、全国の歳入は前年度より一七・九%増となり、中央の歳入は一四・五%増であった。
二〇〇一年度、中央と地方の歳入はいずれもかなり伸びており、予算をそれぞれ七四八億元と八六三億元上回った。一部の増加分はその用途が指定され、財政としては他の支出にまわしてはならないが、支出を増やすべき重点項目がかなり多いため、財政面での収支の圧力は依然として比較的大きい。『中央予算審査・監督の強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』の中の、「中央予算を上回る収入は中央財政赤字とその他の必要な支出の補填に充てることができる」に関する規定および社会・経済発展の実際的必要に基づき、中央財政の超過収入は主に下記の方面に振り向けた。交通特別支出を八六億元(車両購入税による増収分)増やし、全国社会保障基金として三一〇億元を補充し、インフラ建設の支出を三〇〇億元追加し、政府機関・事業体職員の増給支出を五二億元増やした。地方財政の超過収入は主に政府機関・事業体職員の給与遅配の解決や二〇〇一年第4四半期に打ち出された政府機関・事業体職員の増給政策の実行、社会保障の補助支出の増加、教育、科学技術、農業、生態保護など重点支出への保証および食糧流通体制改革の助成などの方面の資金需要に充てた。
二〇〇一年度中央予算執行において、一部の項目は予算に比べてかなり変化しており、これは主に次の二つ要因によるものである。一つは、予算執行に当たって新たに一部の政策を実施、調整した。例えば、内需を喚起するため二〇〇一年十月に国家は再び政府機関・事業体職員の給与を引き上げたこと。農村における租税・費用徴収改革のモデル・テストの状況に照らして、国務院は農村における租税・費用徴収改革のテンポを調整したこと。よりいっそう輸出を拡大するために輸出租税還付の指標を適度に増やしたこと、などである。二つは、元来中央レベル財政に組み込まれていた一部の支出を執行過程で地方財政に計上した。例えば、インフラ建設支出、地質探査費用、文化・教育、科学、医療・衛生事業費などがそれである。
積極財政は立派に実施され、内需を拡大し、育成した。二〇〇一年度、中央の要請に基づき、第九期全国人民代表大会第四回会議の承認を経て、国は引き続き積極財政を実施し、一五〇〇億元の長期建設国債を発行し、インフラ建設に用いた。国債資金の投入は、青海=チベット鉄道建設、西部から東部への送電など西部開発の重要プロジェクトを適時に起動させ、工事を保証しただけではなく、一群の建設中の重要プロジェクトの完成を速めた。二〇〇一年末の時点において、国道を累計二万五五〇〇キロ開通し、鉄道を四〇〇〇キロ新規敷設し、複線化を一九八八キロ、電化を一〇六三キロ完成させた。また一八九五の県が農村部における電力網の改造を終えた。技術改良のための国債利子補助資金は、すでに着工した国有重点企業技術改良プロジェクト七八一件に振り向けた。
四年間連続で実施してきた積極財政は、アジア金融危機の衝撃を防ぎ止め、デフレ傾向を抑制し、世界経済減速のしわ寄せを克服し、国民経済の持続的でテンポの速い、健全な発展を促進する上で重大な役割を果たした。事実が立証しているように、党中央、国務院の政策決定はまったく正しいものであった。中央財政の赤字と債務額はやや増大したが、国民経済の全般的水準の向上と国の財政収入の比較的速い伸びを促進するものであった。二〇〇一年度中央財政赤字は二五九八億元で、国内総生産(GDP)に占めるウェートは二・七%であり、債務残高は一兆五六〇八億元で、国内総生産(GDP)に占めるウェートは一六・三%であり、いずれも安全ライン内にある。わが国経済の持続的発展により、財政のリスク対応能力もさらに強まるであろう。それと同時にわれわれは各項目における関連指標の変動にも絶えず入念な関心を払っており、財政リスクの防止・解消に役立ついくつかの措置を講じている。一つに、国債償還期限の種類を合理化し、資金繰りのコストを引き下げ、償還期限をずらすように調整した。二つに、二〇〇〇年度から国債利子の支出を経常予算に計上し、国債の元金と分離した。三つに、国債資金運用プロジェクトの監督・管理を強化し、一部の国債資金運用プロジェクトに対しては国庫が集中的に支払いをおこない、国債資金の運用効果を高めた。歴史的要因により形成され、長い間蓄積されたいくつかの潜在的財政リスクについては、党中央、国務院が十分に重視し、すでに相応の措置を講じ、次第に解消に向かいつつある。
