いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げ、中国の特色のある社会主義事業の新局面を切り開こう
(11月14日、中国共産党第16回全国代表大会で採択)
江沢民
同志のみなさん
ただいまより、私は中国共産党第十五期全国代表大会中央委員会を代表して、大会に報告を行う。
中国共産党第十六回全国代表大会は、新世紀においてわが党が開催する最初の大会であり、わが党が社会主義の現代化建設における第三段階の戦略的配置を実施しはじめた新たな情勢の下、開催するきわめて重要な代表大会でもある。
この会議のメーン・テーマは次のようなものである。ケ小平理論の偉大な旗じるしを高くかかげ、「三つの代表」という重要な思想を全面的に貫き、過去を受け継ぎ未来を切り開き、時代とともに前進し、いくらかゆとりのある暮らしができる社会を全面的に建設し、社会主義の現代化事業の推進を速め、中国の特色のある社会主義事業の新しい局面を切り開くために奮闘する、ということがそれである。
人類社会が二十一世紀に入るにあたって、わが国はいくらかゆとりのある社会を全面的に建設し、社会主義現代化の進捗を加速する新たな発展段階に入った。国際情勢は大きく変化しつつある。世界の多極化と経済のグローバル化の趨勢は曲折しながらも発展をとげており、科学技術の進歩は日進月歩で、総合的国力の競争は日に日に激化している。情勢はさしせまっており、前進しなければ退歩することになろう。わが党は時代の潮流の先頭にしっかりと立ち、全国各民族人民を結束させそれを率いて、現代化建設の推進、祖国の統一の達成、世界平和の擁護およびともに発展することの促進という三大歴史的任務を達成し、中国の特色のある社会主義の道に沿って中華民族の偉大な復興を実現しなければならない。これは歴史と時代がわが党に与えたおごそかな使命である。
一、過去五年間の活動および十三年間の基本的な経験
中国共産党第十五回全国代表大会以来の五年について言うならば、われわれはケ小平理論の偉大な旗じるしを高くかかげ、絶えず開拓し、革新をしてきた五年であり、様々な困難とリスクの試練に耐え抜き、中国の特色のある社会主義の道に沿って引き続き勝利のうちに前進をとげた五年でもある。
中国共産党第十五回全国代表大会は、ケ小平理論を党の指導思想として確立し、社会主義の初級段階における党の基本綱領を提起し、世紀に跨るわが国の発展のための奮闘目標と任務を明確にした。同大会の主旨を貫くために、中国共産党中央は前後して七回もの全会を開き、農業と農村における仕事、国有企業の改革と発展、第十次五ヵ年計画の策定、党の作風づくりの強化と改善などの重要な問題についてそれぞれに決定を下し、配置を行った。五年来、われわれは並々ならぬ道を歩んできており、改革・発展・安定、内政・外交・国防、または党、国家、軍を治める諸方面においていずれも大きな成果をあげた。
国民経済が持続的でテンポの速い、健全な発展を遂げた。内需拡大の方針を実施し、積極的な財政政策と穏健な通貨政策を適時に打ち出し、アジア金融危機と世界経済の変動がわが国にもたらしたマイナスの影響を克服し、経済の比較的速い成長を維持した。経済構造の戦略的調整には成果がみられ、農業の基礎としての地位が引き続き強化され、在来産業がグレードアップされ、ハイテク産業と現代サービス業の発展が加速された。数多くの水利、交通、通信、エネルギー資源及び環境保全などのインフラ・プロジェクトが実施された。西部大開発には重要な進展が見られた。経済効果と利益がいっそう高まり、財政収入はたえず増えている。第九次五ヵ年計画は勝利のうちに達成され、第十次五ヵ年計画は幸先のよいスタートを切った。
改革開放は豊富な成果をあげた。社会主義市場経済体制が初歩的に打ち立てられた。公有制経済はよりいっそう強大になり、国有企業の改革は穏当に推し進められている。個人経営、私営など非公有制経済はかなり急速な発展をとげた。市場体系の整備は全面的に繰り広げられ、マクロ規制体系はたえず充実され、政府機能転換のテンポは加速された。財政・税収、金融、流通、住宅及び政府機構などの改革は引き続き深化した。開放型経済が急速な発展をとげ、商品とサービス貿易、資本移動の規模は著しく拡大した。国の外貨準備高が大幅に増えた。わが国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、対外開放は新たな段階に入った。
社会主義の民主政治と精神文明建設は著しい成果をあげた。民主・法制の整備は引き続き推進され、政治体制の改革は新たな一歩を踏み出した。愛国統一戦線は大きな発展をとげ、民族、宗教および華僑事務の仕事にも新たな進展があった。社会治安総合対策においても新しい成果を勝ち取った。科学技術や教育、文化、医療・衛生、スポーツおよび計画出産などの諸事業は全面的な進歩をとげた。宣伝・新聞世論の仕事と思想・モラルへの取り組みはたえず強化され、人びとの精神・文化生活は日増しに豊かなものになっている。
国防と軍隊の整備は新たな一歩を踏み出した。人民解放軍の革命化、現代化、正規化の建設は引き続き強化され、国防力と軍隊の防衛戦闘能力はいっそう向上した。軍隊、武装警察と民兵は祖国を守り、建設する中で重要な役割を果たしている。
人民の生活は全般的にはいくらかゆとりのあるレベルに達した。都市農村の住民の収入は着実に伸びた。都市農村の市場は活況を呈し、商品の供給は潤沢で、住民の生活の質は高められ、衣食住や交通、日常の必需品などはいずれもかなり改善された。社会保障システムの整備は目に見える成果をあげた。「八・七」(八年間に七〇〇〇万人を貧困状態から脱却させる)貧困扶助・難関突破計画は基本的に達成された。
祖国統一の大業においても新たな進展が見られた。わが国政府は澳門に対する主権行使を回復した。「一国二制度」という方針を貫徹し、香港特別行政区基本法と澳門特別行政区基本法を厳格に執行することを堅持したため、香港と澳門の社会・経済は安定している。海峡両岸の人的往来と経済・文化の交流がたえず強化された。「台湾独立」など様々な分裂の企みに反対する闘争が深く繰り広げられている。
対外活動には新しい局面が切り開かれた。国際情勢の発展、変化をふまえて、正しい対外方針と政策を堅持し、二国間、多国間の外交を広く展開し、国際交流と協力に積極的に参加したため、わが国の国際的地位はさらに向上した。
党の建設は全面的に強化された。全党はケ小平理論の学習をたえず深めた。われわれは「三つの代表」という重要な思想を提起するとともに掘り下げて解明した。「三講」(学習を講じ、政治を講じ、正気を講じる)の集中的教育と「三つの代表」の学習・教育活動は優れた成果を収めた。党の思想、組織、作風建設は全面的に推進され、思想政治工作は強化された。幹部制度の改革は新しい一歩を踏み出した。廉潔政治の建設と反腐敗闘争は深く繰り広げられ、新たな著しい成果をあげた。
実践が立証しているように、中国共産党第十五回全国代表大会と同大会以来中央がおこなった諸般の重要な政策決定は正しいものであり、最も広範な人民の根本的利益に合致したものである。われわれが獲得した成果は全党と全国各民族人民がともに奮闘したたまものであり、今後党と国家の事業の発展のためにより確固とした基礎を打ち固めることになった。
しかし、われわれの活動の中にはなお少なからぬ困難と問題があることを冷静に見て取らなければならない。農民と都市部の一部住民の収入増加が鈍化し、失業者数が増大し、一部の大衆の生活は依然としてかなり困難なものになっている。収入・分配関係はいまだに整えられるに至っていない。市場における経済秩序は引き続き整頓し、規範化することが待たれる。一部地方の社会治安の状況は好ましいものではない。一部の党員指導幹部の間では形式主義、官僚主義の風潮や虚偽・欺瞞、派手好みといった行為がかなり深刻で、一部の腐敗現象が依然として際立っている。党の指導パターンと執政方式は新しい情勢と新しい任務の要請にまだ完全に適応していないし、一部の党組織は軟弱でまとまっていない。われわれは存在しているこれらの問題を高度に重視し、引き続き強力な対策を講じてその解決をはかるべきである。
こうした五年来の成果は、改革開放とりわけ一九八九年の十三期四中全会以来の実践をふまえて獲得したものである。ここ十三年来、国際情勢が激しく変化したにもかかわらず、わが国の改革開放と現代化建設の進捗はめざましいものであった。二十世紀八十年代末から九十年代初頭にかけて、国内ではゆゆしい政治的波風が発生し、東ヨーロッパが急変し、ソ連が解体し、世界において社会主義がゆゆしい曲折にぶつかり、わが国の社会主義事業の発展はかつてない大きな困難と圧力に直面した。こうした党と国家の前途に関わる運命を決める重大な歴史的時点において、党中央は全党の同志と全国各民族人民にしっかり頼り、十一期三中全会以来の路線をゆるぐことなく堅持し、改革と発展の大局を成功裏に安定させ、中国の特色のある社会主義の偉大な事業を守り抜いた。ケ小平同志の中国南部視察の際の談話後、第十四回党大会で社会主義市場経済体制への改革目標を確立し、改革開放と現代化建設は新たな段階に入った。社会主義の条件の下で市場経済を発展させること、これはかつてなかった偉大な壮挙であり、中国の共産主義者たちはマルクス主義を発展させるために歴史的な貢献をなし、わが党は理論の革新を堅持し、時代とともに前進する大きな勇気を示したのである。計画経済体制から社会主義市場経済体制への転換は改革開放の新たな歴史的な突破を実現し、わが国の経済、政治、文化が発展する新しい局面を切り開いた。ケ小平同志の逝去後、われわれはケ小平理論の偉大な旗じるしを高くかかげ、開拓、進取し、中国の特色のある社会主義事業を全面的に二十一世紀へと推し進めてきた。
十三年来、われわれは思想を統一し、目標を明確にし、着実に仕事をしてきたため、重要な歴史的成果を収めた。二〇〇一年に、わが国の国内総生産(GDP)は九兆五九三三億元に達し、一九八九年に比べて二倍近く伸び、年平均九・三%増となり、経済の総量はすでに世界で六位となった。人びとの生活水準は全般的に「ぎりぎりのレベル」(何とか食べていける暮らし)から「いくらかゆとりのあるレベル」への歴史的な飛躍をなしとげた。世を挙げて公認されているように、ここ十三年はわが国の総合国力が大幅に増大し、人民が最も多くのメリットを手にした時期であり、わが国の社会が長期にわたって安定、団結を保ち、政治が明るく行われ、人びとがむつまじく暮すことができた時期であり、わが国の国際的影響力が目に見えて大きくなり、民族の結束力がきわめて強くなった時期でもある。わが党とわが国の人民が並々ならぬ努力を傾けて偉大な成果をあげたこと、これは世界の注目を集め、かならずや中華民族の偉大な復興という輝かしい史書に記載されるに違いない。
ここ十三年を振り返ってみると、われわれのたどってきた道は平坦なものではなかったし、この成果の獲得も生易しいものではなかった。われわれはわが国の主権と安全に関わる一連の国際突発事件に沈着に対応し、政治、経済分野および自然界に現われた困難とリスクを乗りこえ、度重なる試練に耐えぬき、様々な妨害を排除し、改革開放と現代化建設が終始一貫して正しい方向をめざして勢いよく進むことを保証した。なぜこのような勝利を勝ち取ることができたのかというと、それはわれわれが党の基本理論、基本路線および基本綱領の正しい導き、党の高度の団結・統一、全党と全国各民族人民のねばり強い奮闘に頼ってきたからである。
ここに、 私は中国共産党中央委員会を代表して、全国各民族人民、民主諸党派、各人民団体および各界の愛国人士に、香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞、台湾同胞および広範な華僑同胞に、中国の現代化建設に関心を寄せ、後押ししてくれているすべての各国の友人に心から感謝の意を表すものである。
十三年来の実践の中で、社会主義とは何か、いかに社会主義を建設するのか、どのような党を建設すべきか、どのように党を建設するのかについて、われわれは認識を深め、きわめて貴重な経験を積みあげた。
(一)ケ小平理論を導きとすることを堅持し、理論の革新をたえず推し進めること。ケ小平理論はわれわれの旗じるしであり、党の基本路線と基本綱領はわれわれの諸般の活動の根本的な指針である。いかなる困難とリスクにぶつかっても、党の基本理論、基本路線および基本綱領をゆるぐことなく堅持しなければならない。マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論をもって全党を武装し、人民を教育し、思想をたえず解放し、実際に即して真理を求め、時代とともに前進し、開拓・革新し、大衆の創造精神を尊重し、実践を通して党の理論と路線・方針・政策を検証し、発展させなければならない。
(二)経済建設を中心とすることを堅持し、発展という手段で前進途上の問題を解決すること。発展は絶対的な道理である。すべてのチャンスをとらえて、発展を速めるべきである。発展は新たな発想を必要とする。内需拡大の方針を堅持し、科学技術と教育による国家振興と持続可能な発展の戦略を実施し、スピードと構造、質、効率との統一、経済の発展と人口、資源、環境とのバランスをはかる。経済の発展をふまえて、社会の全面的進歩を促し、人民の生活水準をたえず向上させ、発展のもたらした成果が、人民の共有のものとなるよう保証する。
