『新疆イスラム建築図鑑』の前書き
 新疆(新疆ウイグル自治区の略称)は従来から多民族が居住している地域であり、新疆のイスラム風建築物はその形成過程において、異なった歴史と文化を背景として、異なった民族の文化、芸術、建築、絵画、彫刻などの多様なものを一体化した風格と特徴を持つものである。さん然と輝くモスク(塔、墓)建築芸術、変化と色彩に富む彫刻、絵画などは各民族のイスラム教徒のイスラム教に対する敬虔な信仰を表すと同時に、芳しい民族文化の息吹と風格を持つものであり、歴史と近代の特徴を一体に融合させ、中華民族の伝統文化と近代文化の重要な構成部分となっている。イスラム風建築物は珍しくて貴重な歴史的文化財でもあれば、異なった民族の異なった歴史的時期における経済、社会、文化の発展のあかしでもあり、それは特殊な人文景観を構成し、観光・観賞と研究・考察の価値を持ち、新疆の重要な歴史的文化財と観光景勝スポットであり、祖国の伝統的文化を発揚させる中でしかるべき役割を果たしている。

 新疆は偉大な祖国の大家庭の神聖で分割することのできない構成部分である。新疆の各民族人民は全国人民と緊密につながっており、栄光と恥辱をともにし、共同でさん然と輝く中華文明を築き上げた。新疆のイスラム風建築文化は中国の伝統的建築文化と交流し、融合し、長期にわたる発展・変化を経て特有の風格を持つとともに、鮮明な中国の特徴と民族の色彩も保ち、中華民族の建築文化の構成部分となっている。

 辺境地帯の新疆ウイグル自治区に入ると、その青空、広大な砂漠、ゴビといわれる土漠、オアシス、雪に覆われた山、氷河、草原などの自然の景観は疑いもなく人々を魅了するものであるが、一つ、一つのオアシスの賑やかな都市、静けさに満ちた農村、独自の特色とさまざまなスタイルをもつイスラム風建築物は、その奇異な造型、伝統的建築技法、ユニークな装飾芸術でいま一つの荘重できれいな風景ラインを構成している。新疆のイスラム風建築物が提示している優れた建築技術と芸術的風采は、新疆の各民族人民の英知を十分に具現するものであり、きわめて民族色に富むとともに高い観賞価値と研究価値をも持つすばらしい景観の一つとなり、今日の新疆を提示するために異彩を添えるものとなっている。


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