清明の養生
清明は天が清くて地が明るいという意味である。旧い暦書は「斗が丁を指すと、清明になり、この日に万物が清潔で明るく清らかになる。気が清らかで景が明るいからであり、万物は全てそろい、ゆえにこの名が付けられたのである」。清明の節気においては、太陽は黄経15度となり、中国の大部分の地域の日間平均気温はセ氏12度以上となり、この時になるとモモの花が咲き、ヤナギが緑なし、しおれて枯れしぼんでいたものも風向き次第で明るくて美しい景色を再現することになる。清明の頃になると、昔から人々は祖先を祭って墓参りをする日であった。中国の人たちにとっては更に「礼をもってそれを祭る」という追悼行動を重視している。宋代の高菊澗の『清明』の詩は「南北の山頂に墓のある田が多く、清明の墓参りがそれぞれそうである。紙の灰は白いちょうのように飛び交い、血の涙は赤いホトトギスさえ染めるものとなる。昼の墓のキツネは、墓石の上で眠り、夜帰る時に息子と娘が明かりの前で笑い、人生は酒があれば酔うべきで、1滴でどうして九泉に着くことになろう」と書いている。各地でも清明になると祖先を祭る習わしがあるが、その祖先を祭るやり方はそれぞれ異なっている。北部地域では「清明にはヤナギの葉を身につけなければ、美人は白髪頭になる」、「清明にヤナギの葉を身につけなければ、死んだらブタかイヌになる」という言い方がある。人々が清明を「鬼節(死者を祭る日)」といった意味から見ても、ヤナギの葉を差し挟み、ヤナギの葉を身につけることは邪の気を追い払って魔よけをし、災いを避けて災いをなくす作用がある。そのため、民間においては清明は「寒食節」ともいわれている。清明の日には、台所を使わず、温めた食物は避け、さもなければ神の懲罰を受ける言い方がある。中国の台湾地区の祖先を祭るというやり方は更に異なっており、台湾県誌の記載によると、「清明には、その祖先を祭り、墓参りをし、親友が同行するように招かなければならない。女性は山まで車で行き、行事が終われば、地面に座って飲み、黄昏時になって帰る」。これらの昔からの風習は今でも残っており、人々がいかに清明を重視しているかを物語っている。

 農作業の中で、清明は重要な節気として、さらに「清明と穀雨がつながり、種子を水にひたして田を耕すことを遅らせない」、「清明の前後にウリ類、豆類をまく」という言い方がある。わたしたちの都市に「植樹造林は清明を超えないように」という言い方がある。これを見ても分かるように、農村でも都市でも、清明は人々に重視させるべき日なのである。

 漢方医学の養生について言えば、清明は特に重要な節気でもある。この節気に、高血圧の発病しやすい時期であるため、わたしたちはこの病気をめぐって、どのように養生すればよいかをお話したい。

 まずわたしたちは高血圧とはなにかを知っておくべきである。高血圧は体の循環の中で、動脈圧が持続的に上がることを指すものであり、血管、脳、心、腎臓などの器官を傷つけることになる、よく見かける臨床複合症候群である。この病気の発病率は加齢に伴って増えるものである。高血圧患者の冠状動脈性硬化症と急性心筋梗塞の発病率も正常な血圧の人たちより3〜5倍高い。漢方医学のこの病気の症状に対応する要点は、血圧の変化を観察するほか、患者の目まい、頭痛などの全身の症状を分析する必要がある。病因は年を取って体が弱く、情、志がアンバランスになり、疲れ、長患いをし、偏食を好むなどを多く見かける。その病理は主に陰陽がアンバランスとなり、根本が虚で枝葉末節が実となる。よく見かける症状は次のとおり。陰虚陽亢症(頭が痛くてくらくらし、耳鳴りがして目がかすみ、眠れなくてよく夢を見、腰とひざがぐったりし、顔は時に紅潮し、手足がマヒする)。肝腎陰虚症(頭がくらくらし目がかすみ、目がヒリヒリし、耳鳴りで聴覚障害を起こし、腰がだるくて足に力がなく、足が痛む)。陰陽両虚症(頭がぼんやりして目がかすみ、歩いても舟に乗っているようで、顔が白くて顔色がさえず、時には熱があり、動悸で息切れし、腰とひざがぐったりし、夜はしきりに小水があり、あるいは水腫がある)。高血圧にかかっている方が養生を行う際、陰陽のアンバランス、根本が虚で枝葉末節が実である病理に対して、陰陽を調節し、正気を助長することを法則とし、総合的な養生の方法をとり、例えば情と志の養生を行う。この病気は情と志の要素と密接な関係があるため、情と志が不順になり、喜びと怒りがあまりにも度が過ぎる場合、しばしば肝臓の木の疎通と排泄、腎臓の水の蓄積に影響を及ぼす。

