代表のみなさん
国務院の委託を受けて、ここに二〇〇〇年度の中央と地方の予算執行状況及び二〇〇一年度の中央と地方の予算案について大会に報告し、審議を願うとともに、全国政治協商会議の委員のみなさんからもご意見を求めたいと思う。
一、二〇〇〇年度の中央と地方の予算執行状況
二〇〇〇年、党中央の正しい指導のもと、全国各民族人民は団結奮闘、開拓進取し、中央の定めた諸般のマクロ規制措置を真剣に貫徹した結果、国民経済は重要な転機を迎え、全社会固定資産投資、社会商品小売総額及び輸出入総額はいずれも大幅に伸び、企業の経済効率も著しく改善され、年間国内総生産(GDP)は八%伸びた。党中央、国務院が財政活動を高度に重視し、全国人民代表大会及びその常務委員会が財政管理の強化について一連の重要な要求を提起した。二〇〇〇年年頭に中央は省・部クラスの中堅幹部が参加する財政・税務をテーマとしたシンポジウムを主催し、江沢民総書記は重要な講話を行ない、国家財政に関する重要理論と実践問題について全面的、系統的に論述し、新時期の財政管理思想をさらに充実させて、今後の一時期にわたる財政改革と発展の方向を指し示した。十一月下旬にも、中央の承認を得て、中央組織部、財政部、国家行政学院が共同で財政・税務をテーマとした省・部クラスの幹部シンポジウムを主催し、新世紀における財政活動の新局面を切り開く方途と措置及びその具体的実施について、検討を行った。それにより国を挙げて財政活動を重視し、学び、研究し、宣伝する熱意が現れた。こうしたことにより、財政活動と財政改革を推進するための良好な政治、経済及び社会環境が創り出された。各地区、各部門はこの得難い機会を逃さず開拓に努め、地道に仕事に励み、予算の執行に大いに力を入れた結果、諸般の財政活動はかなり立派な成果を勝ち取った。
(一)中央と地方の予算執行状況は比較的良好であり、中央財政赤字は補正予算より幾らか減少した。二〇〇〇年度中央予算が承認された後、景気が順調に回復している情勢を持続、発展させるため、第九期全国人民代表大会常務委員会第十七回会議の承認を経て、中央予算を調整し、建設支出五〇〇億元を増やし、そのため中央財政赤字は五〇〇億元増大した。年間の予算執行状況は次の通りである。二〇〇〇年度中央の歳入は七五八四億三三〇〇万元で、予算より六八〇億元増であった。そのうち、中央レベルの収入は六九八六億一四〇〇万元で、予算より六八〇億元増であった。地方財政から中央への上納収入は五九八億一九〇〇万元で、予算と同じである。中央の歳出は一兆一八二億五四〇〇万元で、補正予算より四七九億七五〇〇万元増であった。そのうち、中央レベルの支出は五五一四億三四〇〇万元で、補正予算より二一三億七四〇〇万元増であった。地方助成支出は四六六八億二〇〇〇万元で、予算より二六六億一〇〇万元増であった。収支を差し引くと、赤字額は二五九八億二一〇〇万元で補正予算の二七九八億四六〇〇万元より二〇〇億二五〇〇万元減った。中央財政の債務収入は四一八〇億一〇〇〇万元で、そのうち、一五七三億五八〇〇万元を国内外債務の元金償還に充て、二五九八億二一〇〇万元を本年度の財政赤字填補に充て、八億三一〇〇万元を中央財政債務償還基金の補充に充てた。このほか、二〇〇〇年度の中央政府の管轄する基金の収入は一三六五億一八〇〇万元で、中央政府の管轄する基金の支出は一三六五億一八〇〇万元であった。地方の歳入は一兆一〇六二億一七〇〇万元で、予算より六二八億三五〇〇万元増であった。そのうち、地方レベルの収入は六三九三億九七〇〇万元で、予算より三六二億三四〇〇万元増であった。中央から地方への補助金は四六六八億二〇〇〇万元で、予算より二六六億一〇〇万元増であった。地方の歳出は一兆九六三億二九〇〇万元で、予算より五二九億四七〇〇万元増であった。そのうち、地方レベルの支出は一兆三六五億一〇〇〇万元で、予算より五二九億四七〇〇万元増であった。中央への上納支出は五九八億一九〇〇万元で、予算と同じである。収支を差し引くと、剰余金は九八億八八〇〇万元であったが、各地区間にはバラツキがあり、一部の地区の財政はなおかなり困難な状況にある。中央と地方の予算執行状況を集計すると次の通りである。二〇〇〇年度全国の歳入は一兆三三八〇億一一〇〇万元に達成し、予算より一〇四二億三四〇〇万元増であった。全国の歳出は一兆五八七九億四四〇〇万元で、予算より七四三億二一〇〇万元増であった。これらの数字は、中央と地方の決算編成後にいくらか変わることもある。