(三)改革開放を堅持し、社会主義市場経済体制をたえず充実させること。改革開放は国の富強をはかる道である。各方面の改革をゆるぐことなく推し進めるべきである。改革は実際の状況から出発し、総体的に推し進め、重点的に突破し、段取りを追って一歩一歩進め、制度の整備と革新に重きを置く。社会主義市場経済への改革という方向を堅持し、市場が国のマクロ規制の下で資源の配分に対し基礎的役割を果たすようにする。「国外からの導入」と「海外進出」を相結合させることを堅持し、世界の経済・技術の協力と競争に積極的に参加し、対外開放のレベルをたえず向上させる。
(四)四つの基本原則を堅持し、社会主義の民主政治を発展させること。四つの基本原則は立国の本である。中国共産党の指導を堅持し、人民民主独裁の国家体制と人民代表大会制度の政治体制を打ち固め、充実させ、共産党の指導する多党合作制と政治協商制度および民族区域自治制度を堅持し、充実させる。政治体制の改革を推進し、民主を発展させ、法制の健全化をはかり、法に依拠して国を治め、社会主義の法治国家を築き上げ、人民が国の主人公としての権利を行使することを保証する。
(五)物質文明と精神文明の両方に力を入れ、法による治国と徳による治国を結び付けること。社会主義精神文明は中国の特色のある社会主義の重要な特徴である。中国の現実に立脚し、民族文化の優れた伝統を受け継ぎ、外国文化の有益な成果を取り入れ、社会主義の精神文明を構築し、全民族の思想・モラルの資質と科学文化の資質をたえず向上させ、現代化建設のために強大な精神的原動力と知的支えを提供しなければならない。
(六)安定を至上とする方針を堅持し、改革、発展、安定の関係を正しく処理すること。安定は改革と発展の前提となるものである。改革の度合い、発展のスピードと社会の受容度を統一し、人民の生活のたえざる改善を、改革、発展、安定の関係を処理する重要な接点とし、社会の安定を保つ中で改革、発展を推し進め、改革、発展を通して社会の安定を促進するべきである。
(七)党の軍隊に対する絶対的指導を堅持し、中国の特色のある軍隊精鋭化の道を歩むこと。人民の軍隊は人民民主独裁の強固な礎石である。政治面で合格し、軍事面でしっかりし、作風がりっぱで、規律が厳しく、保障が有力であるという総体的要求にもとづいて、戦争で勝てること、変質しないことに着眼し、科学技術による軍隊の強化を重視し、革命化、現代化、正規化の建設を全面的に推進し、党、社会主義、祖国、人民に対し軍隊が永遠に忠誠を尽くすことを確保する。
(八)すべての獲得できる力を結集させることを堅持し、中華民族の結束力をたえず強化させること。愛国主義、社会主義の旗じるしを高くかかげ、全国各民族人民の緊密な団結を強化し、最も幅広い愛国統一戦線を打ち固め、発展させる。民主党派、無党派人士との団結を強化し、民族、宗教、華僑事務の仕事を立派に行い、「一国二制度」という方針を堅持し、すべての積極的要素を引き出し、祖国統一の大事業と中華民族の偉大な復興をまっとうするためにともに奮闘する。
(九)独立自主の平和外交政策を堅持し、世界平和を擁護し、ともに発展することを促すこと。終始国の主権と安全を第一位におく。平和共存五原則をふまえて各国との友好協力関係を発展させ、覇権主義と強権政治に反対し、公正で合理的な国際政治・経済の新秩序の構築を推し進める。冷静に観察し、沈着に対処する方針と相互尊重、異を残して同につくという精神にもとづいて、国際事務を処理し、世界の多様性を尊重し、国際関係の民主化を促し、平和な国際環境と良好な周辺環境を勝ち取る。
(十)党の指導の強化と改善を堅持し、党の建設という新しい偉大なプロジェクトを全面的に推進すること。国を治めるにはまず党を治めるべきであり、党を治めるには厳格にしなければならない。党の性格と主旨を堅持し、改革の精神を以って党の建設を強化し、改善し、党の指導と執政の水準をたえず高め、腐敗を拒み、変質を防ぎ、リスクを防ぎ止める能力を高め、反腐敗闘争をたゆむことなく繰り広げ、党と人民大衆の血と肉のつながりを守りぬき、党の先進性、純潔性、団結・統一を保つ。
以上の十項目は、党が人民を指導し、中国の特色のある社会主義を建設するために堅持すべき基本的経験である。こうした経験はさらに党の創立以来の歴史的経験と結び付けて、要約すると、次の通りである。わが党は終始中国の先進的な生産力の発展の要請を代表し、中国の先進的な文化の前進する方向を代表し、中国の最も広範な人民の根本的利益を代表しなければならないということである。これは社会主義を堅持し、発展させるうえでの必然的な要請であり、わが党が並々ならぬ困難にみちた探求・模索と偉大な実践から得た必然的な結論である。
二、「三つの代表」という重要な思想を全面的に貫く
中国の特色のある社会主義の事業の新たな局面を切り開くには、必ずケ小平理論の偉大な旗じるしを高くかかげ、「三つの代表」という重要な思想を貫くことを堅持しなければならない。「三つの代表」という重要な思想はマルクス・レーニン主義、毛沢東思想とケ小平理論の継承と発展であり、党と国家の仕事に対する現代における世界と中国の発展、変化の新たな要請を反映するものであり、党の建設を強化し、改善し、わが国における社会主義の自己完成と発展を促す強大な理論的武器であり、全党の集団としての英知の結晶であり、党が必ず長期にわたって堅持しなければならない指導思想である。終始「三つの代表」でありつづけることは、わが党の立党の本であり、執政の基礎であり、力の源である。
「三つの代表」という重要な思想は、党の歴史的位置づけに対する科学的な判断を基礎として打ち出されたものである。わが党は革命、建設と改革を経て、すでに人民を指導して全国の政権を奪取するために奮闘してきた党から、人民を指導して全国の政権を掌握するとともに、長期にわたって執政をおこなう党となった。そして、すでに外部からの封鎖を受け、計画経済を実行する条件のもとで国の建設を指導する党から、対外開放と社会主義市場経済を発展させる条件のもとで国の建設を指導する党となった。われわれは必ず中国と世界の歴史、現状と未来に着眼して、時代の特徴と党の任務を的確に把握し、党の路線、方針、政策を科学的に制定するとともにそれを正しく実行し、中国社会の進歩を促し、党の建設を強化する問題を真剣に検討し、解決しなければならず、歴史を切断することがないとともに、また、方向を見失うこともなく、時代から立ち遅れることがないとともに、また、段階を超越することもないようにして、われわれの事業をたえず勝利から勝利へと向かわせなければならない。
「三つの代表」という重要な思想を貫くには、かぎとなるのは時代とともに前進することを堅持することであり、その核心は党の先進性を堅持することであり、その本質は人民のために執政することを堅持することである。全党の同志はこの根本的な要請をしっかりと把握し、「三つの代表」という重要な思想を貫く自覚と確固不動さをたえず強化しなければならない。
(一)「三つの代表」という重要な思想を貫くには、必ず全党が終始、時代とともに前進する精神状態を保ち、たえずマルクス主義理論の発展の新たな境地を切りひらいていかなければならない。党の思想路線を堅持し、思想を解放し、実事求是をむねとし、時代とともに前進することは、わが党が先進性を堅持し、創造力を増強する上での決定的な要素である。時代とともに前進することは、党のすべての理論と活動が時代性を具現し、法則性を把握し、創造性に富むということにほかならない。この点を終始貫き通すかどうかは、党と国家の前途と運命を決定づけるものである。
革新はひとつの民族の進歩の魂であり、ひとつの国が富み栄え発展をとげていくうえでの、尽きることのない原動力であるとともに、また、ひとつの政党が永遠に活力を保っていくうえでの源でもある。世界は変化しつつあり、わが国の改革開放と現代化の建設は前進をとげつつあり、人民大衆の偉大な実践は発展をとげつつあり、それはわが党がマルクス主義の理論的勇気をもって、実践の新たな経験を総括し、現代における人類文明の有益な成果を参考にして、理論面でたえず新たな視野を広げ、新たな概括をおこなうことを差し迫って要求している。そうしてこそはじめて、党の思想・理論が全党および全国人民を導き、鼓舞して中国の特色のある社会主義の事業をたえず前へと推し進めることができるのである。実践を基礎とする理論の革新は、社会の発展と変革を先導するものである。理論の革新によって、制度の革新、科学技術の革新、文化の革新およびその他各方面の革新を促し、たえず実践の中で模索しながら前進し、永遠に自己満足することなく、永遠におこたることのないこと、これはわれわれが長期にわたって堅持しなければならない党を治め、国を治める道である。
革新をおこなうには、たえず思想を解放し、実事求是をむねとし、時代とともに前進しなければならない。実践にはとどまるところはなく、革新にもとどまるところはない。われわれは先を行ったものを突破しなければならず、あとから来るものも必然的にわれわれを突破するにちがいない。これは社会が前進するうえでの必然的な法則である。われわれはかならず、実践の発展に適応し、実践をもってすべてを検証し、自覚をもって思想・認識を時宜にかなわない意識、やり方および体制の束縛から解放し、マルクス主義に対する誤った、ドグマ的な理解から解放し、主観主義と形而上学の足かせから解放しなければならない。マルクス主義の基本的原理を堅持するとともに、また、新たな理論の内容を書き上げ、革命の伝統を発揚するとともに、また、新鮮な経験を創造しなければならない。たくみに思想を解放するなかで思想を統一し、発展しつつあるマルクス主義で新たな実践を指導しなければならない。
(二)「三つの代表」の重要な思想を貫くには、かならず発展ということを党の執政と国の振興における第一の重要任務とし、現代化の建設の新たな局面をたえず切りひらいていかなければならない。マルクス主義の執政党は必ず生産力を解放し、発展させることを高度に重視しなければならない。発展ということを離れては、党の先進性を堅持し、社会主義制度の優位性を発揮し、富民強国を実現するなど語れたものではない。党の先進性というものは具体的なものであり、歴史的なものであり、必ず現代における中国の先進的生産力と先進的文化の発展を促すなかに置いてそれを考察し、もっとも広範な人民の根本的利益を擁護し、それを実現するために奮闘するなかに置いて考察しなければならず、とどのつまり、歴史を前進させていく党の役割を見なければならないのである。
わが党は、中国のような経済、文化の立ち遅れた発展途上の大国において人民を指導して現代化の建設を推し進めているのであり、発展の問題を上手に解決できるかどうかは、直接人心の向背、事業の興敗にかかわることである。党が中国社会の進歩を促す歴史的責務を担っていくには、執政をおこない国を興す上で必ず終始発展を第一の重要任務としてしっかりとつかみ、党の先進性を堅持し、社会主義制度の優位性を発揮することを、先進的生産力を発展させ、先進的文化を発展させ、もっとも広範な人民の根本的利益を実現することに具現させ、社会の全面的な進歩を促し、人間としての全面的な発展を促さなければならない。この点をしっかりつかみとるならば、人民の願っているところを根本的につかみとり、社会主義現代化の建設の本質をつかみとったことになり、それによって「三つの代表」という重要な思想がたえず実行され、党の執政の地位がたえず打ち固められることになり、強国富民という要請がたえず実現されることになるのである。
発展というものは、必ず経済建設を中心とすることを堅持し、中国の現実に立脚し、時代の流れに順応し、先進的生産力と先進的文化の発展を促す新たな道筋をたえず切りひらかなければならない。発展するためには必ず改革を堅持し、深化させなければならない。発展を妨げるすべての思想、意識はいずれも断固として突き破らなければならず、発展を束縛するすべてのやり方と規定はいずれも断固として改めなければならず、発展に影響を及ぼすすべての体制上の弊害はいずれも断固として取り除かなければならない。発展においては、必ず人民を信頼し、人民に頼らなければならず、人民は歴史を前進させる原動力である。全国人民の英知と力を集中し、精神を集中して建設に取り組み、一意専心発展を目指さなければならない。
(三)「三つの代表」という重要な思想を貫くには、必ずもっとも広い範囲において、もっとも充分にすべてのプラス要因を掘り起こし、中華民族の偉大な復興のためにたえず新しい力を注ぎ込まなければならない。最大多数の人々の利益と全社会、全民族の積極性、創造性は、党と国家の事業の発展にとって終始もっとも決定的な要因である。わが国における社会の大きな変革の中で、党と国家の事業の急速な発展の過程において、諸方面の利益の関係を適切に処理し、すべてのプラス要因を十分に引き出し、それを束ねることは、非常に重要なことである。
改革開放の深化と経済、文化の発展につれて、わが国の労働者階級の隊列はたえず大きく成長をとげ、その資質もたえず高まっている。知識分子を含めた労働者階級、広範な農民は、終始、わが国の先進的生産力の発展と社会の全面的な進歩を促す根本的な力である。社会の変革のなかで現れた民営科学技術企業の創業者および技術者、外資企業に招聘されている管理者、技術者、個人業者、私営企業のオーナー、仲介組織の従業者、自由業者などの社会層は、いずれも中国の特色のある社会主義事業の建設者である。祖国が富み栄え、強大になるために力を貢献している社会各層の人たちに対しては、それを獲得しなければならず、かれらの創業精神は励まさなければならず、かれらの合法的権益に対しては保護しなければならず、かれらの中の優れた人たちに対しては表彰しなければならず、そうすることによって、すべての人民がそれぞれの能力を尽くし、それぞれが得るところがあり、そして仲良く共存しあう状況を作り出すことに努めなければならない。
