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2001年およびそれ以後の中国社会情勢展望
 一、経済の大幅な伸びが見られた高度成長期から安定成長期への転換

 物資が欠乏する経済の終結、成長基数の拡大、売り手市場から買手市場への転換及びこれまでの外延拡張式の粗放経営から企業構造調整の深化への切り換えなどの原因によって、中国は成長テンポを追求すると同時に成長の質、効果と利益をより重視するようになった。中国は高度成長期から安定成長期に入り、8%という安定な平均成長率を保ち続けるだろう。

 事実、アジア新興工業諸国および地域のテークオフ期の情况から年間平均10%前後の成長率はせいぜい20年間維持できるが、年間7−8%の成長であれば40年も前後は続くことが見て取れる。

 WTO加盟後の中国経済は新しい挑戦に直面し、輸出の経済成長に対する牽引効果がより明らかになり、貿易依存度(輸出入総額とGDPの比率)は現在の40%からいくらか増え、紡織製品や服装の輸出が大幅に伸びることになろう。

 二、WTO加盟によって社会主義市場経済システムは更らに完備される。

 WTO加盟は、中国の経済分野だけでなく、市場経済システムと関連のある社会分野における法律制度の充実という面でもさらに高い要求を提出している。現在いくつかの範囲において経済転換期の特徴を持つ計画経済と市場経済がまだ共存しているが、WTO加盟によってこの計画経済から市場経済への転換が加速されるにちがいない。この転換に適応するため、財産所有権、物価、税金、金融、貿易、計画、投資、流通などの分野において国際基準に基づき、徐々に統一的な市場ルール、制度を制定すると同時に、戸籍管理、就職、教育、科学研究、所得分配、社会保障、住宅などの面においても大幅な改革を実施することになっている。

 中国は経済面だけでなく社会面でも更らに開放する道をまい進している。現在、一部地域に存在する地方保護主義や人材、資金と製品の流通を妨げる障壁は今後においては、法律違反と見なされることになろう。

 社会主義市場経済の統一的規則・制度の制定は単なる経済分野の改革ではなく広範囲の社会改革ともかかわりがある。

 三、WTO加盟後、新しい挑戦に直面する就職問題

 労動力供給の持続的増加、産業構造の調整によって技術と資本が労動にとって代わり、経済成長による就職弾力性の低下、賃金の下向き剛性及び農業労働力の非農業産業への移動による巨大なプレッシヤなど一連の要素が同時に存在している現状に鑑み、中国では就職難が一定の期間において解決しにくい問題となろう。

 WTO加盟は中国の就職問題の解決にとって「紫気東来」(瑞祥の気が東から来る)でもなければ、「洪水と猛獸」でもない。短期間において中国の労働力市場に対する影響は人々の予測より小さいものとなろうが、長期発展の観点から見ればその影響の指向性は強い。農業分野の就職に対する影響はほとんどマイナスで、主要な農産物輸入割当額の増加と輸出輔助金の取り消しによって農産物製品構成の調整と農業労働力の移転にさらにプレッシヤがかかることになろう。工業面における就職はより複雑で服装、紡織、建築、食品加工など競争力のある優位産業は加盟後、輸出割当額の増加ひいてはその制度の廃止により、輸出額が伸びるにつれて就職も増えるにちがいない。自動車、粗鋼、機械、計測器など伝統的工業の国際市場における競争力が弱いため就職者数も減少していくであろう。

 WTO加盟後のハイテク産業と通信業は外国資本と先進技術を導入することによって、その発展が促進されると同時に外国製品の大量輸入が産業の発展と就職に不利な影響をもたらすと予想される。

 商業とサービス業は刺激されることによって、その発展は促進されるが金融、保険業などは外国資本との競争で、管理費用と労働コストを引き下げるための圧力が巨大なため、これらの分野での就職の見通しは楽観視できない。

