冬至の養生
冬至はきわめて大切な節気であり、重要な祝日の一つでもある。冬至は毎年12月22日あるいは23日であり、その由来は暦法と直接関係がある。昔は「斗が戊を指すと、この時には陰気が明らかに衰え始め、陽気の至りで、日は南に行き、北半球は昼が最も短く、夜が最も長くなる」。「日が短い」、「日が短くなる」という言い方がある。これは陰陽学の観点から冬至の到来が陰気が盛りのピークに達してから衰え、陽気が芽生え始める時を詳しく述べたものであり、天文学の角度から昼夜の長さの変化の根拠を説明し、「冬至という日の昼間は1年中で最も短い日であり、太陽はほとんど南回帰線の上から直接照射している。冬至を過ぎてから、太陽の直接照射が北へと移るに従って、昼間の時間が次第に長くなる。諺によると、冬至のご飯を食べてからは、昼間が日に日に長くなる。早くも漢代の頃から冬至を欽定の祝日とし、文武百官はいずれも1日休みをとることができた。わが国の台湾省に「冬至が過ぎてからお正月を迎える」という言い方があり、この日を正月を迎えるように大切なものと見なしている。「冬至の祝い」となると、どの家もだんごをしらえて、冬至のだんごは赤、白の2種類に分け、年長者の話になると、金丸(赤いだんご)、銀丸(白いだんご)を食べなければ、年がひとつ増えない、ということである。冬至はどれほど重視されているかは、これをみても分かるだろう。

 わが国のほとんどの地域は冬至から「九を数える」という習慣があり、九日間ごとに小節で、合わせて九つの九である八十一日間に分けられている。民間においては次のような歌謡に広く伝わっている。一九、二九になると手が伸ばさず、三九、四九になると氷の上を歩くことになり、五九、六九になると川沿いに立ってヤナギを見、七九になると川の氷が解け、八九になるとツバメが飛来し、九つの九にさらに一つの九が加わると耕作用の牛の姿があちこちで目につく。これは生き生きとして、ありのままに、異なった時期の季節の変化を反映したものであり、わが国の働く人びとの知恵を表わすものであった。三九は最も寒く、地面に蓄積された熱が最も少くない日であり、そのため、「寒い日は三九」という言い方もある。わが国の長江流域は気候が寒いが、ロウバイだけが咲きほこって人びとを魅了する景観がある。

 これほどの重要な節気において、わたしは養生の重点を中・高年の方々の側に置きたい。特に中年の人たちは、前人の事業を受け継ぎ未来を切り開く世代として、社会、家庭で重い責任を担っており、それに新しい世紀の速いテンポと現実の生活の中の多くの矛盾が加わり、人びとはいつも緊張して多忙な状態の中に置かれており、そのまま暮らして、保養に意を配らないならば、心身の健康に影響を及ぼすことになりかねない。『霊枢・天年』は、「人生は30歳になると、五臓が大いに安定し、筋肉が固まり、血、脈が旺盛で、ゆえによく歩き回る。40歳になると、五臓、六腑、十二経脈はいずれも盛りがおさまり、皮下と筋肉が柔らかくなり始め、ピークを乗り越え、髪に白髪が混じり、盛りは落ちついてくるが、ぐらつくことなく、ゆえによく坐ることになる。50歳になると、肝臓の気が衰え始め、肝臓の葉が薄くなり始め、胆汁が減り始め、視力が衰え始める」とある。言葉数はきわめて少ないが、中年の人たちの生理、心理の特徴を要約したもので、人が中年になると生命の過程の転換点に置かれると指摘し、生命の活動は旺盛から衰退へと変わり始める。これほど恐ろしくはないが、『景岳全書・中興論』は、「人は中年前後になると、体の保養に大いに意を配り、更に基礎を固めて奮い立ち、残りの半生において強い体をつくる」と書いている。本の中でわれわれに、もし人が中年になって養生の道理を科学的に運用し、適切に保養することができれば、盛んな精力を確保して早期に老化するのを防ぎ、寿命を延ばす目的を達成することができるのであると忠告している。