(二)積極財政政策は引き続き重要な役割を発揮しており、国民経済の持続的で、テンポの速い成長を促進した。積極財政政策を貫徹し、着実に実行するために、二〇〇〇年度国務院の関連諸部門は全国人民代表大会およびその常務委員会の要請に従い、国務院の定めた方向及び重点に基づいて国債資金プロジェクトを設定し、重複建設、盲目建設を行わず、プロジェクトに対する監理を強め、工事の質を向上させ、更に国債資金の運用の全過程に対して監督・検査を行い、またその利用効果を追跡調査し、損失、浪費を防ぎ、減少させた。一方、積極的に資金繰りを行い、関連活動に力を入れ、一九九九年に中央の定めた収入分配調整政策及び投資の奨励、消費の刺激、輸出の支持等の一連の政策措置を真剣に実施した。三年連続の積極財政政策の実施は、国内の需要を効果的に拡大し、国民経済の持続的で、テンポの速い、健全な発展を促進し、この三年間の経済成長にそれぞれ一・五、二・〇、一・七ポイント寄与することができた。そのうえ、重点建設を強め、長年にわたって望んで来た大事業に力を結集し、それを成し遂げ、経済構造の調整を促進し、経済成長の質を高め、企業の経済効率を改善することが出来た。実践が立証しているように、国内外の経済情勢の変化に即応して財政政策を調整することはまったく正しい。とりわけ、単一的な投資による経済の押し上げから投資の拡大と消費の刺激を並立させる過程を通じて、われわれはデフレ傾向に対処する経験を積み、江沢民同志を中核とする党の第三世代の指導グループがマクロ経済を制御する優れた能力を十分に示した。
(三)財政収入は安定的に伸びており、国家財力はよりいっそう増強された。二〇〇〇年度、中央の歳入は前年度より一一三七億元増え、地方歳入の増額分七九九億元を加えると、全国の歳入は一九三六億元増え、一六・九%増となり、これは第九次五ヵ年計画期間の年平均の伸び幅より大きい。収入がかなり増加したのは主に以下の要因によるものである。一つに、積極財政政策を持続的に実施したことによって経済の成長が促進され、また一部の租税優遇政策の期限が切れて徴税が開始され、原油価格の値上がりや「金税プロジェクト」(全国附加価値税専用伝票管理コンピューター・ネットワーク)建設の加速等によって附加価値税が前年度より六七〇億六四〇〇万元増え、予算を二三二億一四〇〇万元上回った。二つに、対外貿易がさらに伸びて、輸入が大幅に増え、輸入に関する税収は前年度より六六四億一八〇〇万元増え、予算を六七七億三〇〇万元上回った。三つに、国有企業の改革と三年間で苦境を脱出する目標がほぼ達成されたことにより、企業の効率が著しく改善され、企業の上納による収入が増加した。四つに、金融保険業、不動産販売、建築・据付業および観光、飲食等のサービス業の売上高が比較的速い伸びを見せ、営業税は前年度より一九九億四五〇〇万元増え、予算を六八億一〇〇万元上回った。五つに、証券市場の取引が活況を呈し、取引額が増え、証券取引印紙税が前年度より二三二億九三〇〇万元増え、予算を二八四億四〇〇〇万元上回った。
上述のように、二〇〇〇年度財政収入が増加したのは主として、経済成長のテンポが速くなり、経済効率が良くなり、また財政・経済秩序を整頓し、租税の徴収・管理を強め、法によって租税を徴収した結果である。これは、中央の積極財政政策等のマクロ規制措置実施による顕著な成果を十分に示すものである。
(四)重点支出の確保に力を入れ、諸般の改革と社会事業の発展を促進した。二〇〇〇年度、各級財政部門は公共財政の枠組を構築する要請に従って、財政支出の構造調整に力を入れ、改革、発展、安定という大局にかかわる重点支出の需要を確保することに努めた。二〇〇〇年度全国の歳出は二〇・四%伸び、そのうち中央財政支出の伸び率は三二・八%(国債利息支出を差し引くと、中央財政支出は一五・三%増)であった。中央の重点支出(地方助成支出を含む)の達成状況は次のとおりである。文化・教育、科学、医療・衛生事業費は前年度比一六・二%増の三六一億九〇〇〇万元を達成した。社会保障支出は前年度比三四・二%増の八七六億二七〇〇万元を達成した。農業支出は前年度比五〇・九%増の二一七億五〇〇万元を達成した。公安・検察・司法機関の支出は前年度比一〇・九%増の六六億五五〇〇万元を達成した。