必ず労働を尊重し、知識を尊重し、人材を尊重し、創造を尊重しなければならず、これは党と国家の重要な方針のひとつとして社会全体において真剣に貫かなければならない。人民と社会に有益なすべての労働を尊重し、保護しなければならない。肉体労働であろうと、頭脳労働であろうと、簡単な労働であろうと、複雑な労働であろうと、わが国の社会主義現代化の建設に貢献する労働は、すべて光栄なものであり、すべて認められ、尊重されるべきものである。海外および国内のさまざまな投資者のわが国の建設の中での創業活動は、いずれも奨励されるべきものである。すべての合法的な労働による収入、合法的な非労働収入は、いずれも保護されなければならない。簡単に財産の所有や所有の多少をもって、人々の政治面での先進性と後進性を判断する基準としてはならず、主にその人たちの思想・政治の状況と現実的な振る舞いを見、その人たちの財産はどのようにして手に入れたのか、そして財産をどのように支配し、使用しているのか、その人たちが自らの労働によって中国の特色のある社会主義事業に対する貢献度を見るべきである。社会主義の初級段階における基本的経済制度に適応した思想、意識と創業のメカニズムを形成し、人々が事業に取り組むよう励まし、人々が事業をなしとげることを支持する社会的ムードを作り出して、手放しですべての労働、知識、技術、管理と資本の活力が競い合ってほとばしり出るようにし、社会の富を創り出すすべての源泉を十分に湧き出させて、人民に幸せをもたらすようにしなければならない。
中国の特色のある社会主義を建設する過程において、全国人民の根本的利益は一致したものであり、さまざまな具体的な利益関係と内部の矛盾はこの基礎の上に立って調節することができるのである。党の方針、政策を制定し、貫徹するにあたって、基本的な着眼点はもっとも広範な人民の根本的利益を代表し、異なった方面の大衆の利益を正しく反映し、それぞれに配慮を加えるようにして、すべての人民がともに富裕になる方向へと着実に前進させることである。われわれは発達した地域、優位のある産業および勤勉な労働と合法的経営により先に豊かになった人々の発展の活力を保護し、かれらが社会の富を意欲的に創り出すことを奨励し、さらに発達が遅れている地域および比較的困難に陥っている業種と大衆を高度に重視し、それに関心をよせ、とりわけ、困難を抱えている大衆の基本的生活が保障されるようにするとともに、かれらの就業問題の解決や生活条件の改善に積極的に援助を与え、彼らが社会主義社会の温かさを確実に感じ取るようにしなければならない。
(四)「三つの代表」という重要な思想を貫くには、必ず改革の精神をもって党の建設を推し進め、党の体内にたえず新たな活力を注ぎ込まなければならない。みずからの建設を高度に重視し、それをたえず強化することは、わが党が小さなものから大きなものへ、弱いものから強いものへと、挫折の中から奮起し、困難に打ち勝つ中でたえず成熟してきた重要な法器である。党の八十余年らいの歴史的経験を総括するならば、もっとも根本的なことは、党の建設は必ず党の政治路線にもとづいておこない、党の中心的任務をめぐってくりひろげ、党建設の総目標を目指して強化し、たえず党の創造力、結束力と戦闘力を強化することにほかならない。
時代の発展の要請によってみずからを見つめることを堅持し、改革の精神でみずからを強化し充実させること、これはわが党が終始マルクス主義政党としての地色を保ちつづけ、永遠に大衆から離脱することなく、はつらつとした活力を持ちつづけるための根本的な保証である。必ず成功の経験を総括することに長じるとともに、また、過ちの教訓を銘記することにも長じなければならない。正しい理論、路線を打ち出し、それを貫徹することによって大衆を率いて前進することに長じるとともに、また、大衆の実践、創造と発展の要請の中から前進するうえでの原動力を獲得することにも長じなければならない。客観的世界を認識し、改造することに長じるとともに、また、幹部と党員を組織し、導いて実践の中で主観的世界の改造を強化することにも長じなければならない。このような要請に基づいて、マルクス主義の基本的原理を堅持することと理論の革新を推し進めることの統一を実現し、党の優れた伝統の堅持と時代精神を広め、発揚することを統一し、党の階級的基盤の増強と党の大衆的基盤の拡大の統一を堅持し、党を思想面、政治面、組織面で完全に強固なものにし、終始、時代の前列に立って、人民を率いて団結、発奮して前進する確固不動の指導的中核に築き上げなければならない。
総じていうならば、「三つの代表」という重要な思想は、発展するものであり、前進するものである。党全体が必ず思想面でたえず新たな解放が見られ、理論面でたえず新たな発展があり、実践面でたえず新たな創造があるようでなければならず、「三つの代表」という重要な思想を社会主義現代化の建設のさまざまな分野に貫徹し、党建設のさまざまな面で具現し、わが党が終始時代の発展の足取りとともに進み、人民大衆と運命をともにするようにしなければならないのである。
三、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する奮闘目標
全党および全国各民族人民がともに努力することによって、われわれは現代化の建設を「三つの段階に分けて推し進める」戦略の第一段階、第二段階の目標を勝利のうちに達成し、人民の生活は、全般的にいくらかゆとりのあるレベルに達した。これは社会主義制度の偉大な勝利であり、中華民族の発展史における新たな一里塚である。
しかし、必ず見てとらなければならないのは、わが国はいまなお、そしてこれからも長期にわたって社会主義の初級段階にあるということであり、現在到達したいくらかゆとりのあるものはまだ低いレベルのものであり、全面的なものではなく、発展が非常にアンバランスであり、人民の日ましに増大する物質文化への需要と立ち遅れた社会的生産の間の矛盾は依然としてわが国社会の主要な矛盾である。わが国の生産力と科学技術、教育はまだ比較的に立ち遅れており、工業化と現代化を実現するには、まだ非常にながい道のりを歩まなければならない。都市農村の二重経済構造はまだ変わっておらず、地域間の格差が拡大する趨勢はまだ転換されておらず、貧困人口の数もまだ少なくない。人口の総量は増えつづけており、高齢層人口のウエートも上昇し、就業と社会保障のプレッシャーは増大している。生態環境、自然資源と経済・社会の発展との矛盾は日ましに突出している。われわれは依然として、先進諸国が経済、科学技術などの面で優位を占めていることによるプレッシャーに直面している。経済体制とその他の面の管理体制はまだ完全なものではない。民主法制の整備と思想、モラルの建設などの面でまだ、いくつかの無視することのできない問題が存在している。現在到達した、いくらかゆとりのあるレベルを打ち固め、さらに向上させるには、まだ、長期にわたって困難を乗り越えて奮闘することを必要とするのである。
全局を見渡すならば、二十一世紀の最初の二十年は、わが国にとっては必ずしっかりとつかみ取らなければならないとともに、大いになすところがありうる重要な戦略的チャンスの時期である。中国共産党第十五回全国代表大会で打ち出された二〇一〇年に至るまでと、党創立百周年と新中国成立百周年のそれぞれの発展目標にもとづけば、われわれは今世紀の最初の二十年に、力を集中して、十数億の人口に恵みをもたらす、より一層高いレベルのいくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げ、経済がさらに発展をとげ、民主がさらに健全なものとなり、科学、教育がさらに進歩をとげ、文化がさらに繁栄し、社会がさらに調和がとれ、人民の生活がさらに豊かになるようにしなければならない。これは現代化建設の第三段階の戦略目標を実現するうえで必ず経なければならない、前のものを受け継ぎ、次へとつないでいく発展段階であるとともに、社会主義市場経済体制をより充実させ、対外開放をより拡大する肝じんな段階でもある。この段階の建設を経て、さらに数十年奮闘しつづければ、今世紀中葉には、現代化を基本的に実現し、わが国を富み栄えた強大な民主、文明の社会主義国に築き上げることになる。
いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げる目標は、次のとおりである。
――構造を最適化させ、効率を向上させることを基礎として、GDP(国内生産総額)を二〇二〇年までに二〇〇〇年に比べて四倍増にし、総合国力と国際競争力を目に見える形で増強するよう努める。工業化を基本的に実現し、完全な社会主義市場経済体制とより一層活力のある、より一層開放的な経済システムが構築されるようにする。都市・町の人口のウエートがかなり大幅に増え、工業と農業の格差、都市と農村の格差と地域間の格差が拡大する趨勢がだんだんと転換されることになる。社会保障システムもかなり健全なものとなり、社会における就業もかなり十分なものとなり、家庭の財産も普遍的に増え、人民はさらに豊かな、満ち足りた暮らしができるようになる。
――社会主義の民主がさらに充実し、社会主義法制がさらに完備したものとなり、法律によって国を治める基本的な方策が全面的に実行に移され、人民の政治、経済および文化の権益が確実に尊重され、保障されることになる。末端における民主がさらに健全なものとなり、社会秩序が良くなり、人民が不安なく生活を楽しみ、仕事に打ち込めるようになる。
――全民族の思想・モラルの資質、科学、文化の資質、健康の資質が目に見えて向上し、かなり完全な現代国民教育体系、科学技術及び文化の革新体系、全人民の健康と医療衛生の体系が形成されることになる。人民は望ましい教育を受ける機会を享有し、高校段階の教育が基本的に普及し、非識字者がなくなることになる。全人民の学習、生涯学習という学習型社会が形成され、人間の全面的な発展が促されることになる。
――持続可能な発展の能力がたえず増強され、生態環境が改善され、資源の利用効率がいちじるしく向上し、人間と自然の調和を促し、社会全体が生産が発展をとげ、生活が豊かになり、生態環境が良好であるという文明的な発展の道を歩むよう促すことになる。
今回の大会で確立された、いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げる目標は、中国の特色のある社会主義の経済、政治、文化が全面的に発展をとげる目標であり、現代化の加速を促すことと統一しあう目標であり、わが国の国情と現代化建設の実情に合致し、人民の願いに合致したものであり、非常に重要な意義をもつものである。党の新しい世紀、新しい段階におけるこの奮闘目標を達成するには、発展においては新しい発想がなければならず、改革においては新たな突破がなければならず、開放においては新たな局面がなければならず、さまざまな仕事においては新しい措置を講じなければならない。各地、各部門は実情から出発して、確実で効果のある措置をとって、この目標の実現に努めなければならない。条件のあるところでは、よりはやく発展するようにし、いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げることをふまえて、率先して現代化を基本的に実現するようにしてもよい。はっきりと言えるのは、いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げる目標を達成すれば、われわれの祖国は必ずいっそう繁栄し、豊かになり、強大になり、人民の生活は必ずさらにしあわせで、うるわしいものとなり、中国の特色のある社会主義は必ずさらにその巨大な優位性を示すことになるにちがいない。
四、経済の建設と経済体制の改革
いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げるには、もっとも根本的なことは経済の建設を中心とすることを堅持し、社会生産力をたえず解放し、発展させることである。世界における経済、科学技術の発展の新たな趨勢とわが国における経済発展の新たな段階の要請にもとづき、今世紀の最初の二十年における経済の建設と改革の主要な任務は、社会主義市場経済体制を充実させ、経済構造の戦略的調整を推し進め、工業化を基本的に実現し、情報化を大いに推し進め、現代化の建設を加速し、国民経済の持続的で快速かつ健全な発展を保ち、人民の生活水準をたえず高めることである。前の十年間において第十次五カ年計画と二〇一〇年までの奮闘目標を全面的に達成し、経済の総量、総合国力と人民の生活水準をさらにひとつの大台にのせるようにし、あとの十年間におけるさらに大きな発展のための基礎をしっかり固めることである。
(一)新しいパターンの工業化の道を歩み、科学・教育による国の振興という戦略と持続可能な発展の戦略の実施に大いに力を入れること。工業化を実現することは、依然としてわが国の現代化の過程における困難に満ちた歴史的任務である。情報化はわが国が工業化と現代化の実現を加速するうえでの必然的な選択である。情報化によって工業化を牽引し、工業化によって情報化を促すことを堅持して、科学技術の応用度の高い、経済効率のよい、資源消耗の低い、環境汚染の少ない、人的資源の強みが十分に発揮される新しいパターンの工業化の道を歩むようにしなければならない。