中年における養生のポイント

一、精神的に静かに落ち着き、あまり考え事をしないこと(つまり壮健であって時と競わず、元気を保ち、考え事を消し去る)は中年の人びとに次のことを求めている。

 1、精神的に晴れやかで楽観的で、些細な事に気を使わず、名利をむさぼり、個人の利害損得ばかりにこだわってはならない。

 2、頭を合理的に使うことに意を配り、意識的に智能を発達させ、望ましい性格をつくることに努め、精神的な支柱となる生きがいを探す。

 3、他人の長所をたたえることを学び取り、仕事や勉強以外に音楽をよく聞き、それは限りのない楽しみをもたらすことができる。

 4、容貌、姿に意を配り、異なった場所にふさわしい身なりをし、心理的に若返り、それによって精神を奮い立たせ、生活に楽しみを添える。

二、働き過ぎないこと(『備急千金要方・道林養性』つまり「性を養う道は、適当な欲をもち、ちょっと働き、疲れすぎるようなムリをしないようにする」)

 1、長期にわたって「超負荷で動きまわる」ことはやめ、働きすぎ、過労のため病気になることを防ぐ。

 2、自分の状況に基づいて、生活のリズムを調整し、新しい生活の秩序を確立する。

 3、さまざまな機会を利用して適切な運動を行い、「冬にちょっと体を動かすならば、病気にかかることが一回少なくなり、冬に怠けるならば、薬を1碗多く飲むことになるという諺がある。冬季に体を鍛えることの大切さを物語っていることである。

三、欲を節し精を保つ(『養性延命録』:「壮健で声色に節度がある者は、健康で長寿である」)

 1、欲にふけってはならない。自分の実情に基づいて房事を節制し、房事に節度がないため、疲れてだるくて内傷となり、腎臓の気を傷つけてはならない。腎臓は先天の本であり、腎臓の精が十分であれば、五臓六腑が盛んになり、病気への抵抗力が強くなり、体がたくましくなり、長寿が可能となる。それとは逆に、腎臓の精が不足し、五臓が虚弱になり、病気がちになって夭折する。『泰定養生主論』は、「30歳になると、8日に一回でよい。40歳になると、16日に一回でよく、体が弱ければ、更に用心すること。50歳になると、20日に一回でよい。……終始これを保てる者は、病気にかかることなく寿命が延び、老いてますます盛んとなる」と書いている。これは性生活を厳格かつ法則にのっとって節制することは、健康と長寿に欠かせない保証であることを物語っている。

 2、血を養って精を固める。唐代の医学者孫思邈は「男性は雑念を払い欲情をなくすことでその精を養うべきであり、女性は平常心と志でその血を養うべきである」、つまり男性は精を主とし、女性は血を用とすることで、欲望を節制して精を保つことの大切さを示し、後漢の医学者張仲景は「およそ寡欲であった男女は、健康で寿命が長く、多欲であった男女は、弱くて若死する」と言っており、欲を節して精を保つことは健康に役立つばかりでなく、健康な子供が生まれ、よく育てる最も重要な保証であるとしている。

 それでは高齢の方々の生理の変化はまたどうであるか。『霊枢・天年』篇は「60歳になると、心の気が衰え始めて苦しみ悲しんでおり、気、血が怠り、ゆえによく横になる。70歳になると、脾臓の気が弱まり、皮膚がしわだらけになる。80歳になると、肺の気が衰え、魂が離れ、ゆえに話すことに誤りが多くなり、……」と書いている。このような臓腑、気、血、精神などの生理的機能の自然な衰退は心理の変化に影響を及ぼし、よく見られる孤独感、憂鬱、疑い深さ、いらいらしながら怒りやすいなどの心理状態を表し、まさにこのような生理、心理の安定性、自制力の低下は、高齢の方々が更に疾病にかかりやすくなり、回復しにくくする。そのため、保健養生の面では栄養を精神的に摂取し、飲食の補給を主とし、季節にもとづいて養生を行い、日常生活の面倒を見、薬物の相互補足を補とする方法を提唱すべきである。

一、精神的に栄養を摂取する(足りることを知り、謙虚であり、老いても怠ることがないこと)