行政事業体の定年引退・退職年金は前年度より二八%増の四三億二七〇〇万元を達成した。基本建設支出は一四〇六億七〇〇〇万元であり、前年度とほぼ同じである。説明を加えたいのは、『中央予算の審査・監督強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』の中の、「中央予算を上回る収入は中央財政赤字とその他必要な支出の補填に充てることができる」という規定に従い、二〇〇〇年度中央財政の超過収入六八〇億元は、そのうちの二〇〇億元を中央財政の赤字補填に充てた外、残りの四八〇億元は二〇〇〇年度社会経済発展の実際の必要に基づき、主に重点支出項目に用い、そのうち全国社会保障基金として三〇〇億元を補充し、地方社会保障資金の助成を一〇〇億元追加し、食糧リスク基金などを八〇億元増やした。中央財政の超過収入分の運用状況については規定に基づき、すでに全国人民代表大会常務委員会に対し書面による報告を行った。地方財政の超過収入分三六二億三四〇〇万元は、『予算法』の規定にしたがい、地方各級政府がその使用を配分した。それは主に賃金遅配の解決や社会保障の補助支出の増加、農業、教育、生態保護など重点支出への保証及び食糧流通体制改革などの方面の資金需要の助成に充てた。
(五)予算管理制度の刷新を積極的に推し進め、支出管理の改革は重要な一歩を踏み出した。予算管理制度の刷新を推し進め、支出管理を規範化し、財政資金の運用効果を着実に向上させるために、二〇〇〇年度財政支出改革は『中央予算の審査・監督強化に関する全国人民代表大会常務委員会の決定』の主旨をさらに貫き、中央直属部門はいずれも部門別予算の編成を試み、そのうち、教育部、農業部、科学技術部、労働と社会保障部の四部門の予算案を選定して全国人民代表大会に提出し、審議を求めた。第九期全国人民代表大会第三回会議で中央予算が承認された一ヶ月以内に、中央直属部門の部門別予算はすべて承認され、例年より二、三ヶ月も早められた。二〇〇一年度、全国人民代表大会に提出して審議をもとめる国務院所属部門の部門別予算は四部門から二六部門に増やし、提出の内容をさらに細分化し、提出の様式も改善された。審議を求める部門別予算は、元の機能別予算のほか、それぞれの部門の予算集計も含まれ、これらの部門の予算総額が反映されるだけでなく、各部門の特徴も反映される。中央財政予算の支出配分の項目も、部門別に使用する予算外資金、政府管轄基金や各部門の他の収入配分項目も含まれる。またそれと同時に、各地の部門別予算編成のテストケースや準備作業は、すでに全面的に展開している。国庫集中受払制度の改革に着手し、改革案はすでに策定され、試行を始めている。政府による買付作業はいちだんと推し進められ、買付の行為は逐次規範化され、買付に関する法規はたえず完備され、買付規模も次第に拡大している。概算統計によると、二〇〇〇年度全国で政府による買付資金の規模は二〇〇億元を超え、資金節約率は平均一〇%前後である。
(六)租税・料金についての改革を着実に推し進め、配分秩序がさらに規範化された。農村の租税・料金についての改革は、安徽省全省とその他一部地区で試行され、成果をあげた。テストケースの状況から見れば、農村の租税・料金についての改革を通して農民と国家、集団の間の配分関係が規範化され、農民の負担が効果的に軽減され、農村の「むやみに料金を徴収したり、やたらに罰金を科したり、むやみに分担金を割り当てたりする」現象が抑制された。安徽省の統計によると、農村で租税・料金についての改革を実行してから、農民の負担は約二五%軽減され、広範な人民大衆の心からの擁護と支持を得ている。テストケースの経験を即時にまとめたうえで、改革のテストケースを広げる案と関連措置がいっそう完備され、移転支出の関連措置も策定された。『中華人民共和国車両購入税暫定条例』はすでに公布され、二〇〇一年一月一日より施行された。
