霜降は二十四節気の1つであり、毎年の西暦10月23日あるいは24日に太陽が黄経210度に来る時から始まる。この日になると天気がだんだん寒くなり、霜が降り始める。『月令七十二候集解』には「9月中旬になると、空気が冷えて固まり、露が霜になる」という記載がある。霜降の頃になると、中国の南部地域は秋の取り入れと作付の農繁期に入り、黄河流域は普通最初の霜が多く降りる。民間には「霜降になって霜が見られなければ、翌年は凶作であるという兆しである」といういわれがある。少数民族が住む雲南省には「霜降になって霜がないならば、唐臼の糠がなくなる」といういわれがある。その中からわれわれは、人々が長期にわたる労働の実践の中で生活に対する気候の影響を総括し、また、人々が異なる季節においてどのように自分の体を自然界の変化に適応させ、それによって人と自然界の間に動態的なバランスを維持したかを容易に見て取ることができる。
このような動態的なバランスは漢方医学の養生学の角度から見ると、ほかでもなく次の2点がある。一、体そのものの各部分の間の正常な生理的機能のバランスを指す。二、体の機能と自然界の物質の交換の過程の相対的なバランスを指す。バランスの調和は漢方医学の養生学の重要な理論の1つである。中国の古代の五行学は、この世界のすべての物質が木、火、土、金、水という5種類の基本的物質の運動・変化によって形成されると見ている。この5種類の物質の間に相生相克の「相互制約」の関係が存在し、それによって自然界の生態的バランスと人体の生理的バランスが維持されているのである。
霜降は晩秋の季節であり、五行の中で金に属し、5時(春、夏、長い夏、秋、冬)の中では秋にあたり、人体の五臓(肝臓、心、脾臓、肺、腎臓)の中では肺に属し、漢方医学の養生学の観点によると、四季五補(春には上昇へと補うべきで、夏には清く補うべきで、長い夏には薄く補うべきで、秋には平らに補うべきで、冬には暖かく補うべきである)という相互関係において、平らに補うことを原則とし、飲食による養生の中で食物の味、性、その作用によって区別すべきである。
秋はセキがよく出る季節であり、慢性気管支炎が再発しやすいかひどくなる時でもある。
ここで皆さんに次の数種類の秋に適した果物、ドライ・フルーツ、野菜と献立をおすすめしたい。
ナシ
[性、味の作用] 性が涼で、味が甘で小酸で、肺、胃に作用がある。
[効能] 唾液の分泌を促し、燥を潤し、熱を下げ、痰をなくす。
もし仕事の中でノドが渇いた場合にナシを食べるならば、さわやかさを覚え、酒の後でナシを食べるならば甘くて、美味しいと言え、意は玉のどろりとした液体の新鮮で美しい中にあり、酔いはすべて消え去る。
リンゴ
[性、味の作用] 性が涼で、味は甘。
[効能] 唾液の分泌を促し、肺を潤し、消化を促し、渇きをいやす。
リンゴの効能は早くも唐代の『千金食治』に記載がある。西洋の人たちにはかつて「一日にリンゴ1個を食べれば、医者はわたしから遠ざかる」という言い方があり、中国のリンゴの産地にも「食後にリンゴ1個を食べれば、お年寄りは若者にも勝る」ということわざがある。
カンラン
[性、味の作用] 性が平で、味が酸で甘い。
[効能] 肺を清くし、ノドに益し、ノドが渇きをいやし、解毒する。
『本草求真』は「カンランは肺、胃によい果物であり、効能は唾液の分泌を促して渇きをいやし、酒の後でかむのが最もよい。もし人がフグのきもと卵を食べるならば、苦しんで死に至ることになりうるが、カンランを煮た汁を飲めばすぐに解毒できる。
ギンナン
[性、味の作用] 性が平で。味が甘で渋くて苦い。肺、腎臓に作用がある。
[効能] 肺の気を集め、ぜんそくを治し、小水を減らし、こしけの混濁を止める。
イチョウの葉の形はアヒルの水かきに似ているため、アヒルの足の称がある。宋代の文学者である欧陽修はかつて「アヒルの足は江南に生え、名実相浮かぶ。貢ぎ物を捧げるために袋を下げて、イチョウは河南で高い」という言葉がある。イチョウの木は公孫樹とも言われ、これはこの木の生長が緩慢であるため、「お爺さんが植樹して孫が食べる」ためである。
タマネギ
[性、味の作用] 性が暖で、味は辛。肺に効く。
[効能] 熱を下げて痰を取り除く。脂肪を減らして糖分を抑える。
タマネギは利尿剤と痰をとる薬として民間に広く伝わり、洋食では欠かせない野菜でもある。
近年の医学研究の発見によると、タマネギには血糖を下げる物質――塩化ブチル尿素が含まれており、日頃よく食べるならば糖尿病患者に非常によい。
カラシナ(セリホン)
[性、味の作用] 性が暖で、味は辛。肺、大腸に効く。
[効能] 肺を丈夫にし痰を取り去り、胃を温かくしかぜを治す。
急性気管支炎、かぜを引いて痰が多くなり、せきをして白い痰を吐き、胸膜がしっくりしない方はそれを食べるとよい。
ギンナンとダイコンのかゆ
使う材料 ギンナン6粒、白いダイコン100グラム、もち米100グラム、白砂糖50グラム
作り方 ダイコンをきれいに洗って千切りにし、お湯を入れて熟するまでさっとゆでて必要に備える。まずギンナンをきれいに洗ってもち米と同時に煮て、もち米が熟しすぎるようになると白砂糖を入れてとろ火で10分間煮て、ダイコンの千切りを入れてよく混ぜ、ナベから取り出して召し上がればよい。
[効能] 腎臓を丈夫にし肺を補い、せきを止めて息切れを鎮める。
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