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胡克恵委員、法制整備の強化について提言

最高人民法院と最高人民検察院の活動報告は、歴代の全国人民代表大会、全国政治協商会議で最重要事項の1つ。取材に応じた最高人民検察院の胡克恵副検察長は、社会に存在する問題について見解を述べ、分析、提言を行った。胡副検察長は政協委員で、中国検察官協会の副会長も務める。貴州省出身の“女傑”として知られ、その鋭い眼光、透き通る声、抑制の効いた話しぶりは実に耳に心地よい。

AV(音響・映像)製品、文芸作品の審査を厳格にする

胡委員は「この数年来、政府は猥褻物の一掃や違法行為の取り締まりを強化して、著しい成果を収めた。だが、正規のルートを通じて、合法の名の下で出版したAV製品、文芸作品の中にも違法となる内容が隠されていることをより重視すべきである。例えば現在、連続テレビドラマが過度に多く、氾濫しているが、まず“黒い氷”、そして“黒い洞窟”があり、続いて“黒い霧”が降りることにでもなれば、“黒い風”が吹くとも限らない。“黒”は人々に、われわれ社会の暗黒な部分のようなものを感じさせるだろう。われわれの社会に陰湿で暗い面があるのは確かだが、これは結局のところ個別の現象である。積極的かつ健全で向上するものが社会の主流になるべきであり、人民には前向きな力強さが与えられなければならない。今の数多くある文学作品やAV製品は、マイナスなものを盛んに宣伝しており、個別のものを一般的なものとし、また犯罪者の手口を過多に描写しており、これは教唆するに等しい。こうした状況に政治、法律関連機関も強い反応を示している。文化市場を管理する機関に対しては、審査を厳格にして、社会にマイナス効果をもたらすものが市場に広く流れ込まないよう厳しく禁止し、少なくとも可能な限り減少させることを期待したい」と強調した。

食品、薬品の偽物の製造・販売、売買は公共安全危害罪として刑罰に処する度合いを強化する

胡委員は「われわれ検察機関が受理した事件の状況から見ると、現在、庶民は食品や薬品、商品の偽物の氾濫に非常に強い反応を示しており、安心感をまったく持っていないと言ってもいいだろう。偽物は公共の安全に極めて大きな危害を与え、人民の利益をかなり損ねている。だが、立法の角度から言えば、それを社会秩序撹乱罪だとしても、量刑の幅は異なる。私個人としては、食品や薬品の偽物を製造・販売、売買した場合は、公共安全危害罪として、刑罰に処する度合いを強化すべきだと考えている」と述べた。

その上で胡委員は「現在、行政の法執行機関には刑罰を処罰で済ますという問題が存在していると感じている。この種の犯罪は多くが実質的に刑法に触れてはいるが、実際に検察機関に移送されたものは微々たるもので、なんパーセントにもならない。往々にして、メディアが明らかにすると、中央から地方にいたる関係機関はようやく慌しく調査や処理に取りかかる。それでは、平素はどうか。普段、われわれは何をやっているのか。未然防止のための仕事、管理や防止メカニズムの面で、未整備な点が多々あると私は感じており、それが強化されることが待たれている」と強調した。

安定の維持にさらに力を尽くす

胡委員は「朱鎔基総理は政府活動報告で、この5年来の政治・法律関連の活動を総括した際、この面の経費を増大し、それを保証するメカニズムを確立して安定維持に努めていく、と提起した。中央政府が下達した30号文書によると、この5年間、政治・法律関連機関の安定維持のための経費はそれ以前の数年に比べ相対的に増加し、多くの面で過去5年間の総計を上回ったという。だが私は、任務と必要性を比較した場合、それでもかなり不十分ではないかと感じている。非常に遺憾に思うのは、国家計画委員会や財政部の報告にこうした要求が見られなかったことである。改革に安定、発展、この3者は互いに補完し合い、互いに依存し合うもので、いずれも非常に重要だと感じている。発展は根本、改革は動力、安定は前提。安定がなければ、何も語ることはできない。国家計画委員会や財政部が安定維持にさらに力を尽くし、彼らの法執行機関に財政面からよりしっかりとした保証を与えることを期待したい」と強調した。

各クラスの指導者は毎年、全人代に自身の廉潔性と政治参与の状況について報告する

胡委員は、省長や市長、県長など各クラスの行政指導者、行政の最高地位にある国務院総理に対し、国民経済と社会発展に関する仕事に関する内容以外に、自身の廉潔性と政治参与の状況について全国人民代表大会に報告するよう求める意見を提出した。政府の廉潔性と高効率を促すことで、反腐敗闘争により実効性を持たせるためだ。

ここ数年の状況について、胡委員は「一部の数字を見ると気持ちが沈んでしまう。5年前、われわれ最高人民検察院が活動の総括を前期全人代に報告した時には、処分を受けた省・部クラスの指導幹部は7名だったが、今期の報告では25名になった。同様に、庁局クラスでも約600名から4000名余りに増えている。こうした数字を対比すれば、各クラスの権限を掌握している高官の間で、違法な犯罪が際立っていることがはっきりと分かる。腐敗行為は人民の政府に対する信任に重大な影響をおよぼしている」と指摘するとともに、内部制御や監督、規制といった様々なメカニズムを確立するほか、毎年の全人代に別個に廉潔性と政治参与について状況を報告することを提言した。

大学生による犯罪の問題をより重視する

胡委員は「北京市検察院の統計によると、2002年に検察機関が起訴した首都の大学生による犯罪者数は128人にのぼる。これには公安機関の段階で拘留された者や、刑法に抵触し、『起訴せず』『逮捕せず』、あるいはその他の寛大な処分を受けた学生たちは含まれていない。殺人や傷害、強奪、詐欺といった犯罪のほか、『邪教を利用した法律実施への妨害』など罪名は10件におよぶ。犯罪者では北京以外の出身者が72%を占め、校内事件が80%を超えている。こうした数字は、大学生に対する道徳教育、法制教育、校内管理、思想政治活動を強化しなければならないことを物語っている。特に、心理教育を重視することが必要だ」と強調した。

大学生の犯罪増加をもたらしている原因として、胡委員は、大学校内の管理や学生の管理に非常に緩みがあり、教員が学生と接触する機会が少なく、補導員も講義に出ることが多いため、思想政治教育と管理が非常に手薄になっていることを挙げた。また『変態心理』による犯罪が多く、手口も格段に残忍になり、動機も非常に奇怪だと指摘。家族や恩師、友人の強い期待に応えられないため、公安機関や検察機関の懲罰を受ければ心理的重荷から逃れられると思って犯罪に走るケースもあるという。こうした現象について、胡委員は「大学での心理教育が長年にわたり極端に欠けていたことを示すものだ」と指摘した。

「チャイナネット」2003年3月17日

 

 


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