馬氏は自分の偶然の発見に驚き、多国籍企業の環境保護コンサルタントをしたことがある。「こうした企業は中国側パートナーへの要求で、環境保護違反の『ゼロ容認』を課すのに、どうして自社は違反できるのか?」。馬氏は「とりわけ、いつも『企業責任』を掲げる企業が中国では法律すら守らないのなら、自己批判する必要がある」と語る。
本紙が取材すると、「偶然」「うっかり」「想定外」などの言葉で釈明する企業が多かった。上海松下電池公司で環境保護を担当する陳氏は「これは『偶然』で、当日自分は会社にいなかった。数千個の電池部品の洗浄を指示された従業員が、誤って廃水で洗浄してしまったため、一時的に水中の有機物が基準値を超えた」と説明した。当日はちょうど浦東新区の環境保護監視所の通常の水質検査の時間にあたり、監視所は意見を提示するとともに水質のサンプリング検査を行ったのだという。
アメリカン・スタンダード陶瓷公司は「うっかりミス」だと言う。同社の技師によると、05年12月、工場の水加熱処理システムのパイプが夜間に凍結・破裂し、不十分な処理のまま廃水が排出されてしまい、翌日の環境保護局の検査で違反が見つかったという。
上海花王公司は「想定外の事故」と片づける。05年3月に「生産過程の故障で、汚水濃度が濃くなってしまった」。バイオ浄化を採用しており、高濃度の汚水で細菌の生物活性が破壊されたが、細菌の回復には一定の時間が必要なため、廃水が不合格になったのだという。
ネスレ飲用水公司は、違反と汚染に直接の関係はないと言う。05年5月に生産能力の拡充を申請した際、2000年の工場建設に関する書類の提出を求められたが、書類の保存体制に問題があり、当時の環境保護検査報告が見つからなかったため、「環境保護設備が検査を通過していない」ことにされたという。
「仕方がない」と言う違反企業もある。上海ピザハット公司が借りている店舗は「緑地集団の申請が遅れている」ために、環境アセスメントの回答が得られないとする。長春ペプシコーラ公司は「当時ちょうど環境保護設備を改築中で、基準値を超える廃水が出るため、現地の環境保護局に申告した。環境保護局は事情を承知している」と言う。
「人民網日本語版」2006年10月30日