アジア大会のU-19サッカーをテレビで観ていると、日本チームは誰がフリーキックを蹴るか、数人で輪になり、じゃんけんで決めていた。学校のサッカーでよく見られるこの方法に、リラックスして楽しかった昔の日々を思い起こした。
以前、中国のU16チームが負けた時は、沈み込んだ表情の選手がテレビに映り、泣きながら続けざまに3回謝っていた。「指導者、すみません!」「コーチ、すみません!」「観客のみなさん、すみません!」――。
わたしからすれば、いちばん申し訳ないのは選手自身に対してであり、楽しくサッカーができなくて、何の気力が出るのだろうと思う。少年は楽しく成長し、悩みも少なくあるべきなのに、試合のために思想上の悩みを背負ってしまっている。試合のたびに、それもただの省市級の青少年試合の時でさえ、関係部門は「ベスト8をキープし、ベスト6を目指せ」「ベスト4を確保しろ」「金メダル3個は必ず」などと、工場の生産や商店の売上のように、絶対的なノルマを設定する。スポーツの試合では、勝つこともあれば負けることもある。「ベスト何々」の確保など、誰にもできない。要求はないとか、選手は責任を負わないと言うのではない。力の限りを尽くして戦い、一定のレベルに達しさえすれば、それでいいのだ。ノルマを設定するのは明らかに不適切だし、少年のチームなら、なおさらだ。ノルマが先行し、指導者が監督にプレッシャーをかけ、監督がコーチにプレッシャーをかけ、コーチが選手にプレッシャーをかけ…というふうに上から順にプレッシャーをかけていき、いちばん下の選手には重いプレッシャーと不安がのしかかる。これでどうして、心の平静を保ち、楽しんで力を発揮し、良い試合をすることができるだろう。
日本選手の「じゃんけんぽん」と、中国選手の「すみません」。比べてみると、後味の悪いものだ。ドイツ映画「ハインチェ」の主題歌は「小さな少年、悩みは少ない、見わたす限りに太陽が照っている。小さな少年、悩みは少ない、いつまでもこうだといいのに」と歌う。われわれの小さな選手たちも、スタジアムの内外でこのようにできたら、どんなにいいことだろう。
「人民網日本語版」2006年11月30日