大暑は一年中で最も暑い節気である。、中国の多くの地域では、しばしばセ氏40度の高温の天気になり、この耐えがたい酷暑の季節では、暑気当たりに注意することを軽視してはならない。
夏季は気候が蒸し暑く、酷暑で雨が多く、暑くて湿気の気が虚に乗じて入り込みやすく、暑気が厳しく、心、気が損耗しやすく、特に高齢者、子供、体が弱い方々は往々にして、休養することができず、夏やせ、暑気あたりなどの病気になる。もしあなたが全身に明らかに力がなく、頭がぼうっとし、おどおどし、息苦しく、注意力が集中せず、汗が多く出て、手足の感覚がマヒし、ノドが渇き、吐き気などの症状が現れるならば、これは暑気あたりの前兆である。上述の症状が現れると、直ちに患者を風通しのよいところへ移して休ませ、患者に薄い塩分を含んださゆあるいは緑豆スープ、スイカの汁、ウメ入りのスープなどを飲ませるべきである。夏季に暑気あたりを予防するやり方は、仕事を合理的に配置し、労働と休息の結び付けに意を配り、厳しい日差しの下で長く日光に当たるようなことは避け、室内の通風に意を配り、睡眠を十分とり、飲食の衛生を重んじることである。条件が備わっている方は、夏季に入ってから、芳しくて濁を取り去り、湿気と蒸し暑さをなくすもの、例えば新鮮なかっ香の葉、フジバカマの葉それぞれ10グラム、飛滑石、炒めた麦芽それぞれ30グラム、甘草3グラムを水で煎じてお茶としてよく飲むべきである。真夏の暑い時には仁丹、十滴水などを服用する。
大暑は一年中で温度が最高の節気であり、陽の気が最も盛んな季節であり、養生保健の中で「冬にかかった病気は夏に治す」という言い方があり、それゆえに冬季に発作が起こった慢性病、例えば慢性気管支炎、肺気腫、気管支ぜんそく、下痢、リューマチなどの陽の虚弱症にとって、最もよい治療のタイミングである。上述の慢性病にかかっている方々は、夏季の養生の中で特に気をつけて養生し、重点的に予防と治療をすべきである。
暑い天気に、飲食の栄養の作用を生かして養生して寿を益することは、疾病を減らし、老化を予防する効能のあるやり方である。夏季の飲食による養生は暑い天気の気候の特徴を基礎とするものであり、夏の気候はひどく暑いため、唾液の分泌を傷つけ、気を消耗しやすいため、常に薬の入ったかゆを選んで体を補うことがである。薬入りのかゆは高齢者、子供、脾臓、胃の機能が弱い方々に適している。そのため、古人は「世の中でもっとも人を補うものはおかゆであり」、「日に2合の米を食べるならば、薬用ニンジンと黄槊の大きなパックに勝る」と語った。このことからもかゆによる養生の人に対する重要性を見てとることができる。薬入りのかゆは人体によいが、幅広く運用することはできず、1人1人の異なった体位、病気に基づいて、適切な薬材を選び、かゆの処方を調合することによって満足のいく効能に達することができるのである。
夏季の養生については、水も体の非常に重要な、欠くことのできない健康を保ち寿を益するものである。民間に「人は水からなるものである」という言い方がある。この言い方は道理がないわけではない。水は人体の重さの約70%前後を占めており、伝統的な養生のやり方は冷めたさゆを飲むことを非常に尊重している。民間の経験では、毎日の明け方に新鮮な冷めたさゆを1杯飲むならば、数年以後、非常に不思議な寿を益する効能が現れることになる、といわれている。日本の医学者はかつて460人の65歳以上の高齢者に対して調査を行い、5年内に毎日の明け方に冷めたさゆを1杯飲むことを堅持する人の中で、82%の高齢者はその顔色は赤くてつやつやし、元気いっぱいで、歯がガタガタせず、毎日10キロ歩くことができ、これらの人はこれまで大した病気にかかったことがなく、これを見ても分かるように、人体に対する水の重要性は非常に確かなものである。
水を除いて、酒、スープ、果汁なども飲み物と称することができる。合理的に選ぶならば人体に良い、体を丈夫にする役割を果たすことになる。