ひきつづき所得分配政策を調整し、末端機関における給与遅配問題の解決に努めた。ここ数年来、国は所得分配政策を適度に調整し、政府機関・事業体の職員の給与を逐年引き上げ、社会保障適用者への保障水準を高めた。給与調整政策が執行される過程で、一部の県、郷では幹部・職員の給与遅配現象も見られた。地方から報告されたデータの統計によると、二〇〇一年の年末まで、国家の統一政策によって決定された年度給与額のうち、地方のまだ支給されていない金額は合計で六五億元にのぼり、給付すべき総額の一・八%を占めており、主として中・西部地区の県、郷の機関に見られる。地方の総合的財力から見ると、ここ数年地方レベルの財政収入の伸びはかなり速く、二〇〇一年度には前年度より一三八七億元増え、七七九三億元に達した。ただ、地区間の収入の伸びや省の下級に対する移転支出の度合いにバラツキがあり、さらに財政によって養う人員の数が過度に膨れ上がっているため、地方財政が給与遅配問題の解決に積極的に努力しているにもかかわらず、一部の県や郷の財政は期日通りに給与の全額支給を保証することはやはり困難な状態にある。ここ数年来、中央財政は地方に対する移転支出をかなり大幅に増やしており、一九九八年度から二〇〇一年度にかけて、中央から地方への補助支出は三三二一億元から六〇一五億元に引き上げられ、年平均伸び率は二一・九%となり、中央レベルの支出の年平均伸び率よりも五・二ポイント高い。二〇〇一年度、中央財政は諸方面の支出の圧力がかなり大きい状況の下で、給与支出にのみ充てる移転支出資金を八九二億元計上した。中・西部未発達地区における県、郷の給与支給の困難を緩和するため、中央財政はこれらの地区が一九九九年度以降の所得分配調整政策の執行に必要な財政支出の大部分あるいは全部を負担した。二〇〇一年十月に打ち出された行政事業体職員の増給政策については、沿海の九つの省(直轄市)を除いて、残りの二二の省(自治区、直轄市)はいずれも中央財政が負担した。同時に、中央財政はさらに毎年五〇億元の予算回転資金を特別計上し、農業の占めるウェートの大きな省における季節的給与遅配問題の解決に振り向けた。
各級政府の共同努力の下で、二〇〇一年度県、郷の給与遅配問題はやや緩和され、一部の省では当年度「新たな遅配」を出さないことを保証し、さらに逐次二〇〇〇年以前から「残された遅配」問題の解決に着手している。二〇〇二年度、われわれはいっそう仕事に取り組み、すべての県、郷で当年度の給与遅配問題がほぼ解決されるように一層力を入れる。
社会保障への投入がいっそう増大され、社会保障システムが逐次整備されている。近年来、中央の政策決定を貫徹するため、中央財政は社会保障支出を大幅に増やした。二〇〇一年度、中央財政の社会保障関連支出は九八二億元を達成し、一九九八年度の五・一八倍となった。そのうち、養老保険基金への補助支出は三四九億元、国有企業一時帰休者の基本生活保障への補助支出は一三六億元、都市部住民の最低生活保障への補助支出は二三億元、全国の社会保障基金への補足支出は三一〇億元、公務による死傷者への補償および社会福祉救済への支出は八四億元であった。社会保障への投入にいっそう力を入れると同時に、社会保障補助金の財政特別口座を開設して、これを特定資金として用途を限定することを保証し、さらに積極的かつ穏当に遼寧省などの地域において社会保障システムの完備に向け改革のテストを推し進めている。統計によると、二〇〇一年の年末までに全国で計四七〇〇余万人の社会保障適用者が国の財政予算から社会保障補助金を受け取っている。このほか、立ち遅れた生産力を淘汰し、過剰生産力を圧縮し、法による企業の閉鎖・破産の実行を支援し、従業員の再配置と社会の安定を確保するため、二〇〇一年度中央財政はさらに企業の閉鎖・破産補助金を一三五億元計上した。