産業構造の最適化、グレードアップを推し進め、ハイテク産業を導きとし、基盤産業と製造業を支えとし、サービス業が全面的に発展する産業の枠組みを形成することである。情報産業を優先的に発展させ、経済および社会の分野で情報技術を幅広く応用しなければならない。経済の成長に対して突破的な、重要な牽引作用のあるハイテク産業を積極的に発展させなければならない。ハイテク技術と先進的な、適用性のある技術で在来の産業を改造し、装置製造業の振興に大いに力を入れなければならない。インフラ建設を引き続き強化する。現代サービス業の発展を加速し、国民経済の中での第三次産業のウエートを高めなければならない。ハイテク産業と在来産業、資金技術集約型産業と労働集約型産業、バーチャル経済と実体経済の発展の関連性を正しく処理しなければならない。
新しいパターンの工業化の道を歩むには、必ず第一の生産力としての科学技術の重要な役割を発揮し、科学技術の進歩に頼ることと勤労者の資質を高めることに重きを置き、経済成長の質と効率を改善しなければならない。基礎研究とハイテクの研究を強化し、かぎとなる技術のイノベーションとシステム・インテグレーションを推し進め、技術の飛躍的な発展を実現しなければならない。科学技術のイノベーションを奨励し、かぎとなる分野といくつかの科学技術発展の最前線でコア技術を掌握し、数多くの自主的知的財産権を擁するようにしなければならない。科学技術と教育の体制改革を深化させ、教育および科学技術と経済との結合を強化し、科学技術サービス体系を充実させ、科学技術の成果の現実的生産力への転化を加速しなければならない。国としてのイノベーションシステムの整備を促さなければならない。ベンチャー・キャピタルの役割を発揮して、科学技術のイノベーションと創業における資本の運用および人材募集のメカニズムを形成しなければならない。知的財産権保護の制度をさらに充実させなければならない。必ず持続可能な発展を非常に突出した地位に置かなければならず、計画出産、環境保護および資源保護の基本的国策を堅持しなければならない。低出産レベルを定着させる。さまざまな自然資源を合理的に開発し、節約をむねとして使用しなければならない。一部の地域における水資源不足問題の解決を急がなければならず、「南水北調」(南部の水を北部に導くこと)プロジェクトを実施しなければならない。海洋の開発を実施し、国土資源総合対策をよりよく実行しなければならない。全人民の環境保全意識を確立し、生態系の保護、整備をよりよく進めなければならない。
(二)農村経済を全面的に繁栄させ、小都市化の進展を加速すること。都市農村における経済・社会の発展を統一的に企画し、現代農業を建設し、農村経済を発展させ、農民の収入を増やすことは、いくらかゆとりのある社会を全面的に築き上げる上での重要な課題である。農業の基礎としての地位を強化し、農業および農村経済の構造調整を推し進め、食糧総合生産能力を保護し、高め、農産物の品質安全体系を健全にし、農業の市場における競争力を高める。農業の産業化経営を積極的に推し進め、農民の市場参入における組織化の度合いと農業の総合的効率を高めなければならない。農産物加工業を発展させ、県域経済を大きく成長させなければならない。農村市場を開拓して、農産物の流通を活性化させ、農産物の市場体系を健全化する。
農村における余剰労働力を非農産業と都市・町に移すことは、工業化と現代化の必然的な趨勢である。都市・町化のレベルをだんだんと高め、大・中・小都市と町のバランスのとれた発展を堅持し、中国の特色のある都市・町化の道を歩まなければならない。小さな町を発展させるには、現在の県都と条件の備わった編制町をふまえて、科学的に企画し、合理的に配置し、郷鎮企業と農村におけるサービス業の発展と結びつける。都市・町化の発展にとってマイナスとなる体制と政策の障害をなくし、農村の労働力が合理的に、秩序だって移動するよう導く。
党の農村における基本的政策を堅持し、家庭ごとの請負い経営を基礎とし、統一と分割を結びつけた二層からなる経営体制を長期にわたって定着させるとともにたえず充実させていく。条件のある地方では法律にもとづいて、自由意思で、有償であるという原則にのっとって土地請負経営権の移転をおこない、だんだんと規模経営を発展させてもよい。農家の市場における主体としての地位を尊重して、農村における経営体制の革新を推し進める。集団経済の力を増強する。農業の社会化サービス体系を整備し、健全化する。農業に対する資金投入と助成にさらに力を入れ、農業の科学技術の進歩と農村の基盤施設の整備を加速する。農村における金融サービスを改善する。農村における租税・費用の改革を引き続き推し進めて、農民の負担を軽減し、農民の利益を保護する。
(三)西部大開発を積極的に推し進め、地域経済のバランスのとれた発展を促すこと。西部大開発戦略の実施は、全国の発展という大局にかかわることであり、民族の団結と辺疆地域の安定にかかわることである。基礎をしっかりと固め、着実に推し進め、基盤施設と生態環境の整備を重点として取り組み、十年以内に突破的な進展が見られるよう努めなければならない。特色をもつ強味のある産業を積極的に発展させ、重点地域の開発を推し進める。科学技術の教育を発展させ、さまざまな人材を育成し、それを上手に使う。国は投資プロジェクト、税収政策と財政移転交付などの面で西部地域に対するサポートにさらに力を入れ、長期的安定をむねとした西部開発資金のルートを逐次整備する。投資環境の改善に力を入れ、外資と国内資本が西部開発に参与するよう導く。西部地区はさらに思想を解放し、自らの発展能力を増強し、改革開放の中で発展をさらに加速する新たな道筋を見つけ出さなければならない。
中部地区は構造改革への取り組みにさらに力を入れ、農業の産業化を推し進め、在来の産業を改造し、新たな経済成長スポットを育成し、工業化と都市・町化の進展を加速しなければならない。東部地域は産業構造のグレードアップを加速し、現代化農業を発展させ、ハイテク産業と高付加価値加工製造業を発展させ、輸出志向型経済をさらに発展させなければならない。経済特別区と上海浦東新区が制度革新と開放拡大などの面で前列に立って歩むことを奨励する。東北地区などの古くからの工業基地が調整と改造を加速することをサポートし、資源の採掘を主とする都市と地域がそのあとに続く産業を発展させることをサポートし、かつて革命根拠地であった地域および少数民族地域が発展を加速することをサポートし、国は食糧の主要な生産地域への助成にさらに力を入れるべきである。東部、中部、西部の経済の交流と協力を強化し、強みを相互補完しあって、ともに発展することを実現し、いくつかのそれぞれの特色をもつ経済区と経済ベルト地帯を形成する。
(四)基本的経済制度を堅持し、それを充実させ、国有資産管理体制の改革を深化させること。生産力を解放し、発展させるという要請にもとづいて、公有制を主体とし、多種多様な所有制の経済がともに発展をとげるという基本的経済制度を堅持し、それをさらに充実させる。第一、必ずいささかもゆるぐことなく公有制経済を打ち固め、発展させなければならない。国有経済を発展させ、それを大きく成長させ、国有経済が国民経済の命脈を抑えることは、社会主義制度の優位性を発揮し、わが国の経済力、国防力と民族の結束力を増強する上で、肝じんかなめの役割を果たすのである。集団経済は公有制経済の重要な構成部分であり、ともに豊かになるうえで重要な役割を果たしている。第二、いささかも揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励し、バックアップし、導かなければならない。個人経営と私営などさまざまな形態の非公有制経済は社会主義市場経済の重要な構成部分であり、社会の各方面の積極性を十分に引き出し、生産力の発展を速めるうえで重要な役割を果たしている。第三、社会主義現代化建設の過程において公有制の主体としての地位を堅持することと非公有制経済の発展を促進することを統一させ、この二つのものを対立させてはならない。各種所有制の経済が市場競争の中でそれぞれの強みを生かし、互いに促進しあい、ともに発展することはまったく可能である。
引き続き国有経済の配置と構造を調整し、国有資産の管理体制を改革することは、経済体制改革を深化させるための重要な任務である。国の所有を守りぬくことを前提にして、中央と地方の両方の積極性を十分に発揮させる。国は法律と法規を定め、中央政府と地方政府がそれぞれ国を代表して出資者としての職責を果たし、所有者としての権益を享有し、権利、義務と責任が統一し、資産と人員、業務の管理を結び付けた国有資産管理体制を確立しなければならない。国民経済の命脈と国の安全にかかわる大型国有企業、基盤施設と重要な自然資源などは、中央政府が国を代表して出資者の職責を果たす。その他の国有資産は地方政府が国を代表して出資者の職責を果たす。中央政府及び省、市(地区)二クラスの地方政府に国有資産の管理機構を設立する。引き続き国有資産の効果的な経営体制と方式を模索する。各級政府は国有資産の管理に関する法律と法規を厳格に執行し、政府と企業の分離を堅持し、所有権と経営権の分離を実行し、企業が自主的に経営し、損益を自己負担するようにし、国有資産の価値の保全と増大を実現しなければならない。
国有企業はわが国の国民経済の支柱である。国有企業の改革を深化させ、公有制、とりわけ国有制の多種類の効果的な実現形態をさらに模索し、企業の体制、技術と管理面での創造・革新への取り組みに力を入れなければならない。国の単独の投資経営でなければならないごく少数の企業以外は、株式制を積極的に実行し、混合所有制経済を発展させる。投資主体の多元化を実行するが、重要な企業に対しては国が株を支配する。現代企業制度の要求に基づいて、国有大・中型企業に対し引き続き規範化した公司制への改革をおこない、コーポレート・ガバナンス構造を完全なものにする。独占業種の改革を推進し、競争メカニズムを積極的に導入する。市場と政策による誘導を通じて、国際的競争力を備えた大会社と大型企業グループを発展させる。国有中小企業を一歩進めて自由化、活性化させる。集団所有制企業の改革を深化させ、引き続きさまざまな形態の集団経済の発展をサポートし、助成する。
経済成長の促進、就業機会の増加、市場の活発化などの面における個人経営・私営等の非公有制経済の重要な役割を十分に発揮する。国内の民間資本の市場参入分野を広げ、投融資、税収、土地の使用と対外貿易などの面で措置をとり、公正な競争を実現する。法によって監督と管理を強化し、非公有制経済の健全な発展を促進する。私的財産の保護に関する法律制度をさらに充実させる。
(五)現代市場体系を健全にし、マクロ規制を強化し、完全なものにすること。資源の配置における市場の基礎的な役割をよりいっそう大きな度合いにおいて発揮させ、統一的で開放した、競争のある、秩序だった現代市場体系を健全にする。資本市場の改革開放と安定的な発展を推し進める。財産所有権、土地、労働力と技術等の市場を発展させる。さまざまな市場主体が平等に生産要素を使用する環境を作り出す。流通体制の改革を深化させ、現代的流通方式を発展させる。市場経済秩序を整頓し、規範化させ、現代市場経済の社会信用体系を健全にし、業種の独占と地域における封鎖を打破し、全国の市場における商品と生産要素の自由な流動を促進する。
経済の調節、市場の監督・管理、社会の管理と公共サービスといった政府の機能を充実させ、行政審査・許認可を減らし、規範化する。経済成長の促進、就業機会の増加、物価の安定化、国際収支のバランスの維持をマクロ規制の主な目標としなければならない。内需拡大はわが国経済の発展にとっての長期的で基本的な立脚点である。内需拡大の方針を堅持し、情勢の必要に基づいてそれ相応のマクロ経済政策を実施する。投資と消費の関係を調整し、国内総生産に占める消費のウェートを徐々に向上させる。国の計画と財政政策、通貨政策などが互いに呼応しあったマクロ規制システムを整備し、経済のこう杆としての調節の役割を果たさせる。財政、税収、金融と投融資体制の改革を深化させる。予算の政策決定と管理制度を整備し、財政収支に対する監督を強め、租税の徴収・管理を強化する。金利の市場化を目指す改革を穏当に推進し、金融の資源配分を最適化し、金融の監督・管理を強化し、金融リスクを防ぎ止め、解消し、金融がよりよく経済と社会の発展に奉仕するようにする。
(六)分配制度の改革を深化させ、社会保障体系を健全にすること。分配関係をすっきりさせることは、広範な大衆の身近な利益と積極性の発揮に関わるものである。国、企業と個人の分配関係を調整し、規範化させる。労働、資本、技術と管理などの諸生産要素の、貢献に応じての収益分配への参加という原則を確立し、労働に応じた分配を主体とする多種類の分配方式が同時に存在するという分配制度を充実させる。あくまで効率を優先させ、合わせて公平についても意を配り、奉仕の精神を唱導する一方、分配政策も着実に実行し、悪平等に反対する一方、所得の過度の格差を防がなければならない。最初の分配にあたっては効率を重んじ、市場の役割を発揮させ、一部の人が誠実な労働と合法的経営を通じて先に豊かになることを奨励する。再分配にあたっては公平を重視し、所得の分配に対する政府の調節機能を強化し、その格差が大きすぎることを調節する。分配の秩序を規範化し、少数の独占的な業種の高すぎる収入を合理的に調節し、不法所得を取り締まる。ともに豊かになることを目指して、中所得層の比率を引き上げ、低所得層の収入レベルを高める。