 さまざまな不確定要素が存在しているため、WTO加盟後の中国における就職に関する楽観的あるいは悲観的な予測はあくまでも理論的なもので、就職の如何はやはり中国の労働力の資質とコストの変動によるものである。

 中国の労働力の資質特に新興産業とかかわりのある労働力の資質が大幅に改善されると同時にコストの面でも競争力を持つようになれば就職に積極的影響をもたらすが、でなければ就職環境はさらに厳しいものとなろう。

 四、消費構造の三回目の転換型

 この数年間の消費市場は低迷状態にあるが新しい消費構造がはっきりと目に見えないが、形成されつつある。

 対外開放と経済改革以来、中国の消費構造はすでに二回も画期的な変化が起こった。一回目は食糧消費の減少と衣服類消費の上昇である。この変化によって農村の多角経営とアパレル業に強い刺激を与え、一回目の経済の高度成長を促進した。二回目は家電消費の急速な伸びで、この伸びによって家電製造業の生産を促進し、二回目の経済成長へと導いた。

 国民経済の長年の蓄積によって国民全体の生活がまずまずのレベルに達するにつれて、消費構造の三回目の転換がだんだんと到来した。多様化、多階層化の必要は消費の新たな動向で、特に伝統的製品の消費のかわりに第三次産業関連の消費が、伸びぶりの最も速い消費分野と消費増大促進の新しい要素となった。この転換は新しい消費方向と中国の消費市場に大きな潜在力が存在していることを示すと同時に、中国の産業構造調整と経済発展テンポを速めることになろう。

 現在、教育、レジャー、文化、交通、通信、医療保険、住宅、観光などの面における消費の伸びはー番速い。そのうち、IT産業関連の通信業は急速に発展している。この十年間で固定電話は45.7倍、ポケットベルは107倍、携帯電話は2401倍それぞれ増加し、わずか4年間にわたってインターネットユーザーは122倍も増加した。

 WTO加盟後、輸入関税の調整が消費の構成にも大きな影響を与え、特に価格が高すぎるために消費の需要が抑制されていた商品(乘用車など )は消費者の受け入れられる価格まで下がれば消費の需要は著しい増加を見せるだろう。

 五、都市化の歩みが加速する

 建国の初期においては、国が重工業優先政策をとったため、工業労動に対する需要が急増することによって、都市人口は一時的に急激に増え、まもなく農産物も極度の不足に直面することになった。農村人口の都市への移動を制限する目的で厳しい戸籍登録制度が実施され、欠乏商品に対しても配給制を実施したが、工業の発展より都市化の歩みは長期にわたって遅れるという副作用ももたらした。特に近年来、産業構造調整につれて都市化の遅れはさらに深刻なものとなっている。

 現在、社会構造において都市化のテンポを速めることは当面の急務となっている。その理由は以下の通りである。

 1、都市の規模経済による経済効果と利益がますます大きくなり、特に情報ネットワーク技術を中心に都市をョりとする経済が目覚しい発展を見せていることは都市化の歩みを速める原動力になった。

 2、近年、第三次産業の主な受け皿と消費市場である都市の発展の歩みを加速することは経済成長を促進する賢明な決断だと言えよう。第10次5カ年計画の中ではじめて都市の発展を経済発展の重要なー環であると慎重に提出し、積極的かつ着実にその発展を促すべきだと指摘した。

 3、発足初期において労働集約を特徴とした郷鎮企業はここ二十年来、先進技術応用量の増加と資本の増大につれて労働力に対する吸収は低下し、20世紀90年代以降、都市と農村部の町の第二、三次産業はだんだんと郷鎮企業に取って代わって農業労働力を吸収する主要なルートとなった。

 4、農業労働の機械化(特に栽培、施肥、農薬撒布(さっぷ)、刈り入れなど)につれて農業余剩労働力が大量に増える一方、農民の収入も増えたため、農業労働力の利用は一層難しくなった。ましてや中国はすでに情報化時代に入り、外の世界が農村の若者たちを強く引きつけている。上述の諸要素は中国の都市化のスピードを速めることになろう。