二〇〇〇年度の予算執行状況は全般的に見れば良好であるが、問題もいくつか存在している。一つに、脱税やごまかし行為が依然として深刻で、財務が信憑性に欠け、偽帳簿の作成、虚偽の数値の記入等財政規律に違反する行為はあとをたたない。二つに、地域間の財力にバラツキがあり、一部の地区とりわけ県、郷レベルの財政がなおかなり困難な状況にあり、政府機関・事業体の公務員の給与の遅配問題はかなり際立っている。三つに、部門別予算など支出管理制度の改革は始まったが、その基礎作業はさらに強化する必要があり、予算編成をより正確なものにしていく必要がある。上述の問題を高度に重視しなければならない。経済発展テンポの加速、財政改革の深化、財政管理の規範化、財政経済秩序の整頓等の措置を講ずることによって、その解決に力を入れなければならない。
二、二〇〇一年度の中央と地方の予算案
党の第十五期五中全会、中央経済活動会議及び国民経済と社会発展に関する第十次五カ年計画で示された指標の要請に基づき、また国内外の政治経済情勢の変化が財政収支にもたらす影響を総合的に分析した上で、国務院は二〇〇一年度の中央予算案を編成した。
二〇〇一年度の中央の歳入は八四二二億九一〇〇万元で、前年度の執行額より八三八億五八〇〇万元増やし、一一・一%増とする。そのうち、中央レベルの収入は七八三〇億元で、前年度の執行額より八四三億八六〇〇万元増やし、一二・一%増とする。地方から中央への上納収入は五九二億九一〇〇万元で、前年度とほぼ同じである。中央の歳出は一兆一〇二一億一〇〇万元で、前年度の執行額より八三八億四七〇〇万元増やして八・二%増とする。そのうち、中央レベルの支出は五八四五億一七〇〇万元で、前年度の執行額より三三〇億八三〇〇万元増やし、六%増とする。地方助成支出は五一七五億八四〇〇万元で、前年度の執行額より五〇七億六四〇〇万元増やし、一〇・九%増とする。中央財政の収支を差し引くと、赤字額は二五九八億一〇〇〇万元となり、前年度と同じである。
二〇〇一年度満期により償還すべき中央財政の国内外債務の元金は二〇〇五億九五〇〇万元で、補填すべき本年度の財政赤字二五九八億一〇〇〇万元および中央代行して発行する地方債券四〇〇億元を加えると、国債発行の総規模は五〇〇四億五〇〇万元となる。上述の国債発行総規模のうち、中央レベルで四六〇四億五〇〇万元発行し、前年度の実質発行額より四二三億九五〇〇万元増える。これは主として、二〇〇一年度の国債の元金償還支出が増えるためである。このほか、二〇〇一年度の中央政府の管轄する基金収入の予算に一〇八九億二五〇〇万元を組み入れ、基金支出の予算として一〇八九億二五〇〇万元を計上する。
二〇〇一年度の地方財政予算の歳入は一兆二一〇六億四〇〇万元で、前年度の執行額より一〇四三億八七〇〇万元増やし、九・四%増とする。そのうち、地方レベルの収入は六九三〇億二〇〇〇万元で、前年度の執行額より五三六億二三〇〇万元増やし、八・四%増とする。中央からの助成金収入は五一七五億八四〇〇万元で、前年度の執行額より五〇七億六四〇〇万元増やし、一〇・九%増とする。地方財政予算の歳出は一兆二一〇六億四〇〇万元で、前年度の執行額より一一四二億七五〇〇万元増やし、一〇・四%増とする。そのうち、地方レベルの支出は一兆一五一三億一三〇〇万元で、前年度の執行額より一一四八億三〇〇万元増やし、一一・一%増とし、中央への上納支出は五九二億九一〇〇万元とする。地方財政の収支は均衡がとれている。
二〇〇一年度中央と地方の予算案の集計状況は次の通りである。全国の歳入は一兆四七六〇億二〇〇〇万元を計上し、前年度の執行額より一三八〇億九〇〇万元増やし、一〇・三%増。全国の歳出は一兆七三五八億三〇〇〇万元で、前年度の執行額より一四七八億八六〇〇万元増やし、九・三%増となる。
二〇〇一年度の中央予算は次のいくつかの要因を考慮した。
(一)財政収入の伸びは経済成長よりやや高めに設定する。二〇〇一年度の国民経済はひきつづき良性循環の方向へ発展し、経済成長の質と効果もさらに向上する見通しで、これは財政収入の伸びに対し堅固な基盤を築くことになろう。租税徴収・管理の強化はさらに抜け穴を塞ぎ、収入の流失を減らすことになる。だが、数年来、財政収入の伸びに影響を与えてきたいくつかの特別な要因に下記のような変化が生じ、歳入の伸び幅はおそらくここ二年ほど高くならないであろう。一つは、今年度の世界経済成長には不確定要素が見受けられ、これはわが国の輸出にマイナスの影響を与える可能性がある。二つは、ここ二年の、輸入関連の税収の大幅な伸びは主として密輸取締りや輸入の予想以上の拡大によってもたらされたからである。これらの状況が正常に戻ると、輸入関係の税収入が毎年そのような伸びを続けることは難しい。