梁超然政協委員 貧困地域の生態的扶助プロジェクトを提案


西部は祖国の辺境地帯であり、少数民族の集中的居住地域でもあり、貧困地域の面積が大きく、貧困人口が多い。西部の12の省、自治区には合わせて367の貧困県がある。広西チワン族自治区を例とすれば、自治区全域の81の県(市)に49の貧困県(そのうちの28は国の貧困県で、21は自治区の貧困県である)があり、49の貧困県(市)の総人口は1570万で、自治区総人口の34%を占めている。国が「八七貧困脱却扶助攻略計画」を実施した後、貧困地域のほとんどの人びとの衣食問題を基本的に解決し、それによって西部地域の貧困発生率が4%に下がった。しかし、衣食問題を解決する基準が比較的低いため、西部の貧困地域の生態環境は依然として極めて悪く、自然災害を防ぐ能力も脆弱で、自然災害に見舞われると、また大勢の人びとが貧困状態に戻ることになろう。そのため、貧困地域の人びとの衣食問題解決の成果をうち固めるには、持続可能な発展の道を歩み、生態的貧困脱却扶助への取り組みを増大させることを通して貧困地域の劣悪な生態環境を改善しなければならない。

一、 困地域の生態環境の悪循環は貧困の主な根源である

貧困地域が貧しくなる客観的な原因は暮らしている自然生態環境が極めて劣悪なため、主観的な原因が長い間人為的な破壊によって貧困地域の生態環境の悪循環をもたらし、生態環境の悪化を深刻化させた。貧困地域は山が多く土地が少なく、例えば広西チワン族自治区の49の貧困県(市)の土地面積は13万3300平方`(自治区全域の土地総面積の56%を占める)で、そのうち山間地帯の面積は11万7000平方`で、その山間地帯面積の87.8%を占め、山間地帯面積の中で、カルスト地形の面積は7万4200平方`で、その山間地帯面積の63.4%を占めている。貧困地域の多くの貧困農家は改善することがむずかしいカルスト地形の台地形山とくぼ地で暮らしており、生態環境はもともと極めて劣悪で、九割が石だらけの土地、残り一割だけで土からなるもので、それにさらに人口の増加が速すぎるということが加わり、人が多く土地が少ない矛盾はいっそう際立っている。長年以来「食糧をかなめとする」考え方の影響を受けて、多くの幹部と大衆は岩山の中の耕地を樹林に戻すことに懸念を抱き、耕地を樹林に戻したらどこから食糧を得るのかと考えている。そのため、1ムー当たり数`ないし50数`余の食糧だけの収穫でも、耕地を樹林に戻すことを惜しみ、ひいては年ごとに急な傾斜地における開墾面積を拡大し、ふもとから山頂近くまで開墾し、土さえあれば開墾して作物を栽培した。年ごとの雨水による水土の流失は深刻で、土地がやせたことが速まり、トウモロコシを栽培すればますます茎が短くなり、トウモロコシの穂がますます小さくなり、石は地表よりますます高くなり、岩山はますますハゲ山化し、岩山地帯の石漠化を深刻化させ、樹林を破壊して開墾することと急な傾斜面の開墾は生態系への破壊が最も大きく、岩山地帯では生態系が破壊されて水源がますます少なくなり、水不足、農地不足の問題がますます深刻になっている。

長期間にわたって、経済成長と生態環境の保護、改善という二つの大きな難問の間での選択に直面し、多くの農家は樹林を破壊して開墾し、急な傾斜面で開墾することを惜しまず、作物、サトウキビを栽培し、その他の経済作物を栽培し、生態環境の破壊を代償として目先の経済的利益を手にしようとした。百色地区の最近の統計によると、樹林を破壊して開墾した面積は7万6500fに達し、そのうち25度以上の勾配のものは5万7400fで、1994年から1999年までの間に新たに樹林を破壊して開墾したものは2万2700fであった。このほかに、樹林を破壊して開墾したものではない25度以上の急な傾斜面で開墾したものは7万8400fがある。樹林を破壊して開墾し急な傾斜面で開墾することは百色地区に大量の水土流失をもたらしている。統計によると、百色地区の水土流失面積は1997年においては6438.56平方`に達し、この地区の土地面積の17.73%を占めている。この地区では1997年だけでも水土流失のために直接破壊された農地は2万8600ムーに達している。そのほか、水土流失によって形成された泥が山間部の池、ダムと河床に堆積し、水利施設の効率を下げ、河床をふさぎ、その結果洪水排出の能力を下げ、洪水防止の安全という面で危害をもたらしている。以上の現象を見ても分かるように、山間地帯の生態環境の悪循環は、直接山間地帯の貧困大衆の生産と生活に影響を及ぼすだけでなく、貧困の主な根源となり、そしてまた河川の下流の人びとにとって洪水による災害というかたちでかかわるようになっている。