農業への投入はいっそう増大され、農業の基礎としての地位は絶えず強化された。二〇〇一年度、中央財政は多ルートを通して、農業への投入を増やした。その具体策は次のようなものである。一つは、農村の租税・費用徴収改革のテスト作業を推進し、完備化させ、抜本的に農民の負担を軽減するため、中央財政は安徽省全域および他の地域一〇六県における農村の租税・費用徴収改革のテストを支援する移転支出資金を三三億元計上した。二つは、被災地の農業税減免政策を真剣に貫徹するため、年間で被災地の農業税収を計五〇億元減免し、そのうち、中央財政は補助支出四〇億元を拠出した。三つは、貧困扶助にいっそう力を入れた。中央財政は貧困扶助への支出一〇〇億元を計上し、農村における貧困人口の生産と生活条件は一段と改善されている。四つは、農耕地の森林への復元と植樹可能なはげ山・荒地の造林に四二億元を振り向けたため、西部地区の生態環境の改善が促進され、農民の所得が増大した。五つは、天然林保護プロジェクト、農業の総合開発、農業科学技術、農業の産業化経営などの方面への投入をいっそう増やし、中央財政がそれらの方面に振り向けた支出は二三三億元に達した。六つは、食糧リスク基金政策をしっかり貫徹し、食糧流通体制の改革の深化を支援し、食糧主要生産地と専業農家の収入を増加させた。中央財政は食糧主要生産地における食糧リスク基金の特別支出を四九億元増やし、地方の食糧リスク基金に振り向けた中央の補助支出は一七三億元に達し、同基金総額の五七%を占める。
科学・教育への投入は逐次増大され、科学・教育による国家振興の戦略は効果的に貫徹されている。二〇〇一年度、中央財政の教育支出は二一三億元を達成した。そのうち、中央の要請に従い、一九九八年度から二〇〇二年度にかけて、中央レベルの財政支出に占める教育経費の比率をこれまでのワクより年度毎に一ポイント増やし、二〇〇一年度中央レベルの財政は教育経費を四一億元増やした。二〇〇一年度中央財政は第二期「国家の貧困地域における義務教育プロジェクト」の実施に一〇億元を支出したことによって、国の「二つの基本(九年制義務教育の基本的普及、青・壮年の非識字者の基本的一掃)」の基準達成点検にパスした県(市、区)がさらに三二増えた。「全国の農村における小・中・高等学校の老朽化した校舎の改築プロジェクト」を実施するにあたって、特別資金として地方に二六億元を補助し、老朽化した校舎一七〇〇万平方メートルの改築を助成した。二〇〇一年度中央財政の科学技術支出は三七三億元を達成し、二九・五%増となった。そのうち、特別経費として国家自然科学基金へ十六億元、国家重点基礎研究計画へ六億元、国家「八六三計画(「ハイテク技術研究・発展計画綱要」)」へ二五億元、中国科学院新知識創出プロジェクトのテストへ二三億元を、それぞれ計上した。
全般的に見れば、二〇〇一年度の予算執行状況は良好である。しかしながら、財政運営になお早急に解決を要する問題がいくつか存在していることも、われわれは冷静に見て取っている。財政収入の伸びにバラツキがあり、一部の県、郷の財政が依然としてかなり困難な状況にあるほか、財政の管理が規範化されておらず、財政・経済の規律が緩み、財政・税収の秩序が混乱し、資金の損失や無駄使いなどの現象が依然としてかなり深刻である。これらの問題には、長年にわたって形成されたものもあれば、改革と活動の不十分と関連しているものもある。これに対し、われわれは高度に重視し、さらに有力な措置を講じて真剣に解決しなければならない。