それと同時に、二〇〇一年度にわが国が自主的に関税率を引き下げることに伴い、収入が減少することになる。三つは、二〇〇〇年度の国有企業の上納金収入が大幅に増えたのは、回復的性格によるところがかなり大きいからである。四つは、証券取引市場を正確に見通しすることは難しいので、証券取引印紙税の収入予算を過大に計上してはならない。五つは、二〇〇〇年に国外、国内市場の石油類価格の大幅な値上がりにより、収入を増大させたが、昨年末から現在にかけて同価格はすでに下落しはじめている。上述の要因を総合的に考慮し、積極的かつ穏健の原則に従い、二〇〇一年度の財政収入予算の伸び幅を経済成長率よりやや高い程度に計上することにした。
このほか、二〇〇一年一月一日に設置された車両購入税は、一八〇億元の収入が見込まれており、これまでの車両購入上納費に代わって、特別に交通道路の建設や保持に振り向けられ、既に中央予算の収支に計上されている。これは二〇〇一年度の中央予算歳入の伸び率一一・一%のうちの二・四ポイント占めている。
(二)インフラ建設の度合いを強め、西部大開発戦略の実施をサポートする。当面の良好な経済情勢を強固にし、発展させ、国内経済の安定的な回復を促進するため、党の第十五期五中全会と中央経済活動会議の精神に基づいて、二〇〇一年度もひきつづき積極財政政策を実施しなければならない。このため、建設国債一〇〇〇億元を発行する予定で、そのうち、六〇〇億元を中央予算に計上し、のこりの四〇〇億元は中央が地方に代行して発行する。また、特別国債五〇〇億元を発行し、主として西部大開発戦略の実施の支援、西部から東部への天然ガス輸送パイプライン、西部から東部への送電、南部から北部への導水、青海・チベット鉄道建設、生態建設等のプロジェクトの実施に振り当て、すべて中央予算に計上される。
(三)政府機関・事業体の公務員の給与を引き上げ、消費需要を効果的に刺激する。賃金政策を調整し、充実させ、適度に政府機関・事業体の公務員の給与を引き上げることは、目下のマクロ経済運営に現れた有効需要不足の問題を解決するための重要な措置である。二〇〇一年度は次のいくつかの面から政府機関・事業体の公務員の給与の調整を行う。政府機関・事業体の公務員の基本給を引き上げ、条件の悪い地区・辺境地区では特別手当制度を実行し、奨励賃金制度を実施する。上述の措置を実行に移すには中央レベルの支出を一〇八億元増やさなければならない。
(四)社会保障支出を増額し、社会の安定を確保する。社会保障システムの確立を速めることは、国有企業改革の推進、社会の安定の維持、社会の持続可能な発展の重要な保証である。社会保障制度の改革をサポートし、「二つの確保」(国有企業一時帰休者の生活費と定年引退・退職者年金を期日通り支給することを確保する)の活動を立派に行うために、二〇〇一年度の中央財政では社会保障面に振り向ける資金をひきつづき増やさなければならない。
(五)農村の租税・料金についての改革を促進、支持し、農民の負担を着実に軽減する。農村の租税・料金についての改革を推進することは、農民の合法的権益を保護し、農民の負担を軽減する根本策である。農村の租税・料金についての改革において末端政府機関の正常な運営と公益事業の正常な展開を確保するために、改革によって政策的性格の収入の減がもたらされた場合、中央財政は適度な補助金を交付する。このために、中央財政は二〇〇億元の支出を計上している。
(六)その他の重点プロジェクトへの支出を増やす。関係法律、法規の規定に基づいて、二〇〇一年度中央財政は教育、科学技術、農業支援、文化、医療・衛生、計画出産などへの支出(中央レベルの支出と地方助成支出を含む)を相応に増加する。そのうち、教育支出は前年度比二七・九%増の二一九億六三〇〇万元、科学技術支出は前年度比一四・五%増の三四九億一九〇〇万元、農業支出は前年度比二一・四%増の二六三億五五〇〇万元となっている。
(七)中央から地方への移転支出の度合を大きくする。二〇〇一年度中央から地方への移転支出は五一七五億八四〇〇万元で、前年度より五〇七億六四〇〇万元増やし、一〇・九%増とする。そのうち、国の財政・税収体制によって定められた租税還付金(開発区の収入還付を含む)は二三三五億元、定額補助金は一一九億七一〇〇万元、中央から地方への財力移転支出及び民族地区に対する移転支出は一六一億元、所得分配の調整政策、社会保障助成金と賃金引き上げなどに対する移転支出は一一九五億元、重点支出プロジェクト、基本建設、未発達地区支援などに対する特別移転支出は一三六五億一三〇〇万元である。
