中国工業銀行は27日、上海と香港の両証券取引所で同時上場した。同行は大陸部最大の国有商業銀行であり、その上場は中国銀行業の改革が新たな段階に入ったことを示すだけでなく、資本市場の発展にも影響を与えるものと見込まれる。今回の上場で最も印象深かったのは、次の3点だった。
(1)資金調達額が世界一
最終的に、同行のA株、H株を合わせた資金調達額は191億ドルに達し、世界資本市場の新規株式公開(IPO)における新記録を樹立した。同行の株式の人気ぶりから、中国経済の持続的、急速かつ健全な発展の下で、中国銀行業の発展チャンスに注目する国内外の投資家がますます増加していることがわかる。
(2)A株市場で市場価値が最大
同行は今回の上場後、A株市場で最大の「権重股(A株市場に対し影響力を持つ株)」になるものと予想される。今回の上場により、A株市場で市場価値型株式の供給が増加し、市場における投機行為の減少につながった。また6500億元を超える購入予約資金や同行株式発行期間のA株指数の緩やかな上昇などは、市場に対するA株投資家の信頼が徐々に回復してきたことの表れといえる。
(3)初のA株・H株新規同時上場銘柄
同行の株式は初めて、香港と大陸部の両証券取引所において同時に、同価格で発行され、これまでよくみられたようなA株発行価格がH株発行価格を大きく上回るという状況を変えた。これは大陸部の投資家にとって市場がより公平になったというだけでなく、大陸部証券市場と国際証券市場との連動プロセスがさらに一歩進んだことを意味する。
当然ながら、今回の上場は国有商業銀行の改革の終わりを示すものではなく、一つの出発点に過ぎない。上場はチャンスをもたらす一方、課題ももたらす。国有商業銀行にとってより重要なことは、現代型企業制度構築の要求に基づいて、経営メカニズムを転換し、▽資本の充足▽内部コントロールの厳格化▽良好な収益システム▽強い国際競争力――などを目標に据えることだ。そうしてこそ、現在の資本市場で注目を集める「花形」が、将来は安定した「常緑樹」へと成長を遂げることが可能になる。
「人民網日本語版」2006年10月31日