昨今、大学生の就職問題がホットな話題となっている。国際経済の衰退という厳しい情勢に直面しているため、中国でも就職の面で全般的にプレッシャーがいっそう大きくなっている。今年、中国では145万人の大学・高等専門学校の卒業生が就職市場に押し寄せることになり、その就職は楽観を許さないものがある。最近のある調査によると、約8割の大学生は「就職のプレッシャーが大きい」ということを自分たちのなによりもの悩みと見なしている。
現在、大学生が職を求め、就職の契約を結ぶピーク期にさしかかっており、数多くの熱心な求職者の中では次のようないくつかの新しい状況が見られる。
まず就職し、それから職業を選ぶこと
このほど、いくつかの大学生就職招聘会を通じて、多くの大学卒業生がまず就業し、それから職業を選ぶ考え方でいることを知ることができた。北京のある大学の河南省籍の学生の雷さんはずっと報道事業にたずさわることを志してきたが、今年の報道部門の求人数が多くはないため、多くの部門に当ってみたが、いずれも願いをかなえられなかった。この間の招聘会で、彼はあるPR会社との間で意向書に調印した。そのわけを尋ねられた時、「まず(北京に)残り、そうすれば職業を選ぶチャンスもあり得ると思っているからです」と語った。
天津大学から来た鄭宏宇さんは午前半日だけで上海のある船舶研究所との間で取り決めに調印するとともに、関連の手続きを済ませた。彼は、まもなく従事することになる仕事についてはあまりよく知らず、その仕事におけるみずからの価値についての認識もあまりはっきりしてはいないが、彼がなによりもまず考えているのは卒業後の生活問題であり、仕事における一定の経験と経済力を蓄積し、思想的に成熟することを待ってから、また「くらがえ」し、自分の専攻に合った仕事を選ぶことを考えていると語った。
就職のプレッシャーに直面している大多数の大学生は特有の自信と成熟を見せている。彼らの多くはこれまでの「一回しか就職しない」から「何回も就職する」ということになり、「繰り返してくらがえする」人たちとなっている。
ある広告会社のクリエイティブ総監のポストについている陸さん(女性)は次ぎのように語った。大学卒業後、一発で就職の目標をとらえる考え方はロマンチックなものである。自分も職業を選択するが、人を受け入れる部門も同じように応募者に対し選択を行わなければならないはずである。大学卒業は「戦略的な一歩を踏み出したにすぎず」、奮闘が始まったばかりである。われわれは純真なロマンチックのみにしがみついていてはならず、冷静な理性主義にちょっぴり理想主義をプラスすべきである。
陸さんはある名門大学を卒業し、卒業後ある商業銀行に配属され、最も基礎的なカウンターでの仕事に携わって来た。それに対し、このこれまでの優等生は少しも文句を言わず、自分の潜在的可能性に頼り、挫折を何回も経てからはじめて自分のアイデンティティーを探り当てた。
教育部大学・高専学生司卒業生就業処(課)処長の陳曦氏は、「実践の中ではじめてある持ち場が自分に適しているかどうかを判断することができるのであり、一つの持ち場によって生涯を決めることはとっくに過去のものとなった」と語っている。
創業のために就職しないこと
就職はなんのためか。みずからの価値を実現するためではないか。創業は自分を養うことができるばかりでなく、さらに達成感と自主権をもつことである。多くのコンピューター、芸術、デザイン、広告などを専攻した大学生が次々に「ビジネスの世界に入り」、大胆にみずからが「社長」となり、青春のバイタリティーでもって事業のピラミッドを築き上げることを始めた。
今年2月28日に正式に登録して設立された「追日者ソフト・ウエア開発公司」は深せん大学の平均年齢22歳未満の97、98年卒の大学生たちが裸一貫で創設したものである。いったいどんな力がこれらの若者を結束させ、共通の目標のために努力させることになったのか?彼らは、「みずからの好みと達成欲です。一人でインターネットをサーフィンして回ることはわびしいものであるが、数人の志を同じくする友たちが一緒に集まって互いに交流し合うことは、すべてのものの向上にいずれもプラスとなるものです。おカネを稼ぐことと事業に身を投じることのどちらにも響かない以上、なぜ苦心して仕事を探さなければならないのですか」と答えた。
ユネスコのある文書の中では、高等教育が育成している未来の卒業生は求職者ばかりでなく、成功を収めることのできる企業家と就業のチャンスの創造者であるべきだと述べている。知識経済の時代において、多くの新興産業、例えば情報産業、生命科学・技術などの分野に多くの発展のチャンスがあり、しかも国が政策的に多くの助成を与えているため、自主創業は素晴らしいタイミングに恵まれつつあるのである。
現在、大学生が創業するケースがますます多くなり、彼らは特許技術を利用してベンチャー投資を勝ち取り、これによって民営企業を創設するか、またはハイテク産業に進出し、自分たちの就職問題を解決したばかりでなく、その他の人々のために就職のチャンスを作り出している。
カッコいいSOHO族
SOHOはSmall office、home officeの略であり、もっぱら自宅で仕事をする自由業の人たちのことを指している。この種の就職形態がますます大学生たちに喜ばれるようになった。
今年卒業する大学生の多くは、前世紀の70年代末に生まれた人たちで、しかも圧倒的多数は独りっ子であり、家庭の経済面のプレッシャーも小さく、一般には家庭の生活問題に悩まされることがなく、安心してSOHO生活を選ぶことができる。
歴史専攻の呂さんは、北京のある研究所に入るチャンスを放棄した。彼は文筆がずば抜けている上に、写真という趣味の持ち主で、卒業後、半年間を利用して西部地域に行き、民謡を収集し、みずからの経験と見聞を増やし、それから自宅で仕事をするSOHO族になり、雑誌に寄稿したり、企業と広告会社のために企画または広告のデザインをしたりしたいと考えている。
北京のある大学の一卒業生は、「ぼくは来年に大学院生の募集試験に志願するつもりで、準備期間にまず中国の公認会計士というようなかなり実務的な資格にチャレンジし、今後の就職のためにかけひきの元手を増やそうと思っています」と語った。伝えられるところによると、今年の大学卒業生の中でこうした考え方を持つものがかなりの比率を占めている。南京理工大学を例として挙げてみよう。この大学は昨年、あわせて2466人の卒業生を送り出したが、大学院生に進学したものは16.5%を占め、南京大学では大学院生に進んだものがなんと30%にも達した。外国に留学することを申請することも大学生たちがSOHO生活を選ぶ理由の一つとなっている。
今年の大学卒業生の就職面に現れた新しい状況について、教育部門関係筋の分析によると、今ではほとんどの部門が従業員を採用する際、いずれも契約制をとり、辞職やくらがえが日常茶飯事となり、大学を卒業してから初めてありついた仕事の自分にとっての重要性はすでに割引されており、そして大都市の戸籍の吸引力もそれほど大きなものではなくなり、仕事または住宅がありさえすれば、数多くの都市では定住が可能で、社会保険に加入してもいいことになっている。したがって、一部の大学生は卒業後の最初の就職を重要視せず、みずからの資質の向上と長期的な発展をより多く考えるようになっている。こうした側面には現代の大学生の就職観の進歩が反映されている。
「チャイナネット」 2002年6月17日