寒露の養生
寒露は二十四節気の中の17番目であり、毎年の10月8日か9日に季節が移り変わる。史書の記載によると、「斗が寒甲を指すと、寒露になり、この日は露が寒くて冷たく、凝結したようになり、ゆえに寒露と言われる」。「露は気が寒くて、凝結する」。寒露の到来のため、気候は熱から寒に変わり、万物は寒気の増大につれて、次第にもの寂しさを感じるようになり、これは熱と寒の移り変わりの季節である。自然界の中では、陰陽の気の転換が始まり、陽の気が次第に退き、陰の気が次第に生じ、わたしたちの体の生理の活動も体内の生理(陰陽)のバランスを確保するため、自然界の変化に適応しなければならない。

 中国の伝統医学は四季の養生の中で、「春、夏は陽を養い、秋、冬は陰を養う」ことを強調している。そのため、秋においては体内の陽の気を保養することに留意しなければならない。気候が寒くなると、まさに人体の陽気が収斂し、陰の精が体内に潜む時であり、ゆえに陰の精を保養することを主とすべきであり、つまり秋の養生は「保養」という原則を離れてはならない。

 昔から秋は金秋といわれ、肺は五行の中で金に属し、ゆえに肺の気は金秋の気と呼応し、「金秋の時に、乾燥の気が盛んになり」、この時になると、乾燥、風邪の気が人体を侵しやすく、肺の陰の精を傷つけることになり、もし養生が適切でなければ、ノドが渇き、鼻がからからに乾き、皮膚が乾燥するなど一連の秋の乾燥の症状が現われる。そのため、晩秋の飲食による養生は陰を滋養し燥(肺)を潤すべきである。古人は「秋の燥は、ゴマなどを食べて燥を潤すべきである」と言った。この時には、ゴマ、もち米、うるち米、ハチミツ、乳製品など柔らかい食物を多く食べるべきで、同時にニワトリ、アヒル、牛肉、ブタのレバー、魚、エビ、ナツメ、ヤマイモなどを増やして体位を向上させる。辛いもの、例えばトウガラシ、ショウガ、ネギ、ニンニクなどは少なめにし、辛いものを食べ過ぎるならば人体の陰の精を傷つけやすいからである。

 精神的な養生も軽視してはならず、気候がだんだん寒くなり、日照が短くなり、風が吹いて落葉するため、人びとは往々にして心の中で物寂しさを感じ、情緒の不安定や感傷的になりやすい憂鬱な気持ちになる。そのため、よい心理状態を保ち、状況に応じていい方向へと導き、心配する気持ちを発散させ、楽観的で明るい気持ちをはぐくむことは養生と保健に欠かせない内容の1つである。

 これを除いて、秋のさわやかな時に、人々の日常生活もそれ相応に調整すべきである。わたしは長年の臨床診療の中で、気候が寒くなると、脳血栓にかかっている患者が増えることに気づいており、分析の結果、これは天気が寒くなり、人々の睡眠時間が増えることと関係があり、睡眠の際には、血のめぐりが遅くなり、血栓が形成されやすいからである。『素問四気調神大論』は「秋の3カ月に、早寝早起きし、ニワトリと共に始める」と明言している。早寝は陰の精の収蔵に順応し、早起きは陽の気ののんびりしたところに順応し、血栓の形成を免れるためであり、私は皆さんが節気に順応して、時間を区切って養生に努め、健康を確保するようおすすめしたい。

 ここで皆さんに秋の薬膳のかゆをおすすめする。名称は百ナツメ、ハスの実とぎんなんのかゆである。

使う材料 ユリ30グラム、ナツメ20個、ハスの実20グラム、ぎんなん15粒、うるち米100グラム、氷砂糖を適量

 作り方 ハスの実を先にしばらく煮て、さらにユリ、ナツメ、ぎんなん、うるち米を入れて煮沸してから、とろ火でかゆが濃くなるまで煮て氷砂糖を入れて少し煮込んで出来上がりとなる。効能 陰を養って肺を潤し、脾臓を丈夫にして胃を和する。

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