経済発展のレベルにふさわしい社会保障体系を確立し、健全化させることは、社会の安定をはかり、国の長期安定化を達成する重要な保証である。社会的な統一調達と個人口座を結びつけることを堅持して、都市部の職員・労働者の基本養老保険制度と基本医療保険制度を充実させる。失業保険制度と都市部住民の最低生活保障制度を整備する。多ルートを通じて社会保障基金を調達し、積み立てる。各地区においては実状に基づき、社会保障の基準とレベルを合理的に確定しなければならない。都市農村での社会救済と社会福祉事業を発展させる。条件の整った地方では、農村における養老・医療保険と最低生活保障制度の確立に取り組むようにする。
(七)「国外からの導入」と「海外進出」を結びつけることを堅持し、全面的に対外開放のレベルアップをはかること。経済のグローバル化とWTO加盟後の新しい状況に即応し、より大きな範囲、より広い分野とより高い段階において国際経済・技術協力と競争に参与し、国内外の二つの市場を十分に利用し、資源の配分を最適化させ、発展のスペースを広げ、開放を通じて改革と発展を促す。
商品とサービス貿易をいっそう拡大する。市場多元化の戦略を実施し、わが国の比較優位性を発揮させ、在来の市場を固め、新興市場を開拓し、輸出の拡大に努める。あくまで質で勝負し、輸出商品とサービスの競争力を高める。輸入構造を最適化し、先進技術とかぎとなる設備の導入に重きを置く。対外経済貿易体制の改革を深化させ、対外貿易主体の多元化を推進し、関連税収制度と貿易融資メカニズムを充実させる。
外国の投資家の直接投資をいっそう誘致し、外資利用の質的向上とレベルアップをめざす。段取りを追ってサービス分野における開放を推し進める。さまざまな方式を通じて中・長期の国外投資を利用し、外資の利用を国内の経済構造調整、国有企業の再編、改造と結びつけ、多国籍企業が農業、製造業とハイテク産業に投資するよう奨励する。海外のさまざまな専門人材と知力の導入に大いに力を入れる。投資環境を改善し、外商の投資に対し内国民待遇を実行し、法規と政策の透明度を高める。「海外進出」戦略の実施は対外開放の新たな段階の重要な措置である。比較優位のある各種所有制の企業が国外で投資することを奨励し、それをバックアップし、それによって商品と労働力の輸出を牽引し、数多くの実力を持つ多国籍企業著明ブランドを形成する。地域的経済交流と協力に積極的に参与する。対外開放を拡大する過程で、国の経済安全の擁護に十分に意を配らなければならない。
(八)あらゆる方策を講じて就業の機会をさらに創出し、絶えず人民の生活を改善すること。就業は民生の根本である。就業の機会を増やすことは、当面と今後長い時期における、困難に満ちた重要な課題である。国は就業を促進するための長期的な戦略と政策を実行する。各クラスの党委員会と政府は必ず起業環境を改善することと就職のための職場を増やすことを重要な職責としなければならない。就職ルートを広げ、労働集約型産業を積極的に発展させる。就職のための新しい職場を提供し、一時帰休者・失業者を受け入れ、再就職させた企業に対し、政策面からサポートを与える。社会全体において就職意識を転換するよう導き、弾力的で多様な就職の形態を推し進め、自助努力によって就職先を見つけ、自主的に事業を興すことを奨励する。就職のための養成訓練とサービス体系を整備し、勤労者の就業技能を向上させる。法に依拠して労働力使用の管理を強め、勤労者の合法的権益を保障する。労働安全を高度に重要視し、国の財産と人民の生命の安全を守る。
経済発展の根本的目的は全国人民の生活のレベルアップと質的向上をめざすことにある。経済の発展に伴って、絶えず都市農村住民の収入を増やし、消費の分野を開拓し、消費構造を最適化させ、人々の多様化する物質的、文化的需要を満たさなければならない。公共サービス施設の整備を強化し、生活環境を改善し、コミュニティにおけるサービスを発展させ、大衆の生活の便宜をはかる。新しい情勢の要求するところに適応した衛生サービスシステムと医療保健システムをつくり上げ、農村部での医療衛生状況の改善に力を入れ、都市農村住民の医療保健の水準を高める。身体障害者のための事業を発展させる。引き続き貧困扶助のための開発を大いに推進し、貧困脱却扶助の成果をうち固め、まだ貧困の状態から脱却していない農村人口の衣食の問題を一日も早く解決し、いくらかゆとりのある生活が徐々にできるようにさせる。
経済の建設と経済体制改革の諸般の任務を勝利のうちに達成することは、社会主義現代化の推進を速めるうえで決定的な意義を持っている。全党と全国各民族人民が心を一つにし、刻苦奮闘しさえすれば、われわれは完備した社会主義市場経済体制を確立し、新世紀の新たな段階において引き続き国民経済の持続的で、スピードの速い、健全な発展を維持することができるのである。
五、政治の建設と政治体制の改革
社会主義の民主政治を発展させ、社会主義の政治文明を築き上げることは、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する重要な目標である。四つの基本原則を堅持する前提の下で、引き続き積極的かつ穏当に政治体制改革を推し進め、社会主義民主を拡大し、社会主義法制を健全にして、社会主義の法治国家を建設し、民主的で団結した、生気はつらつとした、安定して調和のとれた政治的局面をうち固め、発展させなければならない。
わが党は従来から人民民主の実現と発展を自らの使命としてきた。改革開放以来、われわれは揺るぐことなく断固として政治体制改革を推し進め、社会主義民主政治の構築を力強く促してきた。社会主義民主政治を発展させるには、そのもっとも根本的なことは党の指導の堅持、人民の主人公としての地位の確立と法による治国を有機的に統一させることである。党の指導は人民の主人公としての地位の確立と法によって国を治めるための根本的な保証であり、人民の主人公としての地位の確立は社会主義民主政治の本質的な要求であり、法によって国を治めることは党が人民を指導して国を治める基本的方略である。中国共産党は中国の特色のある社会主義事業の指導的中核である。共産党の執政はとりもなおさず人民が主人公になることを指導し、支持するとともに、最も幅広く人民大衆が法によって国と社会事務を管理し、経済と文化の事業を管理するよう働きかけ、組織し、人民大衆の根本的利益を擁護し、実現させることである。憲法と法律は党の主張と人民の意志の統一の具現である。必ず厳格に法に則って事を運ばなければならず、いかなる組織や個人も憲法と法律を超える特権を持ってはならない。
政治体制改革は社会主義政治制度の自己完成と発展である。政治体制改革の推進は党と国の活力を強め、社会主義制度の特徴と強みを生かし、人民大衆の意欲と創意性を十分に引き出し、国の統一、民族の団結と社会の安定を擁護し、経済の発展と社会の全面的進歩を促進することに役立たなければならない。わが国の国情に立脚して、自らの実践の経験を総括し、それと同時に人類の政治文明の有益な成果を参考にするが、決して西側の政治制度のモデルを丸写しにしてはならない。制度の整備を重点的に強化し、社会主義民主政治の制度化、規範化とプロセス化を実現させる。
(一)社会主義民主制度を堅持し、完全なものにする。民主制度を健全にし、民主の形態を多様化させ、公民の秩序のある政治への参与を拡大し、人民が法によって民主的選挙、民主的政策決定、民主的管理と民主的監督を行ない、幅広い権利と自由を享有することを保証し、人権を尊重、保障する。人民代表大会制度を堅持し、充実させ、人民代表大会とその常務委員会が法によって機能を果たすことを保証し、立法と政策決定において人民の意志をよりよく具現できるよう保証しなければならない。人民代表大会常務委員会の人員構成を最適化させる。共産党の指導する多党合作制と政治協商制度を堅持し、完全なものにする。「長期にわたって共存し、互いに監督し合い、肝胆相照らし、栄辱を共にする」方針を堅持し、民主諸党派との合作を強化し、わが国の社会主義政党制度の特徴と強みをよりよく生かす。人民政治協商会議が政治協商、民主的監督、国政への参加と国政審議の役割を果たすよう保証する。もっとも広範な愛国統一戦線を打ち固め、発展させる。党の民族政策を全面的に貫徹し、民族区域自治制度を堅持し、充実させ、平等・団結・相互協力の社会主義民族関係を強固にし、発展させ、各民族がともに繁栄し、進歩することを促進する。党の宗教信仰の自由という政策を全面的に貫徹し、法によって宗教事務を管理し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導き、独立自主、事務のみずからによる処理という原則を堅持する。党の華僑事務政策を真剣に貫徹する。
末端の民主を拡大することは、社会主義民主を発展させるうえでの基礎的仕事である。末端の自治組織と民主管理制度を健全にし、事務処理公開制度を完全なものにして、人民大衆が法によって民主的権利を直接行使し、末端の公共事務と公益事業を管理し、幹部に対し民主的監督を行うことを保証する。村民自治を充実させ、村の党組織の指導する、生気に満ちた村民自治メカニズムを健全にする。都市部の住民自治を充実させ、秩序よく管理された、文明的で喜ばしい雰囲気に満ちた新しいタイプのコミュニティをつくる。従業員代表大会と他の形態の企業・事業体の民主管理制度を堅持し、整備し、従業員の合法的な権益を保障する。
(二)社会主義法制の整備を強化する。拠り所とする法律を整備し、法律をしっかりと守り、法律を厳しく執行し、違法行為を必ず追及することを堅持する。社会主義市場経済の発展、社会の全面的な進歩とWTO(世界貿易機関)加盟後の新たな情勢に即応して、立法作業を強化し、立法の質的向上をはかり、二〇一〇年までに中国の特色のある社会主義の法律体系を形成させる。法律を前にしてすべての人が平等であることを堅持する。法律執行に対する監督を強化し、法律に基づいて行政を行い、司法の公正を擁護し、法律執行のレベルを高め、法律の厳格な施行を確保する。法制の統一と尊厳を擁護し、地方的、部門的保護主義を防ぎ、克服する。法的サービスをいっそう広げ、規範化させ、積極的に法律援助を展開させる。法制の宣伝・教育を強化し、全人民の法的資質を向上させ、とくに公職者の法意識と法による事務処理能力を高める。党員と幹部、とりわけ指導幹部は憲法・法律順守の模範となるべきである。
(三)党の指導方式と執政方式を改革し、完全なものにする。これは社会主義の民主政治の建設を推進するにあたって、全局的な役割を果たすものである。党の指導は主として政治、思想と組織面での指導であり、重要な政策・方針の制定、立法議案の提起、重要な幹部の推薦、思想宣伝の展開を通じて、党組織と党員の役割を発揮させ、法による執政を堅持して、国と社会に対する党の指導を行う。党委員会は同じクラスの諸組織の中で指導的中核の役割を果たし、力を集中して重要な事柄を立派に処理し、各方面が独自で責任を負うとともに、歩調をあわせて仕事を進めるよう支持しなければならない。党活動の機関と活動メカニズムをいっそう改革し、充実させる。党が全局を総括し、各方面に対して協調を行う原則に基づき、党委員会と人民代表大会、政府、政治協商会議および人民団体との関係を規範化させる。人民代表大会が法によって国の権力機関としての機能を果たすことを支持し、法律のプロセスをふまえて、党の主張を国の意志にし、党組織の推薦した人選を国の政権機関の指導者とするとともに、さらに彼らに対し監督を行う。政府が法律で定めた機能を果たし、法によって行政をすすめることを支持する。政治協商会議が団結と民主の二つのメーン・テーマをめぐり、その機能を果たすことを支持する。労働組合、共産主義青年団と婦女連合会などの人民団体に対する指導を強化し、彼らが法律とそれぞれの規約に従って活動を展開し、よりよい形で党が広範な人民大衆と結び付くための架け橋ときずなとなるよう支持する。
(四)政策決定メカニズムを改革し、完全なものにする。正しい政策決定は諸般の活動において成功をおさめる重要な前提である。民情を深く知り、民意を十分に反映し、人民の英知を広く集中し、真に民力を大切にする政策決定メカニズムを充実させ、政策決定の科学化、民主化を促すべきである。各クラスの政策決定機関はみな重要な政策決定に関するルールと手続を整え、社会情勢と民意を反映する制度を確立し、大衆の利益と密接にかかわる重要事項に関する社会公示制度と社会公聴制度を構築し、専門家諮問制度を充実させ、政策決定の論証制と責任制を実行し、政策決定の恣意性を防ぐ。
(五)行政管理体制改革を深化させる。政府の機能をいっそう転換させ、管理方式を改善し、電子政務を推し進め、行政の能率を高め、行政コストを引き下げ、行為が規範化され、協調のとれた運営が進められ、公正かつ透明で、廉潔で高効率の行政管理体制を形成させる。法によって中央と地方の機能と権限を規範化させ、中央のタテの管理部門と地方政府との関係を正しく処理する。簡素化、統一、効率の原則と政策決定、執行、監督が協調しあう要求に基づき、引き続き政府機関の改革を推進し、諸部門の機能を科学的に規範化させ、機構を合理的に設置し、人員構成を最適化させ、機構と編制の法定化を実現して、機構系列の階層が多すぎ、機能が交差し、人数が多すぎ、権限と責任が離脱し、多くの部門が重複して取り組むという諸問題を確実に解決する。事業体から行政機能を分離させる原則に基づいて、事業体の管理体制を改革する。