盛夏に陽の熱が下がり、湿気があふれ、ゆえにこの季節に、湿気に侵害される方が多くなる。飲食療法としての薬膳は熱を下げて暑気を払うものであるべきだ。
次は大暑節気に適したいくつかの料理をおすすめしたい。
ナスのあえ物
[使う材料] 新鮮なナス500グラム、中国パセリ15グラム、ニンニク、お酢、白砂糖、ゴマ油、しょう油、化学調味料、精製塩、サンショウそれぞれ適量
[作り方] ナスをきれいに洗って皮を取り除き、小さな塊に切り、碗の中に入れ、少量の塩をかけ、さらに水の中に入れ、ナスの褐色を取り去り、すくい取って蒸しナベに入れて熟するまで蒸し、取り出して冷ます。ニンニクをすりつぶし、ナベが熱するまで火を通し、ゴマ油、サンショウを入れて香りが出るまで揚げてから、油といっしょに小さな碗の中に入れ、しょう油、白砂糖、お酢、精製塩、化学調味料、ニンニクのみじん切りを入れて汁にし、ナスの切れの上にかける。中国パセリをきれいに洗って、きざみ、ナスの切れの上にかけて出来上がりとなる。
[効能] 熱を下げ、筋肉をすっきりさせ、腫れをなくし、利尿の作用があり、胃と脾臓を丈夫にする。
注 ササゲの中には血球凝結素Aが含まれており、中毒性の卵アルブミンであるが、加熱すれば毒性を大いに弱めることになる。そのため、ササゲを熟するまでゆでて、中毒を防ぐのである。
豆腐などの盛り合わせ
[使う材料] 豆腐1丁、新鮮なササゲ50グラム、トマト50グラム、キクラゲ15グラム、ゴマ油、植物油、精製塩、化学調味料、ネギのみじん切りそれぞれ適量
[作り方] 豆腐、ササゲ、トマト、キクラゲをさいの目に切る。ナベの中に水を入れて煮沸させ、それぞれ豆腐、ササゲ、トマト、キクラゲを熟するまでゆでて(トマトは少し熱くしてよい)、すくい取って水分を乾かし、お皿に盛り付けて必要に備える。土ナベを熱するまで火を通し、植物油、サンショウを入れて、香りが出ると、さらにネギのみじん切り、塩、トマト、化学調味料をナベの中に入れて、よく混ぜ、ゆでた豆腐、ササゲ、キクラゲの上にかけ、ゴマ油をたらしてよく混ぜればよい。
[効能] 唾液の分泌を促し、渇きをいやし、脾臓を丈夫にして暑気を払い、解毒して湿気を治す。
リョクトウとカボチャのスープ
[使う材料] リョクトウ50グラム、成熟したカボチャ500グラム、塩ちょっぴり
[作り方] リョクトウをきれいに洗って、水分が乾かしないうちに塩(3グラムぐらい)をちょっぴり入れてよく混ぜて、数分間塩漬けにしてから、水できれいに洗い流す。カボチャの皮を取り除いて、中身をきれいに洗って、2センチの四角形の塊にきざんで必要に備える。ナベの中に水500ミリリットルを入れて、煮沸させてから、まずリョクトウを入れて2分間煮沸し、少量の水をたらし、さらに煮沸して、カボチャをナベに入れ、フタをして、とろ火で30分間ほど煮沸して、リョクトウをよく熟するまで煮て、少量の塩を入れて味をととのえればよい。
[効能] リョクトウは甘、涼で、暑気払い、解毒、利尿の作用がある。カボチャを入れれば唾液の分泌を促し、気を益する。夏季の暑さを防ぐ最もよい料理である。
ニガウリとキクの花のおかゆ
[使う材料] ニガウリ100グラム、キクの花50グラム、うるち米60グラム、氷砂糖100グラム
[作り方] ニガウリをきれいに洗って中身を取り除いて、小さな塊にきざんで必要に備える。うるち米をきれいに洗って、キクの花をきれいに洗い、この二つのものを同時にナベの中に入れて、適量の水を入れ、強火の上に置いて煮て、煮沸させてから、ナベの中にニガウリ、氷砂糖を入れて、とろ火でよく熟するまで煮ればよい。
[効能] 真夏の暑さを払いのけ、下痢を止めて解毒する。暑気あたり、気持ちのいらいら、ノドが渇き、赤痢などの病状に適している。
注 このかゆを食べる時、すべての温かいもの、乾燥したもの、ぴりぴりしたもの、辛いもの、濃いもの、脂っこいものを食べるのは避けるべきである。
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