二、 困地域の生態環境悪化の主な原因

乱伐し、樹林を破壊して開墾し、急な傾斜面で開墾することは貧困地域の生態環境の悪化の重要な原因の一つとなっている。なぜ樹林を破壊して開墾し、急な傾斜面で開墾することが何度禁止しても止まらず、効果的に抑えることができないのか。その主な原因の一つは正面からの公報への力の入れ方が足りず、人びとの生態環境保護の意識が強くなく、生態環境の悪化が子々孫々に及ぼすマイナスの影響に対して認識不足であることだといえる。二つは一部地域の末端の幹部が目先の功をむさぼり、目先の物質的利益だけを考え、地方の経済を発展させる中で、資源の開発と生態環境保護との関係を正しく上手に処理していないことにある。三つは少数民族の集中的居住地域で、過去から残された焼き畑農業、粗放型農業、山林を伐採して生活するという立ち後れた生産習慣を徹底的に変えておらず、人びとは樹林を破壊して開墾して、そこに作物を栽培することに頼って暮らしてきたことにある。四つは広大な山間地帯の山が多くて耕地が少なく、さらに人口の増加がはやすぎることが加わり、人が多く土地が少ないことになり、人びとは食べることを解決するために、山に入って開墾して作物を栽培するしかなかったことである。五つはかなりの人たちの法律に対する意識が足りず、樹林を破壊して開墾することは法律違反とはならないと考え、同時に一部地方では法律執行への取り組みが足りず、樹林を破壊して開墾することに対する処分に力を入れておらず、樹林を破壊して開墾することが終始効果的に抑制されていないことにある。以上の問題が上手に処理されていないため、貧困地域の「開墾すれば開墾するほど荒れ果て、荒れ果てれば荒れ果てるほど貧しくなり、貧しければ貧しいほど開墾するようになる」という悪循環をもたらしている。

三、 貧困地域の生態環境が直面する問題を改善する対策

貧困地域の生態環境の改善は複雑かつきわめて困難な課題であり、そのために、直面する困難は多い。まず、政府は長年来耕地を樹林に戻すという仕事に対し一般的な呼びかけが多く、計画を作成し、組織し、資金を投入して、実施することが少なく、制定した造林措置は保障されていない。科学技術の応用度も低く、造林の効果は顕著ではない。その次に、貧困地域は人が多く耕地が少なく、客観的には農民の食糧が不足し、政府部門からの不可欠な食糧あるいは資金の扶助も欠け、人びとは目先の利益を犠牲にして耕地を樹林に戻したがらず、そのため、耕地を樹林に戻す仕事を展開することが難しい。人びとが以前投資して栽培した用材林は、規制によって勝手に伐採することが認められないので、人びとは利益を得ることができないため更に投資して造林することは望まない。そのほか、人びとは耕地を経済林に戻すつもりであるが、苗木を買う資金が不足しているために実施するすべがない、ということもある。

貧困地域の生態環境を改善して耕地を樹林に戻すことの中に存在する問題に対して、われわれは次のようないくつかの要求と提案を打ち出した。

1、各級の党委員会と政府は貧困地域の耕地を樹林に戻すことを高度に重視し、耕地を樹林に戻すことを山間地帯の生態的貧困脱却扶助の重要なプロジェクトとして力を入れるべきである。貧困地域の生態環境を改善することが持続可能な発展の道を堅持し、貧困地域の人びとの衣食問題解決の成果をうち固めるための重要な措置であることを十分に認識すべきである。人間と家畜の飲用水プロジェクトを実施し、あぜ道に沿っての水槽、メタンガス池をつくるような取り組み方でこの仕事に力を入れるべきである。

2、国務院が西部の貧困地域の耕地を樹林に戻すプロジェクトを西部開発の重点に組み入れ、国が扶助を与え、種子と苗木の費用と食糧の面で補助を与えることを提案している。耕地を樹林に戻した農家に対して農業税と買付食糧を減免し、食糧の補助を与え、耕地を樹林に戻した面積に基づいて5−8年補助し、ムーあたり食糧200`、資金30元および耕地を樹林に戻すための種子・苗木と栽培の費用100元を補助することにしている。

3、優遇政策を制定し、人びとの耕地を樹林に戻す積極性を引き出す。「さらに耕地を樹林・草地に戻すテストをよく進めることに関する国務院のいくつかの意見」と結び付けて実施の細則を制定し、効果的な優遇政策を定め、耕地を樹林に戻した者に対する補償と税金減免政策を真剣に実施し、耕地を樹林に戻した者に対して「造林したものがそれを所有し、資金を投入したものがそれを経営し、利益を得る」という原則を堅持する。新たに植えた用材林は50年不変、経済・果実林は30年不変の政策を堅持し、これによって人びとの造林への積極性を引き出している。

4、耕地を樹林に戻すテストプロジェクトの実施を通して全面的に耕地を樹林に戻すことを促す。貧困県は財政難であるため、政府が財政資金と貧困脱却扶助資金の中から一定の資金を取り出してテストプロジェクトの始動資金とし、毎年全ての貧困県(市)に200万元を与えて耕地を樹林に戻すテストプロジェクトの始動資金とし、種子・苗木の購入と育成に用いることを提案している。

要するに、耕地を樹林に戻すことは貧困地域の生態環境を改善する重要な道筋であり、貧困地域が持続可能な発展を堅持し、衣食問題の解決の成果をうち固めるための重要な措置である。政府が耕地を樹林に戻すことを貧困地域が生態環境を改善し、衣食問題の解決の成果をうち固める生態的貧困脱却扶助プロジェクトとして力を入れることが望まれている。