代表のみなさん、二〇〇二年度はわが国の政治、経済と社会の発展にとって、非常に重要な年であり、今年度の財政活動を立派に行い、年間の予算任務を達成することは、たいへん重要な意義を持っている。現在わが国は政治が安定し、社会が繁栄し、経済発展も大きな潜在力を秘めており、これらはすべて今年度の経済発展に有利な条件を提供している。その反面、国際情勢は複雑に入り組んでおり、世界経済と貿易の成長が引き続き減速しているため、わが国の経済発展は新しい困難と厳しい挑戦にさらされることになる。世界貿易機関(WTO)加盟は、総体的にいえばわが国の経済発展と対外開放に有利であるが、短期的には競争力が弱い一群の業種や企業がかなりの衝撃を受ける可能性がある。このような情勢に応じて、中央は二〇〇二年度引き続き内需拡大の方針を堅持し、積極財政を実施し、財政支出の規模を適切に拡大し、国民経済の持続的で、テンポの速い、健全な発展を促すために努力することを決定した。
上述の情勢と要請に基づき、二〇〇二年度の予算編成と財政活動の指導方針は次のようなものである。党の十五期五中総、六中総と去年の中央経済活動会議の精神を深く貫徹し、国民経済の持続的で、テンポの速い、健全な発展と社会の全面的な進歩を目標とし、内需の拡大と育成を重点とし、財政改革の推進、予算管理の強化を手段として、真剣に積極財政を実施し、収入の徴収・管理を厳しくし、財政収入の安定的な伸びを保証し、支出構成を調整、最適化し、重点支出の需要を確保し、財政資金の使用効果を向上させることによって、中央の諸般の重大方針や政策の実行に対し財力の保障を提供する。
上述の指導方針に則って、国務院は二〇〇二年度の中央予算案を次のように編成した。
二〇〇二年度の中央の歳入は一兆六四六億元で、前年度より七六五億元増やし、七・七%増とする(比べやすくするため、伸び率を計算するとき、二〇〇二年から実施される所得税割合配分の改革案によって二〇〇一年度の執行額を調整した。以下も同じ)。そのうち、中央レベルの収入は一兆四二億元で、前年度より七五四億元増やし、八・一%増とする。中央の歳出は一兆三七四四億元で、前年度より一二六五億元増やし、一〇・一%増とする。そのうち、中央レベルの支出は六四一二億元で、前年度より六五八億元を増やし、一一・四%増とする。収支を差し引くと、赤字額は三〇九八億元となり、前年度より五〇〇億元増える。二〇〇二年度満期により償還すべき中央財政の国内外債務の元金は二五八一億元で、補填すべき当年度の財政赤字三〇九八億元と中央が地方政府に代行して発行する債券二五〇億元を加えると、国債発行の総規模は五九二九億元となり、そのうち、中央財政の債務収入は五六七九億元となる。このほか、二〇〇二年度の中央政府の管轄する基金収入の予算に八六〇億元を組み入れ、基金支出の予算として八六〇億元を計上する。
二〇〇二年度中央が代行して編成する地方財政予算の歳入は一兆五三〇五億元で、前年度の執行額より一四九七億元増やし、一〇・八%増とする。そのうち、地方レベルの収入は七九七三億元で、前年度の執行額より八九〇億元増やし、一二・六%増とする。中央からの補助収入は七三三二億元で、前年度の執行額より六〇六億元増やし、九%増とする。地方財政予算の歳出は一兆五三〇五億元で、前年度の執行額より一六二二億元増やし、一一・九%増とする。そのうち、地方レベルの支出は一兆四七〇一億元で、前年度の執行額より一六一一億元増やし、一二・三%増とする。中央への上納支出は六〇四億元とし、前年度より一一億元増である。地方財政の収支は均衡がとれている。
二〇〇二年度中央と地方の予算案の集計状況は次の通りである。全国の歳入は一兆八〇一五億元を計上し、前年度の執行額より一六四四億元増やし、一〇%増。全国の歳出は二兆一一一三億元で、前年度の執行額より二二六九億元増やし、一二%増となる。
中央の配置と財政活動に対するわが国の政治、経済、社会発展の要請に基づき、二〇〇二年度の中央予算編成と財政活動の重点は下記の通りとなる。
一、財政収入を堅実に計上し、予算任務の達成を確保する
