1995年5月6日の土曜日、朝目覚めた中国人はみなささやかな喜びに心が躍った。そうだ、今日も明日も休みだ。出勤しなくてもいいんだ……。この日から中国に週休2日制が導入され、週末連休は夢ではなくなった。1995年3月25日、李鵬総理は、1995年5月1日から週休2日制を実施するという国務院決議書にサインした。こうして中国はついに数十年来続いた週6日労働制に別れを告げた。5日間一生懸命仕事をしたあとは2日間の骨休み――この改革で中国人の生活には少なからぬ変化が起こった。
週末になると、日頃多忙な都会人も暮らしのテンポをちょっと緩め、休暇を利用して自分のやりたいことをやる。例えば、普段は時間に追われてなかなかゆっくりできないショッピングを楽しむのもその一つ。最近は商品が豊かで買い物にも便利なスーパー・マーケットが人々の人気を集めている。中国人は家庭をとても大切にする。だから週末もほとんどの人がまず家族との団らんを優先する。
気分転換も休日の大事な要素だ。週休2日制の実施以来、週末に小旅行に出かける人はどんどん増えてきて、中国各地に旅行ブームが起こっている。美しい自然、ゆったりとのどかな田園風景、多彩な文化歴史遺跡、魅力的な特産物の数々など、豊かな観光資源に触れて、人々は生活に彩りとうるおいを添えると同時に、心身をリフレッシュさせ、娯楽、気分転換という目的にも達することができる。「上手に休める人は仕事もよくできる」。自由になる時間が増えたということは、自分を充実させ発展させるチャンスでもある。多くの人が貴重な休日を無駄に過ごすことなく、学習や各種の講習、自分の興味のある活動に参加して、この得難い連休を存分に活用している。読書であれ旅行であれ、またショッピングや散歩にしても人々はそれぞれのやり方で週休2日を満喫しているのだ。
いまや、都会の至るところで多彩な休日光景が繰り広げられている。アンケート調査によると、北京市民の50.8%の人は週末に外出し、外出の目的は、買い物、親戚や友人訪問、観光、ダンスホール・カラオケ、アスレチック、ホテルでの食事、映画・演劇・演奏会鑑賞という順である。家でのんびりするという人は30.5%で、テレビやビデオを見たり、本や新聞・雑誌を読んだり、音楽を聞いて過ごす。さて、広州の人の週末の過ごし方は一段とバラエティに富んでいて、南方の開放都市らしく他の都市とは一風変わっている。ここの人々は仕事や生活に対する理想や要求が高く、若者の多くは余暇や業務時間に他の企業の仕事を兼職している。また、科学技術の発展と新興産業の勃興に従って、社会には一種の「独学ブーム」が巻き起こり、自己の向上や新しい知識の習得のために、週末に各種の講座や専門学校に通う人も多い。広州の多くの大学は、学校の特色に合わせて各種の「独学補修クラス」を開設している。一方、娯楽派のホットスポットは目下、カラオケやダンスホールから新しくできた乗馬クラブやセンターに移りつつある。もちろん、家でぼおっととことん「休み」に徹する人もいる。
大都会上海ともなると、休日ムードは北京、広州よりさらに色濃い。上海の零点市場調査公司が行ったアンケート調査によると、上海人に人気のある週末の過ごし方は、トップが郊外観光で、2位が市内観光、この両者を合わせて全体の49.3%、つまり約半数を占めている。3位はテレビやビデオをみて過ごす人で7.8%、こ黷ヘ気楽でしかも経済的ということらしい。本や新聞・雑誌を読むという人は7.2%、ショッピングは4.2%である。
週休2日制は商業、観光業の発展にも新しい契機をもたらした。週末には、各部門の販売営業額が著しく伸び、平日の3割りから5割り増しになる。こうした経済効果の面だけでなく社会効果の面でも、週休2日制は大きく貢献している。概算によれば、週休2日制の実施によって、鉄道、航空を含む交通運輸、観光、娯楽、飲食業などの分野では職場数(就業の受け皿)に100万余りの増加が見込める。関係部門の予測通り、週休2日制の実施は、職員・労働者の労働条件の改善、健康促進、さらに就業難の緩和、市場の活性化、観光業の発展に大いに役立っている。