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孫中山の「四物スープ」

一般に“四物スープ”とはトウキ、センキュウ、シャクヤク、地黄の漢方薬4種を処方した補血、造血効果のあるスープのことである。しかし、孫中山“四物スープ”はこの漢方薬4種配合のスープではなく、キバナフウチョウソウ、キクラゲ、豆腐、モヤシを具にした精進スープである。孫中山は偉大な革命家であると同時に医者でもあり、西洋医学に通暁しているばかりではなく漢方と飲食栄養についての造詣も深かった。孫中山“四物スープ”は、かれの飲食栄養に対する研究の成果である。キバナフウチョウソウは黄花菜、名金針とも称され、ビタミンA 、繊維質、鉄分が豊富で利尿、解熱の効果があり、水腫、尿路結石、出血、血便などの症状に有効で、胃、脾臓を丈夫にし便通をよくする。キクラゲは《神農本草経》の中で中品としてあげられており、血液の調整、循環、収斂をよくする作用がある。血便下痢、痔、産後の衰弱、子宮出血、こしけなどの患者には適切な食品である。

キクラゲはタンパク質と多種類のビタミン、カルシューム、燐、鉄分を豊富に含んでいる。豆腐とモヤシはわが国が発明した豆製品で、廉価で物のいい栄養価の高い食品である。大豆に含まれているタンパク質、脂肪、ビタミンなどを完全に留保しているばかりではなく、極めて消化吸収しやすい食品である。キバナフウチョウソウ、キクラゲ、豆腐、モヤシの四種は精進料理の長所を大いに引き出しているといえる。精進料理の健康、長寿に対する意義は周知の通りだが、孫中山先生の“四物スープ”は十分に精進料理の佳作に値する。

 




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