 今後の都市化にはつぎの特徴が見られると予測される。

 1、これまでの都市化は下から上への自発的なものであったため、農村からの都市化に対するプレッシヤと都市管理システムとの間の矛盾が多かったが、これからの都市化は上から下への企画と指導を強め、都市管理システムの都市化に対する受容力を増強することによって、強まってきた都市化の動きを秩序立って発展する方向に引き入れることになろう。

 2、これまでの都市化の過程においては鎮(町)の進展が一番速かった。特に東南沿海地帯ではいくつかの小さな町がひとつにつながりつつある。近い将来は規模の異なった都市がともに発展することが予想され、土地価格の上昇と政策の指導によって、数多くの小さな町は次第に集中して、より大きな都市に発展していくであろう。

 六、建国以来農村における三回目の変革――税金と費用の面での改革

 農村における税金、費用徴収方法の改革は体制上の改革によって農民の重すぎる負担を軽減する根本的な措置であり、社会主義市場経済体制確立のための重要措置であり、農村社会を安定させ、農村経済を持続的な、バランスのとれた発展を促進する重要な政策でもある。すべての法律、法規に合わない費用徴収項目は禁じられ、農民から行政事業費用を徴収する場合、合法的認可がなければならない。税金、費用の徴収方法を改革すると同時に電気料金、水(水道)料金、郵便料金、ケーブルテレビ料金、電話代などの徴収基準を整頓し、「サービス」料を理由とする強制的な費用徴収を断固として禁じる。今後、農民からの行政事業費用の徴収は法律と行政法規による根拠と国務院が批准した文書がなければならず、省と省以下の政府には新しい行政事業費用徴収を審査認可する権限がなくなった。

 今回の税金、費用徴収方法の改革は50年代の土地改革と70年代の家庭請負制改革につづく中国の農村における三回目の大変革であると言えよう。当面、この改革は安徽省の農村で試行的におこなってより良い成果を収め、その経験に基づいてまもなく全国の農村で展開される予定である。

 七、新たな段階を迎える腐敗反対闘争

 中国における現代化の進展と、さらに開放的な社会に向うにつれて、その国際社会におけるイメージがー新されると同時に腐敗反対闘争も新たな段階を迎えようとしている。腐敗反対闘争をいっそう深め、重大な汚職や贈収賄などの不正行為を暴露し、判決を下すことによって政府が徹底的に反腐敗闘争を推しすすめる決意を国民全体に示すと同時に権力に対する完全な監督システムを作り上げて腐敗分子がつけ込む機会と処罰を逃れる道を遮断することによって腐敗の温床を根絶するのである。

 腐敗反対闘争が深まるにつれて、ますます世論の注目を集め、国民の腐敗反対の自覚も強化されることになろう。国家公務員の間における反省や自己の誤りを正すことによって法律に、違反した一部の人々に腐敗分子とはっきりと一線を画する機会を与えるのである。

 八、社会組織の新たなパターン――「小さな政府、大きな社会」

 この二年間に、中央と省クラスにおける上から下への行政機構の精鋭化、簡素化と改革が基本的に完了した。2001年に県と郷、町の行政機構の精鋭化、簡素化が行なわれることになっており、これは建国以来規模の最も大きな機構の精鋭化、簡素化であると予想される。30―50%の各クラス行政機構と公務員が削減されたが、その人々が適当な仕事につけるようにしたために大きな社会不安を引き起こすことはなかった。今回の精鋭化、簡素化は財政の行政費用支出の面で著しい効果を収めなかったにもかかわらず、精鋭化された、高能率の政府を作り上げるための基礎を固めた。しかし、これは政治体制改革の一環にすぎず、その実質的効果を過大評価してはならない。機構の精鋭簡素化改革は長い期間を必要とするものでこれからするべきことはまだたくさんある。

