河川の多い中国では、多くの川やその一部の区間で川下りを愉しむことができる。水量の豊富な夏は、川下りに最適の季節。現在、63あるスポットはいずれも、福建省の武夷山や湖南省の張家界、長江三峡や黄河など、風光明媚な観光地の近くにある。夏に家族や同級生と観光した際には是非、竹製やゴム製の筏、舟ではらはらする川下りを体験してみたらいかがか。
小三峡と「小小三峡」
一般にまず、巫山から木製の小舟で上流の終点へとさかのぼり、そこからゴム製の筏で下る。
小三峡は滴翆峡、巴霧峡、竜門峡の3つの区間に分かれる。竜門峡の長さは3キロ、巴霧峡10キロ、滴翆峡は20キロ。滴翆峡の両側には山々が延々と連なり、小三峡で最も絶景の地。川下りの途中、両側の岩壁に巴人の棺や旧桟道を見ることができる。小小三峡は大寧河の支流である馬渡河が織り成す峡谷。三撑峡、長灘峡、秦王峡の3区間に分かれる。馬渡河の河口から5キロさかのぼった三撑峡が、川下りには最高。川幅は狭く瀬が多いため流れが急だが、下るには理想的だ。険しい瀬があると思うと深い淵が現れる。かなり緊張感のある刺激とリラックスが交錯する。
険しい瀬に深い淵、これが小小三峡の特徴だ。ゴム筏は瀬に近づくと速くなり、まさに「巴水の急は矢の如し、巴舟は飛ぶが如く行く」。深い淵に来ると、緩衝地帯となるため流れは緩やかとなり、水面は鏡のように穏やかだ。ゆっくり下りながら、両側に続く絶壁、珍しい草や花、天を衝く古木、山を登るサル、飛翔するタカを眺めるのも一興。画が1副1副眼前を過ぎ去っていく。眼を愉しませてくれて、すがすがしい気持ちになる。
猛洞河
湖南省湘西自治州の永順県を流れる猛洞河。高く聳え立つ石壁、深く静かな峡谷、曲がりくねって流れる青い水、点在する洞窟……。支流の司河がゴム筏下りのスポット。幅が狭く瀬では流れが急になり、波をかき分け進むのは無限の愉しみだ。猛洞河はトウチャ族発祥の地でもある。両岸にトウチャ族の住宅、「吊脚楼」が見え隠れする。下流にある古い町、王村にはトウチャ族が数多く住み、国の重点文化財の渓州銅柱が残されている。
茅岩河
湖南省張家界市の永定区を流れる。市街地から30キロ離れ、長さ約50キロ。両岸の景色は美しく、瀬が多いため流れは急。ゴム筏に乗って上流から下れば、探検家になった気分に浸ることができる。張家界市内から車で温塘鎮にある茅岩河の出発点まで行き、埠頭で筏に乗って下る。途中、梭銀潭や鴛鴦洲、水洞子、興浪灘、難度河などの景勝地を通過。波の高い険しい瀬は81ヵ所、全長約35キロのコースだ。また、続けて武陵を下ることもできる。
神農渓
長江の北岸、湖北省の巴東県町から9キロさかのぼった所にある。総延長60キロ、両岸に断崖が迫る。狭い所で5メートル未満、絶壁は80〜90度、高さは300〜800メートル、一日平均流量は一秒20立方メートル、最も険しい猿洞灘では落差が3メートルに達し、巫峡口の東2キロの所にある西壌口で長江に注ぐ。神農渓は雄大で秀麗、峻険、幽寂さが一体となった独特の景観を見せ、トウチャ族の風情が漂っている。川下りできる距離は20キロ。「莢豆」と呼ばれる細長い舟で錦竹峡、鸚鵡峡、竜昌峡、この3ヵ所の峡谷を下る。面積は57.5平方キロ。潅木が生い茂り、野の花の香りが周囲に漂い、サルやシカなどの群れが出没するなど、自然を満喫できる。鍾乳洞は60余りを数える。険しい瀬、長く続く瀬、浅瀬などが30ヵ所あることから、昔から「1里に3つの湾があり、どの湾にも瀬がある」と言われてきた。渓流は透き通って水底が見え、滝が数多くある。原始的な舟「莢豆」、古色ある村落、トウチャ族の風情、質朴で自然、汚染のないのが神農渓での川下りの魅力だ。
川下りする際に注意する事項
1.最適な時期は4月から10月。
2.ホテルを出る前に、着替えとプラスチック製のスリッパを用意する。
3.現金や貴重品は持たない。カメラを持参する場合は安いものにし、ビニール袋に包み、緩やかな瀬では開けて写真を撮ってもよいが、険しい所では必ず包む。
4.舟上では船頭の言うことを聞き、ライフ・ジャケットを着け、安全ロープをつかむ。険しい瀬を通過するときは、船頭の指揮に従い、動かず、安全ロープをしっかりとつかみ、両足を内側に寄せ、体を舟の中央に傾ける。
5.舟が転覆した場合、ライフ・ジャケットを着けているので慌てない。
6.勝手に舟を下りて泳がない。
7.舟を下りたらすぐに着替えをし、風を引かないようにする。
「チャイナネット」2002年7月16日