重陽の詩
九九重陽には、高所に登って遠くを眺め、風に吹かれて酒を飲む。詩興はおのずから湧きいでて古くから重陽を詠じた名句が数多く残されている。なかでも、いちばん人々に知られているのは、唐の詩人王維の『九月九日、山東の兄弟を憶う』であろう。

 独在異郷為異客  独り異郷に在って異客と為り

 毎逢佳節倍思親  毎も佳節に逢えば倍して親を思う

 遥知兄弟登高所  遥かに知る兄弟の高きに登る処

 遍挿茱萸少一人  遍く茱萸を挿せど一人少なきを

詩には自分が高所に登ったことを書いていないが、あべこべに兄弟が登って「遍く茱萸を挿せど一人少なきを」と詠んで、巧妙に、深い感情をもって、自分が故郷を思い、肉親をしのぶ気持ちを伝えている。

言い伝えによると、重陽に菊花酒を飲むと、長生きするそうだ。白居易に酒を飲んで菊を賞でる名作『重陽の席上で白菊を賦す』がある。

 満園花菊郁金黄  満園の菊の花郁金黄

 中有孤絲色白霜  中に孤絲霜の如く白き有り

 還似今朝歌舞席  還今朝の歌舞の席に似たり

 白頭翁入少年場  白頭の翁少年の場に入る

(大意――花園にはいろいろな黄色の菊の花が咲いている。その中にひとくき霜のように白い花をほころばせている菊がある。まるで今日の歌舞の宴席のようだ。ひと群れの若者たちのあいだに、ひとりの白髪の老人がまざっている)

 
 

 

 

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