中国は世界貿易機関(WTO)加盟5周年を迎え、国家環境保護総局や中国社会科学院などの関係専門家は、多国・地域間貿易は貿易と環境の関係を適宜処理すべきで、とりわけ先進国が環境保護という名の下に「保護貿易主義」という実を取ることに反対すべきだと訴えた。「第一財経日報」が伝えた。
1週間前、「中国経済発展の外部環境からの影響――国際法の分析」報告書(以下「報告」と略)が発表された。「第一財経日報」によると、国家環境保護総局・環境と経済政策研究センター学術委員会の胡濤主任、中国社会科学院の潘家華研究員など専門家が執筆した同報告書は85ページに及ぶ。
「報告」では、WTOは貿易自由化を主な使命とする国際組織で、環境保護組織ではない。このため、環境保護という目標の正当性と合法性を肯定すると同時に、環境保護の名の下での「保護貿易主義」実施に反対すべきだとしている。
胡主任によると、中国はWTO正式メンバーとなった2001年以降、WTO規則が求める義務を誠実に履行しており、このために多数の国内法の整理、制定、改正、撤廃作業を進めてきた。環境保護の面から見て、中国の経済発展には、WTO関連環境基準に違反する要素は存在しない。逆に、中国が直面した課題のほとんどは、他国の一方的な環境措置から生じた中国製品の市場進出許可に対する潜在的・現実的な脅威であった。
「報告」では、中国政府が環境保護のため国内で実施した貿易制限措置は、特別な状況において、その他国家から貿易自由化原則違反を理由に申し立てを受ける可能性があると特に指摘されている。典型的な例として、EUが2004年、中国のコークス輸出制限に対して様々な圧力を加え、中国に譲歩するよう迫った事が挙げられる。しかし、一部西側国家はそれまでに、自国の環境保護のため、本国のコークスメーカーを閉鎖していた。
専門家は、これは一部西側国家のダブルスタンダードと道徳面での虚偽性を反映していると指摘している。つまり、中国の環境汚染を批判する一方で、貿易自由化を口実として中国の環境保護措置に対して根拠のない批判を行なっているのだ。
中国が今後、自国の危険廃棄物を他国に持ち込む可能性があるという西側諸国の一部の人々の推測に対し、「報告」では、中国はこれまで自国の危険廃棄物を他国に移送したことはなく、逆に、中国は長い間、危険廃棄物を持ち込まれる被害者だと指摘している。
国家環境保護総局によると、驚くべき数にのぼる世界の電子ゴミのうち、80%がアジアに輸出され、このうちの90%が中国に持ち込まれている。中国は世界最大の電子ゴミ廃棄場となっている。
このほか、西側諸国で生産が禁止されている高汚染産業・プロジェクトが中国に直接貿易方式で中国に輸出されているという事実は、さらに注目に値する。
厳格すぎる環境基準で貿易障壁を構築すると、環境保護問題の解決を不可能とするどころか、発展途上国の持続可能な発展力に深刻なダメージをもたらすと「報告」では指摘している。国際社会は資金、貿易、債務など各分野における発展途上国の難題を良く理解すべきであり、力強い措置を講じ、さまざまな方法による保護貿易を撤廃しなければならない。
「人民網日本語版」2006年12月12日