オリンピックの開催は、開催都市が全世界に理解される絶好の機会だ。五輪に押し寄せる何千何万もの外国人にとって、科学的に整備された道路案内システムは、その都市を熟知する早道となる。

五輪開催都市になったことで、北京市は公共建設の発展を加速させる機会を得た。人口1千万のこの大都市が日進月歩を遂げる中、人々は発展の不均衡がもたらす問題も同時に感じている。高層ビルが雨後の筍のように増え、道路がクモの巣のように延びるのと時を同じくし、多くの人が鉄筋とセメントの森で道に迷った経験を持っているはずだ。都市の道案内システムという、決して新鮮ではない話題が、いつの間にか再び、大は都市のイメージに関わり、小は日常生活に関わる問題となった。

北京は五輪開催をめぐる大規模なインフラ建設で多くの称賛を得ている。例えば、多くの科学技術の結晶であるメインスタジアム「鳥の巣」は、北京の新しいメルクマール（指標）となるだろう。さまざまな場所にいる人々が「鳥の巣」の方角を便利に素早く把握できるようにする方法は、「ソフトサイエンス」の範疇に入る。昨年北京で開催された国際シンポジウム「図形記号と都市案内」で、英国図形記号標準委員会の主席は「道路検索・案内システムによって、各地点・施設は利用者へのより良いサービスを確保できる」と述べた。この言葉は、単純に見える道路標識が秘める深い意味を指摘している。

2008年、活気溢れる「鳥の巣」であれ、閑静な小道の胡同であれ、北京がその誇りを世界の人々に示すこの時に、手軽で親切な「ソフト環境」を整備することを忘れてはならない。北京の道をたずねること。外国人に質問される前に、まず北京自身が自問すべき問題だ。

「人民網日本語版」2006年11月2日