ここ数年来、増収をもたらした特別な要因が多く存在していたため、中央財政は比較的大幅な伸びを保ちつづけた。二〇〇二年度国民経済はひきつづきテンポの速い、健全な発展を維持していくものとみられる。構造調整の加速に伴って、企業の経済効率もさらに向上するであろう。これらはいずれも今年度の財政収入の伸びに対し堅固な基盤を与えることになろう。にもかかわらず、今年度、増収をもたらす特別な要因が大きく減少する可能性があり、ひいては減収をもたらす要因が生じる恐れもある。たとえば、世界貿易機関(WTO)加盟の承諾を履行することによって、関税率は実質的に引き下げられ、輸入品に関する関税評価方法の変更に従って、輸入による税収は減り、また証券取引印紙税率の引き下げに伴って、同税目の税収に今年さらに際立った影響が生じ、今年度金融・保険業の営業税率をひきつづき一ポイント引き下げることなどが挙げられる。上記の要因を総合的に考慮に入れ、経済成長率とほぼ同じ幅で、二〇〇二年度歳入の伸びを計上する。
計上される収支予算のゆとりがかなり少なく、予算執行の過程で新たに減収や支出の増加が現われる可能性もある状況のもとで、収入に関する徴収・管理を大いに強化し、財政収入の安定的な伸びを確保しなければならない。われわれは税制の安定化、徴収・管理の強化に関する国務院の要請に基づき、法に依拠して租税の徴収を厳格にする。監査の度合をいっそう強め、さまざまな脱税、税金のごまかし、納税拒否及び密輸といった犯罪行為を断固として取り締まる。世界貿易機関(WTO)加盟の要請に応えて、租税優遇政策をさらに整理し、規範化させ、一部の地区と部門が独自に制定した租税還付政策や勝手な減税、免税及び延納行為を着実に是正し、税収の秩序を規範化させる。
二、積極財政を真剣に実施し、内需の拡大、育成に努める
二〇〇二年度は引き続き積極財政を実施する。インフラ建設を強め、固定資産投資の増加を牽引するため、長期建設国債一五〇〇億元を発行し、そのうち、一二五〇億元は中央予算に計上し、二五〇億元は地方に代行して発行する予定である。それを主に建設中の国債資金運用の建設プロジェクト、西部開発プロジェクト、基幹企業の技術改良及び南方から北方への導水、北京・天津水資源保護プロジェクト、農村部の基盤施設、公安・検察・司法部門の増員ならびに大学の学生募集の拡大により需要が生じたインフラ整備の面に振り向ける。
各級政府と関連部門は国債資金運用の管理と監督をさらに強化し、プロジェクトを厳選し、国債資金運用プロジェクトに対する競争入札制を厳格に実行し、建設国債資金の財政による集中支払の範囲を拡大し、無駄な投入や重複建設、先取りした建設を断固食い止め、国債資金の無断差し止め、占用、流用及び損失、浪費などの現象を根絶させ、その使用効果を向上させるように努める。それとともに、積極財政と経済構造の調整、体制改革の深化、就業機会の増加、国民生活の向上、経済の持続可能な発展を結び付けることに気を配り、国債増発、租税政策、所得分配政策、財政による利子補助など政策の複合効果を十分に発揮し、さまざまなルートを通して内需を拡大し、育成する。
三、社会保障と給与支給の支出需要を確保し、社会の安定を維持する
社会保障システムの整備を速めることは、都市部低所得層住民の生活を保障し、国有企業の改革を推し進め、社会の安定を維持するうえで重要な意義をもっている。従って、各レベルの財政は社会保障への投入に一段と力を入れるべきである。二〇〇二年度中央財政は社会保障支出を八六〇億元計上し(比較可能な基準から見ると、二〇〇一年度より二八%増える)。そのうち、都市部における低所得者の基本生活保障問題を解決するため、国務院は、二〇〇二年度中央財政から都市部住民への最低生活保障の補助金をさらに増やすことを決定し、昨年度の二三億元から四六億元に引き上げることとした。二〇〇一年度企業の定年退職者の基本養老年金の基準が引き上げられ、支出が上昇したことや一時帰休者の規模などを考慮して、二〇〇二年度中央財政はひきつづき企業の養老年金補助支出と国有企業の一時帰休者補助支出を五一二億元計上する。それとともに、経済構造の調整を促進し、一部の国有企業の法による閉鎖・破産を支持するため、二〇〇二年度の中央財政は企業閉鎖・破産補助金として一一〇億元を計上する。公務による死傷者への補償金や社会福祉救済費支出を九六億元計上する。各レベルの地方財政は中央の政策を真剣に実施し、予算の編成にあたって社会保障支出のウェートを大いに高めなければならない。
