大寒の養生
「大寒」は一年の最後の節気であり、気象の記録の中では大雪から冬至、小寒までの間のように寒くなっていないが、依然として寒い時期にある。わが国の風習では、特に農村では、「大寒」になると、人びとは急いで古いものを取り除き新しいものを迎え、旧正月の料理の材料を塩漬けにし、その用品を用意し始める。清代の『真州竹枝詞引』の記載によると、「ブタ肉、ニワトリ、魚、アヒルを塩漬けにし、これは旧正月の料理の材料で、それを調理して新しい歳を迎える……」。人びとは春、夏、秋のたいへんな忙しさを経て、「冬の3カ月」の農閑期に入り、大寒の到来に伴い冬の農閑期は終わりに近づき、魚を塩漬けにし、燻製(くんせい)の肉を用意する頃になると、すでにかすかに大地に春が戻ってきた景色を感じとることができ、この時になれば人びとも体、心の状態を節気の変化に従って調整を行うべきである。

 『霊枢・本神』は「智者が心を養うことは、四季の季節に順応して寒暖に適し、喜び、怒りを和して居所を安定し、陰と陽を規制して剛と柔を調節し、そうすると邪気が侵入せず、長生きして生きることができ」と書いている。『呂氏春秋・尽数』には「大自然の陰陽、寒暖、乾燥、湿気は、四つの季節の変わり、万物の変化に従い、利のためでないものはなく、害のためでないものもない。聖人は陰陽のよろしきを感じ取り、万物の利を見分け、これは生きるためであり、ゆえに精神の形に満足し、寿命が延びるのである」と書かれている。つまり自然の法則に順応するならば受動的に適応するのではなく、積極的で能動的な態度をとり、まず自然界の変化の法則を把握し、外部の邪気に犯されることを防がなければならない。昔は「大寒になると、風を防いで寒さを防ぎ、朝は薬用人参、黄芪を浸した酒を飲み、夜は杞菊地黄丸を飲む」という言い方があった。これは生活の中で働く人びとが総括したものであり、人びとが体の養生を重視していたことを示すものでもあり、この節気をめぐって、女性の方々の養生法についてかいつまんで話してみたい。

 『素問・上古天論』には「女性は7歳になると、腎臓の気が盛んになり、乳歯が抜け新しい歯がそろい、髪の毛が伸びてくる。14歳になると、月経が始まり、任脈をすっきりさせ、太衝脈が盛んになり、月経は毎月に来るもので、これで、子が生めるようになったのである。21歳になると、腎臓の気がムラなくなり、歯が生えてきわめて長い間それを使うことになる。28歳になると、筋骨がかたまり、髪の毛が伸び、体が丈夫になる。35歳になると、陽明脈が衰え、顔の血色が低下し、髪の毛が抜け始める。42歳になると、三陽脈が顔から衰え、顔の血色がなくなり、髪の毛が白くなり始める。49歳になると、任脈が虚となり、太衝脈が衰えて少なくなり、月経が止まり、生育の能力を失い子どもはつくれなくなる」とある。これは女性の成長、発育、老化の法則について詳しく述べるとともに、腎臓の気、月経の性的機能の成熟と衰退の過程における重要な役割を認識するものである。同時に先人は、女性とその特殊な生理的特徴、例えば月経、妊娠、出産、育児、哺乳などは血との関係が非常に密接であると見ている。

『校注婦人良方』には、「血というものは、水と穀物の精気であり、五臓に合わせ、六腑に滋養をもたらし、男性においては精と化し、女性においては上は乳になり、下は血のたまりとなる」と書かれている。女性が「血をもって本とし、血をもってそれを使う」というのは道理がないわけではないことがわかる。血が十分であることは主に肝臓、脾臓、腎臓の機能が旺盛であることにかかわり、肝臓は血を蔵する臓器、脾臓は血をつくる源、腎臓は先天の本であり、元気の根であり、主に精を蔵す。精は血をつくることができ、血は精と化すことができ、精と血の源は同じであり、「月経の本」であり、精と血が十分であれば、月経、妊娠、出産、哺乳は正常であることができる。女性のもう一つの特徴は気持ちが揺れ動きやすく、思い慕うこと、恋すること、憎むこと、愛すること、ねたむこと、憂えることにぶつかると気持ちをよく自制できなくなる。『校注婦人良方』は次のように指摘している。

「思い慕うことは心にうっ積し、思慮しすぎ、傷つくことになりやすい。…心配し、思慮して悲しむと、血は逆行して尽き、顔色が悪くなり、月経が先に止まることになる。……もし五臓が広い面積において傷つくならば死ぬことになり、心と志を自ら改め、薬で治療すれば、命を守ることができる」。これをみても分かるように、情と志の要素の女性に対する影響は極めて大きい。ここで皆さんに、「月経の前」と「月経期」に気持ちの明るさを保ち、7つの情の面で度が過ぎることを免れるべきであると忠告している。さもなければ、臓腑の機能のアンバランス、血気のめぐりの逆行を引き起こし、「月経期」の体調子の悪化が深刻なものとなり、月経不順、閉経などの病気を招くことになる。そのほか、月経期においては適切に動くべきである。これは血の気をすっきりさせることに役立つ。