 「謙虚で人に親切で、人を敬って自分を律する」、「足りることを知り辱めなく、止まることを知り、それをおろそかにしない」という心理状態を保ち、つまり闊達として世に処し度量が広く、穏やかで善良で、生活の面で満足して嗜好の欲がなく、年は取っても気は若く、生活を心から愛し、自信をもち、よく頭を使うようにしなければならない。宋代の医学者陳直は『寿親養老新書』には「自分の病気は自らが知り、その病気を自ら心で治療し、気持ちが静かな時は体も静かで、心の病気は病気にかかった時に起こる」という詩がある。この詩はわれわれに、自分の心理的保健に努めてこそはじめて情と志の疾病を防ぐことができると忠告している。

二、飲食の養生(食を慎重に加減する)

 1、食はさまざまで、穀物、果実、肉類、野菜を合理的に組み合わせ、カルシウムを多く含む食品を適切に選択しなければならない。

 2、食はあっさりし、高齢者の脾臓、胃の虚弱という特徴に対し、あまり脂っこいものやすっぱすぎるものは食べるべきでない。現代栄養学の観点から言うと、高齢者の飲食は「3つの多と3つの少」つまり蛋白質、ビタミン、セルロースが多く、炭水化物、脂肪、塩が少ないものとするべきである。

 3、食はあたたかくて熟して柔らかく、高齢者は陽の気が日に日に衰え、脾臓は暖かいものを好んで寒いものを嫌い、ゆえにあたたかいものを食べて脾臓、腎臓を大事にしなければならない。年を取ってからは歯が抜けるため、咀嚼することが困難になり、ゆえに熟して柔らかいものを食べなければならない。

 4、食は少なめでゆっくり食べ、「年を取った人は、食べすぎてはならないが、何回かに分けて食べれば、穀物の気がいつまでも存在す」べきである。高齢者には量は少なめで回数の多いようにすることを主張し、これは必要な栄養を確保して脾臓、胃を傷つけないようにするためである。

三、季節にもとづいて養生を行う(四季の季節にもとづいて寒暖に適応する)

 高齢者は「四季の養生の方法に基づいて、五行の気に沿って、恭しく、用心深く怠ってはならない」と忠告している。つまり、天地、四季の季節、万物は人の生命と行動に影響を及ぼし、自然界でみずからのバランスを求めたいならば、まず自然の法則に順応し、四季の気候の変化に順応し、「人にとって最もよいことは、常に楽しく過ごすことである」ことがわかる。こうしてこそはじめて老いてますます盛んとなることができ、長生きすることができる。

四、日常生活の面倒を見る(日常生活が規則的であり、みだりに働きすぎるようなことはない)

 「日常生活が規則的であれば、その神を養い、みだりに働かないならば、その精を養う」。高齢者はもし日常生活を合理的に企画できるならば、精神の気を保つことができ、労働と休息が適度であればその腎臓の精を養うことができる。できるだけ「早足で歩くことなく、あまり大きな音や声を聞くことはせず、目も使いすぎず、長く坐っていることがなく、疲れすぎてから寝るようなことはしない」ことである。

五、薬物による相互補完(先天の本を強くし、後天の気を守る)

 健康で長寿の重要な条件は、先天によって与えられた盛んさと後天の栄養の十分さである。高齢者は体の機能の減退のため、その他の方面の養生を行うほか、ある薬物はその体を丈夫にするのを助けることができるのである。薬物による養生は先天の本を強くし、後天の気を守ることを主とすべきである。いわゆる「先天の本」はつまり腎臓が先天の本であり、生命の根である。腎臓の気が旺盛であれば、体の代謝能力が強く、老化のスピードが遅くなる。いわゆる「後天の気」は脾臓、胃が後天の気であることを指し、また気、血の変化の源であり、体の生命の活動に必要な栄養物質はいずれも脾臓、胃によって供給されるのである。そのため、高齢者の薬物による養生は脾臓、腎臓を強くすることを重点とすべきである。薬物を使用する際の原則は、多く補給し、排泄されることを少なくし、薬は穏やかなものでなければならず、薬の量は小なめでなければならず、脾臓、腎臓を重視し、五臓双方に配慮を加え、分類して補給し、陰陽を調整し、季節をよく把握し、規則を観察し、丸・膏・散・丹を多く服用し、煎じ薬は少なめにし、薬と食を同時にとり、状況に応じて良い方に導くということに従うべきである。このように薬を使えば欠点を是正し、病気を予防し、長生きをすることができる。

