小雪は字面だけから見ると、雪が降り始める時間と程度を表すものである。雪は寒い天気によるものである。民間には10月に立冬になると、小雪が多くなり、斗が己を指すと、この時は空の曇りが重なり、寒さはきびしくはないため雪も多くは降らず、それがゆえに、小雪といわれている。この時、黄河以北地域ではすでに北風が吹き、雪が降る旧暦10月となり、この時になると、中国の北部地域には初雪が降ることになり、雪はわずかではあるが、寒さを防ぎ、暖かさを保つ季節になったことをわれわれに注意してくれるわけである。小雪の節気の前後では、天気はよく曇り寒くてどんよりとしており、この時人々の気持ちもその影響を受けることになり、特にうつ病にかかっている方々はさらに病状が重くなりやすく、そのため、この節気においてうつ病にかかっている方々にどのようにすれば日照の少ない日々にみずからの養生に意を配るかを重点的に紹介したい。
漢方医学の病因学の観点から言えば、「いろいろな災いがあっても、3条を越えない」のであり、つまり病気が発生する原因は次の3種である以外になく、つまり内因(7つの情が激して傷つく)、外因(6つの放縦で傷つく)、非内・外因(家屋、金属、刃物類、転倒による負傷、中毒)である。うつ病の発生はほとんど内因つまり7つの情が過激であるためであり、7つの情とは喜ぶ、怒る、憂える、思い慕う、悲しむ、恐れる、驚くという7つの情と志の変化を含むものである。人々の日常生活の中では7つの情の変化がよく現れ、このような変化は客観的な外部の物事の異なる反映であり、正常な気持ちの動きであり、人体の正常な生理的現象でもあり、一般には決して病気になることはない。突然で、強烈で、長期にわたり長い間続く情と志の刺激の下におかれてはじめて、人体の正常な生理にひびくことになり、臓腑、血気の機能の障害が起こり、病気が発生することになり、まさに 「怒しては肝臓を傷つけ、喜んでは心を傷つけ、思い慕っては脾臓を傷つけ、憂えては肺を傷つけ、恐れては腎臓を傷つける」ということがそれである。人間の精神状態は人間の精神的な、心理的な活動を反映するものであり、それを体現し、精神的な、心理的な活動が健康かどうかは精神的疾患の発生と発展に直接影響を及ぼし、精神的疾患を起こすカギとなると言ってもよい。そのため、漢方医学では精神の活動とうつ病の関係は非常に密接だと見ており、うつ病の病因を7つの情の致すところとして帰結しているのは道理がないわけではなく、精神を調節して養生すればうつ病にかかっている方々にとって特に重要であるように見える。
『素問・上古天真論』は、「虚、邪気、風邪は、時にはそれを避けることもできる。虚無に恬淡とし、真気がそれに従い、精神で内を守るならば、病いはどこから来るのか」と述べており、また『素問・生気通天論』は、「心が静かであれば肌が閉じて拒み、大風と苛酷な毒があっても、それをふり払っても害をもたらしうるというのか」と述べている。先人は内外の2つの面から、対外的には自然界の変化に順応して邪気の侵入を避けるべきであり、対内的には謹んで虚を守り、気持ちは静かであるようにと述べている。つまり煩わしいことは考えず、楽しくて気持ちがよく、精気、精神に内を守らせて離散せず、人体の姿と精神が合一する生理状態を保ち、これは「心が静かである者は長寿で、せっかちな者は若死にする」最もよい説明でもある。
そのほか、現代医学の研究によると、季節の変化はうつ病の患者に直接の影響を及ぼす。うつ病と関係のある神経伝送質の中で、脳内の5-ヒドロキシル色アミン系統は季節の変化と密接に関連するからである。春、夏の季節に、5-ヒドロキシル色アミン系統の機能が最も強く、秋、冬の季節は最も弱く、日照時間が減るにあたり、うつ病の患者の脳内5-ヒドロキシル色アミンの不足を引き起こし、つづいて不眠、心の焦り、悲観、厭世など一連の症状が現れる。
中国医学と西洋医学の観点を一括して見ると、うつ病にかかっている方々にもたらされるマイナスな要因を免れるため、わたしは皆さんが受身を主動に変え、「凡そ人の一生は、必ずその楽しさをもって、憂いがあれば紀を失い、怒れば端を失い、憂える、悲しむ、喜ぶ、怒るということは、道はよりどころとするものがなくない」という古人の管子の「愉悦調神法」を使ってもよいとアドバイスしたい。みずからの心理状態を調節し、楽観さを保ち、喜びや怒りを抑え、常に屋外の活動に参加して体位を向上させ、ひなたぼっこを多くして脳内5-ヒドロキシル色アミンの安定を維持し、音楽を多く聞いてあのすばらしいメロディーにあなたのために生活の中の楽しみを加えさせるのである。清代の医学者呉尚は、「7つの情の病気は、花見して気を晴らし、曲を聞いて憂いをなくし、これは薬を飲むことに勝るものである」と述べている。それ以外の飲食による養生も軽視してはならず、医学の大家孫思邈は『千金要方・食治篇』の中で、「食は風邪を治して臓腑を安定させ、精神を愉快にし、志を爽やかにし、それによって血気を助ける」と述べている。
多くの食品の中で、この季節に最も適したものは次の通り。
果物 バナナ(バナナには脳によく、5-ヒドロキシル色アミンをつくる物質が含まれている)を優先的に選ぶ。
飲み物 クログワイと豆乳の飲料(5つのクログワイを汁にし、250グラムの豆乳の中に入れて熟するまで煮て、適量の白砂糖を加える)
料理 キンサイとマツタケの炒め物(キンサイ400グラムを炒めて、水で煮てもどしたマツタケ50グラム、この二つのものに調味料を加えて一緒に炒める)
バラとヒツジの心臓の炒め物
[材料] ヒツジの心臓1個、サフラン6グラム、新鮮なバラの花50グラム、無糖バラ味噌15グラム、塩を適量。
[調理法] ヒツジの心臓を細切りにして必要に備える。新鮮なバラの花をすりつぶして汁を取り、小さな土ナベに入れ、適量の水、サフランを入れて同時に煮て、煮沸してから、とろ火で15分間煮て濃縮させて汁を取って必要に備える。ヒツジの心臓を串刺にしてバラ、サフランの汁をつけて、火でヒツジの心臓がよく熟するまで繰り返しあぶって、召し上がればよい。
[効能] これは心血の不足、驚いてどきどきする不安感、気持がふさぐ者に対して心臓を補って憂鬱を取り除く効き目がある。
注 この料理は妊婦が補するために召し上がってもよい。
ゴマとウサギの煮物
ウサギをきれいに洗って5分間煮沸してすくい取り、黒いゴマを炒めて香が出ればそれで必要に備え、ナベの中に水を入れて沸き立ってから、ショウガ、ネギ、サンショウ、塩を入れて、さらにウサギを入れて熟するまで煮てすくい取り、汁は使わず、ナベの中に再びあんかけの汁を入れて沸かし、ウサギのあんかけを入れて熟してからすくい取って角切りにしてお皿に盛り付け、化学調味料、ゴマ油を入れ、黒いゴマをかけてから召し上がればよい。
上記の料理はうつ病にかかっている方々に適するだけでなく、病み上がりの体の衰弱、陰虚による便秘、肺が熱くてせきをするものにも適用。
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