政府機関・事業体職員の給与を期日通り全額支給するよう確保することは、各レベルの政府と財政部門の果たすべき職責である。中央は、二〇〇二年に政府機関・事業体の職員の基本給を引き続き適度に引き上げるとともに、政府機関・事業体の定年引退・退職者の年金もそれに応じて増やすよう要請した。それにより、中央財政は特別支出を一一八億元増やし、そのうち、九五億元は地方の支出補助に充てる。地方末端の財政難の解決を支援するため、中央財政は移転支出をよりいっそう拡大し、給与支給に充てる移転支出の割合を高め、資金を積極的に調達して末端における季節的な給与遅配問題の解決を支援する。二〇〇二年度給与支給を目的とした中央財政からの移転支出資金は一一八〇億元に達し、それを集中的に県・郷クラスの財政補助にあてるべきである。地方財政としても財政体制をさらに完備させ、とくに省から下級部門への移転支出を強化し、困難な状況にある県・郷の給与遅配問題の解決を確実に援助する必要がある。末端財政は予算を合理的に編成し、財政資金を何よりもまず国の定める給与の支払いに使うべきである。政府機関職員の給与が財政から統一的に支給され、農村の小・中・高等学校教師の給与が県レベル財政で統一的に管理されるといった措置を引き続き完備させ、給与の正常な支給を保障できるメカニズムを逐次確立する。県・郷政府の機能転換を速め、機構の簡素化や人員の削減を着実に推し進め、県・郷の財政難を根本的に解決する条件を作り出す。
四、農業と科学技術への投入を増やし、重点事業の発展を促進する
農業は国民経済の基盤である。農村経済の発展を促進し、農民の所得を増加させることは内需の拡大や育成にとって重要な側面であり、長期的措置であり、農業への財政投入をよりいっそう強化しなければならない。生態環境改善のため、二〇〇二年度天然林保護プロジェクトを引き続き推進し、新たに二二七万ヘクタールの耕地を森林に復元させ、植樹可能な二六六万ヘクタールのはげ山や荒地の造林または草原造成を実行し、それに応じて中央財政は二〇六億元(国債増発による支出を含まず)の支出を計上する。農業の生産条件を改善するため、中央財政は国債の投資資金から農村電力網整備の加速に一三七億元、水利施設建設強化に二三九億元拠出する。農村の租税・費用徴収についての改革を推し進め、農村の収入配分秩序を規範化させ、農民の負担を軽減させるため、二〇〇二年に省を単位として実施する農村租税・費用徴収改革のテストを全国のおよそ三分の一の省まで拡大し、中央財政はそれに対し特別移転支出を一五〇億元増やす。世界貿易機関(WTO)加盟後にわが国が直面する農業発展の新情勢に適応し、農業の競争力を増強させるため、二〇〇二年度中央財政は農業総合開発、農業科学技術、貧困扶助などの支出を二七四億元計上する。食糧流通体制の改革を立派に行い、食糧主要生産地の農民の所得を増やすため、二〇〇二年度中央財政は引き続き地方食糧リスク基金の補助に一七三億元を充てる。
科学・教育による国家振興の戦略を実施することは、激しい国際競争の下でわが国が不敗の地に立つことを保証する重要な条件である。科学技術や教育事業の発展を速め、全民族の資質を高め、国際競争力を絶えず増強するため、二〇〇二年度中央財政は教育支出二五一億元、科学技術支出四〇八億元を計上する。
その他、国家の主権と領土保全を守り、国際情勢の変化に対応するため、国防支出を適度に増やし、現代技術とくにハイテク条件下におけるわが軍の防衛戦闘能力を増強し、将校、軍隊所属の文官、士官と正規職員の給与及び義務兵役の兵士の手当と退役軍人の恩給を適度に引き上げる。二〇〇二年度中央財政は国防支出を二五二億元増やし、一七・六%増とする。
五、「収支二本立て」管理の改革を深め、財政資金の収支行為を規範化する