(八)国防支出を適度に増やす。二〇〇一年度中央予算は国防支出を一四一〇億四〇〇万元計上し、一七・七%増とする。これは主として将校、軍隊所属の文官、兵士と職員の給与引き上げの需要及び世界軍事分野における深刻な変革に適応し、現代技術特にハイテク条件下における防衛作戦に備える需要のためである。
三、財政改革を深化させ、財政管理を強化し、法による財政管理を厳格に行い、経済と社会の発展を促す
二〇〇一年度は新世紀の第一年目にあたり、第十次五ヶ年計画を実施する最初の年でもある。二〇〇一年度の財政活動を立派に行い、財政予算の円滑な達成を確保することは、第十次五ヶ年計画を順調に達成し、国民経済の持続的でテンポの速い、健全な発展を維持し、社会の全面的な進歩を促し、新世紀における出足をするどくするために重要な意義をもつ。
(一)国債資金の管理運用を立派に行い、積極財政政策の役割を十分に発揮させる。中央経済活動会議は以下のように要求している。デフレ傾向を抑制しつつ、インフレを警戒、防止し、引き続き内需を拡大するとともに、経済過熱現象と重複建設を防止することである。この精神に従い、二〇〇一年度の建設国債は、主に建設中のプロジェクトの後続資金に充て、中央財政の支出分は、技術改良の利息を支払う以外は、すべて未完成の工事に投入し、新規プロジェクトを興さない。人民の血税をうまく管理、使用し、国債資金の重点プロジェクト責任制を真剣に実行し、プロジェクトの予算と決算の管理を厳格にし、国債資金のプロジェクトに対して、国庫集中受払制度を試行し、さらに監督検査を強化しなければならない。ここ二年、国債資金の運用過程で一部の地区や部門に存在していたプロジェクトの水増し報告、国債資金の詐取、流用、プロジェクトに対するずさんな管理、工事の欠陥及び損失・浪費などの問題を確実に解決し、国債資金の運用効果の向上に努める。発見された問題に対しては、即時に是正し、厳しく処理する。これと同時に、政府機関・事業体公務員の給与引き上げ、住民所得分配の調整などの積極財政政策や措置を引き続き実行し、これらの政策の貫徹を確保する。
(二)税制を完備し、法により租税を徴収、管理し、財政収入を増やすことに努める。租税は国の財政収入の主要な財源であり、国がマクロ規制を実行する重要な手段でもある。我が国の世界貿易機関加盟をめぐる新たな情勢及び社会経済情勢の発展や変化に鑑み、「租税法の統一、税負担の公平化、税制の最適化、課税基盤の拡大、合理的な分権」という主旨に従い、現行の税制をさらに完備し、課税面の優遇政策を整理し、規範化させる。営業税関連の政策を調整し、娯楽的消費面の調整度合を大きくする。個人所得税制を改革し、整備し、分類所得税と総合所得税を結び付けた新たな個人所得税制を設置する。内資企業と外資系企業の所得税などの課税政策を統一し、租税の内国民待遇の原則を全面的に貫徹する。これと同時に、「租税の徴収・管理を強化し、抜け穴を塞ぎ、腐敗を懲罰し、滞納を整理・追徴する」という方針を引き続き貫き、租税法の統一性と権威性を断固として守り、地方が勝手に制定した租税還付政策を真剣に整理する。租税の徴収・管理手段を改善し、「金税プロジェクト」の全面的な実施を急ぎ、脱税、税金逃れ、納税拒否などの様々な行為を断固として取り締まり、特に輸出を口実にした租税還付金の詐取や密輸の犯罪行為に対して引き続き厳しい打撃を与え、滞納した税金を全力をあげて整理し、減らしていき、さらに確実な措置を講じて租税徴収面での偽り行為を解消し、管理が確実で、徴収・管理手段が先進的で、徴収、管理、検査が分離された、奉仕しながら法を執行する新たな租税の徴収・管理方式を次第に確立し、財政収入の安定的な伸びを促進させる。
