月牙泉は鳴砂山の北麓にあり、東西の長さは300余メートル、南北の幅は50メートル、深さは約5メートル。周囲を砂丘で囲まれているが流砂に埋もれることもなく、青いさざ波が立ち、底が見えるほど澄みきり、雨が降り続いても溢れず、日照りが続いても涸れることはない。非常に美しい景観である。流砂がいつまでも泉を埋め尽くすことがないのは不思議である。昔の人たちは自然の秘密を解くことができなかったので、豊かな想像力を生かして美しい神話や伝説でこの自然現象を解明しようとした。

昔から水と火は相容れず、砂漠と泉は同時に存在することはない。しかし三日月の形をした月牙泉は砂漠の中にあるのだ。泉の水は冷たくて澄みきり、おいしい。この泉は砂山の間に数千年間も静かに横たわっていたのだ。あらしや砂あらしによく見舞われているが、依然として青いさざ波が立ち、水がさらさらと流れている。

月牙泉のほとりにはポプラの木がそそり立ち、ヤナギの枝が風に揺れ、砂棗（スナナツメ）の花の香りが漂い、アシが揺れ、野鳥が泉の上を飛んでいる場面は、まるで詩や絵の世界のようである。泉の南岸の台地のところには、娘娘殿、竜王宮、薬王洞、玉泉楼、雷音寺など多くの古代建築物がある。月牙泉の中に魚が群れをなして泳ぎまわっており、「鉄背魚」という魚は難病を治すことができ、「七星草」という水草は強精の効能があり、この泉の魚と草を食べると長生きできると言われ、そのため、月牙泉は薬泉とも称されている。

　月牙泉の周りに砂山が高くそびえ立ち、山間のくぼ地も泉と同じように三日月の形をしている。このようなくぼ地に吹き込む風は空気力学の原理によって、上へと力が働き、月牙泉の周りの砂山から流れ込んだ砂を回りの鳴砂山の裏側に吹き戻っている。それゆえに、泉が砂に埋もれないのである。

月牙泉は国家クラス重点景勝区であり、中国観光地ベスト40に選ばれ、砂漠の中の第一泉と称されている。

観光のためのアドバイス

交通：敦煌市内から直行のバスがある。タクシーで鳴砂山に行く場合、約15分間かかる。体に自信のあるものは自転車を借りて行くのもよい。

入場券：20元。

ショッピング：敦煌市から鳴砂山までの途中に、露店がびっしり並んだ「ラクダ商店街」があり、観光おみやげを主に扱っている。もっとも人目を引くのは可愛い縫いぐるみのラクダである。値段も安い。

特別のアドバイス：鳴砂山の日没の景観が非常に美しく、これを見ないと残念なので、夏の夕方に行かれたほうがよい。景勝区でラクダに乗る際には、トラブルに巻き込まれないようまず値段の交渉をしたほうがよい。砂山の上では風や砂ぼこりがひどいため、あらかじめ予防措置をとったほうがよい。

「チャイナネット」2003年1月2日