 更年期の女性(45〜50歳で更年期に入る)の生理機能は旺盛なものから衰退に向かい更には喪失となり、漢方医学の理論によると、腎臓の気がますます衰え、太衝脈、任脈という2脈が虚弱になるため、陰陽のバランスを失って頭がぼうっとなり耳鳴りがし、オドオドして眠れなくなり、いらいらして怒りやすくなるか鬱憤して焦慮し、月のものが乱れ、熱くて汗が出るなどの症状が現われ、その度合いは人によって異なる。もし適切に保養するならば、症状を現われないか軽減し、反応の時間を短縮することができる。したがって、どのように自分の生理の変化を正しく認識し、必要でない心理的負担を取り除き、緊張、恐れ、消極的な、焦慮の心理的障害を取り除き、好ましからぬ精神的な刺激を免れるか、自分の性格と好みに基づいて適切なやり方を選んで情に明るさをもたらす天賦の性を養い、楽観的な情を保つのは更年期をやすらかに過ごすカギである。これは歴代の医学者が女性の養生に対して提起した「肝臓をすっきりさせ鬱積を軽くし、血気が順調であるよう調節する」という原理でもある。

 女性の養生の中では、飲食による養生の重点は、脾臓、腎臓を強くし、肝臓、血を養うことに置くべきである。よく見られる薬膳は次の通り。

当帰とショウガとヒツジの肉のスープ (『金匱要略』より)

[使う材料] 当帰30グラム、ショウガ30グラム、ヒツジの肉500グラム

[作り方]当帰、ショウガを水できれいに洗って大きな塊に縦に切って必要に備え、ヒツジの肉の筋と膜を取り除き、きれいに洗って角切りにし、お湯を入れたナベに入れてさっとゆでて薄い血を捨て去り、すくい取って乾かして必要に備える。土ナベに適量の水を入れ、ヒツジの肉をナベに入れ、さらに当帰とショウガの千切りを入れて、強火の上で沸かしてから、浮かぶアクを取り、とろ火で1時間50分間ヒツジの肉がよく熟するまで煮込む。当帰、ショウガの薄切りを取り出してから、スープを飲み、肉を食べる。

[効果] 体を温かくし、血を補い、風邪を発散させる。

クコとサンシチニンジンとニワトリ (恵安堂栄養薬膳処方より)

[使う材料] クコ15グラム、サンシチニンジン10グラム、メンドリ1羽、ショウガ20グラム、ネギ30グラム、紹興酒30グラム、コショウ、化学調味料を適量

[作り方] 生きているニワトリをつぶしてからきれいに洗い、クコをきれいに洗い、4グラムのサンシチニンジンをすりつぶし、6グラムを潤して柔らかくして薄切りにし、ショウガは大きな塊にきざみ、ネギを細かくきざみ、必要に備える。ニワトリをお湯の入ったナベに入れてさっとゆでて薄い血を捨て去り、すくい取って水分を乾かし、それからクコ、サンシチニンジンの薄切り、ショウガの薄切り、ネギを細かくきざんだものをニワトリの腹の中に詰め込み、ニワトリを磁器製のなべに入れ、少量のコンソメを入れて、コショウの粉、紹興酒を入れ、さらにサンシチニンジンの粉をトリのささみの上にかけて、ナベのフタをして、強火でせいろうで2時間ほど蒸して、ナベから取り出す時に化学調味料を加えればよい。

[効果] 虚を治し、血のめぐりをよくする。(その性は温和であり、高齢者と長患いでびくびくし、月経、産後の貧血症の者はいずれも召し上がることができる)

ニンジンの千切りの甘酢あんかけ

[使う材料] ニンジン250グラム、ショウガ、白砂糖、酢、塩、化学調味料、植物油を適量。

[作り方] ニンジンをきれいに洗って千切りにし、ショウガを千切りにして必要に備える。ナベを熱くしてから油(熱いナベの中に冷たい油を入れる)を入れてから、ショウガの千切りを入れ、香りが出るまで炒めてからニンジンの千切りを入れ、2分間炒めてから酢、白砂糖を入れ、引き続き熟するまで炒めて、塩を入れて熟してから化学調味料を入れて味を整え、お皿に盛り付けて出来上がりとなる。

[効果] 気を疎通させ、体を補い、胸膜によく、胃腸を調節し、五臓を丈夫にする。(現代医学は、ニンジンの中には「こはく酸塩化カリウム」が含まれていて、これは血圧を下げる有効な成分があり、高血圧患者も汁を搾って飲むことができることを研究で発見した)

牛乳入れのかゆ

[使う材料] 牛乳250グラム うるち米100グラム

[作り方] うるち米をきれいに洗い、ナベに入れ、水を入れて強火で沸き立たせてから、とろ火で熟するまで煮て、牛乳を入れて、引き続きかゆ状になるまで煮る。

[効果] 肺を潤し腸を通じさせ、虚を補い血を養う。

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