憲法と法体系

1949年の中華人民共和国成立後、前後して四つの憲法が制定された。1954年の憲法、1975年の憲法、1978年の憲法、1982年に公布された現行の憲法である。現行の憲法は前文のほか、総則、公民の基本的権利と義務、政府機構、国旗、国章、首都の4章に分かれ、計138条から成る。1988年、1993年、1999年の全国人民代表大会でそれぞれ憲法改正案が採択され、現行憲法の一部条文が改正され、補足された。

憲法はすべての公民の基本的権利を保障している。それには選挙権と被選挙権を有すること、言論、出版、集会、結社、デモ行進、示威の自由を有すること、宗教信仰の自由を有すること、人身の自由、人格の尊厳および住居の不可侵、通信の自由および通信の秘密は法的保護を受けること、いかなる政府機関または公務員に対しても批判、提案、監督を行う権利を有すること、労働と休息の権利、老齢、疾病または労働能力喪失の場合には国および社会から物質的援助を受ける権利を有すること、教育を受ける権利、科学研究、文学芸術創作およびその他の文化活動を行う自由を有すること、などが含まれている。

中国の法体系は憲法と憲法関連法、民法・商法、行政法、経済法、社会法、刑法、訴訟および非訴訟手続法の7つの法律からなる。1979年以来、中国は法制整備の面で全面的かつ急速な発展をとげている。2002年末までに、全国人民代表大会とその常務委員会が制定した法律と関連法律問題の決定は430余件にも達し、国務院が制定した行政法規は1000件近くもあり、地方人民代表大会が制定した地方的法規は10000件にのぼる。それらは政治、経済、社会などの諸分野をカバーするものであり、かなりよくそろった法体系がすでに基本的に形成されている。

2002年末に、当面中国で条文が最も多い法律草案――「民法典」が正式に全国人民代表大会に提出され、審議された。それはすでに存在している60部余りの民事法律,法規を踏まえて制定されたものであり、1200条余りの条文からなる。この法典の二篇目の物権法の部分は、国の所有権、集団所有権につづいて、私人所有権に対して、例えば国が私人の預貯金を保護し、私人の投資および投資によって獲得した利益などを保護するというかなりに詳しい規定が盛り込まれており、そのため、これは新中国で初めての私人財産を保護することを明確に打ち出した法律となっている。

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