一、野菜産業発展の現状
1988年以降の「野菜かごプロジエクト」(野菜の生産供給問題を解决する計画)の実施以来、中国の野菜産業は大きな発展を見せ、1987年から1999年までの13年間に全国の野菜栽培面積は533.3万fから1335万fまで増加し、増加率は139.5%に達し総生産量は1.55億dから4.05億dと161.3%の伸びが見られた。一人あたりの年間の野菜保有量は308`に達している。温室、ビニールハウスなどによる野菜栽培面積は11.35万fから130万fと、11.7倍の増加となり年間供給量は大幅に増え、季節とかかわりなく主な都市では毎日50種類以上の野菜が市場に出荷されている。野菜の輸出も安定的な伸びを見せ輸出額は1990年の3.64億jから1998年の13.97億jに増え中国の輸出でK字の増加の最も速い農産物である。
1999年の野菜栽培は農地面積のわずか8%であった。その総生産額は約2800億元で栽培業総生産額の17.5%を占め、食糧に次いで第2位を占めている。
二、科学技術の成果による野菜産業の発展を
20余年来、野菜の科学研究成果の応用と普及によって科学技術進歩の野菜生産に対する寄与率は50%以上となり、野菜産業の発展に対して以下のような重要な役割を果している。
1.優良種子資源の研究。中国農業科学院野菜花卉研究所は29の省、直轄市、自治区の研究スタッフを組織して3万余りの野菜遺伝子資源を收集、整理、保存して(世界で第3位を占める)野菜花卉の生産と育種のために多くの優良品種とオリジナルのデータを提供している。
2.遺伝子による育種。育成した1000余りの野菜優良品種がすでに審査・認可され、主な野菜品種は3代目か4代目の新しいもので、27種類の野菜に対し雑種の優位性利用の研究を行なった。主な野菜の50%〜90%は初代の雑種であり、150以上の品種はよく発生する2、3種類の病虫害に対する耐性がある。優良品種の普及率はすでに80%に達している。
3.施設野菜栽培技術。ビニールフィルム被覆技術。工場型野菜育苗技術の研究と普及、大、中、小型ビニールハウス栽培技術、日覆いネット栽培技術、水栽培技術及び中国独自の高能率省エネルギー――温室栽培技術などを導入することによって大いに中国野菜の生産とバランスのとれた供給のレベルを高めた。
4.野菜病虫害の防除技術。一種類の病虫害だけを対象に防除することと化学防虫剤を主とする防除の現状を変え、生物による防除を主とする総合的防除技術を次第に採用するようになっている。
5.野菜の貯蔵と加工技術。野菜貯蔵の所要条件の研究によって各種類野菜の貯蔵方式を決め、精選野菜、急速冷凍野菜、乾燥野菜などの加工技術にも大きな発展が見られる。
三、今後の中国野菜科学技術研究の主要な課題
野菜科学技術研究分野での成果を確認すると同時に。単位面積生産量が低く品質もよくない、深刻な病虫害の発生、野菜の処理加工技術の立ち遅れ、生産物の構成の不合理、市場情報のスムーズな交流の欠如など野菜産業に存在している諸問題を認織しなければならない。現在、農業の構造は調整のさなかにあり、近い将来WTOに加盟することになっているため野菜産業の発展に新たなチャンスをもたらすことになろう。野菜の栽培貯蔵と加工技術が国際水準に達するようにするため「第10次5ヵ年計画」期においては重点的に以下の科学研究を行なうべきである。
1.引き続き優良な野菜種子資源の収集と導入をおこなうと同時に収集保存された3万余の種子資源に対し総合評定、評価をおこない、新しいものを創り出す。
2.雄性不育系、自親不親和系、雌性系育種技術、耐性、品質など重要な性状の遺伝法則、病害に強く退化に耐える性状の生理メカニズム、評定方法など育種技術とその応用の基礎理論研究を強め、良質、病害に強く退化に耐える、収穫量の多い、異なった生態条件と用途に適した専用品種と輸出向け新品種の育種を主な目標とする。
3.積極的かつ穏当に茎先培養技術、小胞子培養技術、病虫害に強い遺伝子の導入技術、分子記号補助選択育種技術など野菜生物技術の研究開発を行なうと同時に在来の育種技術と緊密に結合させて我が国の野菜育種のレベルの向上を目指す。
4.単位面積あたりの生産量と品質、野菜生長の法則、生産量と環境制御などの技術研究を強めることによって次第に中国独自の高能率施設野菜栽培技術システムを築き上げる。
5.良好な生態環境を維持し野菜の中に残留する農薬の量を減らして野菜の品質を向上させるため野菜がかかりやすいひどい病虫害の発生法則と無公害総合防除技術を重点として研究する。
6.野菜の貯蔵、輸送、精加工技術を重視すると同時に関連品質基準を制定して高能率省エネルギーの貯蔵輸送、保鮮加工技術を含むシステムとそれに対応する施設をつくる。中国における野菜産業の発展の新しい情勢に適応するため野菜科学技術体制の改革を行なわなければならない。
現在、国、省、市クラスの野菜科学研究機構は30以上もあるため研究能力が分散し、研究課題が重復し、基礎的研究条件が軟弱で、研究成果の産業化への転 換が遅く、人事と分配の制度が不合理であるなどの問題が存在している。以上の現状に鑑み中央農業科学技術会議の趣旨にもとづいて各分野において改革を行なわなければならない。
我が国は野菜栽培面積が広く、総生産量が多く、資源が豊富である反面、生産技術がかなり遅れ、科学技術に対する必要が大きいなどの実情から出発して研究条件に恵まれた国家クラスや重点的省・直轄市クラスの野菜科学研究部門において一部の非営利的な科学研究機構を維持して、市場志向がむずかしい基礎的性格、公益的性格の研究とハイテク技術研究によって我が国の野菜科学技術と野菜産業の持続可能な発展を保証する。
「チャイナネット」2001年4月2日