(六)司法体制改革を推し進める。社会主義司法制度は社会全体における公平と正義の実現を保障しなければならない。公正な司法と厳格な法律執行の要求にしたがい、司法機関の部門設置、職責と権限の区分けおよびその管理制度を充実させ、一歩進んで権限と責任が明確で、互いに協調しあう、互いに制約しあう、運営能率の高い司法体制を健全にする。裁判所と検察機関が法によって裁判権と検察権を独立して公正に行使することを制度面から保証する。訴訟手続を完全なものにし、公民と法人の合法的権益を保障する。執行しにくいという問題を確実に解決する。司法機関の執務メカニズムと人事・財務管理体制を改革し、司法の裁判、検察と司法行政事務との分離を逐次実現する。司法業務に対する監督を強化し、司法分野における腐敗を取り締まる。政治的立場がしっかりした、業務に精通し、作風が優れ、公正に法律を執行する司法陣をつくりあげる。
(七)幹部に関する人事制度の改革を深化させる。広く人材を集め、それぞれの才能を十分に生かし、職務の上下異動にこだわらない、活力にあふれた人事メカニズムの形成に努め、優れた人材を党と国の諸事業に集めるようにする。選抜・登用と管理・監督メカニズムの確立と健全化を重点とし、科学化、民主化と制度化を目標として、幹部に関する人事制度を改革し、充実させ、公務員制度を健全化する。幹部の選抜・登用に対する党員と大衆の知る権利、参与権、選択権、監督権を拡大する。党・政府の指導幹部の職務任期制、辞任制と人事登用における不手際と過失についての責任追及制を実行する。幹部の職務と職級を結びつける制度を充実させ、幹部に対する奨励と保障のメカニズムを形成させる。党・政府の機関、事業体と企業との幹部に関する人事分別管理制度を模索し、充実させる。幹部に対する二重の管理体制を改革し、充実させる。選抜・任用面における年功序列といった意識ややり方を打ち破り、人材の合理的な移動を促進し、各分野の優れた人材が頭角を現すために望ましい環境を積極的に作り出す。
(八)権力に対する制約と監督を強化する。構造が合理的で、配置が科学的であり、手続が厳密で、制約が効果的である権力運行メカニズムを確立させ、政策の決定や執行などの段階で権力に対する監督を強め、人民によって与えられた権力を真に人民の利益のために用いることを保証する。その重点として指導幹部、とりわけ主要指導幹部への監督を強化し、人事・財務の管理と運用に対する監督を強化する。指導グループの内部における監督を強め、重要事項と重要幹部の任免の決定手続を完全なものにする。党の規律検査体制を改革し、充実させ、巡視制度を確立し、充実させる。司法機関と行政監察、会計監査などの関連機能部門の役割を発揮させる。多様な形態の指導幹部の仕事と廉潔状態の報告制度を実行し、重要事項に関する報告制度、答申制度と民主評定制度を健全化する。政務公開制度を真剣に推し進める。組織的監督と民主的監督を強化し、世論による監督の役割を発揮させる。
(九)社会の安定を擁護する。改革と発展の複雑で重い任務を成し遂げるには、長期にわたる安定と調和のとれた社会環境を保たなければならない。各クラスの党委員会と政府は人民大衆の仕事と生活における実際問題を熱意をこめて解決しなければならない。深く掘り下げて調査、研究し、状況の違いを念頭におきながら、思想・政治工作を強め、経済、行政、法律などの手段を正しく運用して、人民内部の矛盾、とりわけ大衆の身近な利益にかかわる矛盾を適切に処理し、安定・団結の局面を保つべきである。公安・検察・司法の活動を強化し、法によってさまざまな犯罪行為を厳しく取り締まり、邪教組織の犯罪行為を防止し、処罰し、断固として社会のみにくい現象を一掃し、人民大衆の生命、財産の安全を確実に保障する。取締りと防止を結びつけ、予防を主とすることを堅持し、社会治安の総合対策に関する諸般の措置をしっかり実行に移し、社会的管理を改善し、良好な社会秩序を保つ。国家安全のための活動を強化し、国外・国内の敵対勢力の浸透、転覆と分裂の活動を警戒する。
社会主義民主政治は強大な生命力と優位性をもっている。中国共産党と中国人民は自ら選択した政治的発展の道に対し自信満々であり、中国の特色のある社会主義政治の建設を揺るぐことなく推し進めるものである。
六、文化の建設と文化体制の改革
いくらかゆとりのある社会を全面的に建設するには、必ず社会主義の文化を大いに発展させ、社会主義の精神文明を建設しなければならない。今日の世界では、文化は経済および政治と互いにとけ合って、総合国力の競争における位置づけと役割が益々際立つようになっている。文化の力は、民族の生命力、創造力および結束力の中に深く溶け込んでいる。全党の同志は文化の建設の戦略的意義を深く認識し、社会主義の文化の発展、繁栄を推し進めなければならない。
(一)先進的文化の前進の方向をしっかりと把握する。現代の中国において先進的文化を発展させることは、現代化、世界、未来に目を向ける民族的、科学的、大衆的な社会主義の文化を発展させることであり、これをもって絶えず人々の心を豊かにし、精神的な力を増強させることである。イデオロギー分野におけるマルクス・レーニン主義、毛沢東思想とケ小平理論の指導的地位を堅持し、「三つの代表」という重要な思想で社会主義の文化の建設を統率しなければならない。人民に奉仕し、社会主義に奉仕する方向と「百花斉放、百家争鳴」の方針を堅持し、主旋律を高揚させ、多様化を提唱する。科学的理論で人々を武装し、正しい輿論で人々を導き、高尚な精神で人々を育て上げ、優れた作品で人々を鼓舞することを堅持する。先進的文化を大いに発展させ、健康で有益な文化をサポートし、立ち遅れた文化を改造するよう努め、腐り果てた文化を断固ボイコットする。文学・芸術活動家は大衆の中に深く入り、実生活の中に深く入って、人民のために時代に恥じない作品をより多く創作しなければならない。報道・出版、ラジオ・映画・テレビは正しい方向付けを堅持しなければならず、インターネット・ウェブサイトは先進的文化を伝播する重要な陣地となるべきである。改革開放と現代化建設の実践に立脚し、世界における文化の発展の最前線に着眼し、民族文化の優れた伝統を発揚し、世界の諸民族の長所を汲み取り、内容や形式の面で積極的に創造、革新をおこない、中国の特色のある社会主義の文化の魅力と訴求力を絶えず強める。
(二)民族精神を発揚することとはぐくむことを堅持する。民族精神は、一つの民族が生存、発展のよりどころとする精神的支柱である。どの民族も、奮起の精神と高尚な品格がなければ、世界民族の列に仲間入りすることができないだろう。五千余年の発展の中で、中華民族は愛国主義を中核とする、団結・統一し、平和を愛し、勤勉かつ勇敢で、自ら向上を求めてやまない偉大な民族精神を形成してきた。わが党は人民を指導して長期にわたる実践の中で、絶えず時代と社会の発展の要請と結びつけながら、この民族精神を豊かにしてきた。世界的範囲におけるさまざまな思想・文化が互いに激しく絡みあう状態を前にして、民族精神を発揚することとはぐくむことを文化の建設の極めて重要な任務として国民教育、精神文明の建設の全過程に組み入れなければならず、終始全人民に高揚した、向上を求める精神状態を保たせる。
(三)思想・モラルの建設を着実に強化する。法によって国を治めることと徳によって国を治めることは、互いに補完し合うものである。社会主義市場経済に適応し、社会主義法律規範と協調し合い、中華民族の伝統的美徳を受け継ぐ社会主義の思想・モラル体系を構築しなければならない。党の基本理論、基本路線、基本綱領および「三つの代表」という重要な思想に関する宣伝教育を深くつっこんで繰り広げ、中国の特色のある社会主義の共通の理想、正しい世界観、人生観、価値観を確立するよう人々を導く。公民のモラルの建設実施綱要を真剣に貫徹し、愛国主義精神を発揚し、人民への奉仕を中核とし、集団主義を原則とし、誠実、信義を重点とし、社会の公徳、職業道徳および家庭美徳の教育を強化し、特に青少年における思想・モラルの建設を強めなければならず、人々が基本的行為の準則を守るとともに、より高い思想・モラルの目標を追求するよう導く。思想・政治工作を強化、改善し、広い範囲において大衆的な精神文明づくりの活動を展開する。
(四)教育および科学の事業を大いに発展させる。教育は科学技術を発展させ、人材を育成する基礎であり、現代化建設の中で先導的かつ全局的な役割を果たすため、優先的に発展させる戦略的地位に置かれなければならない。党の教育方針を全面的に貫徹し、教育が社会主義現代化の建設に奉仕し、人民に奉仕することを堅持し、生産労働および社会実践と結びつけて、徳育、知育、体育、美育が全面的に発展した社会主義事業の建設者と後継者を育成する。教育を革新し、教育改革を深化させることを堅持し、教育構造を最適化させ、教育の資源を合理的に配置し、教育の質と管理レベルを向上させ、資質の教育を全面的に推進し、数億にのぼる資質の高い勤労者、何千万にのぼる専門人材および数多くの卓越した創造・革新の人材を育成する。教師陣づくりを強化し、教師の職業道徳と業務レベルを引き上げる。引き続き九年制義務教育を普及する。職業教育と育成・トレーニングを強化し、継続教育を発展させ、生涯教育システムを構築する。教育への資金投入および農村における教育への助成を大きくし、社会的力による学校運営を奨励する。貧困学生を援助する国の政策と制度を充実させる。科学と技術の長期にわたる発展計画を制定する。科学関連インフラの建設を強化する。科学知識を普及し、科学的精神を発揚する。社会科学と自然科学を同様に重んじることを堅持し、哲学と社会科学の経済と社会の発展における重要な役割を十分に発揮させる。全社会において、科学を尊重し、創造・革新を奨励し、迷信やニセモノの科学に反対する好ましい雰囲気をつくり出す。
(五)文化事業と文化産業を積極的に発展させる。諸般の文化事業および文化産業を発展させるにあたって、先進的文化を発展させる要請を貫徹し、終始、社会的効果を首位に置かなければならない。国は文化的公益事業をサポートし、保障し、さらにそれが発展の活力を自ら増強することを奨励する。文化的公益事業発展のための支援政策・措置を堅持し、完全なものにし、党と国家の重要なマスメディアと社会科学研究機構を助成し、民族的特色と国のレベルを示す重要文化プロジェクトと芸術院、芸術団体を助成し、重要な文化財と優れた民間芸術に対する保護活動を助成し、かつての革命根拠地や、少数民族地区、辺境地区と貧困地区および中西部地区の文化の発展を助成する。文化面のインフラ整備を強化し、さまざまな大衆的文化を発展させる。医療衛生とスポーツ事業の改革と発展を積極的に推し進め、全国民の健康維持・増進の活動を展開し、全国民の健康水準を高める。二〇〇八年オリンピック大会を立派に開催するよう努める。文化産業を発展させることは、市場経済という条件の下で社会主義文化を繁栄させ、人民大衆の精神・文化面の需要を満たす重要な方途である。文化産業政策を充実させ、文化産業の発展をサポートし、わが国の文化産業の全般的な力と競争力を増強する。
(六)引き続き文化体制改革を深化する。社会主義精神文明の建設の特徴と法則に基づいて、社会主義市場経済の発展の要請に適応して、文化体制改革を推し進める。文化体制改革の総合的基本方案の策定を急ぐ。改革の深化を構造の調整および発展の促進と結び付けて、政府と文化企業・事業体との関係をすっきりさせ、文化の分野の法制整備を強化し、マクロ規制を強化し、文化企業・事業体内部の改革を深化し、文化活動家の意欲を引き出し、文化の創造・革新を推進し、優れた作品が数多く創出されることや人材が輩出することに役立つ文化管理体制と運営メカニズムを逐次打ち立てる。片方の手では繁栄に、もう一方の手では管理に力を入れる方針に照らして、文化市場体系の健全化をはかり、文化市場の管理メカニズムを充実させ、社会主義の文化の繁栄のために良好な社会環境を作り出す。
中華文明は広く深くて、悠久な歴史を持っており、人類文明の進歩のために多大の貢献をしてきた。現代の中国人民は、偉大な奮闘の中で社会主義文化の建設の新たな高揚期を迎え、さらに輝かしい先進的文化を作り出すであろう。
七、国防と軍隊の建設
強固な国防を打ち立てることはわが国の現代化建設の戦略的任務であり、国の安全・統一を擁護し、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設するための重要な保障である。国防建設を経済建設と協調的に発展させる方針を堅持し、経済の発展を踏まえて、国防と軍隊の現代化を推し進める。
毛沢東の軍事思想、ケ小平の新しい時期における軍隊建設の思想を導きとすることを堅持し、「三つの代表」という重要な思想を全面的に貫徹し、政治面で合格し、軍事面でしっかりした、作風が立派で、規律が厳しく、保障に有力であるという全般的要請に照らして、勝てること、変質しないことという二つの歴史的課題としっかり結びつけて、確固として揺るぐことなく中国の特色のある軍隊精鋭化の道を歩み、軍隊の革命化、現代化、正規化の建設を強化する。
終始思想・政治建設を軍隊の諸建設の首位に置き、人民の軍隊の性格、地色と作風を永遠に保つ。党の軍隊に対する絶対的指導はわが軍のいつまでも変わることのない魂であり、党が人民軍隊を指導するという根本的原則と制度を揺るぐことなく堅持しなければならない。
積極的防御という軍事戦略方針を貫いて、ハイテク条件下における防衛戦闘能力を高める。世界における軍事の変革のすう勢に適応し、科学技術による軍隊強化の戦略を実施し、質の面の建設を強める。教育・訓練を戦略的地位において、科学技術による軍隊訓練を深くつっこんで繰り広げ、軍事大学の整備を強め、数多くの資質の高い新しいタイプの軍事人材を育成する。軍事理論を革新し、発展させる。機械化整備と情報化整備の二重の歴史的任務を成し遂げるよう努め、わが軍の現代化の飛躍的発展を実現する。
