中国現代国際関係研究院日本所の劉軍紅副研究員がこのほど、日本経済の回復について次の論考を寄せた。
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日本内閣府の発表した経済報告によると、今年11月末現在、日本経済は58カ月連続で成長を達成し、1965年11月から1970年7月まで57カ月間続いた戦後最長の経済成長期「いざなぎ景気」をついに超えた。この景気拡大期は2002年7月に始まり、それ以降、年平均成長率は2.5%を上回り、05年度(05年4月~06年3月)には3.2%に達して、先進国中トップクラスになった。
今回の経済成長には「中国のけん引」という特徴が明瞭だ。日本企業の海外での利益は上昇の一途をたどり、その大部分が中国市場に由来するものだ。過去5年間、日本の対中輸出は毎年2けたの成長を続け、特に04年以降は中国との貿易額が米国との貿易額を上回るようになり、中国は日本の第一の貿易相手国に飛躍した。日本の対中輸出の90%を生産設備、部品、材料が占めており、このことが中国国内の設備投資拡大をもたらしている。
日本の経済成長には、民間主導の「自立的回復」という特徴もみられる。ここ数年来、日本の失業率は目立って低下し、03年末の5.1%から、06年8月は4.1%まで低下した。求職者一人あたりの求人の割合を示す有効求人倍率は0.69倍から1.08倍にほぼ倍増し、過去最高水準に迫った。04年以降、個人消費は8年ぶりで増加に転じた。これと同時に、公共投資は毎年減少し、政府需要が国内総生産(GNP)に占める割合が低下を続けている。
日本経済の持続的成長をみると、▽在庫が増えないこと▽景気拡大にさらなる発展の余地があること▽国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)などの国際機関が日本経済に対する観測をたびたび上方修正していること――などから、その持続可能性がうかがえる。
しかし日本経済には少なからぬリスクも存在する。第一に、巨額の財政赤字という難題が存在する。現在、日本政府のかかえる負債は年間GDPの約1.5倍に達している。06年に日本は人口減少期に突入し、その一方で社会保障費の支出が大幅に増加しており、年金の財源問題は安倍政権のアキレス腱となっている。第二に、国際市場では資源価格が値上がりし、潜在的なインフレリスクが見え隠れしており、金融政策が困難に直面している。第三に、米国経済に減速の可能性があることや、貿易保護主義が強まっていることなどから、日本円が再暴落する可能性がある。米ゴールドマン・サックス社の試算によると、現在日本円の実質レートは過去21年間で最低水準にある。外国為替市場では英ポンド、ユーロ、オーストラリアドルなどの主要通貨に対するレートが過去最低を記録し、対アジア通貨レートも1997年のアジア金融危機時の水準まで落ち込んだ。今後、欧米が日本円の低迷を容認し続けるかどうかが、日本経済にとって最大の「変数」になることだろう。
「人民網日本語版」2006年12月4日