「収支二本立て」改革を深めることは、公共財政の枠組みを構築する重要な内容であり、財政秩序を整頓、規範化し、廉潔政治を目ざす重要な措置であり、当面の財政改革のカギとなる一環であり、政治、経済、社会的に重要かつ深い意義を持っている。二〇〇二年度この改革を深める全般的な要求としては、次のような点が挙げられる。各部門の予算外収入をすべて予算管理あるいは財政特別口座の管理下に組み込み、部門予算では部門及びそれに所属する部門の予算内外の資金収支状況を全面的に反映させ、収支を分離し、支出を透明にすること、各部門の支出基準を合理的に査定するとともに、財政部門は基準によって期日通りに経費を全額支給することである。その具体措置としては、第一に、公安部、最高人民法院、税関総署、商工総局、環境保全総局など五つの部門は規定に基づいて徴収した予算外の資金収入をすべて予算に計上し、中央国庫に全額上納し、その支出は財政部が部門別の職能履行の必要に応じて部門間で協議、査定し、経費の供給を確保する。第二に、二八の中央部門の予算外資金に対し収支を分離して管理するようにし、その予算外収入を財政特別口座に納入し、各部門は査定した総合定額基準に基づいて年度支出を統一的に計画し、総合財政予算を編成する。第三に、予算外資金の徴収・上納制度を改革し、徴収と上納を分離するようにする。行政執行部門がこれまでに開設した予算外資金口座を取り消し、徴収を行う行政執行部門ごとに予算外資金一括上納口座を財政部門で開設するように改め、予算外資金一括上納口座のゼロ残高管理を行うようにし、各部門は収入を上納せずに直接支出にまわしてはならない。第四に、費用徴収管理部門の経費が収入と支出を連動させているやり方を改革し、「予算制」を実行する。第五に、地方における「収支二本立て」改革をさらに規範化、推進する。省クラス及び地区(市)クラスの公安、裁判所、商工、環境保全、計画出産などの部門の予算外資金収入もすべて地方の国庫に上納し、予算の管理下に置き、その支出は財政が手配して、供給を保証する。第六に、経験を総括し、措置を完備させ、法規、制度を改正し、「収支二本立て」改革をたえず深め、管理活動を逐次法制化、規範化させる。
六、予算管理の改革を穏当に推進し、予算管理を強化する
予算管理の改革を推し進めることは財政管理を規範化し、財政資金運営のパフォーマンスを向上させ、政府行為を規範化し、腐敗行為を根源からまた制度を通して防止し、取り締まる上でも重要な意義を持っている。部門予算の改革をさらに深め、予算編成をいっそう改善、規範化する。「収支二本立て」改革の深化と関連させて、中央が部門の予算編成にあたっては、各部門の予算内外の収支状況を全面的に反映させ、総合財政予算を編成する。支出の計上はなによりもまず基本支出の需要を保障し、項目の支出は緊急に必要で、実行可能なものを優先的に給付するとともに、その実施過程と運用効果を追跡調査する。同時に、地方部門予算の改革テンポを速め、省クラス財政では部門予算の施行範囲を拡大し、地区(市)クラス財政も部門予算拡大の改革のために準備を整え、条件の備わった地区では県クラス財政における部門予算改革のテストを行うこともできる。財政国庫管理制度の改革を速め、資金運用の中間プロセスを減らし、システムによって財政資金の無断差し止め、占用、流用を防止し、資金運用の効果を引き上げる。二〇〇二年に中央財政は財政資金の直接給付範囲を拡大し、改革のテスト部門を増やし、それを二〇〇一年の六ヵ所から四〇ヵ所前後に広げるように努める。それと同時、財政収入の徴収・上納制度の改革を試み、収入の徴収・上納のやり方を規範化する。政府買付制度を積極的に推しすすめ、政府買付の範囲を拡大し、政府の買付に対する管理・監督を強化し、政府買付行為を規範化する。二〇〇二年度中央予算で運営する事業体はすべて政府買付予算を編成する。
七、所得税収入の割合配分の改革をりっぱに行い、地域経済の協調的発展を促進する