(三)支出構造を調整、最適化し、重点支出の需要を確保する。一つに、「第一に生計を立て、第二に建設する」という原則に基づいて中央の統一した賃金政策を真剣に実行する。政府機関・事業体公務員の賃金を期日通り全額支給するよう確保することは、各級政府の果たすべき義務であり、実事求是や大衆路線堅持の重要な表われでもある。各レベルの財政は予算の編成にあたって、何よりもまず国の規定した政府機関・事業体の公務員への賃金経費を全額計上し、それを全部国庫に設けた財政特別賃金口座に納入し、公務員の賃金支給に使用し、別途に流用してはならず、これにより当年度賃金の期日通りの支給を確保する。中央経済活動会議の精神に基づいて、賃金の遅配問題を解決するため、地方は中央財政に新規設置された賃金調整特別移転支出資金を使って地方公務員の遅配賃金を支払い、それに応じて本年度の賃金調整の期日を遅らせることができる。それと同時に、党・政府機関の賃金は財政から統一的に支給され、農村末端の小・中・高等学校教師の給与は県レベル財政から支給されるよういちだんと力を入れなければならない。二つに、社会保障支出の財政予算に占めるウェートをさらに引き上げ、企業の定年引退・退職者の基本養老金および国有企業一時帰休者の基本生活保障金を期日通り全額支給されるよう確保し、国有企業の再編や体制転換と産業構造の調整をサポートする。三つに、国家政権の建設や科学技術、教育、文化などの重点分野とプロジェクトへの支出需要の確保に努める。四つに、農業の基礎としての地位を強め、農業のインフラ、防災システム、天然林保護、耕地の林(草)地への復旧、砂漠化の防除工事などの建設を大いにサポートし、食糧流通体制の改革と農村における租税・料金についての改革を支援し、深化させ、貧困扶助の度合いを大きくし、農民の負担を確実に軽減させる。重点支出の需要を確保するには、公共財政の要請に基づき、財政の支出構造を大いに調整し、最適化させ、財政資金の供給範囲をいっそう規範化し、財政支出で養う人口が多すぎる問題や財政丸抱えの問題を必ず解決すること、地方の機構改革に合わせて、機構、職場と定員設置の作業をしっかりやり遂げ、行政事業経費を厳格に抑制すること、市場に参入して安定した収入を獲得できる事業体に対して、財政からの支給額を次第に削減していくこと、競争的な分野への直接投資を逐次減らすこと、などである。それと同時に、刻苦奮闘、勤倹節約という優れた伝統を大いに提唱し、発揚させ、派手にふるまい、金銭を欲しいままに使う風潮にしっかりと歯止めをかけ、財政資金の使用効率を向上させる。
(四)支出管理制度の改革を推進し、予算管理を強化する。これは財政資金の使用効率の向上に必要なだけでなく、腐敗を根治する措置でもある。一つに、部門別予算の改革テンポを速める。今年度、全国人民代表大会の審議に上程された中央財政の部門別予算はいっそう増えている。省レベルの各予算部門はいずれも部門別予算を編成し、全国の三〇%ないし五〇%の地区・市も部門別予算の編成を試行しなければならない。部門別予算の細分化をはかり、定額基準の修正と項目別予算の試行を急ぐ。政府収支の類別化の改革を推し進め、部門別、機能別、経済別などの新たな政府収支分類システムを打ち立てる。二つに、国庫集中受払制度のモデル・ケース作業を拡大する。現在実行されている国庫制度は段階別の分散したもので、財政資金が複数の部門と単位による重層口座の「中継」を経由するため、収入が直ちに国庫に入らず、支出も直ちに資金使用部門まで届かず、中間段階が多すぎるため、使い込みや流用などの現象が起こりやすい。国庫集中受払制度では、一本化された国庫口座システムが構築され、財政資金がすべて国庫の単一口座のシステム管理に組み込まれ、収入が国庫または財政特別口座へ「直行」し、支出も国庫の単一口座システムを通して財・サービス提供者または資金使用部門まで「直行」することになる。今年度は手がかりとして、中央の一つ乃至二つの部門および若干の省、直轄市、自治区を選んで、国庫集中受払制度の改革のテストケースを作り上げる。三つに、政府による買付制度を積極的に推進する。政府買付の範囲と規模をさらに拡大し、公開入札できるものは、すべて規範に則ったステップを踏んで、政府の買付を行い、政府による買付作業の透明度を高め、政府買付資金については国庫集中受払制度を積極的に行う。
