大雪の養生
「月令七十二候集解」には「11月の季節になると、大なる者が盛んになり、これにて雪が盛んになる」(ここでいう11月は旧暦のこと)とある。これは昔の人たちの大雪に対する説明であった。大雪の節気は常に12月7日前後にやって来る。この時になると中国の黄河流域一帯はだんだん積雪がみられるようになり、北部は至る所で雪が降る人びとを魅了する景観を呈することになる。「大雪、冬至になると雪が降り、副業をりっぱにやるには堆肥をたくさんつくるべきである」という農家に伝わる諺がある。人びとは大雪の節気に「瑞雪は豊年の吉兆となる」というような幸先よい前兆を見て取ることを待ち望み、大雪の節気の到来は、翌年が吉祥の年であるかどうかをあらかじめ示すことである。

 漢方医学の養生学の角度から見ると、大雪になると、すでに「栄養補給」に最も適した季節になったことでもある。栄養補給については、かなりの人たちは狭義の理解の仕方をし、いわゆる「補給」ということは栄養価の高い食物を食べ、強精のための栄養剤を使うことと思っている。実のところ、これは栄養補給の1側面でしかなく、栄養補給は養生学の内容の一つなのである。養生については、われわれはまず養とは何か、生とは何かを知っておくべきである。いわゆる養は、つまり養生、保養、育成、補給などのことであり、いわゆる生は、生命、生存、成長の意味である。具体的に言えば精神を養い、飲食を加減し、体を鍛え、房事を慎み、気候の暑さと寒さに合ったものなどの総合的な養生を通して体を丈夫にし、寿命を延ばす目的を達成することである。運用の中で、われわれは次の2点に注意すべきである。

 1、養うことは適度でなければならない。いわゆる適とは、ちょうどよいということである。あまりに過ぎてはならず、間に合わなくてもいけない、ということである。もし過度に慎重であるならば、養生の度を見失うことになり、どうしたらよいか分からなくなる可能性がある。少し働いただけで元気を消耗し尽くし神経が疲れ、少し寒暖の変化があれば家に閉じこもって外出せず、食べる時は脂肪の多いもの、甘いもの、濃いもの、脂っこいものを恐れて節食することになり、そうなると、過度の養生のために制約を受け、健康を損なうだけでなく、さらに「天寿を全うする」ことさえできなくなる。

 2、養うには片寄るなかれ。総合的養生は適度であるべきである。ある人は「補給」を養うことと見なし、そのため飲食においては栄養を強調し、食べるにはかならず栄養を補給しなければならない。日常生活においては安逸を強調し、静養することを唯一のものとすることである。そのほか、また滋養の薬物を補とすることになる。食による補給、薬物による補給、静養はいずれも養生の範疇の中にあるものだが、食べすぎるならばかえって健康に影響を及ぼすことになろう。まさに一部の人は食による補給が多すぎたため栄養過剰となり、過度に静養して楽をするだけで働かないならば動静のバランスを失うことになりかねず、もし薬物による補給が多すぎるなら陰陽の過度の盛衰を引き起こす可能性があり、体の新陳代謝のバランスを崩して願い通りに事が運ばなくなる。

 したがって、養生の際には動と静を結び付け、労働と休息とを結び付け、補と泄を結び付け、外見と精神をともに養う調理法をとり、「……長生きする」ことに努めるべきである。

 大雪の節気はとどのつまりなにを補給すべきか。これは多くの人たちにとって関心のあることだと思う。ここで皆さんにすすめたい滋養料理として次のようなものがあります。

クコとブタ肉の細切りの炒め物

[材料] クコ20グラム、赤身のブタ肉100グラム、カキチシャ20グラム、油、塩、白砂糖、化学調味料、紹興酒、ゴマ油、乾燥カタクリ粉、しょう油を適量

[調理法] クコをきれいに洗って必要に備える。赤身のブタ肉を細切りにし、カキチシャをきれいに洗って千切りにし、少量のカタクリ粉を入れてよく混ぜる。ナベが熱くなってから、さらに適量の油を入れて、ブタ肉の細切り、カキチシャの千切りを同時にナベの中に入れてひっくり返すように炒め、紹興酒を入れて煮て、白砂糖、しょう油、塩、化学調味料を入れてよく混ぜ、クコを入れて熟するまで炒め、ゴマ油をかけてナベから取り出せばよい。