 最後に皆さんに、冬至の日からは時にはヒツジの肉とダイコンの煮込みを食べなければならず、これはかつての皇室が「冬至」の日に優先的に選んだ料理である。具体的な作り方は次の通りである

ヒツジの肉と白いダイコンの煮込み

[使う材料] 白いダイコン500グラム、ヒツジの肉250グラム、ショウガ、みりん、塩を適量

[作り方] 白いダイコン、ヒツジの肉をきれいに洗って角切りにして必要に備え、ナベの中に適量の水を加えてヒツジの肉をナベに入れ、沸き立ってから5、6分間経つとヒツジの肉をすくい取り、水はあけてしまい、再び水を入れて沸いてからヒツジの肉、ショウガ、みりん、塩を入れ、熟するまで煮込んでから、白いダイコンをナベに入れて熟するまで煮込む。

[効き目] 気を益し、虚弱を補い、中を温かくし、下を暖かくする。腰、ひざがぐったりし、だるく、眠気を催して力がなく、腎臓が虚弱で、インポテンツ、脾臓、胃が虚弱で冷え性の者にとっていっそう適している。

2種類のキノコの炒めもの

[使う材料] 水で煮てもどしたマツタケ、新鮮なキノコそれぞれ同じ量、植物油、しょう油、白砂糖、といたカタクリ粉、化学調味料、塩、醸造酒、ショウガのみじん切り、新鮮なスープ、ゴマ油を適量

[作り方] マツタケ、新鮮なキノコをきれいに洗って薄切りにし、ナベが熱くなってから油を入れて、2種類のキノコを入れて、ショウガ、しょう油、白砂糖、醸造酒を入れて引き続き炒め、味が出ると、新鮮なスープを入れて沸き立ってから、化学調味料、塩を入れてといたカタクリ粉であんかけをし、ゴマ油をたらして、お皿に盛り付ければよい。

[効き目] 腸、胃を補い、痰をなくし、風邪を治す。

この料理は体の免疫機能を強めることができ、高脂血症患者に対してさらに適している。

ゴマ油とホウレンソウのあえ物

[使う材料] ホウレンソウ500グラム、塩、ゴマ油を適量

[作り方] ホウレンソウをきれいに洗って、熟するまでさっとゆでて、すくい取って皿に盛り付け、適量の塩を加えて、ゴマ油をたらせればよい。

[効き目] 脈を調節し胸を楽にし、気を下し中を調節し、のどの渇きをいやし、のぼせを取り除く。

そのほかに、皆さんがヤマイモをたくさん召し上がる(蒸しても煮てもよい)ようおすすめする。これは脾臓を丈夫にし、肺を補い、腎臓を丈夫にし、精を益する効能がある。

避けていただきたい食べ物

ダイコンを食べた時には薬用人参、西洋にんじん、何首烏と共に服用してはならない。

ヒツジの肉はカボチャとともに食べることを禁じられている。

「冬の補給」によく使われる薬膳の処方箋

8珍(当帰、地黄、クコ、シャクヤク、白朮、茯苓、ナツメ、甘草)

4味(当帰、シャクヤク、センキュウ、地黄)(ハスの実、オニバスの実、ヤマイモ、茯苓)

処方(薬用人参、当帰、サンシチニンジン、杜仲)

 使い方 準備しておいた漢方薬をガーゼの袋に入れて、(自分の体調に基づいて8回分、4回分の処方をしてもよい)大きな土ナベに入れ、水を入れて30分間浸し、きれいに洗った家禽、ブタの足、ブタの腎臓、うなぎ、スッポンなどを調理してから、土ナベに入れて薬と共に煮て、沸き立ってからとろ火で効き目のある成分がスープの中に完全に溶け込み、肉の中の軟骨が柔らかくなってかめるようになるまで煮込み、そうなると薬膳スープの味と香りがあなたにノドから手が出そうにさせることになろう。

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