(五)社会保障システム建設のテンポを速め、社会保障活動を立派に行う。中国の国情にふさわしい社会保障システムを打ち立てることは、社会主義市場経済体制と公共財政体制を構築するきわめて重要な内容であり、広範な人民のもっとも根本的な利益を守る重要な措置であり、国有企業の改革と発展を支持する重要な手段でもある。国有企業の一時帰休者の基本生活費および企業の定年引退・退職者の年金を遅滞なく全額支給することを確保し、決して当期においてあらたな遅配が発生してはならない。養老、医療・衛生、失業などの社会保険の範囲を広げ、社会保険料の徴収率を引き上げる。財政支出構造を調整し、社会保障支出のウェートを高め、資金に欠如がないよう保証しなければならない。規範化された社会保障資金調達方法を積極的に模索し、社会保障資金の調達ルートを広げる。社会保障資金管理を着実に強化し、その規範化を図り、透明度を高める。社会保障活動における中央と地方政府の責任を合理的に区分し、職権がはっきりした、責任が明確で、強い保障力を持った、運営の効率が高い社会保障管理システムを打ち立てる。積極的に都市部の社会保障システム改革のテスト作業を推し進める。
(六)積極的かつ穏健に租税・料金についての改革を推進し、政府の収入分配を規範化させる。租税・料金についての改革は、収入分配の規範化、財政体制の完備、企業、農民、社会の負担の軽減、法律による行政の推進、根源から、制度上から腐敗の根絶、政府のマクロ規制力の増強にとって、いずれも重要な意義をもっている。二〇〇一年度には全国農村の租税・料金改革のテンポを速める。条件の整った省、直轄市、自治区においては、全省域でこの改革を全面的に推し広げ、他の省、直轄市、自治区についてはテストケースの面を広げ、全面的な推進のための条件を作り出さなければならない。改革目標の達成を確保するために、中央財政から毎年度二〇〇億元を拠出し、地方への移転支出に当て、改革後に現れる末端機関の正常支出経費の不足分を補填する。省クラス財政でも資金を捻出して農村の租税・料金改革のための移転支出を増やさなければならない。移転支出資金に対する監督と管理を強化し、上級財政の移転支出資金は決められた用途に使用されるよう保証し、確実に末端まで貫徹させ、さらに機関の簡素化および人員の削減など関連の改革を積極的に推し進めなければならない。車両購入税の徴収・管理作業を急ぎ、適当な時機を選んでガソリン税を創設し、引き続き交通および車両にかかる不当な料金徴収を整理し、すでに撤廃された料金徴収項目を確実に取り消し、引き続き不合理または不法な行政事業類の料金徴収と政府管轄基金を整理、撤廃し、社会諸方面の負担を確実に軽減する。これと同時に、取り立てすぎて大衆が強い不満を抱いている一部の部門での租税・料金改革の準備作業を積極的に推進しなければならない。
(七)法による財政管理を厳しくし、財政に対する監督を強化し、財政・経済秩序を規範化する。これは市場経済秩序を整頓、規範化する重要な部分であり、財政の法制建設を強化する重要な内容でもある。一つに、財政監督システムをいっそう整備し、財政監督メカニズムを健全化させる。従来の企業に対するミクロ的な管理の重視を、所得徴税機関、予算執行部門、金融機関、仲介機関などに対する監督へと転換させ、逐次企業財務監督の社会化システムを健全化していく。予算資金運用の監督を強め、財政部門、主管部門、資金使用単位、会計検査部門を包括した相互制約的、相互補完的な予算執行監督システムを形成する。二つに、『会計法』を着実に貫徹し、会計制度を完備し、会計の基礎作業を強め、会計情報の質を向上させ、偽造証明書の提示、偽帳簿の作成、偽りの会計検査等の違法行為に厳しい打撃を与える。会計士派遣制のテストケースの経験を総括し、それを広げながら、社会全体で会計監督の強化を図る。三つに、財政資金の利用効果に対する追跡調査とフィードバックメカニズムを打ち立てる。四つに、金融機関、とりわけ地方金融機関の財務に対する監督管理を強化し、金融リスクを着実に防止し、解消する。五つに、財政の内部監督をいっそう強める。六つには、引き続き資産評価・信用評定を専業とする仲介機構を整理、整頓し、社会主義市場経済体制に適応する仲介機構の管理体制と効率の高い運営メカニズムを樹立する。
代表のみなさん、今年度の財政予算の任務はかなり重く、並大抵なものではない。われわれは江沢民同志を中核とする党中央の周りにしっかり団結し、ケ小平理論の偉大な旗印を高く掲げ、党の基本路線を堅持し、情勢をはっきり見極め、任務を明確にし、自信を固め、重点を把握し、実行にいっそう力を入れ、勢いに乗じて前進し、本年度の予算任務を全面的に達成させよう。
(注:この報告については、今会議で最終的に審議、採択され、新華社から発表されるものが基準となります。)