 社会主義市場経済体制が形成されるにつれて、社会管理の方式にも深刻な変化が起り、「小さな政府、大きな社会」ということは今後における社会管理システムの目標であり、社会構成のパターンでもある。市場とさまざまな種類の新たな社会仲介機構がこれまで政府が関与していた領域を管理することになり、政府は集中的に民間組織が解決できない問題を解決することになる。民間仲介組織も急速に発展することから制度を充実させる過程を経なければならない。

 九、都市や町の管理は政府、企業などにかわって団地住民組織がおこなう

 行政権力が高度集中していたかつての計画経済時代において政府や企業などは都市や町にかつてその管理を実施していたが、住民に対する管理はその所属する勤務先を通して行い、さまざまな社会的リスクを防ぎ止め、それを克服することも、主として勤務先の後押しを得ていた。計画経済システムから社会主義市場経済システムヘの転換につれて市場と社会はこれまで政府が直接関与していた分野を管理するようになり、政府機関や企業組織の管理システムにも深刻な変化が起り、住民に対する保障機能とサービス機能が次第に市場化と社会化された。このような変化に伴い社会をサポートするネットワーク。主要なキャリアーも政府機関や企業から団地住民区へと変わった。このような変化に適応するため、住民区事務所や団地住民委員会及び仲介組織が新しい社会サポート・ネットワークの基盤として、さらに大きな役割を果たすようになった。団地におけるさまざまな組織がサービス機能を増加する際には、特に競争メカニズムを導入することを重視すべきで、できるだけ運営コストをおさえ、最大限に市場による調節作用を発揮させ、できれば準市場化運営方式をとり、行政管理費用を消費者に割り当てるようなことを防がなければならない。

 十、知識、教育を重視することは国民の共通認識に

 社会構成の変化につれて教育と知識を重視する国民の意識は何回かの起伏を経過しながらも、今では国民全体の共通認識になりつつある。この共通認識の形成には以下の原因がある。

 1、科学・教育によって国を振興することは、すでに中国の発展における一つの重要方針となり、国は科学教育に資金投入を増やすと同時に民間資本の参入も提倡しているため、その発展に良好な条件をつくり出し、科学・教育は魅力のある、明るい展望をもつようになった。

 2、産業構造の急速な変化、技術革新能力の向上及び経済成長における知識の重要性が日増しに増加しているために、教育はますます重要な産業になっている。

 3、所得分配の改革の深化につれて、一時期精神労働者の収入が肉体労働者の収入より少なかった現象は次第に是正され、個人の教育に対する資金投入の収益率は著しい増加を見せている。

 4、就職市場がだんだん形成されるようになったため、人材に対する市場選抜機能がさらに大きな役割を発揮し、教育は初期人的資本の市場の主な源泉になっている。

 5、教育は就職前の勉強だけではなく、技能の養成や新しい知識を勉強するなど、生涯にとって不可欠のものとなった。

 6、情報ネットワークなどハイテクの大きな発展によって、これまでの知識蓄積方式と知識から実際の応用に至る過程を変え、教育=創業=成功のプロセスは大幅に短縮された。

 7、知識技術をより多く取り入れた製品がすでに家庭消費の分野に入ることによって、知識や技術がわれわれの生活を改善していることを人々は感じ取り、時代についてゆき、新しい生活に適応し、たえず新しい知識を身に付けなければならないことを意識するようになった。現在四十代の夫婦は子供を一人しかつくらないことになっているため、親たちはみんなわが子を立派な人間になることを望んでおり、その結果、近年、各家庭の教育に投入する費用の増加は著しい。以上のような要因から知識、教育を重視する国民意識がだんだんと形成されるようになっている。

 (この文章は中国社会科学院「社会情勢分析と展望」研究グループの李培林氏の執筆によるものである。)

 「チャイナネット」2001年2月20日

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