[効き目] 陰を養い血を補し、肝臓と腎臓を丈夫にする。

これは薬物と食ベ物の両方の役割であり、陰と血を養い、目をよくし健康を保つための薬膳の処方である。体が虚であり、力がなく、貧血、ノイローゼ、性的機能の低下、糖尿病患者にいずれも体を丈夫にし寿命を延ばす効き目がある。

ハムとナマコの煮物 (『随息居飲食譜』より)

[材料] 水で煮てもどしたナマコ200グラム、ハム50グラム、植物油、醸造酒、といたカタクリ粉、白砂糖、ショウガ、ネギ、しょう油、塩それぞれ適量

[調理法] ナマコをきれいに洗って拍子切りにし、お湯の中に入れてさっとゆでてからすくい取って必要に備える。ハムを細切りにして必要に備える。ナベが熱くなって油を入れてから、ネギ、ショウガを入れて炒め、さらにナマコ、ハムを入れて熟すまで炒め、醸造酒、しょう油、白砂糖、水を入れてとろ火でスープが濃くなるまで煮て、といたカタクリ粉をあんかけにしてから出来上がりとなる。

[効果] 血を補し、精を益し、血を養って髄を充実させる。精と血の虚、産後の衰え、インポテンツ・夢精、びくびくして働く意欲がなく、長患による衰弱、年を取ってやせた体の弱い方に最も適している。

ニンニクをすりつぶしたものとシュンギクのあえ物

[材料] ニンニク3片、シュンギク250グラム、化学調味料、塩、ゴマ油を適量

[調理法] シュンギクをきれいに洗って、長さ3.3センチにきざみ、ニンニクをすりつぶして必要に備え、ナベの中に水を入れて沸くまで煮て、シュンギクをお湯のナベの中に入れて3分間さっとゆでてからすくい取り、ニンニクをすりつぶしたもの、化学調味料、塩、ゴマ油を同時に入れて、よく混ぜてお皿に盛り付ければよい。

[効果] 食欲を増進して脾臓を丈夫にし、血圧を下げて脳に栄養を提供する。

説明 シュンギクと肉、タマゴなどを一緒に炒めれば、これらに含まれるビタミンAの利用率を高めることができる。

ニンニクは「配糖体」の成分を含み、動脈硬化を防ぎ、血圧を下げ、血栓形成の確率を減らすことができる。ニンニクは生のままで食べるほうがよく、ニンニクの中の有効成分が温の作用を失うからである。ニンニクを食べてから、胃の中の匂いを取り除くには、濃いお茶で口をすすぐかナツメを数個食べると、すぐよくなる。

キクラゲ、トウガンと乾燥むきエビのスープ

[材料] トウガン150グラム、水で煮てもどしたキクラゲ150グラム、乾燥むきエビ15グラム、タマゴ1個、塩、といたカタクリ粉、化学調味料、ゴマ油を適量

[調理法] トウガンの皮を剥いてきれいに洗って薄切りにする。キクラゲ、乾燥むきエビをきれいに洗って必要に備える。タマゴをよく混ぜてオムレツの皮のようにして幅の広い形にきざんで必要に備える。

ナベの中に新鮮なスープを入れて火を通してから、乾燥むきエビ、キクラゲを入れて5分間煮沸し、さらにトウガンを入れ、ナベが煮え立ってから塩、カタクリ粉をかけ、ナベから取り出す前にオムレツの皮を入れ、ゴマ油をたらして出来上がりとなる。

[効き目] 唾液の分泌を促して気分がすっきりし、胃の熱を去り腸の毒を取り除き、栄養を補給して体を丈夫にする。

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