新しい歴史的条件下における軍隊統轄の特徴と法則を模索し、国防と軍隊建設の諸改革を推進する。軍隊の編制と構造を最適化させ、政策・制度を調整し、充実させる。軍隊の厳格な統轄を堅持し、軍事法規体系の健全化をはかり、法による軍隊統轄のレベルを向上させる。勤倹を旨とする軍隊の建設を堅持し、海軍・陸軍・空軍の一体化された、軍用と民用の両立、平時と戦時を結びつけた後方勤務合同保障体制を構築し、完全なものにする。国防科学技術工業の体制改革を深め、民用産業が軍事産業に転換できるように堅持し、競争、評価、監督およびインセンティブのメカニズムを確立し、健全にし、自主的創造・革新能力の向上に努め、国防科学技術および兵器・装備の発展を速める。国防動員体制を充実させ、民兵および予備役部隊の建設を強め、ハイテク条件下の人民戦争の戦略・戦術を発展させる。武装警察部隊は全面的な建設を強化し、永遠に党と人民の忠誠な守り手となるようにしなければならない。
各クラスの党組織と政府、広範な人民大衆は国防と軍隊の建設に関心を寄せ、それを支持しなければならない。軍隊は国の建設を積極的に支持し、参与しなければならない。国防教育を強化し、人民全体の国防意識を増強する。軍隊擁護・軍人遺族・家族優遇と政府擁護・人民愛護に力を入れ、軍隊と政府、軍隊と人民の団結をうち固める。
八、「一国二制度」と祖国の完全統一の実現
祖国の完全統一を実現することは国内外の中華民族の子孫の共通の願いである。われわれは香港問題と澳門問題を成功裏に解決したうえ、現在、台湾問題の早期解決、祖国の完全統一の大事業のために引き続き奮闘している。
香港と澳門の祖国復帰は、「一国二制度」の理論と実践を豊富にした。事実が立証しているように、「一国二制度」の方針は正しいものであり、強大な生命力を持っている。われわれは確固としてこの方針を実行し、厳格に香港基本法と澳門基本法に基づいて事をはこび、香港・澳門両特別行政区の行政長官と政府の仕事を全力をあげて支持し、香港・澳門の各界の人々と広く結束し、ともに香港と澳門の繁栄、安定と発展を維持し、促進するものである。
われわれは「平和的統一、一国二制度」の基本方針および現段階における海峡両岸関係を発展させ、祖国の平和的統一を推し進める八項目の主張を堅持し、台湾同胞とともに、海峡両岸の人的往来と経済、文化などの分野の交流を強化し、台湾の分裂勢力に断固反対する。海峡両岸関係の基本的枠ぐみおよび発展趨勢は変わってはいない。台湾同胞の平和を求め、安定を求め、発展を求める願いは日ましに強まっている。台湾の分裂勢力の分裂活動は人心を得るものではない。
一つの中国の原則を堅持することは、海峡両岸関係を発展させ、平和統一を実現するための基礎である。世界には一つの中国しかない。大陸と台湾はともに一つの中国に属し、中国の主権と領土保全は不可分である。「台湾独立」、「二つの中国」、「一つの中国、一つの台湾」を作り出そうとするいかなる言論と行動にもわれわれは断固反対する。台湾の前途は祖国の統一にかかわっている。対話をくりひろげ、平和統一について交渉を行うことは、われわれの一貫した主張である。われわれは、一つの中国という原則をふまえ、あれこれの政治的争点をひとまず棚上げして、海峡両岸の対話と交渉をできるだけ早く回復するよう重ねて呼びかける。一つの中国の前提のもとで、いかなる問題でも話合うことができる。海峡両岸の敵対状態を正式に終結させる問題を話合うことができるし、世界における台湾地区の身分に相応する経済的、文化的、社会的活動の空間の問題について話合うことができるし、台湾当局の政治的地位などの問題についても話合うことができる。われわれは台湾の各党派、各界の人々と海峡両岸の関係の発展、平和的統一の推進について意見を交換したいと考えている。
台湾問題の解決、祖国の完全統一の実現にあたって、われわれは台湾同胞に希望を寄せている。台湾同胞には栄えある愛国主義の伝統があり、海峡両岸関係を発展させる重要な力である。われわれは台湾同胞の生活様式と主人公としての気持ちを十分に尊重する。海峡両岸は交流と往来を拡大し、ともに中華文化のすぐれた伝統を広め、高揚させるべきである。両岸の直接通信、通航、通商を実現することは両岸同胞の共通の利益にかなうことであり、当然、実際的段取りをとって積極的に推進し、両岸経済協力の新たな局面を切り開くべきである。
「一国二制度」は両岸の統一をめざす最善の方式である。両岸の統一後、台湾は現在の社会制度を変えることなく保ちつづけ、高度の自治を実施することができる。台湾同胞の生活様式は変らず、身近な利益は十分に保障され、永久に太平を享受する。台湾の経済は真に祖国大陸を後背地として広々とした発展の空間を得ることになろう。台湾同胞は大陸同胞と一緒に国を管理する権利を行使し、ともに世界における偉大な祖国の尊厳と栄誉を享受することができる。
二三〇〇万人の台湾同胞はわれわれの血のつながった兄弟であり、われわれほど平和的方式による台湾問題の解決を望むものはどこにもいない。われわれは引き続き「平和的統一、一国二制度」の基本方針を堅持し、八項目の主張を貫き、最大の誠意を持って、最大の努力を払って、平和的統一の前途をかち取るよう努める。われわれは決して武力行使の放棄を約束はせず、これは台湾同胞に向けられたものではなく、中国の統一に干渉する外国勢力および「台湾独立」を企む台湾の分裂勢力の画策に向けられたものである。祖国の統一の擁護は中華民族の根本的利益にかかわるものであり、中国人民は国家の主権と領土の保全を躊躇することなく守り抜き、いかなるものの、いかなる方式による台湾を中国から切り離そうとすることも許さない。
国家は統一しなければならない、民族は復興しなければならない、台湾問題は無期限に引き延ばすことはできない。われわれはすべての中華民族の子孫がともに努力することにより、祖国の完全統一は必ずや早期実現できるものと確信している。
九、国際情勢と対外活動
平和と発展は依然として当面の時代のメーン・テーマである。平和を擁護し、発展を促進することは、各国人民の福祉にかかわるものであり、各国人民の共通の願いであり、阻むことのできない歴史の流れでもある。世界の多極化と経済のグローバル化の趨勢の発展は、世界の平和と発展にチャンスとプラスの条件をもたらすことになった。新たな世界大戦は予見できる範囲においては起こることはない。かなり長期の平和な国際環境と良好な周辺環境をめざすことは実現可能であろう。
しかしながら、不公正な、不合理な国際政治・経済の旧秩序は根本的には変わっていない。平和と発展に影響をおよぼす不確定要素が増えている。安全への従来の脅威と安全への新たな脅威の要素は相互に交錯しあっており、テロリズムの害が上昇している。覇権主義と強権政治は新しい表われ方を示している。民族、宗教矛盾、国境・領土係争によって誘発される局地衝突が相継いで発生している。南北の格差は一段と広がっている。世界はまだ非常に不安寧で、人類は数多くの厳しい挑戦に直面している。
国際情勢がいかに変化しようとも、われわれは終始変わることなく独立自主の平和外交政策を実行する。中国の外交政策の宗旨は、世界の平和を擁護し、共同の発展を促進することである。われわれは各国人民とともに、世界の平和と発展という崇高な事業を推進していくことを願っている。
われわれは歴史の流れに順応し、全人類共通の利益を擁護することを主張する。われわれは国際社会とともに努力して、世界の多極化と諸勢力の調和のとれた共存を積極的に推進し、国際社会の安定を守ることを願っている。経済のグローバル化がともに繁栄することの実現にプラスとなる方向にむかって発展するよう積極的に推進し、プラス面を生かして、マイナス面を避け、各国とりわけ発展途上諸国がメリットを得るようにする。
われわれは公正で合理的な国際政治経済の新秩序を確立することを主張する。各国が政治面では相互に尊重し合い、ともに協議し合うべきであり、自分の意志を人におしつけるべきではない。経済面では互いに促進しあい、ともに発展すべきであり、貧富の格差を拡大すべきではない。文化面では相互に参考としあい、ともに繁栄すべきであり、他の民族の文化を排斥すべきではない。安全面では互いに信頼しあい、ともにそれを擁護し、相互信頼、互恵、平等と協調の新たな安全意識を樹立し、対話と協力を通じて係争を解決し、武力あるいは武力による脅威を用いるべきではない。さまざまな形の覇権主義と強権政治に反対する。中国は永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張を行わない。
われわれは世界の多様性の擁護を主張し、国際関係の民主化と発展方式の多様化を提唱する。世界は豊富多彩である。世界のさまざまな文明、異った社会制度や発展の道については互いに尊重し合い、競争と比較を通じて長所を取り入れ、短所を補い、同を求め、異を残す中でともに発展して行くべきである。各国の事は各国人民がみずからで決め、世界の事は各国が平等に協議すべきである。
われわれはいかなる形のテロリズムにも反対することを主張する。テロ活動を防止し、それを取り締まるには、国際協力を強化し、表層から手をつけると同時に根本的解決をはかり、テロリズム発生の根源を取り除くことに努めなければならない。
われわれは引き続き先進諸国との関係を改善し、発展させ、各国人民の根本的利益を重んじ、社会体制とイデオロギーの違いにこだわることなく、平和共存五原則をふまえて、共通の利益の接点を広げ、不一致点を適切に解決する。
われわれは引き続き善隣友好を強化し、善意をもって隣国に対処し、隣国を仲間と見なすことを堅持し、地域間の協力を強化し、周辺諸国との交流と協力を新たなレベルへと推し進める。
われわれは引き続き第三世界との連帯と協力を強化し、相互理解と相互信頼を増進させ、相互援助と相互支援を強化し、協力の分野を広げ、協力の効果を向上させる。
われわれは引き続き多国間の外交活動に積極的に参与し、国連およびその他の国際的、地域的組織の中で役割を発揮し、自国の正当な権益を守ろうとする発展途上国を支持する。
われわれは引き続き独立自主、完全平等、相互尊重、相互内部事情不干渉の原則を堅持して各国、各地域の政党や政治組織との交流と協力を発展させる。
われわれは引き続き民間外交を広く展開し、対外文化交流を拡大し、人民の間の友好を増進させ、国家関係の発展を推進する。
世界は光明と進歩の目標に向かって邁進している。その道は曲がりくねっているが、前途は明るい。平和の力、正義の力、進歩の力は究極的にはうち負かすことのできないものである。
十、党の建設を強化し、改善する
われわれのような多民族の発展途上大国において、人民全体の意志と力を結集して、いくらかゆとりのある社会を築き上げ、社会主義現代化の進捗を加速させるには、党の指導の強化と改善をいささかもゆるがせにしてはならず、党建設の新しい偉大なプロジェクトを全面的に推進しなければならない。
党の建設を強化、改善するには、必ずケ小平理論の偉大な旗じるしを高く掲げ、「三つの代表」という重要な思想を全面的に貫徹し、党の路線、方針、政策が人民の根本的利益と時代発展の要請を全面的に反映するよう保証しなければならない。必ず党が党を管理し、党を厳格に治める方針を堅持し、党の指導レベルと執政レベルを向上させること、腐食を拒み、変質を防ぎ、リスクへの抵抗力を強めること、この二大歴史的課題を一段と解決しなければならない。必ず現代における中国社会の前進の脈拍を正しく把握し、党の指導方式、執政方式および指導体制、活動体制を改革し、完備させ、活力に満ちた党活動にしなければならない。必ず思想建設、組織建設、作風建設を有機的に結びつけなければならず、その過程において制度の整備を貫き、日常活動を立派に行うことに立脚するとともに、存在している際立った問題の解決にも力を入れる。たゆまぬ努力によって、わが党が終始変わることなく中国の労働者階級の前衛部隊であり、同時に中国人民と中華民族の前衛部隊であること、終始変わることなく中国の特色のある社会主義事業の指導的中核であること、終始中国の先進的生産力の発展の要請を代表し、中国の先進的文化の前進方向を代表し、中国の最も広範な人民の根本的利益を代表することを保証するのである。
(一)「三つの代表」という重要な思想を掘り下げて学習し、貫き、全党のマルクス主義の理論水準を高める。党の思想、理論面での向上は党と国家の事業を絶えず発展させる思想的保証である。党の思想理論の建設を一段と際立った位置に置かなければならない。マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、ケ小平理論で全党員を武装することを堅持し、全党において「三つの代表」という重要な思想を学習し、貫徹する新たな高まりを盛り上げる。党員幹部とりわけ中高級幹部は率先して「三つの代表」という重要な思想を学習し、実践し、勤勉に学び、思考に長じた模範となり、思想を解放し、時代とともに前進する模範となり、実践する勇気をもち、鋭意創造の模範とならなければならない。全党においてマルクス主義発展の歴史の教育を掘り下げておこない、真実を追究し、実際を重んじ、開拓進取の精神を大いに発揚し、共産党の執政に関する法則、社会主義建設の法則、人類社会の発展の法則への認識を絶えず深化させ、マルクス主義を絶えず豊富にし発展させる。