国務院は、今年の一月一日から企業の所属の違いによる所得税収入の配分方法を取り消し、少数の特定業種の企業を除いて、ほとんどの企業所得税とすべての個人所得税は、中央と地方が比率に応じて割合配分を実施することを決定した。二〇〇一年をベースラインとし、地方の合理的な既得利益を保証し、基準数値内の収入が全額地方所有となるように改める。二〇〇二年度の所得税増収部分に関する中央と地方の割合配分は五対五、二〇〇三年度には六対四とし、それ以後の年度割合配分の比率については、実情によって改めて算定する。改革の後、所得税増収により中央が得た収入増加分は地方にとりわけ中・西部地区への移転支出に追加給付し、中央財政には一銭も留保しない。今年度の所得税収入の割合配分についての改革は、一九九四年の分税制の改革につづく財政管理体制面におけるまた一つ重大な改革であり、中央がわが国の政治と経済、社会発展の全局を総合的に考慮して打ち出した重要な決定であり、地域間における相互支援、協調的発展、共同繁栄をはかり、社会主義制度の優位性を具現させる重大な措置でもある。われわれは関連政策を真剣に実施し、改革の順調な展開を確実に保証する。同時に、所得税収入の割合配分の改革に合わせて、省クラス以下の財政体制をよりいっそう充実させ、下級部門に対する省の移転支出の度合いを強め、末端部門の財政難を確実に解決する。
八、法によって会計業務を強化し、会計書類の偽造行為に手痛い打撃を与える
会計業務を強化し、会計情報の真実性を保証することは、社会主義市場経済秩序を保持する重要な基礎である。当面、証明書や統計書類、報告書などを偽造し、偽りの会計情報を提示する現象がかなり目立ち、経済の正常な秩序を甚だしく妨害している。そのため、法によって会計業務を強化し、断固として会計書類の偽造行為に打撃を与えなければならない。世界貿易機関(WTO)の規則要請に応えて、会計制度と関連法規をより充実させ、会計業務の法制化と規範化の強化をはかるべきである。財務会計の監督・管理を一段と強化し、『会計法』を突っ込んで全面的に施行する。会計士事務所に対する監査と処分の度合いを強め、法律や規則にひどく違反し、欺瞞行為の由々しい事務所に対しては断固取り締まる。会計士とりわけ高級会計士と企業管理者に対する財務会計知識の教育や研修を強化し、会計業務の管理水準を絶えず引き上げる。法律に則って財務管理をおこなう会計士に支持と保護を与え、原則を堅持し、厳格に法律を守る会計士を公の場で表彰、奨励し、会計士に攻撃を与え、報復を行う行為及びその責任者に対しては、法によってその責任を厳しく追及しなければならない。
九、刻苦奮闘の作風を大いに発揚し、勤倹の主旨に従ってすべての事業を運営する
今まさにわが国は経済建設と社会発展の山場を迎え、経済が依然として未発達段階にあり、国民の生活水準はまだ低く、財政もかなり困難な状態にあり、やらなければならない重要な事業や緊急課題が数多く存在している。それなのに、現在、生産、建設、あるいは消費などの分野には派手好みや無駄遣いの現象がなお大量に存在している。従って、刻苦奮闘の精神で創業し、節約を励行し、勤倹の主旨に則って事を運ぶといった作風を大いに提唱し、贅沢三昧の行為にしっかりと歯止めをかけなければならない。財政部門は率先して刻苦奮闘し、実際行動で模範を示すべきである。予算編成の際には、こと細かく、科学的かつ合理的に算出し、不必要な支出を禁じなければならない。予算の執行にあたっては、厳格に査定し、資金の利用効果を追跡調査し、それぞれの資金がいずれも「肝心なところ」に使われるようにしなければならない。財政監督を強化し、経費を無駄遣いする規定違反行為を厳しく取り締まり、財政資金の損失と浪費を最大限にくいとめるべきである。
代表のみなさん、今年度の財政予算の任務はかなり重く、われわれはその責任の重大さを深く感じている。われわれは江沢民同志を中核とする党中央の周りにしっかりと団結し、ケ小平理論の偉大な旗印を高く掲げ、「三つの代表」という重要思想の要請に従い、自信を固め、鋭意進取し、精魂をこめて着実に仕事をすすめ、優れた成績を以って勝利のうちに党の第十六回代表大会の開催を迎えよう。