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レクサスが国産化を急がない理由

広州トヨタの新工場プロジェクトが完成以来、高級車「レクサス」(中国名:雷克薩斯)の国産化の予測が後を絶たないが、会社側は一貫してこれを否定している。トヨタ中国投資公司の曽林堂副総経理(副社長)はこのほど、レクサス「LS460」の発売に先立って行われたメディア交流会で「現在、レクサスの国産化計画はない」と明言した。アウディ、BMW、キャデラック、ベンツ、ボルボなどの高級ブランド車は相次いで国産化を選択している。レクサスはなぜ国産化を急がないのだろうか。(王政)

高級ブランド車の国産化にあたっては、多くの制約がある。まず第一に、市場が十分に大きくなくてはならない。一定の販売台数が見込めなければ、国産化しても採算が合わないからだ。一般に、年間販売台数3万台が、高級ブランド車の損益分岐点だといわれている。しかし国産化を果たした高級ブランド車は、アウディが早々にこのハードルを越えたのを除き、軒並み1万台前後で足踏みしている。レクサスは2004年に中国市場への再進出を果たすと、販売台数は急増し、製品のラインナップも基本的に整った。しかし穏健さをモットーとし、長期的な視野に立つレクサスが、国産化の決定を下す前に、できるだけ市場のパイを拡大したい方針であることは明らかだ。

高級ブランド車の国産化を制約するもう一つの要因は、部品の国産化だ。普通のブランド車に比べて、高級ブランド車は技術力が高く、販売台数が少ない。そして部品の供給システムには多大な投資が必要で、投資の回収には時間がかかる。かつては完成車を扱う合弁企業に対し、設立当初の部品国産化率を40%と定めていたが、世界貿易機関(WTO)への加盟後、この規定は廃止された。このためBMW、キャデラック、ベンツなどが先を争うようにして国産化に踏み切った。しかしその後新たに制定された「完成車の特徴を備える自動車部分品の輸入管理弁法」では、国産車の主要部品の組み立てや部品生産の国産化などについて、多くの量的な基準を打ち出しており、今年7月1日の施行後、基準を満たさない企業には、部品輸入に際して完成車と同額の関税が課されることになった。こうした規定が国産高級ブランド車を悩ませる問題になっている。

税関総署はこのほど、同弁法に盛り込まれた課税措置の部分について、2年後の08年7月まで執行を延期すると発表したが、高級ブランド車が今後2年間で基準に到達するのは相当難しい。

トヨタの高級車種であるレクサスは、動力部品については、国産化を実現したクラウン(中国名:皇冠)、マークX(鋭志)、カムリ(凱美瑞)などとシェアできる部分が多く、新規定による完成車と同額の関税を回避することはそれほど困難でない。しかしブランド力の面では、BMWやベンツとはかなりの隔たりがある。この点がおそらくレクサスが国産化を急がない主な原因だろう。現在、中国の高級車市場には、依然として理性的とはいえない消費傾向がみられ、代表的なものとして「輸入車を買うことは国産車を買うことより格好がいい」といった見方が挙げられる。華晨BMWがBMW5シリーズを国産化した初年に、販売台数が輸入車である同7シリーズを下回ったことがそのいい例だ。このためレクサスは、全シリーズを輸入車として、BMW、ベンツ、アウディなどの国産車と競争させ、さらに購入から4年間・走行距離10万キロまで修理保障・無料メンテナンスを提供する戦略を打ち出している。

高級ブランド車にとって、急成長する中国市場は絶対に無視することのできない戦略的要衝であり、生産の現地化が大きな流れだ。レクサスも例外ではない。しかし国産化の時期については、レクサスは慎重な戦略を立てており、今後の展開が注目される。

「人民網日本語版」2006年10月11日

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