(二)党の執政能力の建設を強め、党の指導レベルと執政レベルを引き上げる。執政条件と社会環境の大きな変化に直面して、各クラスの党委員会と指導幹部が使命をりっぱに全うし、重責に答えうるためには、新しい情勢と新しい任務の要請に適応し、実践の中で新しい知識を掌握し、新しい経験を蓄積し、新しい能力を身につけなければならない。広い視野で世界を考察し、時代発展の要請を正しく把握し、理論的思考と戦略的思考に長じ、科学的に情勢を判断する能力をたえず高めなければならない。客観的法則と科学的法則に基づいて事を運び、改革と建設における新しい情況と新しい問題を適時に研究し解決するように努め、チャンスをよくつかみ、発展を加速させ、市場経済を制御する能力をたえず高めなければならない。さまざまな社会矛盾を正しく認識、処理し、異なった利益関係を調停し、あれこれの困難を克服することに長じ、複雑な局面に対応する能力をたえず高めなければならない。法制意識を強め、党の指導、人民の主人公としての位置付けを堅持することと法に基づいて国を治めることを統一させ、法による執政能力をたえず高めなければならない。全党、全国の活動の大局に立脚し、党の路線、方針、政策を断固として貫き、実際に照らして創造的に活動を展開することに長じ、たえず全局を統轄する能力を高めなければならない。
(三)民主集中制を堅持し、健全化させ、党の活力と統一・団結を強化する。民主集中制は民主を基礎とした集中と集中の指導のもとでの民主を結びつけた制度である。党内の民主は党の生命であり、人民民主に対して重要な模範的率先的役割を持つものである。党員の民主的権利の保障を基礎とし、党の代表大会制度と党の委員会制度の完備を重点として、体制・メカニズムの改革に着手し、党員と党組織の意向が十分に反映される党内民主制度の確立と健全化をはからなければならない。市、県で実施されている党代表大会常任制のテスト・ケースをさらに広げる。党代表大会の閉会期に代表たちの役割が発揮できる方途や形態を積極的に模索する。集団指導、民主集中、個別の論議、会議による決定の原則に基づき、党委員会内における議事や政策決定メカニズムを完備させ、党委員会全体会議の役割を一段と発揮させる。党内の選挙制度を改革し、完備させる。党内での情況通達制度、情況反映制度、重要決定を下すに当っての意見聴取制度を整備し、完備していく。党と国家の集中統一は全国各民族人民の根本的利益にかなうことである。指導思想や路線、方針、政策および重要な原則問題において、全党・全国は高度の一致を保たなければならない。全党の同志は、個人が組織に服従し、少数が多数に服従し、下級組織が上級組織に服従し、全党が党の全国代表大会および中央委員会に服従する原則を自覚をもって堅持し、中央の権威を断固擁護し、中央の指示の首尾よい実行を保証しなければならない。党の各クラスの組織及び全党員、とりわけ指導幹部は、党の規律を厳格に遵守し、指令があってもそれを実行せず、禁令があるのにそれを無視し、それぞれが勝手な行動をとることは決して許されない。
(四)資質の高い指導幹部陣をつくり上げ、活気に満ちた、発奮する、有為な指導層を作り上げる。革命化、若年化、知識化、専門化の方針に基づいて、重要任務を担いうる、波風の試練に耐えられる資質の高い指導幹部層をつくり上げること、特に党を治め、国を治め、軍隊を治めることに長じた優れた指導的人材を大量に育成することは、党と国家の長期安定を保持する根本的大計である。指導幹部の選抜・登用条例を真剣に貫き、改革と建設の実践のなかで幹部を考察、識別することに重点を置き、品性と才能を兼ね備えた、実績の際立った、大衆が公認する人を適時に指導的ポストに抜てきしなければならない。優れた若手幹部の育成と選抜の仕事に一層力を入れ、その党性の修養、理論の学習と実践での鍛錬の強化、資質の全面的向上に重点をおいて力添えする。女性の幹部、少数民族の幹部と非党員幹部の育成・選抜の仕事をより上手におこなう。引き続き定年で引退するか退職した幹部の仕事を立派におこなう。資質の向上、構成の最適化、作風の改善および団結の増強を重点として、各クラスの指導部が「三つの代表」という重要な思想を貫き通す強固な指導集団となるようにつくり上げていく。中国の特色のある社会主義の事業の後継者を間断なく育成し、党と人民の事業を継承する人材を保証しなければならない。
(五)末端の党建設活動を確実に推し進め、党の階級基盤を増強し、党の大衆基盤を広げる。党の末端組織は党のすべての活動と戦闘力の基盤であり、「三つの代表」という重要な思想を貫く組織者、推進者、実践者とならなければならない。中心をめぐり、大局のために奉仕し、分野を広げ、機能を強化し、党活動がカバーできる面を広げ、末端党組織の結束力と戦闘力をたえず高めなければならない。村の党組織を中心とした村クラスの関連組織の建設を強化し、幹部が常に教育を受け、農民が長期にわたって実際のメリットを得る効果的方途を模索しなければならない。国有企業と集団企業を立派におこなうには、誠心誠意労働者階級に依拠することを堅持しなければならず、企業の党組織は企業の重要問題に関する意思決定に積極的に参与し、政治的中核としての役割を十分に発揮しなければならない。非公有制企業における党建設を強化し、企業の党組織は党の方針や政策を実行し、企業が国の法律・法規を遵守するよう導き、監督し、労働組合や共産主義青年団などの大衆組織を指導し、従業員を団結、結束させ、各方面の合法的権益を擁護し、企業の健全な発展を促進する。コミュニティーの党建設を高度に重視し、大衆への奉仕に重きをおき、都市コミュニティーにおける党建設活動の新たな枠ぐみを構築する。社会団体や社会の仲介組織における党組織結成の活動にいっそう力を入れ、党や政府機関における党建設の活動および学校、科学研究機関、文化団体などの事業体における党建設の活動を全面的にりっぱに推し進める。
共産党員は前衛・模範としての役割を発揮し、共産主義の遠大な理想と中国の特色のある社会主義に対する確固とした信念をしっかり打ち立て、着実に現段階における党の基本綱領のために奮闘しなければならない。全党において「三つの代表」という重要な思想を主な内容とする共産党員の先進性を保つ教育活動を展開する。労働者、農民、知識分子、軍人、幹部の中での党勢拡大の活動を重点的にくりひろげ、党組織の最も基本的構成部分と中堅勢力を大きくする。生産や活動の第一線において、また、高度の教育の受けた知識層や青年のなかで党員を拡大するよう意を配る。党の綱領や規約を認め、自覚をもって党の路線と綱領のために奮闘し、長期間の試練を経た、党員としての条件に合致するその他の社会層の先進分子を党に吸収し、全社会における党の影響力と結束力を強化して行く。新しい情勢に適応して、党員管理の仕事の新しいメカニズムと新しい方法を模索していく。
(六)党の作風の建設を強化し、改善し、腐敗反対闘争をよりいっそう展開させる。党の作風の建設を推し進めるには、その中核は党と人民大衆との血と肉のつながりを保つことである。わが党の最も優れた政治的優位は人民大衆との密接な関係を保っていることであり、党の執政後における最大の危険は人民大衆から遊離することである。いかなる時、いかなる状況の下でも、党は必ず大衆路線を堅持し、誠心誠意人民のために奉仕する宗旨を堅持し、人民大衆の利益を実現することを、すべての活動の出発点および帰結点としなければならない。公のための立党、人民のための執政を根本の目的として、党のすぐれた伝統とすぐれた作風を発揚し、党中央が打ち出した「八つの堅持、八つの反対」(※訳注を参照)に基づいて、一は教育、二は制度に依拠し、批判と自己批判を正しく繰り広げ、党の思想作風、学習の作風、活動の作風、指導作風および幹部の生活作風面で目立つ問題の解決に力を入れ、特に形式主義や官僚主義を防止し、克服しなければならない。わが国における社会生活の新しい変化と大衆活動の新しい特徴を真剣に研究し、大衆活動を強化し、改善することを党の建設と政権の建設の諸活動に貫く。共産党員、なによりもまず各クラスの指導者はみな説得による教育、モデルケースによる誘導とサービスを提供するなどの方法をできるだけ活用し、新しい情勢のもとでの大衆活動を上手に行い、人民大衆を結集させ、引率して絶えず前進すべきである。
断固として腐敗に反対し、それを防ぎ止めることは、全党の重要な政治的任務のひとつである。断固として腐敗を懲罰しなければ、党と人民大衆との血と肉のつながりがゆゆしく損われ、政権党としての地位は失う危険があり、党は自己壊滅してしまう可能性がある。長期にわたって執政しているという条件の下で、対外開放と社会主義市場経済を発展させる環境において、党は必ずさまざまな腐敗思想の侵食を防止することを十分に重視し、党の組織の純潔性を保たなければならない。各クラス党委員会は腐敗反対闘争の緊迫性を十分に認識するだけでなく、またその長期性をも十分に認識し、確信を固め、仕事に着実に取り組み、旗幟を鮮明にし、ゆるぐことなく腐敗反対闘争を深く推し進めていくべきである。さらに指導幹部の廉潔自粛、重大案件の取り調べ、部門や業種の不正な気風を是正する仕事にいっそう力を入れなければならない。表層的な事柄と根本的問題を合わせて解決し、総合対策を講じる方針を堅持し、根本的問題に取り組む度合を逐次大きくしていく。教育を強化し、民主を発展させ、法制を健全化し、監督を強化し、体制を革新し、反腐敗を諸般の重要な政策と措置の中に組み入れ、その発生源から腐敗の防止と根治に全力をあげる。腐敗反対の指導体制と活動メカニズムを堅持し、充実させ、党作風、廉潔政治を確立するという重要な責任制を真剣に実行し、腐敗に対し防止、懲罰の合力を形成する。指導幹部とりわけ高級幹部は身をもって手本を示さなければならず、手にした権力を正しく行使し、終始清廉潔白で自覚をもってさまざまな腐敗現象との闘争を断固として行わなければならない。いかなる腐敗分子に対しても徹底的に取り調べ、処分し、容赦なく厳罰に処しなければならない。
全党の同志が終始共産党員としてのはつらつとした生気、昂然たる鋭気、浩然たる正気を守り、いつまでも人民大衆と心を一つにするなら、わが党の執政の基盤が磐石のように堅いものとなる。
同志の皆さん いくらかゆとりのある社会を全面的に建設し、中国の特色のある社会主義の事業の新たな局面を切り開くには、中国共産党の確固不動の指導のもとに、社会主義市場経済、社会主義民主政治、社会主義の先進的な文明を発展させ、絶えず社会主義の物質文明、政治文明、精神文明のバランスのとれた発展を促し、中華民族の偉大な復興を推進させなければならない。
中国共産党は中華民族の中に深く根を下ろしている。中国共産党はその誕生の日から、中国の労働階級の前衛部隊となり、また中国人民と中華民族の前衛部隊となり、中華民族の偉大な復興というおごそかな使命を担っている。新民主主義革命の時期には、わが党は全国各民族人民を結束させ、引率して民族の独立と人民の解放の歴史的任務を達成し、中華民族の偉大な復興を実現するための前提を作り出した。新中国の成立以後、わが党は新民主主義から社会主義への移行を創造的に完成し、中国の歴史上における最も偉大な、最も深い社会の変革を実現し、社会主義の道を歩むなかで中華民族の偉大な復興を実現するという歴史的征途を歩み始めてきた。十一期三中全会以来、わが党は中国の特色のある社会主義を建設する正しい道を探しあて、民族の復興に強大かつ新たな生命力を注ぎ込んでいる。中華民族の偉大な復興には、さんぜんと輝く前途が現われている。
いくらかゆとりのある社会を全面的に建設し、社会主義現代化の建設の推進を加速し、社会主義の中国を発展させ、富み栄えるようにし、強大にし、人類社会の進歩の事業のためにより大きな貢献をするーーこれはわが党が必ず勇気をもって担わなければならない歴史的任務である。この任務を達成するには、必ず全党および全国各民族人民の結束にしっかりと頼らなければならない。団結は力であり、団結は勝利である。わが党とわが国人民は困難と曲折を経ることによって、豊かな経験を蓄積しており、ますます成熟するようになっている。非常に不安寧な世界に直面し、なみなみならぬ困難に満ちた重い任務に直面して、全党の同志は必ず憂国の意識を強め、治にあっても乱を忘れることなく、日ましに激化する国際競争によってもたらされるきびしいチャレンジを冷静に見てとらなければならず、前進途上の困難とリスクを冷静に見てとらなければならず、いっそう大局を念頭におき、いっそう団結を大切にし、いっそう安定を守らなければならない。
全党の同志と全国各民族人民は党中央の周りに緊密に団結し、心を一つにして、発奮して強きを求め、中国の特色のある社会主義の事業をいっそう前へと推し進め、われわれの幸せな生活とうるわしい未来をともに創造しようではないか。
※[訳注]
「八つの堅持、八つの反対」の内容は次の通りである。一、思想を解放し、事実に即して真理を求めることを堅持し、旧いならわしの踏襲と進取心の欠如に反対する。二、理論と実際との結合を堅持し、丸写しや書物主義に反対する。三、大衆との密接なつながりを堅持し、形式主義、官僚主義に反対する。四、民主集中制の原則を堅持し、独断専行、軟弱無力に反対する。五、党の規律を堅持し、自由主義に反対する。六、清廉潔白を堅持し、職権を使って私利私欲を謀ることに反対する。七、刻苦奮闘を堅持し、享楽主義に反対する。八、賢者のみを任用することを堅持し、人事登用上の不正な風潮に反対する。
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