 近代的医学の研究によると、外部のよくない刺激、長時間の精神的緊張、焦慮、焦るなどの気持ちの波動は、高血圧症の病状を招いて悪化させることがある。そのため、保養の際、情と志の面では、異常な情と志の反応を軽減し、なくすべきであり、心移りしやすくなるのを避け、のびのびした気持を保ち、柔和な動作の、動の中に静がある太極拳を優先的に選ぶ鍛練の方式とする。競技的性格の活動に参加することは避け、気持がひどく高ぶらないようにする。重荷を背負うような活動は避け、息を殺すことは避けること。これは血圧の上昇などを引き起こしやすい。飲食による養生の面では、時間と量を決め、暴飲暴食しないことである。肥満者に対して、甘いものを減らし、カロリーの摂取を制限し、果物や野菜を多く食べるべきである。高齢で高血圧にかかっている方に対しては特に塩分の少ない飲食をすすめるべきで、塩分の摂取を小さめにすると同時に、カリウムの摂取を増やすべきであり、例えば野菜、果物のようなものを多く召し上がるべきである。

陰虚陽亢症 野生のキクの花5〜10グラムを取って、水を入れて3〜5分間煮沸してお茶として飲む。

肝腎陰虚症 ローヤル・ゼリーを飲むように。

陰陽両虚症 クコ、クルミの実、黒ゴマそれぞれ20グラムを水で煎じて、毎日一回スープと一緒に飲む。

 ここではみなさんに高血圧症を予防、治療する料理をおすすめしたい(『高血圧の予防と治療』より)。

オンドリの炒め物

[使う材料] 若いオンドリ250グラム、キンサイ75グラム、走りのタケノコ10グラム、トウガラシ20グラム、赤身のスープ30グラム、ショウガ、ドウバンジャン、白砂糖、しょう油、酢、塩、カタクリ粉、化学調味料、植物油それぞれ適量

[作り方] トリ肉を小さな塊に切って、お湯でゆでてすくい取って必要に備える。キンサイをきざみ、走りのタケノコを拍子切りにし、トウガラシを細かくきざんで、ショウガをみじん切りにし、カタクリ粉を水でとき、その半分をとってしょう油、みりん、酢、塩を同じのお碗の中に入れてよく混ぜる。残りの半分を白砂糖、化学調味料、薄味のスープとくずあんを調合して必要に備える。

植物油をナベの中に入れて加熱し、まずトリの塊をトリ肉が白色になり、水分が煮詰まるまで炒めて、走りのタケノコ、ドウバンジャン、ショウガなどを入れて強火で熟するまで炒めて、きざんだキンサイを入れて炒め、よくかき混ぜたくずあんを入れ、熟するまで炒めながらかき混ぜ、ナベから取り出して出来上がりとなる。

[効能] 腹部を温かくし虚を補い、血圧を下げて神経を鎮める。高血圧、冠状動脈性硬化症、栄養失調、術後の回復期の患者に適している。

モウコシメジとハクサイの炒め物

[使う材料] ハクサイ250グラム、モウコシメジ3グラム、しょう油、白砂糖、精製塩、化学調味料、植物油適量

[作り方] ハクサイをきれいに洗って長さ3センチにきざみ、モウコシメジをお湯でもどす。油をナベの中に入れて熱するまで火を通し、ハクサイをナベの中に入れて熟するまで炒め、更にモウコシメジ、しょう油、白砂糖、塩をナベに入れて、十分炒めてから、化学調味料を入れてよく混ぜて出来上がりとなる。

[効果] 熱を下げていらいらを取り除き、胃、気を益し、脂血を下げる。高血圧、冠状動脈性硬化症、歯ぐきの出血などに適している。

トリスープと魚の巻きもの

[使う材料] 生きているコイ250グラム、ブタ肉の赤身30グラム、タマゴの白み、エンドウマメそれぞれ10グラム、ハム8グラム、走りのタケノコ、トリスープ、みりん、しょう油、塩、カタクリ粉、化学調味料それぞれ適量

[作り方] ハムを熟するまで蒸して千切りにし、走りのタケノコを千切りにし、ショウガ、肉の赤身を粉末状にきざんで、カタクリ粉を水でとき、魚の骨を取り除き、小さな長方形の刺身状にきざむ。ミンチにしょう油、タマゴの白みの半分、みりん、化学調味料、ショウガおよびカタクリ粉の半分をを入れてあん状にし、残りのタマゴの白みとカタクリ粉をノリ状にして、魚をまな板の上に平らにして置き、まずのりを一層まぶして、更にひき肉を入れて、魚の刺身を巻いて、更に少しのりをつけて魚の巻きものに貼り付ける。トリスープを強火の上に置いて煮沸し、とろ火で巻いた魚をナベの中に入れてさっと揚げ、浮かんだアクを取り去り、スープを冷まして、魚の巻きものが熟してから、きざんだハム、走りのタケノコとその他の調味料を汁の中に入れて、沸き立たせて出来上がりとなる。

[効果] 陰を滋養して燥を潤し、熱を下げて湿気を取り除く。高血圧、冠状動脈性硬化症、脳血管病、慢性腎臓炎、消化不良などに適している。

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