秋景色のチベット

拉薩( ラサ)
ラサは伝統的、世俗的生活と宗教的信仰、さらに現代が不思議なハーモニーを織り成す都市である。
ラサはヤルンズァンボ江の支流であるラサ河中流の北岸、海抜3657mの高地に位置している。チベット最大の都市であり、自治区の区都として政治、経済、文化、交通の中心でもある。チベット族、漢民族、回族など30余民族の40万人が居住している。
ここには、現代都市が具備する全ての要素が揃っている。同時にラサはチベットの宗教的中心であり、長い歴史を有する文化都市でもある。チベット語で「聖地」を意味するラサには1300余年の歴史がある。チベット仏教二大指導者の一人であるダライラマ歴代の居住地で豊かな文化が遺留されており、ポタラ宮、大昭 (チョカン) 寺、哲蚌(レプン)寺、色拉(セラ)寺、甘丹(ガンデン)寺、羅布林卡(ロブリンカ)など文化遺産も多い。
如何なる旅人にとっても、ラサの風景は新奇で魅力的であるに違いない。現代建築が立ち並び、あらゆるレベルのホテル、多種多様な商店、様々な地方の料理店、多彩な自動車、タクシー、自転車が道を行き交っているかと思えば、一方ではポタラ宮の代表される古い宮殿や寺廟が荘厳さを保ち、寺廟のバター油灯が一年を通して絶えることなく点り、参詣する信者が絶えることがない。街の大通りでは、至るところにチベット式の服装をした老若男女が手を揺らし「マニ車」を回してゆっくりと歩んでいるのが見受けられる。「マニ車」を回してお経を唱える儀式なのである。
ラサ人はこのような雰囲気の中で暮らしている。

日喀則(シガズェ)
シガズェ地区はチベットの農作物作付け地として重要な地区である。近年、地区の各県が特色作付け基地の発展に努力した結果、シガズェの野菜、穀物はチベットの有名ブランドになっている。記者が江孜(ギャンツェ)を取材した時期が丁度青稞(裸麦)の収穫期に当たっていて、収穫に忙しい農民が金色の田野に点綴され、一帯が美しい田園風景画と化していた。
ギャンツェの宗山に登ったときには、またまったく別の感慨に襲われた。この一帯は近代史において外国勢力の侵略に反抗した歴史をもち、国家統一を死守する悲壮な歴史故事で名高い。中国清朝の行政府として、当時のギャンツェは宗と称され、現在の県レベルにあたった。1903年、イギリス植民地主義者が軍を派遣してチベットに侵入し、ギャンツェは1904年に占領されてしまう。ギャンツェの人々は原始的な大刀、長槍、石塊などで宗政府所在地である宗山旧要塞を堅守し、大砲、小火器で装備したイギリス遠征軍に対し2カ月にわたる血みどろの戦いを繰り広げたが、ついに弾薬、食料が無くなり、残余の守備隊全員が断崖から飛び降りで殉死したと伝えられている。侵略者の砲撃で破壊された痕跡、銃弾の痕が、旧要塞の壁に今なお残されている。
シガズェはチベット第二の大都市で、チベット仏教二大指導者の一人であるパンチェンラマの居住地である。宗教的文化遺産が大量に残されているが、中でも有名なのが扎什倫布寺(タシルンポ)で、記者が訪れた日は、丁度「跳神節」の儀式が行われれる日であった。十一世パンチェンラマが臨席し、寺は盛大な宗教的儀式の荘厳な雰囲気に包まれ、濃厚な神秘的な色彩に彩られていた。

林芝(ニンチ)
チベット東部にあるニンチはチベットの「エメラルド」と称されている。平均海抜3000m、気候は湿潤で植皮が繁茂し、濃厚な酸素を含有する大気で包まれた大自然である。多くの山河渓谷がある地帯で、植皮は海抜高度の変化に伴って異なり、珍しい立体的景観を呈している。雪を戴いた山、森林、草原、湖沼、河川が交錯しており、景勝の地は100余カ所にも上る。
ニンチから程近いところに、チベット族の神湖とあがめられている松措湖がある。眺望すると、湖の形状は高山の峡谷に象嵌された新月のように見える。晩秋の季節の蒼穹は洗い上げたかのごとく清浄で、湖岸の楓は燃えるように赤く、沙カモメや白鶴が湖面を飛翔していた。湖は湖底が見えるほど透明度が高く、雪山がその影を美しく映していた。湖の真ん中に小島があり、小島には唐代に建てられた錯宗工巴寺があるが、ここは有名なチベット紅教寧瑪派の寺である。毎年、ここを訪れる信徒は引き続いて絶えない。
チベットを旅する人の多くは、このニンチを第一歩とするが、これは景勝地が多いという理由だけではなく、海抜がやや低く、低地からやってくる旅行者にとって、高原環境に体を慣らす絶好の地だからである。ニンチには空港がないので、車に乗ってくるしかないが、3年後にはこの問題は解決される。現在、八一鎮から40kmの地点にニンチ空港の建設が始まっており、3年後にはラサの貢嘎空港、昌都邦達空港の役割を引き継ぎ、チベット第三に民間空港になるからである。
記者はチベットに赴く前、何度もチベットに行った経験がある友人の言葉を思い出す。彼は何度行っても飽きないところで「行くたびに、また新たな美しさを発見して、新たな悟りの境地に入ることができる。旅行が終わるたびに、もう次の旅の準備をし始めてしまう」と言ったが、本当にそういう気分にさせられる。

「チャイナネット」2004/12/17



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